源氏物語『桐壺(光源氏の誕生)』定期テスト対策問題|現代語訳・敬語・文法の頻出設問と解答

桐壺(源氏物語) 確認テスト|定期テスト対策 定期テスト対策

『源氏物語』の冒頭「いづれの御時にか…」は、定期テストで最もよく出題される箇所の一つです。光源氏の母・桐壺更衣の身分と、帝のあつい寵愛、そしてそれをめぐる女御・更衣たちの嫉妬が、わずか数行に凝縮されています。ここでは、その頻出箇所をオリジナルの設問にしました。まずは本文を読み、設問に答え、最後の「解答・解説」で確認してください。先に物語の流れをつかみたい人は、源氏物語『桐壺』のやさしい解説もあわせて読むと、設問の意図がぐっとわかりやすくなります。

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本文

いづれの御時〔①〕にか、女御・更衣あまたさぶらひ〔②〕たまひ〔③〕ける中に、いとやむごとなき〔④〕際にはあらぬが、すぐれて時めき〔⑤〕たまふありけり。はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方々、めざましきものに おとしめ そねみたまふ〔⑥〕。同じほど、それより下臈の更衣たちは、ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして〔⑦〕、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。

設問

  1. 本文冒頭「いづれの御時にか」を、文末を補って現代語訳せよ(「か」のあとに省略されている言葉も考えること)。
  2. 傍線部①「御時」の読みをひらがな(現代かなづかい)で書き、意味も答えよ。
  3. 傍線部②「さぶらひ」は敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)を答え、誰から誰への敬意を表すかを答えよ。
  4. 傍線部③「たまひ」は敬語の種類を答え、誰から誰への敬意を表すかを答えよ。
  5. 「いとやむごとなき際にはあらぬが」の「ぬ」は、何の助動詞のどの活用形か答えよ。
  6. 傍線部④「やむごとなき」の意味を答えよ。
  7. 傍線部④をふまえ、桐壺更衣はどのような身分(家柄)の女性であったか、本文に即して説明せよ。
  8. 「すぐれて時めきたまふありけり」の「けり」、および「恨みを負ふ積もりにやありけむ」の「けむ」は、それぞれ何の助動詞か(意味・用法)を答えよ。
  9. 傍線部⑤「時めき」の意味を答えよ。
  10. 傍線部⑤について、ずばぬけて帝の寵愛を受けたのは誰か。また、その寵愛を「すぐれて時めき」と強調することで、更衣のどのような点が際立つように書かれているか、身分とあわせて説明せよ。
  11. 傍線部⑥「めざましきものに おとしめ そねみたまふ」を現代語訳せよ。
  12. 傍線部⑥「おとしめ そねみたまふ」の「たまふ」は誰から誰への敬意を表すか、種類もあわせて答えよ。
  13. 傍線部⑥「めざましき」(めざまし)の、ここでの意味を答えよ。
  14. 「いと篤しくなりゆき」の「篤し(あつし)」の意味を答えよ。
  15. 「もの心細げに里がちなる」を現代語訳せよ。
  16. 桐壺更衣が「もの心細げに里がち」になっていったのはなぜか。また、それに対して帝の気持ちはどう変化したか、本文に即して説明せよ。
  17. 傍線部⑦「いよいよ飽かずあはれなるものに思ほして」を現代語訳せよ。
  18. 「人のそしりをもえ憚らせたまはず」を現代語訳せよ。
  19. 「人のそしりをもえ憚らせたまはず」の「せたまは」は、敬語の種類として何と呼ばれる言い方か。また、それは誰への敬意を表すか答えよ。
  20. 「世のためしにもなりぬべき」の「ぬ」「べき」は、それぞれ何の助動詞のどの活用形か答え、あわせて口語訳せよ。
  21. 「思ほし(て)」(思ほす)は「思ふ」をどう言いかえた語か。敬語の種類と、誰から誰への敬意かを答えよ。
  22. 桐壺更衣が周囲の女御・更衣たちから嫉妬され、見下された理由を、本文の内容にそって説明せよ。また、嫉妬したのは具体的にどのような人々か、本文中の語句を用いて答えよ。
  23. 【文学史】『源氏物語』について、(A)作者名、(B)成立したおおよその時代(時代区分)、(C)全部で何帖から成る長編物語か、の三点を答えよ。
  24. 【文学史】『源氏物語』は、伝説や空想をもとにつくられた物語の系譜に連なる作品である。このような種類の物語を何というか。また、その系譜で「現存する日本最古の物語(物語の祖)」とされる作品名を一つ答えよ。
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問1 「どの帝の御代であっただろうか」。「にか」のあとに「ありけむ(あらむ)」などが省略されており、「いづれの御時に(か ありけむ)」=「どの帝の御代であっただろうか」とぼかした言い方になっています。

問2 読み=「おおんとき(おおむとき)」。意味=「(帝の)御代・御治世」。「御時」は天皇が在位している時代を指す尊敬表現で、「いづれの御時にか」は「どの帝の御代であっただろうか」と、わざとぼかして物語を語り出す有名な書き出しです。

問3 「さぶらひ」は謙譲語(「さぶらふ=お仕えする・伺候する」)。作者から帝(天皇)への敬意を表します。女御・更衣が「お仕え申し上げていた」相手は帝なので、お仕えされる帝を高める謙譲語です。

問4 「たまひ」は尊敬語(補助動詞「たまふ」)。作者から、お仕えしている女御・更衣たちへの敬意を表します。「さぶらひたまひける」で、伺候する女御・更衣の動作を高めています。(※問3の「さぶらひ」は帝へ、問4の「たまひ」は女御・更衣へと、敬意の対象が異なる点が頻出ポイントです。)

問5 「あらぬ」の「ぬ」は、打消の助動詞「ず」の連体形です。ラ変動詞「あり」の未然形「あら」に付き、「あらぬ(際)」=「〜ではない(身分)」となります。(完了の「ぬ」と紛らわしいですが、ここは打消です。)

問6 「やむごとなき」=「(家柄や身分が)高貴だ・尊い」。ここは「いとやむごとなき際にはあらぬが」で「たいして高貴な身分(の家柄)ではないが」の意です。

問7 桐壺更衣は、皇后や有力な女御のような飛び抜けて高い家柄の出ではなかった女性です。「いとやむごとなき際にはあらぬ」=「たいして高貴な身分ではない」とあり、中流貴族の出身でありながら帝の寵愛を一身に受けた点に、後の悲劇の伏線があります。

問8 「ありけり」の「けり」=過去の助動詞「けり」(〜た。ここは語り手が伝え聞いた事柄を述べる、物語特有の過去)。「ありけむ」の「けむ」=過去推量の助動詞「けむ」(〜たのだろう)。「恨みを負ふ積もりにやありけむ」で「(人の)恨みを買い重ねたためであろうか」と、過去の事情を推量しています。

問9 「時めき」=「(帝の)ご寵愛を受けて栄える・もてはやされる」。「すぐれて時めきたまふ」で「ずばぬけて帝のご寵愛を受けていらっしゃる」という意味になります。

問10 ずばぬけて帝の寵愛を受けたのは桐壺更衣です。本来なら最高位の女御こそが寵愛を受けてしかるべきところ、「高い身分ではない(やむごとなき際にはあらぬ)」更衣が「すぐれて時めき(ずばぬけて寵愛され)」たと対比的に書くことで、身分の低さと寵愛の厚さのアンバランスが際立ち、周囲の反発を招く原因として強調されています。

問11 「(その更衣を)心外で目ざわりな者として、見下したり ねたんだりなさる」。「めざまし」=「心外で目ざわりだ・気にくわない」、「おとしむ」=「見下す」、「そねむ」=「ねたむ」です。

問12 「おとしめ そねみたまふ」の「たまふ」は尊敬語(補助動詞)。作者から、「我はと思ひ上がりたまへる御方々」(身分の高い女御・更衣たち)への敬意を表します。見下し ねたむという動作の主が高貴な女御・更衣なので、その動作を高めています。

問13 「めざまし」=「(心外で)目ざわりだ・気にくわない」。ここでは、身分が高くないのに帝の寵愛を独占する更衣を、他の女御・更衣たちが「心外で目に余る存在」と感じていることを表します。(現代語の「目覚ましい=すばらしい」とは意味が異なる点に注意。)

問14 「篤し(あつし)」=「病気が重い・病気がちだ」。「いと篤しくなりゆき」で「(更衣は)たいそう病気がちになっていき」の意味です。心労が重なって更衣の体が弱っていく様子を表します。

問15 「なんとなく心細そうで、実家に下がりがちであるのを」。「もの心細げなり」=「なんとなく心細い様子だ」、「里がち」=「(宮中ではなく)実家に下がっていることが多い」の意味です。

問16 周囲の嫉妬や心労(「人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もり」)から更衣はたいそう病気がちになり、心細げに実家へ下がることが多くなりました(里がち)。しかし帝はそれを疎むどころか、「いよいよ飽かず(ますます物足りなく感じて)」「あはれなるものに思ほして(いとしい者とお思いになって)」、寵愛がいっそう深まっていきます。世間の非難さえ気にかけないほどの寵愛ぶりでした。

問17 「(帝は)ますます物足りなく、いとしい者とお思いになって」。「飽かず」=「満ち足りない・物足りない」、「あはれなり」=「いとしい・しみじみと心ひかれる」、「思ほす」=「お思いになる」(「思ふ」の尊敬語)です。

問18 「世間の人の非難をも気がねなさることがおできにならず」。「そしり」=「非難・悪口」、「え〜ず」=「〜できない」、「憚る」=「遠慮する・気がねする」。帝が世間の非難さえ気にせず更衣を寵愛したことを述べています。

問19 「せたまは」は、尊敬の助動詞「す」+尊敬の補助動詞「たまふ」を重ねた二重敬語(最高敬語)と呼ばれる言い方です。作者から帝への敬意を表し、最も高い相手(ここでは帝)に用いられます。「え憚らせたまはず」で「(帝は)遠慮なさることもおできにならず」の意です。

問20 「なりぬべき」の「ぬ」=完了(強意)の助動詞「ぬ」の終止形、「べき」=当然・推量の助動詞「べし」の連体形。口語訳は「きっと(世の)例にもなってしまいそうな」。「ぬ+べし」で「きっと〜してしまうにちがいない」という強い推量を表します。

問21 「思ほす」は「思ふ」の尊敬語(「お思いになる」)。作者から帝への敬意を表します。更衣をいとしくお思いになる動作の主が帝なので、帝を高めています。

問22 桐壺更衣は、たいして高い身分ではないのに帝の寵愛を独占したため、他の女性たちの嫉妬と反感を買いました。嫉妬したのは、まず「(はじめより)我はと思ひ上がりたまへる御方々」(=最初から自分こそはと自負していた、身分の高い女御・更衣たち)で、彼女たちは更衣を「めざましきもの(目ざわりな者)」として見下し ねたみました。さらに「それより下臈の更衣たち」(更衣と同程度かそれ以下の女性たち)も「ましてやすからず(いっそう心穏やかでない)」とあり、上下を問わず反感が広がったことが描かれています。

問23 (A)作者=紫式部。(B)成立=平安時代(中期、十一世紀初め頃)。(C)全五十四帖(54帖)からなる長編物語。光源氏とその子孫を中心に描かれ、日本古典文学を代表する作品です。

問24 このような種類の物語を作り物語(つくりものがたり)といいます。空想や伝説をもとに創作された物語で、その系譜で「現存する日本最古の物語(物語の祖(おや)と称される作品)」は『竹取物語』です。『源氏物語』は、この作り物語の流れと、和歌を中心とする歌物語(『伊勢物語』など)の流れを統合し、物語文学を大成した作品と位置づけられます。

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

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