はしたなきもの テスト対策問題28問|枕草子・解答つきPDF

定期テスト対策

清少納言『枕草子』の「ものづくし(類聚的章段)」の一つ、「はしたなきもの(きまりが悪いもの・体裁の悪いもの)」からの定番問題です。「はしたなし」「いとど」「つと」などの重要語、助動詞「ぬ」「たり」の識別、「げに〜など聞きながら」の逆接、涙をめぐる人間観察という主題が繰り返し問われます。

本文(傍線①〜⑮)

はしたなきもの異人(ことびと)を呼ぶに、我ぞとてさし出でたる。物などとらする折は、いとど。おのづから人の上などうち言ひそしりたるに、幼き子どもの聞き取りてその人のあるに言ひ出でたる
あはれなる事など人の言ひ出で、うち泣きなどするに、げにいとあはれなりなど聞きながら涙のつと出で来ぬいとはしたなし。泣き顔つくり、けしきことになせどいとかひなし。めでたき事を見聞くには、まづただ出で来にぞ出で来る

語注 はしたなし=きまりが悪い。体裁が悪い。中途半端で間が悪い。現代語の「はしたない(下品だ)」とは意味がちがう。 異人=ほかの人。別の人。「異(こと)」は「別の・ちがう」の意。 我ぞとて=自分(が呼ばれたのだ)と思って。「ぞ」は強意の係助詞で、結びの語が省略されている。 さし出づ=出しゃばる。進み出る。「さし」は語調をととのえる接頭語。 とらす=与える。くれる。 折=とき。場合。 いとど=いっそう。ますます。下に「はしたなし」が省略されている。 おのづから=たまたま。ふと。 人の上=他人の身の上。他人のうわさ。 うち=「ふと〜する・ちょっと〜する」の意を添える接頭語。 そしる=悪く言う。非難する。 あはれなり=しみじみと心を打たれる。ここは「気の毒だ・悲しい」の意。 げに=なるほど。本当に。 つと=さっと。すぐに。急に。 出で来=カ行変格活用の動詞「出で来(いでく)」。出てくる。 けしき=ようす。そぶり。表情。 こと(異)に=ふだんとは別のように。 なす=つくる。そのようにする。 かひなし=効き目がない。むだだ。 めでたし=すばらしい。喜ばしい。 ※清少納言=平安時代中期の女房。一条天皇の中宮定子に仕えた。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「はしたなきもの」の「はしたなし」の意味を書け。
  2. ⑤「いとど」の意味を書け。また、この一文の下にどのような言葉が省略されているかも書け。
  3. ⑥「うち言ひそしりたる」の「そしる」の意味を書け。
  4. ⑨「げにいとあはれなり」の「げに」の意味を書け。
  5. ⑪「涙のつと出で来ぬ」の「つと」の意味を書け。
  6. ⑬「けしきことになせど」の「けしきことになす」の意味を書け。
  7. ⑭「いとかひなし」の「かひなし」の意味を書け。

B 文法

  1. ④「さし出でたる」の「たる」は何の助動詞の何形か。また、そこで言い切られている理由も書け。
  2. ⑩「聞きながら」の「ながら」の意味と用法を書け。
  3. ⑪「涙のつと出で来ぬ」の「ぬ」は何の助動詞の何形か。また、そう判断できる決め手を一つ書け。
  4. ⑪「涙のつと出で来ぬ」の「の」の用法を書け。
  5. ⑬「けしきことになせど」の「なせ」の活用形を答え、「ど」の働きも書け。
  6. ⑮「まづただ出で来にぞ出で来る」の「ぞ」の働きを答え、結びの語とその活用形も書け。

C 主語・指す内容

  1. ③「我ぞとて」の「我」とは、どのような人か。本文に即して書け。
  2. ⑦「幼き子どもの聞き取りて」とあるが、幼い子どもは何を聞き取ったのか。書け。
  3. ⑧「その人のあるに言ひ出でたる」の「その人」とは誰か。書け。
  4. ⑮「まづただ出で来にぞ出で来る」の主語にあたるものを書け。

D 口語訳

  1. ②③④を含む「異人(ことびと)を呼ぶに、我ぞとてさし出でたる」を口語訳せよ。
  2. ⑦⑧を含む「幼き子どもの聞き取りて、その人のあるに言ひ出でたる」を口語訳せよ。
  3. ⑨⑩⑪を含む「げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと出で来ぬ、いとはしたなし」を口語訳せよ。
  4. ⑬⑭を含む「泣き顔つくり、けしきことになせど、いとかひなし」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ①「はしたなきもの」の例として、③「我ぞとて」④「さし出でたる」があげられている。この場面がなぜ「はしたなし」なのか説明せよ。
  2. ⑦「幼き子どもの聞き取りて」⑧「その人のあるに言ひ出でたる」の場面が「はしたなし」といえるのはなぜか。説明せよ。
  3. ⑫「いとはしたなし」とあるが、どのような状況を「はしたなし」と言っているのか。説明せよ。
  4. ⑮「まづただ出で来にぞ出で来る」は、直前までの涙の話とどのような関係にあるか。説明せよ。

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

  1. この文章の出典『枕草子』の作者名と、作者が仕えた中宮の名を書け。
  2. ①「はしたなきもの」のように「〜もの」という題を立てて、同じ種類の事がらを次々に並べていく『枕草子』の章段を何と呼ぶか。ほかの例も一つあげよ。
  3. 『枕草子』は文学のジャンルとしては何にあたるか。また、同じジャンルの、のちの時代の作品を一つ、作者名とともにあげよ。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 きまりが悪い。体裁が悪い。中途半端で間が悪い。※現代語の「はしたない(下品だ・慎みがない)」とは意味がちがう。
└ ★「はした」=どっちつかず・中途半端。そこから「間が悪い・きまりが悪い」の意になる

問2 意味=いっそう。ますます。/下に「はしたなし(きまりが悪い)」が省略されている。
└ 物をもらえる場面での勘違いは、ほしがって出しゃばったように見えるので、きまりの悪さが「いっそう」ひどくなる

問3 悪く言う。非難する。けなす。
└ 直前の「人の上」=他人の身の上・他人のうわさ。「うち」は「ふと〜する」の意を添える接頭語

問4 なるほど。本当に。(相手の言葉にうなずいて同意する気持ちを表す副詞。)
└ 人の話を聞いて「たしかにそのとおりだ」と思う場面で使う語

問5 さっと。すぐに。急に。
└ 動作が急ですばやいさまを表す副詞。「涙がさっとは出てこない」となる

問6 表情やようすを、ふだんとは別のようすにつくる。ここは、悲しげなようすをよそおうこと。「けしき」=ようす・そぶり・表情、「こと(異)」=別だ・ちがう。
└ 教科書によっては「けしき異になす」と漢字で書かれている。「異なり」=別だ・ちがう

問7 効き目がない。むだだ。何にもならない。(「かひ(甲斐)」+「なし」で、したことの効き目がない、の意。)
└ 現代語の「かいがない」に近い。⑬のように泣き顔をつくってみても「むだだ」ということ

B 文法

問8 完了(存続)の助動詞「たり」の連体形。下に「とき・折・場合」などの体言が省略されているため、連体形のまま止めている(連体止め)。「〜もの」を次々に並べる、ものづくしの章段に特徴的な言い方。
└ 終止形なら「たり」になるはず。⑧「言ひ出でたる」もまったく同じ形

問9 逆接を表す接続助詞。「〜けれども・〜のに・〜ものの」の意。(「〜しながら」という同時進行の意味ではない。)
└ ★心では同情して聞いている「のに」涙が出ない、という食いちがいを表すのがねらい

問10 打消の助動詞「ず」の連体形。「出で来(こ)ぬ」と読み、「涙がさっと出てこない(こと)」の意。決め手(どれか一つ書けていればよい)=一つめは、直前がカ行変格活用「出で来」の未然形「こ」であること(完了の「ぬ」なら連用形に付いて「出で来(き)ぬ」となる)。二つめは、下に「こと」を補って⑫「いとはしたなし」に続く、連体形の位置であること。三つめは、涙が出ないからこそ「はしたなし」なので、完了ではあとの文とつながらないこと。
└ ★この章段で最もねらわれる識別。読み方(いでこ/いでき)が決め手になる

問11 主格を表す格助詞。「涙が」と訳す。
└ ⑦「幼き子どもの聞き取りて」の「の」も同じ主格。「〜の」を「〜が」に置きかえて読めるかで見分ける

問12 「なせ」=サ行四段活用の動詞「なす」の已然形。「ど」=逆接確定条件を表す接続助詞で、「〜けれども・〜ても」の意。
└ 已然形+「ど・ども」=逆接確定条件。未然形+「ば」(もし〜ならば)と混同しない

問13 強意の係助詞。結び=「出で来る」(カ行変格活用の動詞「出で来」)、活用形=連体形。読みは「いできにぞいでくる」。⑪の「いでこぬ」と読み分ける。なお「出で来に」の「に」は、同じ動詞を重ねて意味を強める言い方(「泣きに泣く」の類)で、動作の反復・強調を表す格助詞と説明されることが多い。直前が連用形「出で来(いでき)」なので完了の助動詞「ぬ」と見まちがえやすいが、ここは完了ではない。
└ ぞ・なむ・や・か→連体形、こそ→已然形。同じ「出で来」を重ねて、涙があふれて止まらないさまを強めている

C 主語・指す内容

問14 呼ばれているのは別の人なのに、自分が呼ばれたのだと思いこんだ人。
└ 「ぞ」は強意の係助詞で、下に「呼ばるる」「あらむ」などの結びの語が省略されている(係り結びの省略)。「自分(が呼ばれたの)だ」の意になる

問15 大人がたまたま口にした、ある人の身の上についてのうわさや悪口。⑥「うち言ひそしりたる」内容。
└ 「おのづから人の上などうち言ひそしりたるに」がそのまま手がかりになる

問16 大人たちがうわさをして悪口を言っていた、当のその人(=悪口を言われた本人)。
└ 本人がいる前で子どもが言い出すからこそ「はしたなし」になる

問17 涙。(少し前の「涙のつと出で来ぬ」と対になっている。)
└ 主語が省略されている。前の文と対にして読むと見つかる

D 口語訳

問18 (自分とは)別の人を呼んでいるのに、自分(が呼ばれたのだ)と思って出しゃばって進み出た場合(は、きまりが悪い)。
└ 「に」は逆接の接続助詞(〜のに)。「たる」は下に「とき・場合」が省略された連体止め

問19 幼い子どもが(その悪口を)聞き覚えていて、その(悪口を言われた)当人がいる所で言い出してしまった場合(は、きまりが悪い)。
└ 「子どもの」の「の」は主格で「子どもが」。「あるに」=いるときに・いる所で

問20 「なるほど本当にしみじみと気の毒なことだ」などと聞いてはいるものの、涙がさっと出てこないのは、たいそうきまりが悪い。
└ 「ながら」は逆接で「〜ものの」。「ぬ」は打消なので「出てこない」と訳す

問21 泣き顔をつくり、(悲しげに)ふだんとは違うようすをよそおってみるけれど、まったく効き目がない。
└ 「かひなし」=効き目がない・むだだ。現代語の「かいがない」に近い

E 内容・記述

問22 呼ばれているのは別の人なのに、自分が呼ばれたと思いこんで進み出てしまい、勘違いだと分かっても引っこみがつかなくなるから。とくに⑤のように物を与える場面では、ほしがって出しゃばったように見えるので、いっそうきまりが悪い。
└ 「異人を呼ぶ」と「我ぞ」の食いちがいが原因。⑤「いとど」まで含めて答えると厚くなる

問23 自分がふと口にした他人の悪口を、幼い子どもが聞き覚えていて、悪口を言われた当人のいる前で口に出してしまうから。子どもに悪気はなく、止めることも言いつくろうこともできないので、いっそう気まずい。
└ 「おのづから(=たまたま)」つい言った悪口が、思わぬところで本人に届いてしまう

問24 人が悲しい話をして泣いているのに合わせ、心では「本当に気の毒だ」と思って聞いているのに、涙がさっと出てこない状況。泣くべき場面で泣けず、間が悪くきまりが悪いということ。
└ ★⑩「ながら」の逆接が、そのまま気まずさの理由になっている

問25 悲しい話では涙が出ないのに、すばらしいことを見聞きするときにはまっさきにあふれるほど涙が出る、という正反対の対比になっている。思いどおりにならない人の感情のおかしみを、涙の出方の食いちがいでとらえている。
└ ★「出で来ぬ(出てこない)」↔「出で来にぞ出で来る(出て出てくる)」の対。記述の答えはここに集まる

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

問26 作者=清少納言/仕えた中宮=定子(一条天皇の中宮定子)。
└ 平安時代中期(十一世紀初めごろ)の成立

問27 類聚的章段(ものづくしの章段)。ほかの例=「うつくしきもの」「にくきもの」「すさまじきもの」など。
└ 『枕草子』の章段は、類聚的章段・日記的章段・随想的章段の三つに分けて説明されることが多い

問28 随筆。のちの作品=『方丈記』(鴨長明)または『徒然草』(兼好法師)。この三つをあわせて日本三大随筆という。
└ 『枕草子』=平安中期、『方丈記』=鎌倉初期、『徒然草』=鎌倉末期

【テスト直前チェック】この三つ
⑪「涙のつと出で来ぬ」の「ぬ」は打消。「いでこ・ぬ」と読む打消「ず」の連体形。完了と取ると「涙が出た」ことになり、⑫「いとはしたなし」につながらなくなる。読み方が決め手。
「はしたなし」は「下品だ」ではない。①⑫は「きまりが悪い・体裁が悪い」。現代語につられた訳は即アウト。「げに」「いとど」「つと」「かひなし」もセットで覚える。
連体形になる理由を二種類。④⑧「〜たる」は下に「とき・折」が省略された連体止め、⑮「ぞ〜出で来る」は係り結び。同じ連体形でも理由がちがうので、説明させる問いが出ます。

現代語訳(全文)

きまりが悪いもの。(自分とは)別の人を呼んでいるのに、自分(が呼ばれたのだ)と思って出しゃばって進み出た場合。物などを与える場面では、いっそう(きまりが悪い)。たまたま他人の身の上のことなどをふと口にして、悪く言っていたところに、幼い子どもがそれを聞き覚えていて、その(悪口を言われた)当人がいる所で言い出してしまった場合。

しみじみと気の毒な話などを人が話し出して、ふと泣いたりなどしているときに、「なるほど本当に気の毒なことだ」などと聞いてはいるものの、涙がさっと出てこないのは、たいそうきまりが悪い。泣き顔をつくり、(悲しげに)ふだんとは違うようすをよそおってみるけれど、まったく効き目がない。(ところが)すばらしいことを見聞きするときには、まっさきに、ただもう(涙が)出て出てくるのだ。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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