「塞翁(さいおう)が馬」は、人生の幸福と不幸は予測できず、めまぐるしく入れ替わるものだ、という意味の故事成語です。出典は前漢の思想書『淮南子(えなんじ)』人間訓で、定期テストでは「何遽(なん)ぞ……乎」という反語の句法、書き下し文、そして故事の幸・不幸が交互に連鎖していく流れの読み取りが頻出ポイントです。次の文章を読み、後の問いに答えよ。
白文(原文)
【白文】
塞上(さいじやう)に近きの人に、①術を善(よ)くする者有り。馬②故(ゆゑ)無くして③亡(に)げて胡(こ)に入る。人皆之を④弔(とむら)ふ。其の父曰はく、「此(こ)れ⑤何遽(なん)ぞ福と為(な)らざらんや。」と。⑥居(を)ること数月、其の馬胡の駿馬(しゆんめ)を⑦将(ひき)ゐて帰る。人皆之を⑧賀(が)す。其の父曰はく、「此れ⑨何遽ぞ禍(わざはひ)と為る能(あた)はざらんや。」と。⑩家良馬に富む。其の子騎(き)を好み、⑪堕(お)ちて其の髀(ひ)を折る。人皆之を弔ふ。其の父曰はく、「此れ何遽ぞ福と為らざらんや。」と。居ること一年、胡人大いに塞に入る。⑫丁壮(ていさう)なる者弦(つる)を引きて戦ふ。塞に近きの人、⑬死する者十に九なり。此れ⑭独り跛(は)の故を以て、⑮父子相(あひ)保(たも)てり。 語注 塞上=国境のとりでのあたり。胡=北方の異民族(の土地)。髀=ももの骨。丁壮=働き盛りの男子。跛=足が不自由なこと。 読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。25問・解答と現代語訳つきです。 使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。 A 語句と読み B 句法 C だれの動作か D 口語訳 E 内容・記述 F 文学史 [広告・PR] 「何遽ぞ〜んや」の反語が、どうしても訳せないという人へ 句法は、文字だけだとどうしても入りにくいところです。声と板書で一度通して聞くと、驚くほどあっさり片づくことがあります。誰でも古典塾は「読んで覚える」無料テキスト専門で動画授業がないので、そこはスタディサプリ(古文・漢文=岡本梨奈先生)が相棒になります。 A 語句と読み 問1 占いや道術にすぐれた人(=塞翁) 問2 これといった理由もなく 問3 にげて/逃げる 問4 見舞う。なぐさめる 問5 数か月たって 問6 ひきゐて/引き連れて 問7 祝う B 句法 問8 反語 問9 不可能(〜できない) 問10 よい出来事にも悪い出来事にも同じ理屈をあて、目先の幸・不幸で決めつけていない C だれの動作か 問11 近所の人々 問12 近所の人々 問13 塞翁(術を善くする者)と、その子 D 口語訳 問14 これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるにちがいない。 問15 これがどうして禍とならないことがあろうか、いや、禍となるかもしれない。 問16 (その子は馬から)落ちて、そのももの骨を折ってしまった。 問17 働き盛りの男たちは、弓の弦を引いて戦った。 E 内容・記述 問18 駿馬が増えて、家がよい馬をたくさん持つ豊かな状態になったこと。 問19 財産である馬が逃げてしまったから。(十七字) 問20 逃げた馬がすぐれた馬を連れて帰ったから。(十九字) 問21 とりでの近くに住む人のうち、十人に九人までが戦死したということ。「十九」は十分の九=大多数の意。 問22 子が落馬で足を悪くしていたため兵役をまぬかれ、父もそばに残れたから。(三十三字) 問23 馬が逃げる(不幸)→駿馬を連れ帰る(幸)→子が落馬して骨を折る(不幸)→兵役をまぬかれ生き残る(幸)。(五十一字) F 文学史 問24 『淮南子(えなんじ)』〔人間訓〕 問25 イ(世の中) 【テスト直前チェック】この三つ とりでの近くに住む人に、占いや道術にすぐれた者がいた。その馬がこれといった理由もなく逃げて、北方の異民族の地に入ってしまった。人々は皆これを見舞った。その老人が言うには、「これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるにちがいない。」 ※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。書き下し文(傍線①〜⑮)
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設問
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解答と解説
▼ 解答・解説を見る
└ ×「死ぬ」。「亡」は逃亡の亡
└ ×「葬式をする」
└ 「居る」=時が経過する
└ 「何遽ぞ〜んや」=どうして〜だろうか、いや〜ない
└ 反語と重なって二重になっている
└ 「じんかん」と読む
❶読み=亡(にげて/×死ぬ)・将ゐて(ひきゐて)・弔ふ(見舞う/×葬式)。
❷反語「何遽ぞ〜んや」が三度くり返される。これが「幸か不幸かは決めつけられない」という主題そのもの。
❸幸と不幸の入れかわり4段を順に言えるようにする。記述で必ず出ます。現代語訳(全文)
数か月たって、その馬は異民族のすぐれた馬を引き連れて帰ってきた。人々は皆これを祝った。老人が言うには、「これがどうして禍とならないことがあろうか、いや、禍となるかもしれない。」
家はよい馬に富むようになった。その子は乗馬を好み、落ちてももの骨を折ってしまった。人々は皆これを見舞った。老人が言うには、「これがどうして福とならないことがあろうか、いや、きっと福となるにちがいない。」
一年たって、異民族が大挙してとりでに攻め込んできた。働き盛りの男たちは弓の弦を引いて戦った。とりでの近くに住む人で、死んだ者は十人のうち九人にのぼった。この親子だけは、足が不自由であったという理由で、父子ともに無事でいられた。あわせて読みたい



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