刎頸の交わり テスト対策問題26問|解答つき縦書きPDF

漢文『刎頸の交わり(廉頗と藺相如)』定期テスト対策問題|書き下し・現代語訳・句法の頻出設問と解答 定期テスト対策

高校漢文の定番教材、史記『刎頸(ふんけい)の交わり(刎頸之交)』(廉頗藺相如列伝)の定期テスト対策問題です。「国家の急を先にして私讎を後にす」「肉袒負荊」「卒に相与に歓びて、刎頸の交はりを為す」など、頻出の書き下し・現代語訳・句法をテスト形式で総点検できます。武勇の廉頗(れんぱ)と弁舌の藺相如(りんしょうじょ)——対立していた二人が、生死を共にする友情で結ばれるまでの名場面です。お話の前半があいまいな人は、前編にあたる 漢文『完璧(帰趙)』定期テスト対策問題 から取り組むと、流れがつかめて得点が安定します。

白文(原文)

【白文】

廉頗曰、「我為趙将、有攻城野戦之大功藺相如徒以口舌労、而位居我上。」宣言曰、「我見相如、必辱。」(中略)
相如曰、「夫以秦王之威、而相如廷‐叱之、辱其群臣相如雖駑、独畏廉将軍。(中略)
今両虎共闘、其勢不倶生吾所‐以一レ此者、以国家之急、而後私讎。」
廉頗聞之、肉袒負、因賓客、至藺相如門罪。曰、「鄙賤之人、不将軍寛之至。」
卒相与歓、為刎頸之交

書き下し文(傍線①〜⑮)

廉頗(れんぱ)曰(い)はく、「我趙(てう)の将と為(な)り、攻城野戦の大功有り。藺相如(りんしやうじよ)は徒(た)だ口舌(こうぜつ)を以(もつ)て労を為して、而(しか)して位我が上に居り。」と。宣言して曰はく、「我相如を見(み)ば必ず之(これ)を辱(はづかし)めん。」と。
(中略)
相如曰はく、「夫(そ)れ秦王の威を以てしても、相如之を廷叱(ていしつ)し、其の群臣を辱む。相如駑(ど)なりと雖(いへど)も、独り廉将軍を畏(おそ)れんや。(中略)今両虎(りやうこ)共に闘はば、其の勢ひ倶(とも)には生きず。吾の此(これ)を為す所以(ゆゑん)の者は、国家の急を先にして私讎(ししう)を後にするを以てなり。」と。
廉頗之を聞き、肉袒(にくたん)して荊(けい)を負(お)ひ、賓客(ひんかく)に因(よ)りて、藺相如の門に至り罪を謝して曰はく、「鄙賤(ひせん)の人、将軍の寛なることの此に至るを知らざるなり。」と。
卒(つひ)に相与(あひとも)に歓びて、刎頸(ふんけい)の交はりを為す。

語注 攻城野戦=城を攻め、野で戦うこと。 口舌=弁舌。言葉のはたらき。 廷叱=朝廷でしかりつける。 駑=のろい馬。転じて才能が劣ること(ここは謙遜)。 両虎=廉頗と藺相如のたとえ。 私讎=個人的なうらみ。 肉袒=上半身の衣をぬいで肌をあらわにすること。謝罪・降伏の作法。 荊=いばら。むちの材料。 賓客=客分としてかかえられた人。 鄙賤=身分が低くいやしいこと。 卒に=ついに。 ※(中略)=廉頗の宣言を聞いた相如は病と称して朝廷に出ず、道で廉頗を見ると車を返して隠れた。それを恥じた家来たちがいさめたのに答えたのが、相如の言葉である。

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使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句と読み

  1. ①「徒(た)だ」の読みと意味を書け。
  2. ②「口舌(こうぜつ)」とは、相如のどのような働きを指して言ったものか。
  3. ⑤「廷叱(ていしつ)し」の意味を書け。
  4. ⑥「駑(ど)」のもとの意味と、ここでの働きを書け。
  5. ⑫「肉袒(にくたん)して荊(けい)を負(お)ひ」の読みをひらがなで書け。
  6. ⑬「因(よ)りて」のここでの意味を書け。
  7. ⑩「所以(ゆゑん)」の読みと意味を書け。

B 句法

  1. ③「見(み)ば」の「ば」は何形に接続し、どのような意味を表すか。
  2. ⑦「独り廉将軍を畏(おそ)れんや」の句法名と意味を書け。
  3. ⑨「倶(とも)には生きず」は全部否定と部分否定のどちらか。理由もつけて答えよ。
  4. ⑥「駑(ど)」を含む「相如駑なりと雖も」の「雖も」の意味・用法を書け。
  5. ⑩「所以(ゆゑん)」を含む「吾の此を為す所以の者は、…を以てなり」の構文を説明せよ。

C 何を・誰を指すか

  1. ④「必ず之(これ)を辱(はづかし)めん」の「之」は誰を指すか。
  2. ⑧「両虎(りやうこ)」は何をたとえたものか。
  3. ⑭「鄙賤(ひせん)の人」とは誰のことか。またその言い方の効果を書け。

D 口語訳

  1. ①・②を含む「藺相如は徒だ口舌を以て労を為して、而して位我が上に居り」
  2. ③・④「我相如を見ば、必ず之を辱めん」
  3. ⑧・⑨「今両虎共に闘はば、其の勢ひ倶には生きず」
  4. ⑪「国家の急を先にして私讎(ししう)を後にする」

E 内容・記述

  1. ①の言葉から、廉頗のどのような不満が読み取れるか。「大功」という語を使って四十字以内で書け。
  2. ⑪「国家の急を先にして私讎(ししう)を後にする」とあるが、相如が廉頗を避けたのはなぜか。三十字以内で書け。
  3. ⑫「肉袒(にくたん)して荊(けい)を負(お)ひ」の行動は、何を伝えるためのものか。
  4. ⑮「刎頸(ふんけい)の交はり」とはどのような交友か。「刎頸」のもとの意味にふれて書け。

F 故事・文学史

  1. この話の出典の書名・作者・体裁を書け。
  2. この話の前編にあたる、藺相如が璧を守り抜いた故事の名を書け。
  3. ⑫「肉袒(にくたん)して荊(けい)を負(お)ひ」の行動からできた四字の故事成語を書け。

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解答と解説

▼ 解答・解説を見る

A 語句と読み

問1 ただ/ただ〜だけ
└ 「ただ口先だけで」と見下している

問2 弁舌(言葉によるはたらき)
└ 秦との交渉で功を立てたことを指す

問3 朝廷で(秦王を)しかりつけた
└ 「廷」=朝廷で、の意

問4 もとの意味=のろい馬。転じて才能が劣ること/ここは自分をへりくだって言っている
└ ★相如の謙遜。あとの反語につながる

問5 にくたんしてけいをおひ
└ 肉袒=肌ぬぎ、荊=いばらのむち

問6 (賓客を)仲立ちとして・通じて
└ ×「そこで」ではない

問7 ゆゑん/わけ・理由
└ 「〜する所以の者は」=〜する理由は

B 句法

問8 未然形(「見」)に接続し、順接の仮定条件(もし〜たら)を表す。
└ ★已然形+ば(〜ので)との区別が頻出

問9 反語(どうして〜だろうか、いや、〜しない)
└ 「独り〜んや」=反語

問10 部分否定。「倶には〜ず」で「両方ともは〜ない(どちらか一方しか生き残れない)」の意になるから。
└ ★「倶に〜ず(全部否定)」との差に注意

問11 逆接(〜とはいっても・〜けれども)

問12 「〜する所以の者は、…を以てなり」=「〜する理由は、…だからである」。理由を述べる決まった言い方。

C 何を・誰を指すか

問13 藺相如

問14 廉頗と藺相如(趙の二人の重臣)

問15 廉頗自身。自分を「いやしい者」と呼んでへりくだることで、心から詫びる気持ちを表している。

D 口語訳

問16 藺相如はただ弁舌だけで手柄を立てて、それでいて地位は私の上にいる。

問17 私が相如に会ったならば、必ずあいつに恥をかかせてやろう。

問18 いま二頭の虎が争えば、その勢いからして両方とも生きてはいられない。

問19 国家の危急を先にして、個人的なうらみを後まわしにする

E 内容・記述

問20 自分は戦場で大功をあげたのに、口先だけの相如が自分より上の位にいるという不満。(三十八字)

問21 二人が争えば趙が秦につけこまれ、国が危うくなるから。(二十五字)

問22 肌をあらわにして、むち打たれる覚悟でわびるという意思。「どんな罰でも受ける」という、最大級の謝罪を身体で示している。

問23 刎頸=首を刎ねること。相手のためなら首を切られても悔いはないというほどの、生死を共にする深い友情のこと。

F 故事・文学史

問24 『史記』/司馬遷/紀伝体の歴史書(廉頗藺相如列伝)

問25 完璧(帰趙)
└ 「完璧」の語源になった話

問26 負荊請罪(ふけいせいざい)
└ いばらを背負って罪をわびること

【テスト直前チェック】この三つ
「倶には生きず」は部分否定。「両方ともは生きられない」=どちらか一方しか残らない、という意味です。
「独り〜んや」は反語。「どうして廉将軍だけをおそれようか、いや、おそれはしない」。
主題は「国家の急を先にして私讎を後にす」。記述問題の答えは、ほぼここに集まります。

現代語訳(全文)

廉頗が言うには、「私は趙の将軍となり、城を攻め野で戦った大きな功績がある。藺相如はただ弁舌だけで手柄を立てて、それでいて地位は私の上にいる。」と。そして公言して言うには、「私が相如に会ったならば、必ずあいつに恥をかかせてやろう。」と。

相如が言うには、「そもそもあの秦王の威勢をもってしても、私は朝廷で秦王をしかりつけ、その家臣たちに恥をかかせた。私は愚か者だとはいっても、どうして廉将軍だけをおそれようか、いや、おそれはしない。いま二頭の虎が争えば、その勢いからして両方とも生きてはいられない。私がこのようにする理由は、国家の危急を先にして、個人的なうらみを後まわしにするからである。」と。

廉頗はこれを聞いて、肌ぬぎになっていばらのむちを背負い、賓客を仲立ちとして、藺相如の家の門まで行き、罪をわびて言うには、「いやしい私めは、将軍の寛大さがこれほどまでであるとは存じませんでした。」と。

とうとう互いに喜び合って、刎頸の交わりを結んだのであった。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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