助動詞「けむ(けん)」は、定期テストで現在推量の「らむ」とセットで問われる最重要の助動詞です。意味は大きく三つ、過去推量(〜ただろう)・過去の原因推量(どうして〜たのだろう)・過去の伝聞や婉曲(〜たとかいう/〜たような)に分かれます。接続は連用形で、現在のことを推量する「らむ」(終止形接続)と対比して覚えるのがポイントです。活用は四段型で、連体形は「けむ」、係り結びでは已然形「けめ」が使われます。さらにくわしい意味と見分け方は【図解あり】む・けむ・らむは推量の助動詞の解説も参考にしてください。次の各例文を読み、後の問いに答えよ。
本文
(本文①〜⑭は助動詞「けむ」の用法を学ぶためのオリジナル例文です。)
① いかなる人か、ここには住みけむ。
② いとうれしと思ひけむかし。
③ など、つらき目をば見せけむ。
④ 昔、男ありけむ、と語り伝へたり。
⑤ 月を見ていかばかり恋ひけむ。
⑥ いかなる契りにて、かかる人をば見けむ。
⑦ さこそはおぼしけめ。
⑧ ありし世のことを思ひ出でて、いかに泣きけむ。
⑨ 旅の空にて、家をば恋しと思ひけむ人々。
⑩ など、かくは仰せられけむ。
⑪ 春の野に若菜摘みけむ人もありけむ。
⑫ いづくにか宿りはとりけむ。
⑬ 都にて聞きしよりも、なほあはれにおぼえけむ。
⑭ かばかりの雪は降りけむや。
設問
- 例文①「いかなる人か、ここには住みけむ。」の「住みけむ」の活用形を答えよ。そう判断する理由も、文中の係助詞に触れて述べよ。
- 例文②「思ひけむ」の「けむ」の意味を、後のア〜ウから選べ。
- ア 過去推量 イ 過去の原因推量 ウ 過去の伝聞・婉曲
- 例文③「見せけむ」の「けむ」の意味を、問2のア〜ウから選べ。また、そう判断できる手がかりの語を本文から一つ抜き出せ。
- 例文④「ありけむ」の「けむ」の意味を、問2のア〜ウから選べ。また、そう判断できる手がかりの表現を本文から抜き出せ。
- 例文⑤「いかばかり恋ひけむ」を、助動詞の意味に注意して現代語訳せよ。
- 例文⑥「いかなる契りにて、かかる人をば見けむ」の「けむ」を、過去推量・過去の原因推量・過去の伝聞婉曲のいずれかに判別し、そう判断した理由も述べよ。
- 例文⑦「おぼしけめ」の「けめ」の活用形を答えよ。また、なぜその形になっているか、係助詞に触れて説明せよ。
- 例文⑧「いかに泣きけむ」を現代語訳せよ。
- 例文⑨「家をば恋しと思ひけむ人々」を、「けむ」の意味(連体修飾)に注意して現代語訳せよ。
- 例文⑩「など、かくは仰せられけむ」を、助動詞の意味に注意して現代語訳せよ。
- 助動詞「けむ(けん)」の意味を三つ、すべて答えよ。
- 助動詞「けむ」は何形に接続するか、活用形の名で答えよ。また、その接続を手がかりに、現在推量の「らむ」が何形に接続するかも答えよ。
- 「けむ」の活用は何活用型(何段型)か。終止形・連体形・已然形をそれぞれ答えよ。
- 「けむ」と「らむ」は、それぞれいつのことを推量する助動詞か。「過去」「現在」の語を用いて違いを説明せよ。
- 「らむ」と「けむ」の使い分けについて、接続の違いと意味(時制)の違いの両面から、一文で説明せよ。
- 次のア〜エの傍線部のうち、過去推量・過去の原因推量の「けむ」を含むものをすべて選び、記号で答えよ。
- ア 思ひけむ イ 行くらむ ウ おぼえけむ エ 咲きぬらむ
- 次の各文の傍線部のうち、助動詞「けむ」であるものを一つ選び、記号で答えよ。残りはそれぞれ何の語か説明せよ。
- ア 夏来たるらし イ 言問はむ ウ 泣きけむ
- 「けむ」を文法的に説明する際、「過去の助動詞『き』+推量の助動詞『む』」と二語に分けて説明するのは誤りである。その理由を、「けむ」が一語の助動詞であることに触れて簡潔に述べよ。
- 「けむ」と「らむ」を、時制の違いがわかるように、それぞれ現代語訳して対比せよ。
「昨日は何をしけむ、今日は何をすらむ。」- (1)「しけむ」の訳
- (2)「すらむ」の訳
- 「けむ」が連体形で用いられている場合、その下にはどのような語が続くことが多いか。本文から例を一つ挙げて説明せよ。
- 過去の原因推量の「けむ」は、文中にどのような語(疑問・理由の語)を伴うことが多いか。本文から具体例を一つ挙げて答えよ。
- 「き」「けり」「けむ」はいずれも過去に関わる助動詞である。このうち、推量の意味をあわせ持つものはどれか、一つ選んで答えよ。
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問1 連体形。文中に疑問の係助詞「か」(いかなる人か)があり、その結びとして文末が連体形「けむ」になっています(係り結びの法則。疑問・反語の「か」は連体形で結ぶ)。意味は「どのような人が、ここに住んでいたのだろう」。
問2 ア(過去推量)。「(その人は昔)うれしいと思っただろうよ」と、過去のことを推し量っています。
問3 イ(過去の原因推量)。手がかりの語は「など(=どうして)」。「どうしてつらい目を見せたのだろう」と、過去の理由を推し量る意味になります。
問4 ウ(過去の伝聞・婉曲)。手がかりは「と語り伝へたり(=と語り伝えている)」。人づてに聞いた話なので、「昔、男がいたとかいう」という伝聞の意味になります。
問5 「どれほど恋しく思っただろう。」過去推量なので「〜ただろう」と訳します。
問6 過去の原因推量。「いかなる契りにて(=どんな前世の約束で)」と理由・事情を問う表現を伴い、「どんな前世の縁で、こんな人を見た(妻とした)のだろう」と過去の理由を推し量っているためです。
問7 已然形。前に係助詞「こそ」があるため、結びが已然形「けめ」になっています(係り結びの法則)。意味は「そのようにお思いになっただろう」。
問8 「どれほど泣いただろう。」過去推量「〜ただろう」で訳します。
問9 「家を恋しく思ったとかいう(思っただろう)人々」。「思ひけむ」は下に体言「人々」が続く連体形で、人々を修飾しています。
問10 「どうして、このようにおっしゃったのだろう。」「など(=どうして)」があるので過去の原因推量で訳します。
問11 ⑪過去推量(〜ただろう) ①過去の原因推量(どうして〜たのだろう) ②過去の伝聞・婉曲(〜たとかいう/〜たような)。この三つはセットで覚えましょう。
問12 「けむ」は連用形に接続します。これと対になる「らむ」は終止形に接続します(ラ変型には連体形接続)。接続の違いは見分けの大きな手がかりです。
問13 四段(型)活用です。終止形・連体形はどちらも「けむ」、已然形は「けめ」。未然形・連用形はなく、ふつう終止形「けむ」・連体形「けむ」・已然形「けめ」の三つを覚えておけば足ります。
問14 「けむ」は過去のことを推量し、「らむ」は現在(今ごろ)のことを推量します。たとえば「降りけむ」は「(昔)降っただろう」、「降るらむ」は「(今ごろ)降っているだろう」となります。
問15 (例)「らむ」は終止形に接続して現在の事柄を推量し(今ごろ〜ているだろう)、「けむ」は連用形に接続して過去の事柄を推量する(〜ただろう)点で使い分ける。接続と時制の両方が異なります。
問16 ア・ウ。アは「思ひ+けむ」、ウは「おぼえ+けむ」で過去推量。イ「行く+らむ」、エ「ぬ+らむ」は現在推量の「らむ」です。
問17 「けむ」であるものはウ(泣き+けむ)。アの「らし」は推定の助動詞「らし」(来たる+らし)、イの「む」は推量・意志の助動詞「む」(言問は+む)で、いずれも「けむ」ではありません。語の切れ目で見分けます。
問18 「けむ」はそれ全体で一語の助動詞だからです。「き」+「む」という二語の組み合わせではなく、連用形に接続する一語の過去推量の助動詞として扱います(「き」は未然形「せ」・連用形「し」など特殊な活用で、そもそも「けむ」の一部ではありません)。
問19 (1)「しけむ」=「(昨日は)何をしただろう」。(2)「すらむ」=「(今日は)何をしているのだろう」。「けむ」は過去、「らむ」は現在を推量している点を対比して訳し分けます。
問20 連体形「けむ」の下には体言(名詞)が続くことが多いです。本文の例=⑨「思ひけむ人々」のように、下の名詞を修飾します(=思っただろう人々/思ったとかいう人々)。
問21 「など」「いかに」「いかなる」など、疑問・理由を表す語を伴うことが多いです。本文の例=③「など…見せけむ」、⑩「など…仰せられけむ」。
問22 けむ。「き」は過去(〜た)、「けり」は過去・詠嘆(〜た/〜たことだ)で推量の意味は持ちませんが、「けむ」は過去推量などの推量の意味をあわせ持ちます。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文の引用は古典作品(著作権の対象外)から正確に行っています。
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