故事成語「杞憂」確認テスト(列子)|定期テスト対策|誰でも古典塾

杞憂|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

「杞憂(きゆう)」は、無用の心配・取り越し苦労を意味する故事成語で、出典は『列子』天瑞篇です。杞(き)の国の人が「天が崩れ落ち、地が崩れたら身の置き所がなくなる」と心配して寝食も忘れてしまった、という話に由来します。定期テストでは「杞」の国名、「天地崩墜(ほうつい)」という心配の内容、そして「杞憂=無用の心配」という成語の意味が頻出です。次の文章を読み、後の問いに答えよ。

📥 PDFダウンロード(無料・印刷OK)
問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全21問)✅ 解答・解説編PDF

本文

【白文】

杞国有人、憂天地崩墜、身亡一レ寄、廃寝食
又有彼之所一レ憂者、因往暁之、曰、
天、積気耳。亡処亡一レ。若屈伸呼吸、終日在天中行止。奈何憂崩墜。」
其人曰、「天果積気、日月星宿、不墜邪。」
之者曰、「日月星宿、亦積気中之有光耀者。只使墜、亦不中傷。」
其人曰、「奈地壊何。」
暁者曰、「地、積塊耳。充‐塞四虚、亡処亡塊。若躇歩跐蹈、終日在地上行止。奈何憂其壊。」
其人舎然大喜。暁之者亦舎然大喜。

【書き下し文】
杞国に人有り、天地の崩墜(ほうつい)して、身の寄する所亡(な)きを憂へ、寝食を廃する者あり。
又た彼の憂ふる所を憂ふる者有り、因りて往きて之を暁(さと)して曰はく、
「天は、積気のみ。処として気亡きは亡し。若(なんぢ)の屈伸呼吸するがごとき、終日天中に在りて行止す。奈何(いかん)ぞ崩墜を憂へんや。」と。
其の人曰はく、「天、果たして積気ならば、日月星宿、当に墜つべからざらんや。」と。
之を暁す者曰はく、「日月星宿も、亦た積気の中の光耀(くわうえう)有る者なり。只(た)だ墜つるとも、亦た中傷する所有る能はず。」と。
其の人曰はく、「地の壊(やぶ)るるを奈何(いかん)せん。」と。
暁す者曰はく、「地は、積塊のみ。四虚に充塞し、処として塊(つちくれ)亡きは亡し。若の躇歩跐蹈(ちよほしたう)するがごとき、終日地上に在りて行止す。奈何ぞ其の壊るるを憂へん。」と。
其の人舎然(しやくぜん)として大いに喜び、之を暁す者も亦た舎然として大いに喜べり。

【注】
・杞国…周代の小国。
・崩墜…崩れ落ちること。
・身の寄する所亡し…身を置く場所がなくなる。
・廃寝食…寝ることも食べることもやめてしまう。
・暁す…道理を説いて分からせる。さとす。
・積気…気の積み重なったもの。
・若…なんじ。あなた。
・屈伸呼吸…体を曲げ伸ばししたり息をしたりすること。
・行止…動いたり止まったりして暮らす。
・奈何…どうして。なんとして。
・日月星宿…太陽・月・星々。
・光耀…光り輝くもの。
・中傷…当たって傷つける。
・積塊…土くれの積み重なったもの。
・四虚…四方のあらゆる空間。
・充塞…すきまなく満ちふさがる。
・躇歩跐蹈…歩いたり踏みつけたりすること。
・舎然…わだかまりが解けてすっきりするさま。

設問

  1. 傍線部①「杞国有人、憂天地崩墜、身亡所寄、廃寝食者」を書き下し文に改めよ。
  2. 傍線部②「天、積気耳。亡処亡気」を書き下し文に改めよ。
  3. 傍線部②「亡処亡気」の「亡」と同じ意味・用法のものを、本文中からもう一つ抜き出せ。
  4. 傍線部③「奈何憂崩墜乎」を書き下し文に改めよ。
  5. 「奈何憂崩墜乎」「奈地壊何」に共通して用いられている、疑問・反語を表す句法を何というか。「奈何(いかん)」の形をふまえて説明せよ。
  6. 「只使墜、亦不能有所中傷」の「使」のはたらきとして最も適当なものを次から選べ。
    • ア 使役(…させる)
    • イ 仮定(たとえ…としても)
    • ウ 命令(…せよ)
    • エ 比較(…より)
  7. 「杞国に人有り、天地の崩墜して、身の寄する所亡きを憂へ、寝食を廃する者あり」を現代語訳せよ。
  8. 「因りて往きて之を暁して曰はく」を現代語訳せよ。
  9. 杞の国の人を「暁す者」は、「天」とはどのようなものだと説明しているか。本文に即して答えよ。
  10. 「暁す者」は、もし日月星宿が落ちてきたとしてもどうなると言っているか。本文に即して答えよ。
  11. 「暁す者」は、「地」とはどのようなものだと説明しているか。本文に即して答えよ。
  12. 「奈何ぞ崩墜を憂へんや」を現代語訳せよ。
  13. 「其の人舎然として大いに喜び」を現代語訳せよ。
  14. 次の語の本文中での意味を答えよ。
    • (1) 崩墜
    • (2) 廃寝食
    • (3) 暁(之を暁す、の「暁」)
    • (4) 若(屈伸呼吸、の前の「若」)
    • (5) 舎然
  15. 杞の国の人は、何を心配して寝食もやめてしまったのか。本文に即して説明せよ。
  16. 杞の国の人が次に心配したことは何か。本文の語句を用いて答えよ。
  17. 本文の結末で、杞の国の人と暁す者は最終的にどうなったか。書きなさい。
  18. 故事成語「杞憂」の意味を答えよ。
  19. 「杞憂」の出典となった書物の名を答えよ。また、それは何という思想(学派)に分類される書物か答えよ。
  20. この話から導かれる教訓として最も適当なものを次から選べ。
    • ア 起こるはずのない事をあれこれ心配するのは無益である。
    • イ 天変地異には日頃から備えておくべきである。
    • ウ 人の心配事は他人にはわからないものである。
    • エ 学問を究めれば自然の理がすべてわかる。
  21. 「杞憂」を使った短文を一つ作りなさい。(成語の意味が正しく伝わるように用いること)
▼ 解答・解説を見る

問1 杞国に人有り、天地の崩墜して、身の寄する所亡きを憂へ、寝食を廃する者あり。/「亡」は「無」に同じで「~が無い」の意。「廃寝食」は「寝食を廃す」と読む。

問2 天は、積気のみ。処として気亡きは亡し。/「耳」は「のみ」と読み限定(~だけだ)を表す。「亡処亡気」は「気の無い場所は無い(どこにでも気がある)」の意。

問3 「身亡所寄(身の寄する所亡し)」の「亡」。〔いずれも「無」に同じで「~が無い」の意。「亡処亡塊」の「亡」も可〕

問4 奈何ぞ崩墜を憂へんや。/「奈何」+「~んや」で反語。どうして…か、いや…ない。

問5 疑問・反語を表す句法で、「奈何(いかん)」という。「奈何」は「どうして…か」「…をどうしよう(か)」の意を表し、「奈~何」のように間に語を挟む形(奈地壊何=地の壊るるを奈何せん)でも用いられる。

問6 イ(仮定。「たとえ落ちてきたとしても」の意。「只使…」で「たとえ…としても」と訳す。)

問7 杞の国に、天地が崩れ落ちて、自分の身を置く場所が無くなることを心配し、寝ることも食べることもやめてしまう者がいた。

問8 そこで(その人のところへ)出かけて行って、その人に道理を説いてさとして言うことには。

問9 天は気が積み重なってできたものにすぎず、気の無い所など無い(どこにでも気がある)。だから一日中その天(気)の中で体を動かして暮らしているのであり、崩れ落ちる心配などないと説明している。

問10 日月星宿も気の中で光り輝くものにすぎないので、たとえ落ちてきたとしても、人に当たって傷つけることはできない(害はない)と言っている。

問11 地は土くれが積み重なってできたものにすぎず、四方の空間にすきまなく満ちていて、土くれの無い所など無い。だから一日中その地の上で体を動かして暮らしているのであり、壊れる心配などないと説明している。

問12 どうして(天が)崩れ落ちることを心配するのか、いや、心配する必要はない。

問13 その(杞の国の)人は、わだかまりが解けてすっきりとし、大いに喜んで。

問14 (1)崩れ落ちること。 (2)寝ることと食べることをやめてしまうこと。 (3)道理を説いて分からせること。さとすこと。 (4)なんじ。あなた(の意の二人称)。 (5)わだかまりが解けてすっきりするさま。

問15 天や地が崩れ落ちて、自分の身を置く場所が無くなってしまうのではないか、ということを心配した。

問16 地が壊れる(崩れる)こと。〔「地の壊るるを奈何せん」〕

問17 二人とも(杞の国の人も、さとした者も)わだかまりが解けてすっきりとし、大いに喜んだ。

問18 無用の心配。取り越し苦労。起こるはずのないことをあれこれ心配すること。

問19 出典=『列子』。学派=道家(老荘思想)に分類される。

問20 ア(起こるはずのない事をあれこれ心配するのは無益であるという、まさに「杞憂」の教訓。)

問21 (例)明日の遠足が雨になるのではと一週間も気に病んでいたが、当日は快晴で、まったくの杞憂に終わった。

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました