公世の二位のせうとに テスト対策問題28問|徒然草・解答つきPDF

定期テスト対策

怒りっぽい良覚僧正が、あだ名を嫌って木を切り、切り株を掘り、かえって新しいあだ名がつく笑話。敬語「聞こゆ」、助動詞「られ」の識別、係り結び、内容理解が定番で問われます。

本文(傍線①〜⑮)

公世(きんよ)の二位(にゐ)せうとに、良覚僧正(りやうがくそうじやう)聞こえしは、きはめて腹あしきなりけり坊(ばう)のかたはらに、大きなる榎(え)の木のありければ、人、「榎の木の僧正」とぞ言ひける。「この名、しかるべからず」とて、かの木を切られにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ、その跡、大きなる堀にてありければ、「堀池の僧正」とぞ言ひける

語注 公世の二位=従二位の位にあった藤原公世。「二位」は位階の一つ。 せうと=男のきょうだい。ここでは兄。教科書によっては「兄弟」と訳す。 僧正=僧の位のうち最も高い位。 聞こゆ=「言ふ」の謙譲語で「申し上げる」。ここは「〜と申し上げた(お呼びした)」。 きはめて=この上なく。たいそう。 腹あし=怒りっぽい。気が短い。 坊=僧の住まい。僧坊。 榎=大きく育つ落葉樹。 しかるべからず=ふさわしくない。あってはならない。 きりくひ=木を切ったあとに残った切り株。 いよいよ=ますます。いっそう。 堀=地面を掘ってできたくぼみ。水がたまれば堀池になる。 ※教科書によっては「榎木僧正」「堀池僧正」と、「の」を入れない表記になっている。お使いの教科書の表記に合わせること。 ※『徒然草』第四十五段。作者は兼好法師。

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使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ②「せうと」の意味を書け。
  2. ③「良覚僧正(りやうがくそうじやう)」を、現代仮名遣いの平仮名で書け。
  3. ⑤「きはめて」の意味を書け。
  4. ⑥「腹あしき」の意味と、終止形を書け。
  5. ⑫「きりくひの僧正」の「きりくひ」とは何か、書け。
  6. ⑬「いよいよ」の意味を書け。

B 文法

  1. ④「聞こえし」の「し」は、何の助動詞の何形か。そうなる理由も書け。
  2. ⑦「なりけり」の「なり」と「けり」を、それぞれ文法的に説明せよ。
  3. ⑩「しかるべからず」を単語に分け、「しかる」と「べから」をそれぞれ説明せよ。
  4. ⑪「かの木を切られにけり」の「られ」は、受身・尊敬・可能・自発のどれか。そう判断できる理由も書け。
  5. ⑪「かの木を切られにけり」の「に」は何か。文法的に説明せよ。
  6. ⑮「「堀池の僧正」とぞ言ひける」の「ぞ」の働きを答え、結びの語とその活用形も書け。

C 主語・指す内容・敬意の方向

  1. ④「聞こえし」の「聞こゆ」は敬語の種類として何か。また、誰から誰への敬意か。
  2. ⑧「坊(ばう)」とは誰の住まいか。本文に即して書け。
  3. ⑨「榎の木の僧正」と呼んだのは誰か。本文中から一字で抜き出して書け。
  4. ⑩「しかるべからず」は誰の言葉か。
  5. ⑪「かの木を切られにけり」の主語は誰か。

D 口語訳

  1. ①〜⑦をふくむ「公世(きんよ)の二位(にゐ)のせうとに、良覚僧正(りやうがくそうじやう)と聞こえしは、きはめて腹あしき人なりけり」を口語訳せよ。
  2. ⑩⑪をふくむ「「この名、しかるべからず」とて、かの木を切られにけり」を口語訳せよ。
  3. ⑬⑭をふくむ「いよいよ腹立ちて、きりくひを掘り捨てたりければ」を口語訳せよ。
  4. ⑮をふくむ「その跡、大きなる堀にてありければ、「堀池の僧正」とぞ言ひける」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ⑨「榎の木の僧正」というあだ名がついたのはなぜか。本文に即して書け。
  2. ⑩「しかるべからず」と考えた良覚僧正がとった行動を、順に二つ書け。
  3. ⑭「掘り捨てたりければ」とあるが、その結果どうなったか。本文に即して書け。
  4. ⑨「榎の木の僧正」・⑫「きりくひの僧正」・⑮「「堀池の僧正」とぞ言ひける」とあだ名が移り変わる。この話のおもしろさはどこにあるか、四十字以内で書け。

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

  1. この文章の出典『徒然草』の作者名と、成立したおおよその時代を書け。
  2. 『徒然草』は、『枕草子』ともう一つの作品とあわせて何と呼ばれるか。そのもう一つの作品名と作者名も書け。
  3. ③「良覚僧正(りやうがくそうじやう)」のような人物のおかしみを書きとめたのが『徒然草』である。その序段の書き出しを、初めの九字で書け。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 (男の)きょうだい。ここでは兄。※「兄弟」と訳す教科書もあるので、お使いの教科書に合わせること。
└ 現代仮名遣いでは「しょうと」。公世の側から見た男のきょうだいが良覚僧正にあたる

問2 りょうがくそうじょう
└ ★「りやう」→「りょう」、「じやう」→「じょう」。歴史的仮名遣いの「-au・-iau」は伸ばす音になる

問3 この上なく。たいそう。非常に。
└ 下の「腹あしき」を強めている副詞。程度がこの上ないことをいう

問4 意味=怒りっぽい・気が短い・気性が悪い/終止形=「腹あし」。ここは体言「人」にかかる連体形。
└ 「あし(悪し)」がついた語。この一語がこの話の笑いの前提になっている

問5 木を切ったあとに地面に残った切り株。
└ 「くひ(杙)」は地面に打ちこんだ棒のこと。切ったあとの株がそれに見えるので「切りくひ」

問6 ますます。いっそう。
└ 現代語の「いよいよ(とうとう・ついに)」ではない。程度が高まっていく意味

B 文法

問7 過去の助動詞「き」の連体形。下の「は」(係助詞)の前で「〜と申し上げた人」という体言に準じる使い方(準体法)になっているから。
└ 「き」は連体形が「し」、已然形が「しか」。ここは「〜しは」の形なので連体形

問8 「なり」=断定の助動詞「なり」の連用形(体言「人」に接続)。「けり」=過去の助動詞「けり」の終止形。あわせて「〜であった」の意。※人づてに聞いた過去を表す(伝聞過去)と説明する教科書もあるので、お使いの教科書の説明に合わせること。
└ 「人+なり」=体言に接続しているので断定。伝聞推定の「なり」ではない

問9 「しかる」=副詞「しか(=そう)」にラ変動詞「あり」がついた「しかり」の連体形で「そうである・そのようだ」。「べから」=助動詞「べし」の未然形。これに打消の「ず」がついて「そうあるべきではない=ふさわしくない」となる。※「べし」を適当(〜のがよい)と説明する教科書と、当然(〜べきだ)と説明する教科書があるので、お使いの教科書に合わせること。
└ 「しかるべし」でひとまとまり(=ふさわしい・適当だ)。その打消が「しかるべからず」

問10 尊敬。木を切ったのは良覚僧正自身であり、他から動作を受けているわけではないから。「(僧正が)お切りになった」と訳す。作者から僧正への敬意を表す。
└ ★受身なら「(僧正が)誰かに切られた」となり、話の筋に合わない。動作主が誰かをまず決めるのが決め手

問11 完了の助動詞「ぬ」の連用形。下の「けり」に続くので連用形。「に+けり」で完了+過去、「〜てしまった」の意。ここは完了で確定してよい。
└ 断定の「なり」の連用形「に」とまぎれやすい。下に「けり・き・たり」が来る「に」は完了の「ぬ」。「ぬ」が強意(確述)になるのは「ぬべし」「なむ(=ぬ+む)」のように下に推量の語が来るときで、ここは当てはまらない

問12 強意の係助詞。結び=「ける」(過去の助動詞「けり」)、活用形=連体形。いわゆる係り結び。
└ ★ぞ・なむ・や・か→連体形、こそ→已然形。終止形「けり」と答えるとバツ

C 主語・指す内容・敬意の方向

問13 「言ふ」の謙譲語。作者(兼好法師)から良覚僧正への敬意。
└ ★地の文の敬語は作者からの敬意。向く先は敬語の種類で決まり、謙譲語なら動作を受ける人(ここでは良覚僧正)、尊敬語なら動作をする人へ向く。「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語なので受け手の僧正へ

問14 良覚僧正の住まい(僧坊)。
└ 「坊」は僧が住む建物。そのそばに榎の木があったことがあだ名のもとになる

問15 人(=世間の人々)。
└ 「人、『榎の木の僧正』とぞ言ひける」の「人」がそのまま主語になっている

問16 良覚僧正の言葉。「この名、しかるべからず」=「この名は、ふさわしくない」と僧正が言ったもの。
└ 「とて」は「と言って」。その直前のかぎかっこの中が僧正の言葉にあたる

問17 良覚僧正。「(僧正が)その木をお切りになってしまった」となる。
└ 「とて」=「と言って」なので、言った本人がそのまま次の動作の主語になる

D 口語訳

問18 公世の二位の兄弟(兄)で、良覚僧正と申し上げた方は、たいそう怒りっぽい人であった。
└ 「せうと」は男のきょうだい(ここでは兄)。「聞こゆ」は謙譲語なので「申し上げた」と訳す。「なりけり」は「〜であった」

問19 「この名は、ふさわしくない」と言って、その木をお切りになってしまった。
└ 「られ」は尊敬なので「お〜になる」と訳す。「にけり」は「〜てしまった」

問20 (僧正は)ますます腹を立てて、切り株を掘り捨ててしまったところ。
└ 「たり」は完了、「けれ」は過去の助動詞「けり」の已然形。已然形+「ば」で「〜たので・〜たところ」

問21 その跡が大きな堀であった(=大きな堀になっていた)ので、(人々は)「堀池の僧正」と言った。
└ 「堀にてあり」=「堀である」。「ぞ〜ける」の係り結びは訳では強めて読むだけでよい

E 内容・記述

問22 良覚僧正の住まいである僧坊のそばに、大きな榎の木があったから。
└ あだ名はいつも「僧坊のまわりにある目印」からつけられている

問23 一つ目=榎の木を切ったこと(本文は「切られにけり」。「られ」は尊敬なので、訳に出すなら「お切りになった」)。二つ目=それでも残った切り株を掘り捨てたこと。
└ あだ名のもとになっている物を、そのつど消そうとしている

問24 切り株を掘った跡が大きな堀になり、そのために「堀池の僧正」という新しいあだ名がついてしまった。
└ ★消そうとした行動そのものが、次のあだ名のもとを作ってしまっている

問25 あだ名を消そうとむきになるほど、かえって新しいあだ名が生まれてしまう点。(三十六字)
└ 木→切り株→堀と、消した跡がそのまま次の名のもとになる。短気な人のこっけいさを描いている

F 文学史(本文全体をふまえて答える)

問26 作者=兼好法師(卜部兼好。「吉田兼好」とも呼ばれる)/鎌倉時代の末ごろ(十四世紀前半)に成立したとされる。
└ 序段と第一段〜第二百四十三段からなる随筆。この話は第四十五段にあたる

問27 日本の三大随筆と呼ばれる。もう一つは『方丈記』で、作者は鴨長明。
└ 『枕草子』=清少納言、『方丈記』=鴨長明、『徒然草』=兼好法師。この三点セットは頻出

問28 つれづれなるままに(このあと「日暮らし、硯にむかひて…」と続く)。
└ 「つれづれ」=することがなく手持ちぶさたなこと。書名もここから来ている

【テスト直前チェック】この三つ
⑪「られ」は受身ではなく尊敬。木を切ったのは良覚僧正自身で、他から動作を受けてはいません。「お切りになった」と訳し、作者から僧正への敬意と答える。
「ぞ」の結びは連体形。⑮「とぞ言ひける」は過去の「けり」が連体形「ける」で結ばれた係り結び。終止形「けり」と書くとバツ。
記述の答えは「むきになるほど新しいあだ名がつく」。⑨榎の木→⑫きりくひ→⑮堀池と移る順を、木・切り株・堀とセットで押さえる。

現代語訳(全文)

公世の二位の兄弟(兄)で、良覚僧正と申し上げた方は、たいそう怒りっぽい人であった。(その僧正の)住まいの僧坊のそばに、大きな榎の木があったので、人々は(僧正のことを)「榎の木の僧正」と言っていた。(僧正は)「この名は、ふさわしくない」と言って、その木をお切りになってしまった。(すると)その切り株が残っていたので、(人々は)「きりくひの僧正」と言った。(僧正は)ますます腹を立てて、切り株を掘り捨ててしまったところ、その跡が大きな堀であった(=大きな堀になっていた)ので、(人々は)「堀池の僧正」と言った。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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