『竹取物語』の冒頭「かぐや姫の生ひ立ち(なよ竹のかぐや姫)」は、日本最古の物語の書き出しとして、高校の定期テストで非常によく出題される超頻出箇所です。竹取の翁が光る竹を見つけ、その中に小さな姫を発見する有名な場面で、過去の助動詞「けり」や係り結び(なむ〜ける)など、文法の基本がぎゅっと詰まっています。まずは本文を読み、設問に答えてみましょう。最後の「解答・解説」で答え合わせをして確認してください。あらすじや背景を先に知りたい人は、竹取物語のやさしい解説(あらすじ)もあわせてどうぞ。
本文
今は昔、竹取の翁といふもの〔①〕ありけり〔②〕。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける〔③〕。
その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける〔④〕。あやしがりて〔⑤〕、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうて〔⑥〕ゐたり〔⑦〕。
設問
- 冒頭の「今は昔」を現代語訳しなさい。また、これは物語・説話の書き出しによく使われる言い方だが、どのような働きをするか簡単に説明しなさい。
- 「竹取の翁といふもの」の「いふ」を、現代仮名遣い(ひらがな)に直して書きなさい。
- 傍線部①「もの」は、ここではどのような意味で使われているか。最も適切なものを次から選びなさい。
ア 品物・道具 イ 人(人物) ウ もののけ・霊 エ 理由・わけ - 傍線部②「ありけり」を現代語訳しなさい。また、「けり」の助動詞としての意味(働き)を答えなさい。
- 「野山にまじりて竹を取りつつ」の「まじりて」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
ア (野山に)分け入って イ (人と)言い争って ウ (竹を)かき混ぜて エ (道に)迷って - 「竹を取りつつ」の「つつ」は接続助詞である。ここでの意味として最も適切なものを次から選びなさい。
ア 〜してはいけない(禁止) イ 〜しながら/〜しては(くり返し・継続) ウ 〜だけれども(逆接) エ 〜したいものだ(願望) - 「よろづのことに使ひけり」の「よろづ」の意味を答えなさい。また、「よろづ」を現代仮名遣い(ひらがな)に直して書きなさい。
- 「名をば、さぬきの造となむいひける」の「ば」は、ある語が変化したものである。もとの語(一語)を答えなさい。
- 傍線部③「名をば、さぬきの造となむいひける」について、この一文に用いられている文法上のきまり(修辞法)の名称を答えなさい。また、「なむ」を受けて結びの語が「ける」となっているが、これは終止形か連体形か、答えなさい。
- 傍線部④「光る竹なむ一筋ありける」について、結びの語「ありける」は何形になっているか、活用形を答えなさい。また、なぜその形になっているのか理由を簡単に説明しなさい。
- 傍線部⑤「あやしがりて」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
ア 恐ろしく思って イ 不思議に思って ウ みすぼらしく思って エ うれしく思って - 「筒の中光りたり」「いとうつくしうてゐたり」の「たり」は同じ助動詞である。この「たり」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
ア 過去 イ 完了・存続 ウ 打消 エ 使役 - 「三寸ばかりなる人」とあるが、「三寸」とはおよそどれくらいの大きさか。最も近いものを次から選びなさい。
ア 約3センチメートル イ 約9センチメートル ウ 約30センチメートル エ 約90センチメートル - 「いとうつくしうてゐたり」の「いと」の意味を答えなさい。
- 傍線部⑥「うつくしうて」を、ここでの意味に合うように現代語訳しなさい。
- 傍線部⑥「うつくしうて」は、もとの形「うつくしくて」が音の変化を起こしたものである。この音変化の名称を答えなさい。
- 傍線部⑦「ゐたり」を漢字で書くとどうなるか答えなさい。また、その意味を答えなさい。
- 本文の内容について、次の問いに答えなさい。
(1) 光る竹を見つけたのは誰か、本文中の言葉で答えなさい。
(2) 竹の筒の中にいたのはどのようなものか。大きさ・様子がわかるように、本文に即して説明しなさい。 - 【文学史】『竹取物語』について、次の問いに答えなさい。
(1) 『源氏物語』の中で『竹取物語』を「物語の出で来はじめの〇〇」と評している。〇〇に入る語を答えなさい。
(2) 『竹取物語』のように、現実にはありえない不思議な内容をもつ物語を何というか。次から選びなさい。
ア 歌物語 イ 伝奇物語 ウ 歴史物語 エ 軍記物語 - 【文学史】『竹取物語』の作者と成立した時代について、次の問いに答えなさい。
(1) 『竹取物語』の作者はどうなっているか。次から選びなさい。
ア 紫式部 イ 清少納言 ウ 作者未詳(不明) エ 紀貫之
(2) 『竹取物語』が成立したと考えられている時代を次から選びなさい。
ア 奈良時代 イ 平安時代(前期) ウ 鎌倉時代 エ 江戸時代
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問1 訳:今となっては昔のことだが(=昔のことだが/昔のことであるが)。「今は昔」は、物語や説話の冒頭に置かれる決まり文句で、これから語るのが過去(昔)の出来事であることを示し、語り出しの合図とする働きをします。『今昔物語集』の各話の書き出しとしても有名です。
問2 いう。歴史的仮名遣いの語中・語尾の「ふ・は・ひ・へ・ほ」は、現代仮名遣いでは「う・わ・い・え・お」と読みます。「いふ」は「い・ふ」のうち「ふ」が「う」になり、「いう」と読みます。
問3 イ(人〈人物〉)。「もの」は品物だけでなく、「人・者」を指すことがあります。ここは「竹取の翁という者(人)がいた」という意味なので「人(者)」が正解です。
問4 訳:(竹取の翁という者が)いた。(「あった」も可)/意味:過去。「けり」は過去の助動詞で、「〜た・〜たそうだ」と訳します。ここは「ありけり」で「(昔、〜が)いた」という意味。物語の冒頭でよく使われ、昔から語り伝えられてきた話だという雰囲気を出す働きをします。
問5 ア(〈野山に〉分け入って)。「まじる」は「分け入る・入りこむ」の意味。「野山にまじりて」で「野や山に分け入って」となります。翁が竹を取りに山へ入っていく様子を表しています。
問6 イ(〜しながら/〜しては〈くり返し・継続〉)。接続助詞「つつ」は、同じ動作のくり返しや動作の継続を表し、「〜しては・〜しながら」と訳します。「竹を取りつつ」で「竹を取っては(取り続けて)」という意味です。
問7 意味:さまざまな・いろいろな(すべての)。「よろづ」は漢字で「万」と書き、「たくさんの・あらゆる・さまざまな」の意味です。「よろづのことに使ひけり」で「いろいろなことに使っていた」。現代仮名遣いでは「よろず」と書きます(「づ」→「ず」)。
問8 もとの語:は。「名をば」の「ば」は、係助詞「は」が、その前の「を(格助詞)」の音につられて濁音化したものです(を+は → をば)。意味は「名を(は)」と、名前を取り立てて示す働きをしています。
問9 修辞法:係り結び(係り結びの法則)/結びの語の活用形:連体形。係助詞「なむ」があると、文末(結び)はふつうの終止形ではなく連体形で結びます。ここでは過去の助動詞「けり」が連体形「ける」に変化しています(なむ → ける)。「なむ」は強調を表す係助詞です。
問10 活用形:連体形/理由:直前に係助詞「なむ」があるため、係り結びの法則により結びの「ける」が連体形になっているから。「光る竹なむ一筋ありける」も、問9と同じく「なむ → 連体形(ける)」の係り結びです。
問11 イ(不思議に思って)。「あやし」は「不思議だ・変だ」の意味で、「あやしがる」は「不思議に思う」。光る竹を見て翁が「おや、変だぞ」と思った場面です。「みすぼらしい」の意味の「あやし」もありますが、ここは光る竹を見て近寄る流れなので「不思議に思って」が正解です。
問12 イ(完了・存続)。「たり」は完了・存続の助動詞で、「〜た・〜ている・〜てある」と訳します。「光りたり」は「光っている(光っていた)」、「ゐたり」は「座っていた」という意味になり、ここでは状態が続いている存続の意味でとらえるとよく合います。
問13 イ(約9センチメートル)。「一寸」は約3センチメートルなので、「三寸」はその3倍で約9センチ。手のひらにのるくらいの、とても小さな姿だったことがわかります。
問14 たいそう・とても・非常に。「いと」は程度がはなはだしいことを表す副詞で、「たいへん・とても」と訳します。「いとうつくしうて」で「たいそうかわいらしい様子で」となります。
問15 かわいらしい様子で(かわいらしくて)。 古文の「うつくし」は、現代語の「美しい」ではなく「かわいい・かわいらしい」の意味です(小さいものをいとおしむ気持ち)。「うつくしうて」は「うつくしくて」がウ音便になった形。小さな姫のかわいらしさを表しています。
問16 ウ音便。形容詞「うつくし」の連用形「うつくしく」に「て」が付いた「うつくしくて」の「く」が「う」に変化して「うつくしうて」となっています。このように「く」が「う」に変わる音の変化をウ音便といいます。
問17 漢字:居たり/意味:座っていた(すわっていた)。「ゐる」は「座る・(そこに)いる」の意味の動詞で、漢字では「居る」と書きます。「ゐたり」で「座っていた」。歴史的仮名遣いの「ゐ」は現代仮名遣いでは「い」と読みます。
問18 (1) 竹取の翁(さぬきの造)。本文冒頭の「竹取の翁」が、竹の中に光る竹を見つけました。
(2) 三寸(約9センチ)ほどの小さな人が、たいそうかわいらしい様子で座っていた。 筒の中が光っており、見ると小さな人がいた、という場面です。これがのちのかぐや姫です。
問19 (1) 祖(おや)。『源氏物語』では『竹取物語』を「物語の出で来はじめの祖」(=物語というものが生まれた最初の元祖)と評しています。これは『竹取物語』が日本最古の物語(作り物語)とされる根拠としてよく出題されます。
(2) イ(伝奇物語)。光る竹から姫が生まれる、月へ帰るなど、現実にはありえない不思議な内容をもつ物語を「伝奇物語」といいます。作者・成立年は未詳ですが、平安時代前期に成立したと考えられています。
問20 (1) ウ(作者未詳〈不明〉)。『竹取物語』の作者は誰なのか、現在もわかっていません(未詳)。
(2) イ(平安時代〈前期〉)。『竹取物語』は平安時代の前期に成立したと考えられている、現存する日本最古の物語(作り物語)です。かな文字で書かれていることもおさえておきましょう。
※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。


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