鶯宿梅 テスト対策問題28問|大鏡・勅なれば・解答つきPDF

定期テスト対策

『大鏡』「鶯宿梅」は、村上天皇が枯れた清涼殿の梅の代わりを求めた際、献上された梅の木に付けられた「勅なれば」の歌をめぐる話で、定期テストでは敬語(させ給ふ・侍り)の識別と敬意の方向、和歌の心情、「あはれ」「をかし」「わりなし」などの重要語、天皇が反省した理由(主題)が繰り返し問われます。語り手が夏山繁樹であること(=「侍り」の丁寧語の相手は聞き手)を意識すると敬語問題を落としません。

本文(傍線①〜⑮)

いとをかしうあはれに侍りしことは、この天暦(てんりやく)の御時に、清涼殿(せいりやうでん)の御前(おまへ)の梅の木の枯れたりしかば、求めさせ給ひしに、なにがし主(ぬし)の蔵人(くらうど)にていますがりし時、承りて、「若き者どもはえ見知らじ。きむぢ求めよ。」とのたまひしかば、一京まかり歩きしかども、侍らざりしに、
西の京のそこそこなる家に、色濃く咲きたる木の、様体(やうだい)うつくしきがはべりしを、掘り取りしかば、家あるじの、「木にこれ結ひつけて持て参れ。」と言はせ給ひしかば、あるやうこそはとて、持て参りて候ひしを、「なにぞ。」とて御覧じければ、女の手にて書きて侍りける
勅なればいともかしこし鶯(うぐひす)の宿はと問はばいかが答へむ
とありけるに、あやしく思し召して、「何者の家ぞ。」と尋ねさせ給ひければ、貫之のぬしの御むすめの住む所なりけり。「遺恨(ゐこん)のわざをもしたりけるかな。」とて、あまえおはしましける。繁樹(しげき)今生(こんじやう)の恥はこれや侍りけむ。さるは、「あるまじきことなり。」とて、皆かへし奉りて、その家をば陽成院(やうぜいゐん)の斎院(さいゐん)にはたてまつられにける、とぞ。

語注 をかし=趣がある。心がひかれる。 あはれなり=しみじみと心を打たれる。感慨深い。 侍(はべ)り=丁寧語で「ございます・〜ます」。語り手が聞き手に対してへりくだる言い方。 天暦の御時=村上天皇の御代。天暦は村上天皇の時の年号。 清涼殿=天皇がふだんお住まいになる御殿。 御前=おそば。ここは清涼殿の前庭。 なにがし主=なにがし殿。名をはっきり言わずにさす言い方。 蔵人=天皇のそば近くに仕え、機密の事務などを扱う役。 いますがり=「あり・をり」の尊敬語。いらっしゃる。 承(うけたまは)る=「受く・聞く」の謙譲語。(ご命令を)お受けする。 え〜じ=〜できないだろう。「え」は下に打消の語を伴って不可能を表す副詞。 きむぢ=おまえ。対等以下の相手をよぶ二人称。 一京=都じゅう。京の町じゅう。 まかり歩く=歩き回る。 様体=姿かたち。ようす。 うつくし=ここは(木の姿が)美しい・見事だ。古文の「うつくし」は「かわいらしい・いとしい」が基本の意味なので注意。 あるやうこそは=何かわけがあるのだろう。下に「あらめ」が省略されている。 候(さぶら)ふ=お仕えする。ここは(宮中に)ひかえている。 手=筆跡。「女の手」=女性の筆跡。 勅=天皇の命令。みことのり。 かしこし=恐れ多い。おそれつつしむべきだ。 あやし=ここは「不思議だ・変だ」。「身分が低い・粗末だ」の意もあるので文脈で見分ける。 思(おぼ)し召(め)す=「思ふ」の尊敬語。お思いになる。 遺恨のわざ=残念な行い。心残りなしわざ。 あまゆ=きまり悪く思う。恥ずかしがる。ヤ行下二段動詞で、本文の「あまえ」はその連用形。 おはします=「あり・をり」の尊敬語。いらっしゃる。 今生=この世に生きている間。一生。 さるは=そうはいうものの。それというのは。文脈によって訳し分ける。 まじ=ここは打消当然で「〜てはならない」。 かへし奉る=お返し申し上げる。 陽成院=第五十七代陽成天皇。また、その御所。 斎院=賀茂の神に仕えた未婚の内親王。また、その御所。 とぞ=「〜ということだ」。下に「言ふ」「聞く」などが省略された伝聞の言い方。※末尾の一文は語句がむずかしいところです。お使いの教科書の注に合わせてください。 ※大鏡=平安時代後期に成立した歴史物語。作者未詳。大宅世継(おほやけのよつぎ)と夏山繁樹(なつやまのしげき)という長寿の老人の昔語りという形をとる。この話の語り手は繁樹。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「をかしうあはれに」の「をかし」の、ここでの意味を書け。
  2. ①「をかしうあはれに」の「あはれなり」の意味を書け。
  3. ⑥「一京まかり歩きしかども」の「まかり歩く」の意味を書け。
  4. ⑦「様体(やうだい)うつくしきが」の「うつくし」の、ここでの意味を書け。
  5. ⑩「勅なればいともかしこし」の「勅」の読みと意味を書け。
  6. ⑫「あやしく思し召して」の「あやし」の、ここでの意味を書け。
  7. ⑭「あまえおはしましける」の意味を書け。

B 文法

  1. ②「侍りしことは」の「し」は何の助動詞の何形か。そう判断できる理由も書け。
  2. ③「求めさせ給ひし」の「させ給ひ」を文法的に説明し、口語訳も書け。
  3. ⑤「え見知らじ」の「え」の働きと、「じ」の文法的意味を書け。
  4. ⑧「あるやうこそはとて」は、係助詞「こそ」の結びが省略されている。省略されている語を補って、どのような形になるか書け。
  5. ⑪「鶯(うぐひす)の宿はと問はばいかが答へむ」の「問はば」を文法的に説明し、意味も書け。
  6. ⑮「あるまじきことなり」の「まじ」の文法的意味と活用形を書け。

C 主語・指す内容・敬意の方向

  1. ②「侍りしことは」の「侍り」は敬語の種類として何にあたるか。また、誰から誰への敬意か。
  2. ④「承りて」は何敬語か。また、誰から誰への敬意を表すか。承ったのは誰かもあわせて書け。
  3. ⑨「女の手にて書きて侍りける」の「手」とはここでは何のことか。また、その「女」とは誰か。本文の言葉を使って書け。
  4. ⑫「あやしく思し召して」の「思し召す」は何敬語か。また、誰から誰への敬意か。
  5. ⑭「あまえおはしましける」の主語は誰か。

D 口語訳

  1. ③をふくむ「清涼殿の御前の梅の木の枯れたりしかば、求めさせ給ひしに」を口語訳せよ。
  2. ⑤・⑥をふくむ『「若き者どもはえ見知らじ。きむぢ求めよ。」とのたまひしかば、一京まかり歩きしかども、侍らざりしに』を口語訳せよ。
  3. ⑩・⑪の和歌「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へむ」を口語訳せよ。
  4. ⑬・⑭をふくむ『「遺恨のわざをもしたりけるかな。」とて、あまえおはしましける』を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ⑬「遺恨(ゐこん)のわざをもしたりけるかな」とあるが、帝はどのようなことを「遺恨」だと思ったのか。和歌の内容と、その家の主が誰であったかにふれて書け。
  2. ⑮「あるまじきことなり」とあるが、帝はこの言葉のあとどうしたか。本文に即して書け。
  3. この話が伝えようとしていること(主題)を、⑩・⑪の和歌と、⑬・⑮の帝のふるまいをふまえて書け。

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

  1. この文章の出典『大鏡』はどのような書物か。成立した時代・ジャンル・叙述の形式(体裁)にふれて書け。
  2. ⑩・⑪の和歌の作者は誰だとされているか。またその父はどのような人物か書け。
  3. この話が「鶯宿梅(おうしゅくばい)」と呼ばれるのはなぜか。⑪の和歌の言葉をふまえて書け。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 趣がある。心がひかれる。
└ 現代語の「おかしい(滑稽だ)」ではない。プラスの評価語

問2 しみじみと心を打たれる。感慨深い。
└ 「をかし」が明るく知的に「おもしろい」のに対し、「あはれ」はしみじみと胸に迫る感動。二語セットで問われやすい

問3 歩き回る。
└ 「まかり」はへりくだった言い方を作る語。繁樹が自分の行動を語っているところ(「一京」=都じゅう)

問4 (木の姿が)美しい。見事だ。
└ ★古文の「うつくし」は「かわいらしい・いとしい」が基本の意味。ここは木の姿(様体=姿かたち)を言っているので「美しい」でよい

問5 読み=ちょく(歴史的仮名遣いでは「ちよく」)/意味=天皇の命令。みことのり。
└ 「勅命」の「勅」。帝じきじきのお言いつけなので、断ることができない

問6 不思議だ。変だ。
└ ★「あやし」には「身分が低い・粗末だ」の意もある。ここは思いがけない歌が結ばれていたので「不思議だ」

問7 きまり悪く思っていらっしゃった。ばつが悪そうにしていらっしゃった。
└ 「あまえ」はヤ行下二段動詞「あまゆ(甘ゆ)」の連用形で、「きまり悪く思う・恥ずかしがる」の意。「おはします」は「あり・をり」の尊敬語

B 文法

問8 過去の助動詞「き」の連体形。下の体言「こと」にかかっているから。
└ ★「き」は自分が直接経験した過去。繁樹が自分の体験を語る話なので「き(し・しか)」が何度も出てくる

問9 ①尊敬の助動詞「さす」+尊敬の補助動詞「給ふ」が重なった二重尊敬(最高敬語)で「お求めになった」と訳す説。②「さす」を使役ととり「(人に)お求めさせになった」と訳す説。どちらでもよいので、お使いの教科書の説明に合わせること。
└ 帝が自分で探すわけではなく人に探させている場面なので、どちらの読みも成り立つ。敬意の対象が村上天皇である点は同じ

問10 「え」は下に打消の語を伴って不可能(〜できない)を表す副詞。「じ」は打消推量の助動詞(〜ないだろう)。あわせて「見分けられないだろう」の意。
└ ★「え〜ず/え〜じ/え〜まじ」で不可能。「え」だけ見て「得」と取りちがえない

問11 「あらめ」を補って「あるやうこそはあらめ」となる。ラ変動詞「あり」の未然形「あら」+推量の助動詞「む」の已然形「め」。意味は「何かわけがあるのだろう」。
└ ★「こそ」の結びは已然形。結びを言わずに余情を残すのが「結びの省略」

問12 四段動詞「問ふ」の未然形「問は」+接続助詞「ば」。未然形+「ば」なので順接の仮定条件で、「もし尋ねたならば」の意。
└ ★已然形+「ば」なら確定条件(〜ので)。未然形か已然形かで訳が変わる。なお「いかが」は疑問の副詞で、結びの「答へむ」は連体形。ここは「答えようがない」という反語的な気持ちがこもる

問13 打消当然(〜てはならない)/連体形。教科書によっては「禁止(〜てはならない)」「不適当(〜ないほうがよい)」と呼ぶこともあるので、お使いの教科書の呼び方に合わせること。いずれにせよ「あるはずがない」(打消推量)ではない。
└ 「べし」の打消にあたる助動詞。下の体言「こと」にかかるので連体形「まじき」

C 主語・指す内容・敬意の方向

問14 丁寧語(丁寧の補助動詞)。この話の語り手である夏山繁樹から、話の聞き手への敬意。
└ ★地の文の丁寧語は「語り手→聞き手」。尊敬・謙譲とまちがえない

問15 謙譲語(「受く・聞く」の謙譲語)。語り手の繁樹から、ご命令を下した帝(村上天皇)への敬意。承ったのは「なにがし主」(蔵人であった人物)。
└ 謙譲語は動作を受ける側を高める。ここで命令を下したのは帝なので、敬意は帝に向かう

問16 「手」=筆跡。「女の手」で女性の筆跡の意。その女は「貫之のぬしの御むすめ」(紀貫之の娘)。
└ ★「手」=筆跡・書きぶり。後で帝が家を尋ねさせて、その正体がわかる

問17 尊敬語(「思ふ」の尊敬語)。語り手の繁樹から、お思いになった帝(村上天皇)への敬意。
└ 尊敬語は動作をする側を高める。歌を見て不思議に思ったのは帝なので、敬意は帝に向かう

問18 村上天皇(天暦の御時の帝)。
└ 「おはします」は「あり・をり」の尊敬語。歌を見てきまり悪く思っているのは、直前で「遺恨のわざを…」と言った帝なので主語は帝。ただし本文には「いますがり」「のたまふ」(なにがし主への尊敬)、「言はせ給ひ」(家あるじへの尊敬)もあるので、「尊敬語=帝」と機械的に決めないこと

D 口語訳

問19 清涼殿の御前の梅の木が枯れてしまったので、(帝が代わりの梅を)お求めになったところ(=お求めになった時に)。(③を使役ととって「(人に)お求めさせになったところ」と訳してもよい。B群③参照)
└ 「しか」は過去「き」の已然形で、已然形+「ば」は順接確定(〜ので)。文末の「に」は接続助詞の単純接続で「〜したところ・〜した時に」。逆接ではない

問20 「若い者たちは(よい梅を)見分けられないだろう。おまえが探せ。」とおっしゃったので、都じゅうを歩き回りましたけれども、(よい梅は)ございませんでしたが。
└ 「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語。「しかども」は已然形+「ども」で逆接(〜けれども)

問21 帝のご命令なのでまことに恐れ多いことです(からお受けします)。けれども、鶯が「私の宿はどこか」と尋ねたならば、私はどう答えたらよいのでしょう。
└ 「かしこし」=恐れ多い。前半で承知しつつ、後半で「困ります」とやわらかく訴える組み立て

問22 「残念なことをしてしまったなあ。」とおっしゃって、きまり悪そうにしていらっしゃった。
└ 「かな」は詠嘆の終助詞で「〜なあ」。主語はどちらも帝

E 内容・記述

問23 鶯が毎年やって来る大切な梅の木を、勅命という力で持ち主から取り上げてしまったこと。しかもその家は歌人紀貫之の娘の住まいであり、和歌によってその心を知って、風流を求めたはずの行いがかえって無粋であったと気づいたから。
└ 「あやしく思し召して」→「何者の家ぞ」→「貫之のぬしの御むすめ」と分かる流れが、そのまま答えの道すじになる

問24 「あってはならないことである」として、掘り取ってきた梅の木をすべてもとの家にお返し申し上げた。
└ ★答えの中心は「帝が自分の非を認めて返した」こと。本文の「皆かへし奉りて」が根拠

問25 勅命という権力で人の大切なものを一方的に奪うことの無粋さと、それをやわらかく、しかし鋭く訴えた和歌の力。帝は歌にこめられた心を読み取って自分のあやまちを認め、梅を返した。和歌の教養を解し、非を改める帝の姿をたたえる話になっている。
└ ★「和歌の力」と「帝が非を認めたこと」の二本立てで書く。どちらか一方だけだと減点されやすい

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

問26 平安時代後期に成立した作者未詳の歴史物語。藤原道長を中心とする宮廷の歴史を、人物ごとに描く紀伝体でつづる。大宅世継・夏山繁樹という長寿の老人が昔語りをする形をとる。
└ ②の「侍り」が丁寧語なのは、この「老人が聞き手に語る」という形のため。四鏡(大鏡・今鏡・水鏡・増鏡)の最初の作品

問27 紀貫之の娘(紀内侍とされる)。父の紀貫之は『古今和歌集』の撰者の一人で、『土佐日記』の作者としても知られる代表的な歌人。
└ 本文では「貫之のぬしの御むすめ」とだけ言う。父ゆずりの歌の才を見せるところが読みどころ

問28 和歌にある「鶯の宿」(=鶯が毎年やって来て宿とする梅の木)にちなみ、この梅の木が「鶯宿梅」=鶯が宿る梅と呼び伝えられたから。
└ 「宿」の一語に、鶯のすみか(=梅の木)と自分の住む家の両方が重ねられている。この重ね方をどう呼ぶかは、お使いの教科書の説明に合わせること

【テスト直前チェック】この三つ
敬語は三本立てで整理する。③「させ給ふ」⑫「思し召す」⑭「おはします」は帝への尊敬、④「承る」は帝への謙譲、②「侍り」は語り手繁樹から聞き手への丁寧。「誰から誰へ」をセットで答えられるようにしておく。
和歌の「宿」がこの話の急所。⑪「鶯の宿はと問はばいかが答へむ」は、「宿」の一語に鶯のすみか(=梅の木)と自分の住む家の両方を重ねて、勅命には従うが奪われるのはつらい、とやわらかく訴える。
現代語と意味がちがう語を落とさない。①「をかし」⑦「うつくし」⑫「あやし」⑭「あまえおはします」。とくに⑭は「きまり悪そうにしていらっしゃった」で、「甘える」ではない。

現代語訳(全文)

たいそう趣深く、しみじみと心を打たれましたことは、この村上天皇の御代(天暦の御時)に、清涼殿の御前の梅の木が枯れてしまったので、(帝が代わりの梅を)お求めになったときに、なにがし殿が蔵人でいらっしゃった時に、(そのご命令を)承って、(私に)「若い者たちは(よい梅を)見分けられないだろう。おまえが探せ。」とおっしゃったので、都じゅうを歩き回りましたけれども、(よい梅は)ございませんでしたが、

西の京のどこそこという家に、色濃く咲いている木で、姿かたちの美しいのがございましたのを、掘り取りましたところ、その家の主人が、「木にこれ(=この手紙)を結びつけて持って参上せよ。」と(使いの者に)言わせなさったので、何かわけがあるのだろうと思って、(その木を宮中に)持って参上してひかえておりましたところ、(帝が)「これは何だ。」とおっしゃって御覧になったところ、女の筆跡で書いてございました。

(帝の)ご命令ですのでまことに恐れ多いことです。けれども、(毎年やって来る)鶯が「私の宿はどこか」と尋ねたならば、私はどう答えたらよいのでしょう。

と(書いて)あったので、(帝は)不思議にお思いになって、「これは誰の家か。」とお尋ねになったところ、(あの)紀貫之殿の娘御が住んでいる所であった。(帝は)「残念なことをしてしまったなあ。」とおっしゃって、きまり悪そうにしていらっしゃった。この繁樹の一生の恥は、これでございましたでしょうか。そうはいうものの、(帝は)「あってはならないことである。」とおっしゃって、(掘り取ってきた木を)すべてお返し申し上げて、その家は陽成院の斎院に差し上げられたのだった、ということだ。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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