嘆きつつ テスト対策問題28問|蜻蛉日記・解答つきPDF

定期テスト対策

藤原道綱母『蜻蛉日記』の「嘆きつつ(町の小路の女・うつろひたる菊)」は、夫兼家の浮気に苦しむ心情を詠んだ和歌「嘆きつつひとり寝る夜の…」を中心に問われます。掛詞「あくる」、反語「かは」、接続助詞「つつ」、「つとめて」「ことわり」などの重要語、兼家への皮肉という主題が定番の出題ポイントです。

本文(傍線①〜⑮)

二三日ばかりありて、暁方に、門をたたく時あり。さなめりと思ふに、憂くて、開けさせねば例の家とおぼしき所にものしたり
つとめてなほもあらじと思ひて、
嘆きつつひとり寝る夜あくる間はいかに久しきものとかは知る
と、例よりはひきつくろひて書きて、うつろひたる菊にさしたり。
返り言、「あくるまでもこころみむとしつれど、とみなる召し使ひの来あひたりつればなむ。いとことわりなりつるは
げにやげに冬の夜ならぬ真木の戸もおそくあくるはわびしかりけり
とあり。さても、いとあやしかりつるほどに、ことなしびたり

語注 さなめり=そうであるようだ。 憂し=つらい。いやだ。情けない。 例の=いつもの。 おぼし=〜と思われる。 ものす=「行く・来る・いる」などを、はっきり言わずにさす語。ここは「行った」。 なほもあり=そのまま何もしないでいる。 寝(ぬ)=「ぬ」と読む。寝る。 ひきつくろふ=念入りに整える。体裁よく書く。 とみなり=急だ。にわかだ。 来あふ=ちょうどやって来る。 げにやげに=なるほどなるほど。まったくそのとおり。 真木=杉や檜(ひのき)などの立派な木。「真木の戸」はその板で作った戸。 わびし=つらい。やりきれない。 あやし=不審だ。腑に落ちない。 ※「暁方」「例の家」「つとめて」「うつろふ」「こころみる」「ことわりなり」「ことなしぶ」の意味、および「さなめり」の成り立ち・「つつ」「寝る」の文法・「あくる」の掛詞・「かは」の働きは、それを答える問題があるので、ここでは示さない。 ※作者=藤原道綱母。夫=藤原兼家。この場面より前に、兼家が「町の小路の女」のもとへ通っていることを、作者は人をつけさせて確かめている。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「暁方」の読みを現代仮名遣いのひらがなで書け。また「暁」はいつごろを指すか書け。
  2. ⑤「つとめて」の意味を書け。
  3. ⑪「うつろひたる菊」の「うつろふ」は、ここではどのような意味か書け。
  4. ⑫「こころみむ」の「こころみる」の意味を書け。
  5. ⑬「いとことわりなりつるは」の「ことわりなり」の意味を書け。
  6. ⑮「ことなしびたり」の「ことなしぶ」の意味を書け。

B 文法

  1. ②「さなめり」を、もとの形にもどして文法的に説明せよ。
  2. ③「開けさせねば」の「させ」と「ね」を、それぞれ文法的に説明せよ。
  3. ⑥「なほもあらじ」の「じ」の文法的意味と活用形を書け。
  4. ⑦「嘆きつつ」の「つつ」の品詞と、ここでの意味・用法を書け。
  5. ⑧「ひとり寝る夜」の「寝る」の品詞・活用の種類・活用形を書け。
  6. ⑨「あくる間」の「あくる」には二つの意味が掛けられていると説明される。掛けられている二語を漢字で書き、それぞれの意味を書け。
  7. ⑩「かは知る」の「かは」の働きを答え、結びの語とその活用形も書け。

C 主語・指す内容

  1. ②「さなめり」の「さ」は、どのようなことを指しているか書け。
  2. ③「開けさせねば」とあるが、門を開けさせなかったのは誰か。また、門をたたいていたのは誰か。
  3. ④「例の家とおぼしき所にものしたり」の「例の家」とはどこを指すか。また「ものしたり」の主語は誰か。
  4. ⑬「いとことわりなりつるは」は、誰が誰に対して述べた言葉か書け。

D 口語訳

  1. ②③をふくむ「さなめりと思ふに、憂くて、開けさせねば」を口語訳せよ。
  2. ⑦⑧⑨⑩をふくむ和歌「嘆きつつひとり寝る夜のあくる間はいかに久しきものとかは知る」を口語訳せよ。
  3. ⑫をふくむ「あくるまでもこころみむとしつれど、とみなる召し使ひの来あひたりつればなむ」を口語訳せよ。
  4. ⑭をふくむ和歌「げにやげに冬の夜ならぬ真木の戸もおそくあくるはわびしかりけり」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ①「暁方」に門をたたく音がしたとあるが、作者が門を開けさせなかったのはなぜか。心情にふれて書け。
  2. ⑥「なほもあらじと思ひて」とあるが、作者はこのあとどうしたか。本文に即して書け。
  3. ⑪「うつろひたる菊」に歌をさして贈ったのはなぜか。菊のようすが何を表しているかにふれて書け。
  4. ⑮「ことなしびたり」とあるが、兼家のどのような態度か。それを見た作者の心情もふまえて書け。

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

  1. この文章の出典『蜻蛉日記』の作者名と、日記文学史の上でどのような位置にある作品かを書け。
  2. ⑦〜⑩をふくむ和歌「嘆きつつひとり寝る夜の…」は『小倉百人一首』にも選ばれている。そこでの作者の呼び名を書け。
  3. ⑭の返歌をよこした夫の名を書き、その人物について簡単に説明せよ。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 読み=あかつきがた/「暁」は、夜が明けきる前の、まだ暗い時分。
└ ★夜中→暁→曙(あけぼの)→朝ぼらけ の順に明るくなる。「暁」はまだ暗い

問2 翌朝。(事のあった、その次の朝。)ここは、門を開けさせずに兼家を追い返した、その翌朝のこと。
└ ★「つとめて」=①早朝 ②(何かがあった)翌朝。ここは②。現代語の「努めて」ではない

問3 (花の)色があせる。盛りが過ぎて衰える。※「(人の)心が移り変わる」の意もあり、ここではその意味も重ねられている(E群⑪参照)。
└ ここは色あせた菊。夫の心変わりを重ねている

問4 ためす。ためしてみる。ここは「門が開くかどうか、ためしてみよう」ということ。
└ 漢字では「試みる」。マ行上一段活用の動詞

問5 もっともだ。当然だ。道理にかなっている。
└ 名詞「ことわり(理)」=道理・筋道。「無理もない」と訳してもよい

問6 何事もなかったかのようにふるまう。さりげなく取りつくろう。平然としている。
└ 「事無し」+「ぶ(〜らしくふるまう)」。悪びれないようす

B 文法

問7 副詞「さ」+断定の助動詞「なり」の連体形「なる」+助動詞「めり」。「さなるめり」→撥音便「さなんめり」→「ん」を書かない形が「さなめり」。意味は「そうであるようだ」。※「めり」は推定とする教科書と婉曲とする教科書があるので、お使いの教科書の説明に合わせること。
└ ★「〜なめり」「〜ざなり」は撥音無表記の代表。もどすと隠れていた助動詞が見える

問8 「させ」=使役の助動詞「さす」の未然形(カ行下二段動詞「開く」の未然形「開け」に付く)。「ね」=打消の助動詞「ず」の已然形。已然形+「ば」で順接確定条件になり、全体で「(従者に門を)開けさせないので」の意。
└ ★「ね」を打消「ず」の已然形と見抜くのが決め手。命令形の「ね」ではない。実際に門を開けるのは召使いなので、ここの「さす」は尊敬ではなく使役

問9 打消意志(〜まい・〜ないつもりだ)/終止形。「このまま何もしないではいるまい」の意。
└ ★「じ」は主語が一人称なら打消意志、三人称なら打消推量。ここは作者自身のことなので打消意志

問10 接続助詞。ここは動作の並行で「〜しながら」(嘆きながら独り寝をする)。ただし「嘆き続けて」と反復・継続にとる教科書もあるので、お使いの教科書の説明に合わせること。
└ 「つつ」は連用形に付く。①並行(〜しながら)②反復・継続(〜しては・〜し続けて)

問11 動詞。ナ行下二段活用「寝(ぬ)」の連体形。ここは「ぬる」と読む(下の「夜」にかかる)。
└ ★本文の「寝る」は「ぬる」と読む。活用は ね/ね/ぬ/ぬる/ぬれ/ねよ。完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」と取りちがえやすいが、ここは「独り寝をする」という動詞

問12 「明くる」=夜が明ける/「開くる」=(門・戸が)開く。門を開けてもらえないまま夜が明けるのを待つつらさを、一語に重ねている。※この「あくる」を掛詞と見るかどうかは説明が分かれる。この記事とセットの解説記事「嘆きつつ 現代語訳」では、掛詞は兼家の返歌「真木の戸もおそくあくる」のほうに見て、作者の歌のほうは「明くる」と漢字で表記している。お使いの教科書の説明に合わせること。
└ ★作者が③「開けさせねば」と門を開けさせなかったことが、この一語に効いている

問13 反語の係助詞(〜だろうか、いや〜ない)。結び=「知る」(ラ行四段動詞「知る」)、活用形=連体形。
└ ★ふつうの疑問「〜だろうか」で止めると誤り。「いや、おわかりにはなるまい」まで含めて反語

C 主語・指す内容

問14 明け方に門をたたいているのが、夫の兼家であるということ。
└ 直前の「門をたたく時あり」を受けている

問15 開けさせなかったのは作者(藤原道綱母)。門をたたいていたのは夫の藤原兼家。
└ 「させ」が使役なので、実際に門を開ける役は召使い。それを命じる立場にいるのが作者

問16 「例の家」=兼家がいつも通っている「町の小路の女」の家。主語=兼家。
└ 「例の」=いつもの。門を開けてもらえなかった兼家が、そのまま女のもとへ行ってしまった

問17 夫の兼家が、作者(藤原道綱母)に対して述べた言葉。返事の中で、門を開けてもらえなかったことについて、自分の非を認めるふりをしている。
└ 「返り言」=兼家からの返事。かぎかっこの中はすべて兼家の言葉

D 口語訳

問18 (門をたたいているのは夫の兼家)そのようだと思うが、いやなので、(門を)開けさせないでいると(開けさせないので)。
└ 「憂し」=つらい・いやだ。「ねば」は已然形+「ば」で順接確定条件。「〜ないので」「〜ないでいると」のどちらで訳してもよい

問19 嘆きながら独り寝をする夜が明けるまでの間が、どれほど長いものかおわかりになりますか。いえ、おわかりにはなりますまい。
└ 「かは」が反語なので、最後を打ち消して結ぶ。門を開けてもらえない夫への恨みを、そのままぶつけた歌

問20 (夜が)明けるまでも(門が開くかどうか)ためしてみようとしたけれど、急ぎの召使いがやって来合わせたので(やむなく帰ったのだ)。※「なむ」のあとは言いさしになっていて、続く言葉が省かれている。
└ 「とみなり」=急だ。「来あふ」=ちょうどやって来る。兼家の言い訳の部分

問21 なるほどなるほど(おっしゃるとおりです)。冬の(長い)夜ではないけれど、真木の戸も、なかなか開かないのを待つのはつらいものだなあ。
└ 「げにやげに」=なるほどなるほど。「真木」=杉や檜などの立派な木。文末の「けり」は詠嘆

E 内容・記述

問22 門をたたいているのは夫の兼家であるようだと思ったが、ほかの女のもとへ通う夫の仕打ちがつらく、いやでたまらなかったから。「さなめりと思ふに、憂くて」がその心情にあたる。
└ 「憂し」の一語に、作者のつらさと不快がこめられている

問23 このまま黙ってはいるまいと思い、恨みの歌をいつもより念入りに書いて、色あせた菊にさして兼家に贈った。
└ 「なほもあり」=そのまま何もしないでいる。それを「じ」で打ち消している

問24 「うつろふ」は色があせる意で、色あせた菊に、自分から離れていく兼家の心と、衰えていく二人の仲を重ねたから。歌の言葉だけでなく、そえた菊にも恨みと嘆きをこめている。
└ ★歌そのものより「何にさして贈ったか」が問われる。菊=夫の心変わりの象徴

問25 浮気を悪びれるようすもなく、何事もなかったかのように平然とふるまう態度。作者は、隠そうともしない夫の態度にあきれ、不信と不快をつのらせている。
└ 直前の「いとあやしかりつるほどに」を受けている。ここは「あれほど不審だったのに」と逆接ぎみに補って訳す本が多いが、「ほどに」はもともと「〜うちに・〜ので」の意で、訳し方が分かれる難しいところ。お使いの教科書の説明に合わせること

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

問26 作者=藤原道綱母。平安時代中期に成立した、女性自身の手による最初の仮名日記とされる。夫との約二十年の結婚生活をつづった作品。
└ 『土佐日記』は男(紀貫之)が女に仮託して書いた日記。女性自身が書いた日記としては『蜻蛉日記』が最初とされる

問27 右大将道綱母。
└ 息子の藤原道綱が右大将になったことによる呼び名

問28 藤原兼家。のちに摂政・関白となった有力貴族で、藤原道長の父にあたる。作者は兼家の妻の一人であった。
└ 当時は一夫多妻。兼家には正妻の時姫をはじめ複数の妻がいた

【テスト直前チェック】この三つ
「あくる」は掛詞。⑨は「明くる(夜が明ける)」と「開くる(戸が開く)」。漢字二つを書けるようにしておく。※ただし、掛詞は兼家の返歌のほうに見て、作者の歌は「明くる」一語と説明する立場もある(当サイトの解説記事はその立場)。お使いの教科書の説明に合わせること。
「かは」は反語。⑩「かは知る」の結びは連体形「知る」。「おわかりですか、いや、おわかりにはなりますまい」まで書けて満点。ふつうの疑問で訳すと減点。
語の意味は「つとめて=翌朝」「ことわりなり=もっともだ」「ことなしぶ=何事もなかったようにふるまう」の三つが最頻出。⑤⑬⑮でまとめて確かめておく。

現代語訳(全文)

二、三日ほどして、明け方に、門をたたくときがあった。(夫の兼家が来た)そのようだと思うが、いやなので、(門を)開けさせないでいると、(兼家は)例の家(=町の小路の女の家)と思われる所へ行ってしまった。

翌朝、このまま黙ってはいるまいと思って、

嘆きながら独り寝をする夜が明けるまでの間が、どれほど長いものかおわかりになりますか。いえ、おわかりにはなりますまい。

と、いつもよりは念入りに書いて、色あせた菊にさして(贈っ)た。

返事は、「(夜が)明けるまでも(門が開くかどうか)ためしてみようとしたけれど、急ぎの召使いがやって来合わせたので(やむなく帰ったのだ)。(あなたが怒るのは)まことにもっともなことでしたよ。

なるほどなるほど(おっしゃるとおりです)。冬の(長い)夜ではないけれど、真木の戸も、なかなか開かないのを待つのはつらいものだなあ。」

とある。それにしても、(私が)たいそう不審に思っていたのに、(兼家は)何事もなかったかのようにふるまっている。
※「いとあやしかりつるほどに」は「〜のに」と逆接ぎみに補って訳す本が多いが、「ほどに」はもともと「〜うちに・〜ので」の意なので、訳し方は教科書によって分かれる。お使いの教科書の説明に合わせること。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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