竹取物語『かぐや姫の生ひ立ち(なよ竹のかぐや姫)』をやさしく解説|現代語訳・重要語句・読解のポイント

竹取物語『かぐや姫の生ひ立ち(なよ竹のかぐや姫)』をやさしく解説|現代語訳・重要語句・読解のポイント 作品解説

1. はじめに ― 「かぐや姫の生ひ立ち」ってどんな場面?

生徒
生徒竹取物語って、昔話の「かぐや姫」のことですよね?どこがテストに出るんですか?
先生
先生そう、その冒頭の場面だよ。書き出しの決まり文句係り結びが詰まっていて、定期テスト超頻出なんだ。一緒に見ていこう。

『竹取物語』は、平安時代の前期に成立したと考えられている、現存する日本最古の物語です。作者は未詳(だれが書いたのか分かっていません)。『源氏物語』の中で「物語の出で来はじめの祖(おや)」(=物語の元祖)と評されたことでも有名です。

「かぐや姫の生ひ立ち(なよ竹のかぐや姫)」はその冒頭の場面です。竹取の翁(おきな)が光る竹を見つけ、その中から小さな姫を発見します。物語の書き出しの決まり文句や係り結びなど、古文の基本がぎゅっと詰まった、定期テスト超頻出の箇所です。

竹取物語『かぐや姫の生ひ立ち』作品カード(基本データ)の図解

2. 原文

今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきの造となむいひける。

その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。

3. 現代語訳(やさしい言葉で)

今となっては昔のことだが、竹取の翁という者がいた。野や山に分け入って竹を取っては、いろいろなことに使っていた。名前を、さぬきの造といった。

その竹の中に、根もとが光る竹が一本あった。不思議に思って、近寄って見ると、筒の中が光っている。それを見ると、三寸(約9センチメートル)ほどの人が、たいそうかわいらしい様子で座っていた。

4. 重要語句・文法のポイント

かぐや姫の生ひ立ち 重要古語の図解(あやし・うつくし・ゐる・よろづ)

覚えておきたい語句

語句意味
今は昔今となっては昔のことだが。物語・説話の書き出しの決まり文句
翁(おきな)おじいさん
まじる分け入る・入りこむ
よろづさまざまな・いろいろな。現代仮名遣いでは「よろず」
あやしがる不思議に思う
いとたいそう・とても
うつくしかわいらしい(現代語の「美しい」とは意味が違う)
ゐる座る・そこにいる。漢字では「居る」と書く
先生
先生語句は意味だけ覚えても点にならないよ。次の文法ポイントとセットで、なぜそう訳すのかまで説明できるようにしよう。

文法・表現のポイント

① 過去の助動詞「けり」 「ありけり」「使ひけり」の「けり」は過去(〜た)を表す助動詞です。物語の冒頭で使われると、昔から語り伝えられてきた話だ、という雰囲気を出します。

② 「なむ〜連体形」の係り結び 「さぬきの造となむいひける」「もと光る竹なむ一筋ありける」では、強調の係助詞「なむ」を受けて、結びの「けり」が終止形ではなく連体形「ける」になっています。この場面で最大のテストポイントです。なお「名をば」の「ば」は、係助詞「は」が「を」のあとで濁ったものです。

③ 完了・存続の助動詞「たり」 「光りたり」「ゐたり」の「たり」は「〜ている・〜た」を表します。ここでは「光っている」「座っていた」と、状態が続く存続の意味でとらえるとぴったりです。

④ ウ音便 「うつくしうて」は、「うつくしくて」の「く」が「う」に変わったウ音便です。「あやしがりて」の「あやし」とあわせて、形の変化に注意しましょう。

5. 主題・あらすじ・背景

かぐや姫の生ひ立ち 物語の流れの図解

あらすじ(この場面)

竹取の翁がいつものように竹を取っていると、根もとの光る竹が一本あった。不思議に思って近寄ると筒の中が光っていて、見ると約9センチほどのかわいらしい人が座っていた――。のちにかぐや姫と名づけられる姫の、登場シーンです。

主題

光る竹の中から小さな人が見つかるという、ふつうではありえない不思議な誕生を描くことで、かぐや姫がこの世のふつうの人間ではないことを、物語の最初に印象づける場面です。

背景 ― 文学史でのポイント

『竹取物語』は、かな文字で書かれた、現存する日本最古の物語です。光る竹から姫が生まれる、月へ帰るといった、現実にはありえない不思議な内容をもつ物語を「伝奇物語」といいます。「作者未詳」「平安時代前期」「物語の出で来はじめの祖」の3点は、文学史問題の定番です。

確認クイズ(3問)

Q1. 古文の「うつくし」の意味として最も適切なものはどれ?

ア 美しい イ かわいらしい ウ 立派だ

答えを見る

正解:イ 解説:古文の「うつくし」は、小さいものをいとおしむ「かわいらしい」の意味です。「いとうつくしうてゐたり」は「たいそうかわいらしい様子で座っていた」となります。

Q2. 「もと光る竹なむ一筋ありける」の「ける」の活用形はどれ?

ア 終止形 イ 已然形 ウ 連体形

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正解:ウ 解説:係助詞「なむ」があるため、係り結びの法則で結びの「けり」が連体形「ける」になっています。

Q3. 「三寸ばかりなる人」の「三寸」は、およそどれくらいの大きさ?

ア 約9センチメートル イ 約30センチメートル ウ 約3センチメートル

答えを見る

正解:ア 解説:一寸は約3センチメートルなので、三寸はその3倍で約9センチメートル。手のひらにのるほどの小ささです。

先生
先生3問できたかな?ここからは原文を頭から少しずつ区切って、もっとていねいに読んでいくよ。

6. 一語一句をていねいに読む ― 原文の細かい読解

ここでは、原文を頭から少しずつ区切りながら、言葉のつながりをていねいに確認していきます。古文はまず「どこで文が切れるか」「主語はだれか」をつかむことが大切です。

「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」 ここは物語の入り口です。「今は昔」は「今となっては昔の話だが」という、物語や説話の決まり文句。「竹取の翁といふもの」は「竹を取る老人という者」で、「いふ」は「言ふ」、ここでは「〜という」と名前を紹介する言い方です。「ありけり」は「いた(のだった)」。主語は「竹取の翁」です。

「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。」 「まじりて」は「分け入って」、「取りつつ」の「つつ」は「〜しては(くり返し)」という反復の意味。つまり「来る日も来る日も竹を取っては」というニュアンスです。「よろづのことに使ひけり」は「いろいろなことに使っていた」。竹を生活の道具にしていた、まじめな働き者の翁の姿が見えてきます。

「名をば、さぬきの造となむいひける。」 「名をば」は「名前を」。「さぬきの造」が翁の名前です。「なむ〜ける」は係り結びで、「(その名前を)さぬきの造といったのだ」と強調しています。

「その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。」 「もと」は「根もと」、「一筋」は「一本」。竹の根もとが光る一本の竹があった、という不思議な出来事の始まりです。ここも「なむ〜ける」の係り結びで、「光る竹が一本あったのだ」と読者の注意を引きつけます。

「あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。」 「あやしがりて」は「不思議に思って」、「寄りて見るに」は「近寄って見ると」。「に」は「〜すると」という、次の出来事へつなぐはたらきをします。すると「筒の中光りたり」=「竹の節と節の間(筒の部分)が光っていた」。読者も翁と一緒にのぞきこむような臨場感があります。

「それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」 「見れば」は「見ると」。「三寸ばかりなる人」は「三寸ほどの大きさの人」で、一寸が約3センチなので約9センチ。「いとうつくしうて」は「たいそうかわいらしい様子で」、「ゐたり」は「座っていた」。手のひらにのるほど小さな、かわいい姫の登場です。

7. もう一歩深い文法 ― ここを押さえると差がつく

テストで点を取り切るために、上の「重要語句・文法のポイント」をさらに深掘りします。少し細かい話ですが、知っておくと自信を持って解答できます。

「つつ」の意味 「竹を取りつつ」の「つつ」は接続助詞で、同じ動作のくり返しを表します(〜しては、〜しながら)。「取っては使い、取っては使い」と日々くり返していた様子を表すので、ここは「反復」でとらえます。同じく和歌では「〜しつつ(〜し続けて)」と継続の意味で使われることもあります。

係り結びの「なむ」の正体 「なむ」は強調を表す係助詞です。ふつうの文なら文末は終止形(いひけり)で終わりますが、「なむ」が文中にあると、結びの語が連体形(いひける)に変わります。これを係り結びの法則といいます。係助詞には「ぞ・なむ・や・か」(結びは連体形)と「こそ」(結びは已然形)があります。この場面に出てくるのは「なむ」なので、結びは連体形「ける」になっている、と説明できるようにしておきましょう。

「なる」の正体 「三寸ばかりなる人」の「なる」は、断定の助動詞「なり」の連体形です。「三寸ほどである人」→「三寸ほどの人」と訳します。場所や存在を表す「なり(〜にある)」と混同しないように、文脈で見分けましょう。

「ば」の使い分け 「それを見れば」の「ば」は、已然形(見れ)について「〜すると・〜したところ」という意味になります(順接の確定条件)。一方、もし未然形について「ば」がつけば「〜ならば」という仮定(順接の仮定条件)になります。形(未然形か已然形か)で意味が変わるのが、古文の「ば」の大事なところです。

8. つまずきやすいポイントと入試での問われ方

この場面は基本中の基本だからこそ、定期テストでも入試でも、決まったところが何度もねらわれます。引っかかりやすい点を先回りして確認しておきましょう。

  • 「うつくし」を「美しい」と訳してしまう…古文の「うつくし」は「かわいらしい」。「美しい・きれいだ」は古文では「うるはし」「きよら」などで表します。現代語につられないように。
  • 「ゐたり」の「ゐる」を「居る(いる)」と取り違える…「ゐる」の基本の意味は「座る」。ここは「座っていた」が自然です。
  • 係り結びの結びを答えさせる問題…「なむ」を見つけ、文末の語が連体形になっていることを指摘できるかがポイント。「ける」「ありける」が連体形だと答えられるように。
  • 「けり」と「たり」の違い…「けり」は過去(〜た)、「たり」は完了・存続(〜た・〜ている)。どちらも「た」と訳せてしまうので、はたらきの違いを言えるようにしておきましょう。
  • 歴史的仮名遣いの読み方…「よろづ」は「よろず」、「うつくしうて」は「うつくしゅうて」と読みます。読みを問われることがあります。
生徒
生徒「うつくし」を「美しい」って書いちゃいそうです…。気をつけます!

入試・定期テストでは、(1)現代語訳(傍線部を訳す)、(2)係り結びの説明、(3)重要古語の意味、(4)文学史(作者・成立時代・「物語の出で来はじめの祖」)の4タイプがよく出ます。どれも上で確認した内容で対応できます。

9. ミニ練習問題(解答つき)

仕上げに、自分の言葉で説明できるか試してみましょう。答えはそれぞれの下に用意しています。

問1 「野山にまじりて竹を取りつつ」を現代語訳しなさい。

解答例 「野や山に分け入って、竹を取っては(くり返し取って)」。「まじりて」=分け入って、「つつ」=〜しては、がポイントです。

問2 「名をば、さぬきの造となむいひける」には係り結びが使われている。係助詞と結びの語を抜き出し、結びの活用形を答えなさい。

解答 係助詞は「なむ」、結びの語は「ける」、活用形は連体形。「なむ」があるため、結びの「けり」が連体形「ける」に変化しています。

問3 「いとうつくしうてゐたり」を、語の意味に注意して現代語訳しなさい。

解答例 「たいそうかわいらしい様子で座っていた」。「いと」=たいそう、「うつくし」=かわいらしい、「ゐる」=座る、をそれぞれ正しく訳すことが大切です。

問4 『竹取物語』について、作者・成立時代を答え、『源氏物語』の中で何と評されているかを書きなさい。

解答 作者は未詳。成立は平安時代の前期と考えられている。『源氏物語』の中では「物語の出で来はじめの祖(おや)」(物語の元祖)と評されている。

先生
先生全部解けたら本番もこわくないよ。係り結びと「うつくし」さえ押さえれば、この場面はばっちりだ。あとは何度も音読してリズムで覚えよう!

10. よくある質問(Q&A)

Q. 「今は昔」はなぜ物語の最初に置かれるのですか?

A. 「今となっては昔の話だが」と切り出すことで、昔から語り伝えられてきた話だという雰囲気を出すための、物語・説話のお決まりの書き出しです。『今昔物語集』の各話が「今は昔」で始まるのも同じ理由です。

Q. 「翁」は何と読みますか。「媼」とどう違いますか?

A. 「翁」は「おきな」と読み、おじいさんのこと。対になる言葉が「媼(おうな)」で、おばあさんを指します。『竹取物語』では、翁とともに姫を育てる老女が登場し、こちらが「媼」にあたります。

Q. 「三寸」は本当に約9センチですか?

A. 一寸は約3.03センチなので、三寸はおよそ9センチです。手のひらにのるくらいの小ささだとイメージすると、姫の不思議さ・かわいらしさが伝わります。テストでは「約9センチメートル」で問題ありません。

Q. この姫はいつ「かぐや姫」と名づけられるのですか?

A. この場面ではまだ名前がありません。このあと、翁に育てられて三月(みつき)ほどで一人前の大きさに成長し、名づけ親によって「なよ竹のかぐや姫」と名づけられます。だからこの場面は「なよ竹のかぐや姫」という題でも呼ばれます。

まとめ

かぐや姫の生ひ立ち 読解の3つのポイントの図解

・『竹取物語』は作者未詳・平安時代前期成立とされる、現存する日本最古の物語(伝奇物語)。

・「今は昔」は物語・説話の書き出しの決まり文句。

・「なむ〜連体形(ける)」の係り結びが、この場面の最重要文法ポイント。

・「うつくし」=かわいらしい、「あやしがる」=不思議に思う、など現代語と意味の違う語に注意。

・「けり」=過去、「たり」=完了・存続もあわせて頻出。

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