荊軻 テスト対策問題28問|易水の別れ・解答つき縦書きPDF

定期テスト対策

高校漢文の定番教材、史記『荊軻(けいか)』(刺客列伝)の定期テスト対策問題です。テストでねらわれる場所ははっきりしています。「匕首見はる」の「見」を「みる」と読ませない読みの問題再読文字「未だ〜ず」「復た還らず」に表れた死の覚悟、そして故事成語「図窮匕見」。さらに「図を発く」の主語が荊軻から秦王に入れかわるところも、主語を答えさせる問題でねらわれます。

この記事では、易水の別れと暗殺決行の二つの山場に傍線①〜⑮を引き、語句・句法・主語・口語訳・記述・文学史の順で全28問にしました。本番と同じ縦書きの問題編PDFと、解答・現代語訳つきの解答編PDFは無料です。印刷して、まず何も見ずに解いてみてください。まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直すと、弱いところがそのまま見つかります。

先に話の流れをつかみたい人は、この範囲をやさしく解説した史記『荊軻』|現代語訳・書き下し文から読むと、問題を解く手ごたえがぐっと変わります。

本文(傍線①〜⑮)

太子(たいし)及(およ)び賓客(ひんかく)の其(そ)の事(こと)を知る者(もの)、皆(みな)白衣冠(はくいかん)して以(もつ)て之(これ)を送る。(中略)高漸離(こうぜんり)筑(ちく)を撃(う)ち、荊軻(けいか)和(わ)して歌(うた)ふ
風蕭蕭(かぜしょうしょう)として易水(えきすい)寒(さむ)し、壮士(そうし)一(ひと)たび去(さ)りて復(ま)た還(かへ)らず
(中略)秦王(しんおう)軻(か)に図(づ)を取(と)れと謂(い)ふ。軻(か)図(づ)を取(と)りて之(これ)を奉(たてまつ)る図(づ)を発(ひら)く。図(づ)窮(きは)まりて匕首見はる
因(よ)りて左手(ひだりて)に秦王(しんおう)の袖(そで)を把(と)り、右手(みぎて)に匕首を持(も)ちて之(これ)を揕(さ)さんとす未(いま)だ身(み)に至(いた)らざるに、秦王(しんおう)驚(おどろ)き、自(みづか)ら引(ひ)きて起(た)ち、袖(そで)絶(た)つ。

語注 太子=燕(えん)の国の世継ぎ。 賓客=客分としてかかえられた人。 白衣冠=白い衣と冠。喪(も)の装い。 高漸離=荊軻の親友。 筑=棒で弦を打ち鳴らす弦楽器。 蕭蕭=風がものさびしく吹くさま。 易水=燕の国を流れる川。ここで荊軻を見送った。 壮士=勇ましく意気さかんな男。ここでは荊軻自身。 秦王=秦の王、名は政(せい)。 図=燕の督亢(とくこう)の地図。秦への献上品として持参した。 匕首=短剣・あいくち。毒が塗ってあった。 揕(さ)す=突き刺す。 ※一つめの(中略)=一行が易水のほとりまで来て、旅の無事を祈る儀式をすませる場面。 ※二つめの(中略)=荊軻が力強い調子(羽声)で歌い直して車に乗り、振り返らずに出発する。秦に着いた荊軻は、樊於期(はんおき)の首と督亢の地図を献上する使者として宮殿に上り、副使の秦舞陽(しんぶよう)が恐怖で顔色を変えたのを笑ってとりつくろう。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「白衣冠(はくいかん)して」の意味を書け。
  2. ④「風蕭蕭(かぜしょうしょう)として」の「蕭蕭」の意味を書け。
  3. ⑤「壮士(そうし)」の意味と、ここでは誰を指すかを書け。
  4. ⑪「窮(きは)まりて」の意味を書け。
  5. ⑫「匕首見はる」の「匕首」の読みと意味を書け。
  6. ⑫「匕首見はる」の「見」の読みと意味を書け。
  7. ⑬「因(よ)りて」のここでの意味を書け。

B 句法

  1. ②「以て之を送る」の「以て」の働きを説明せよ。
  2. ⑦「復(ま)た還(かへ)らず」の「復た〜ず」の意味を書け。
  3. ⑧「図を取れと謂ふ」は、誰が誰に、何と言った言葉か。「取れ」が命令の言い方であることにもふれて書け。
  4. ⑭「之(これ)を揕(さ)さんとす」の「〜んとす」の意味・用法を書け。
  5. ⑮「未(いま)だ身(み)に至(いた)らざるに」の「未」は何と呼ばれる字か。読み方と意味もあわせて書け。

C 主語・指す内容

  1. ②「之(これ)を送る」の「之」は誰を指すか。
  2. ⑨「之(これ)を奉(たてまつ)る」の「之」は何を指すか。
  3. ⑩「図(づ)を発(ひら)く」の主語は誰か。
  4. ⑬「因(よ)りて」は、直前のどの傍線の内容を受けて「そこで」と言っているのか。傍線の番号で答えよ。
  5. ⑭「之(これ)を揕(さ)さんとす」の「之」は誰を指すか。また、この動作をしたのは誰か。

D 口語訳

  1. ①②を含む「皆白衣冠して以て之を送る」を口語訳せよ。
  2. ③「和(わ)して歌(うた)ふ」を含む「高漸離筑を撃ち、荊軻和して歌ふ」を口語訳せよ。
  3. ④⑤⑥⑦「風蕭蕭として易水寒し、壮士一たび去りて復た還らず」を口語訳せよ。
  4. ⑪⑫を含む「図窮まりて匕首見はる」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ①「白衣冠(はくいかん)して」とあるが、人々がこの装いで見送ったのはなぜか。三十五字以内で書け。
  2. ⑦「復(ま)た還(かへ)らず」には、荊軻のどのような決意が表れているか。二十五字以内で書け。
  3. ⑧から⑫までの展開から、荊軻がどのような方法で秦王に近づこうとしたかを説明せよ。
  4. ⑮「未(いま)だ身(み)に至(いた)らざるに」の一句は、この場面をどのように印象づけているか。説明せよ。

F 文学史・故事

  1. この話の出典の書名・作者・体裁と、収められている列伝の名を書け。
  2. ⑪⑫「図窮まりて匕首見はる」からできた四字の故事成語と、その意味を書け。
  3. 荊軻に秦王暗殺を託した人物は誰か。また、その相手である秦王政はのちに何と呼ばれたか。

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解答と解説

▼ 解答・解説を見る

A 語句の意味と読み

問1 白い衣服と冠を身につけて。
└ 「はくいかん」。ふつうの外出着ではない色に注目

問2 風がものさびしく吹くさま。
└ 情景に悲壮感をそえる語

問3 勇ましく意気さかんな男。ここでは荊軻自身を指す。
└ 自分のことを他人のように歌っている

問4 (巻物が)尽きる・終わる。ここは地図を最後まで広げきること。
└ 「行きづまって困る」ではなく「終わりまで来る」

問5 ひしゅ/短剣・あいくち。
└ 地図に巻きこんで隠した暗殺の道具

問6 あらはる(現る)/姿を現す。
└ ★「みる」ではない。読みと意味の両方が頻出

問7 そこで・それにつけて。
└ 前の出来事を受けて次の動作へつなぐ

B 句法

問8 前の動作(白衣冠すること)を受けて、「そうして・そのようにして」と下の動作へつなぐ働き。
└ 「Aして、そのうえでBする」とつなぐ語

問9 二度と〜しない・もはや〜しない。
└ 「不復」の形。部分否定として扱う教科書が多いが、単に「二度と〜ない」と教える教科書もある。お使いの教科書の説明に合わせること

問10 秦王が荊軻に、「(献上する)地図を取れ」と命じた言葉。「取れ」は命令の言い方である。
└ 「AニBト謂フ」=「AにBと言う」の形

問11 「〜しようとする」。これから行おうとする意志・目前の動作を表す。
└ 実際には刺さっていない点に注意

問12 再読文字。「いまだ〜ず」と読み、「まだ〜ない」の意。
└ ★ここは「短剣がまだ体に届かないうちに」

C 主語・指す内容

問13 荊軻

問14 (燕の督亢の)地図
└ この地図の中に匕首が隠されている

問15 秦王(政)
└ ★直前の「奉る」の主語は荊軻。地図を差し出された側、つまり受け取って広げる人物が主語になる

問16 ⑪⑫(地図を広げきって匕首が現れたこと)

問17 「之」=秦王(政)/動作をしたのは荊軻。

D 口語訳

問18 みな白い衣服と冠を身につけて、荊軻を見送った。

問19 高漸離が筑を打ち鳴らし、荊軻はそれに調子を合わせて歌った。

問20 風はものさびしく吹き、易水の水は冷たく寒々としている。勇ましい男はひとたびここを去れば、もう二度と還ってはこない。

問21 地図を広げきると、(中に隠してあった)短剣が現れた。

E 内容・記述

問22 白衣冠は死者を送る喪の装いであり、荊軻との今生の別れを表すため。(三十二字)

問23 死を覚悟し、生きて帰らぬつもりで出発する決意。(二十三字)

問24 燕の督亢の地図を献上するふりをして秦王のそばまで近づき、巻いた地図の中に匕首を隠しておく方法。

問25 匕首があと少しで秦王の体に届くというところまで迫りながら届かなかったことを示し、暗殺が「あと一歩」で失敗した無念さを強く印象づけている。

F 文学史・故事

問26 『史記』/司馬遷/紀伝体の歴史書/刺客列伝
└ 前漢の歴史家。全百三十巻

問27 図窮匕見(ときゅうひけん)/隠していた本心や陰謀が、最後になってついに露見すること。

問28 託した人物=燕の太子丹/秦王政はのちに始皇帝と呼ばれた。

【テスト直前チェック】この三つ
「見」は「あらはる」。「図窮まりて匕首見はる」の「見」を「みる」と読むと即アウト。読みと意味の両方を書けるようにしておく。
「未だ〜ず」は再読文字。「いまだ身に至らず」=「まだ(体に)届かない」。「未」を二度読む形をそのまま覚える。
白衣冠=喪の装い、復た還らず=死の覚悟。記述問題の答えは、この二つに集まります。

現代語訳(全文)

太子(丹)や、事情を知っている客人たちは、みな白い衣服と冠を身につけて荊軻を見送った。(中略)高漸離が筑を打ち鳴らし、荊軻はそれに調子を合わせて歌った。

「風はものさびしく吹き、易水の水は冷たく寒々としている。勇ましい男はひとたびここを去れば、もう二度と還ってはこない。」

(中略)秦王は荊軻に「(献上する)地図を取れ」と言った。荊軻は地図を取って王にささげた。(秦王が)地図を広げる。地図を広げきると、(中に隠してあった)短剣が現れた。

(荊軻は)そこで左手で秦王の袖をつかみ、右手で短剣を持って王を刺そうとした。まだ(短剣が王の)体に届かないうちに、秦王は驚いて、自分から身を引いて立ち上がり、袖は(つかまれたまま)ちぎれた。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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