『平家物語』宇治川の先陣 定期テスト対策問題|文法・内容の頻出設問と解答

定期テスト対策

『平家物語』巻第九「宇治川の先陣」は、木曾義仲討伐の折、佐々木高綱と梶原景季が名馬に乗って先陣(一番乗り)を争う場面。高綱が「腹帯がゆるんでいる」と嘘をついて出し抜く駆け引きと、係り結び・敬語の方向・武者の名乗りが定番の出題ポイントです。

本文

【馬の描写】
佐々木四郎が給はつたりける御馬は、黒栗毛なる馬の、きはめてふとうたくましいが、馬をも人をもあたりをはらつてくひければ、いけずきとぞ付けられたる。

【腹帯の駆け引き】
佐々木四郎、「この川は西国一の大河ぞや。腹帯ののびて見えさうは。締め給へ。」と言はれて、梶原、さもあるらんとや思ひけん、左右の鐙を踏みすかし、手綱を馬のゆがみに捨て、腹帯を解いてぞ締めたりける。

【先陣を出し抜く】
そのまに佐々木はつつと馳せ抜いて、川へざつとぞうち入れたる。梶原たばかられぬとや思ひけん、やがて続いてうち入れたり。

【宇治川渡河】
佐々木、太刀を抜いて、馬の足にかかりける大綱どもをふつふつと打ち切り打ち切り、生食といふ世一の馬には乗つたりけり、宇治川はやしといへども、一文字にざつと渡いて向かひの岸にぞうち上げたる。

【名乗り】
あぶみふんばり立ち上がり、大音声を上げて名のりけるは、「宇多天皇より九代の後胤、佐々木三郎秀義が四男、佐々木四郎高綱、宇治川の先陣ぞや。我と思はん人々は高綱に組めや。」とて、をめいてかく。

問題

  1. 傍線部「くひければ」を現代仮名遣いに直し、意味も答えなさい。
  2. 傍線部「給はつたりける」の敬語について、種類と誰から誰への敬意かを答えなさい。
  3. 傍線部「腹帯ののびて見えさうは。締め給へ」と佐々木高綱が言った意図を説明しなさい。
  4. 傍線部「さもあるらん」の意味を答え、この時の梶原景季の心情を説明しなさい。
  5. 傍線部「たばかられぬ」を口語訳し、文法的に説明しなさい。
  6. 傍線部「はやしといへども」を現代語訳しなさい。また「一文字に」とはどのような渡り方か説明しなさい。
  7. 傍線部「宇治川の先陣ぞや」の「ぞや」について、文末での文法的なはたらきを説明しなさい。
  8. この場面で高綱が先陣をとれた最大の要因は何か。本文に即して説明しなさい。

解答・解説

問1の解答

読み=くいければ/意味=(馬・人を)かみついたので。「くふ(食ふ)」の連用形+過去「けり」の已然形+「ば」。この荒々しさが名馬「いけずき(生食)」の名の由来。

問2の解答

謙譲語「賜はる(いただく)」。作者から、馬を与えた主君(頼朝)への敬意。馬を「いただいた」高綱側をへりくだらせ、下賜した頼朝を高める。

問3の解答

梶原に「馬の腹帯がゆるんで見えるから締め直せ」と嘘をつき、締め直しに手間取るすきに自分が先に川へ乗り入れて先陣を取ろうとする策略(たばかり)。実際に高綱はこの間に馳せ抜ける。

問4の解答

意味=「そうでもあろう(本当にそうかもしれない)」。高綱の言葉を真に受け、腹帯がゆるんでいるのだろうと信じ込んで疑わずに締め直そうとしている心情。「らん(らむ)」は現在推量の助動詞。

問5の解答

訳=「だまされた」。「たばかる(だます・策略にかける)」の未然形+受身の助動詞「る」の連用形+完了「ぬ」の終止形。高綱の嘘に乗せられたと梶原が悟った場面。

問6の解答

訳=「(流れが)速いといっても」。「一文字に」=流されず、まっすぐ横一直線に。名馬いけずきに乗る高綱は流れに押されず対岸へ渡りきったが、対照的に磨墨(するすみ)の梶原は下流へ押し流された。

問7の解答

「ぞや」は文末の連語で、終助詞「ぞ」(断定・強調=〜であるぞ)に間投助詞「や」(詠嘆)が付いた形。ここは「ぞ」を受けて結ぶ活用語(連体形の結び)が後に続かないため係り結びではなく、文末で断定・強調しつつ言い切る用法。武者が名を高らかに宣言する定型表現。

問8の解答

(1)名馬いけずきの力で急流を一文字に渡りきったこと、(2)腹帯がゆるんでいると偽って梶原を出し抜いた機転(たばかり)。武勇だけでなく知略で先陣を勝ち取った点が主題。

👉 本文の現代語訳・語句・文法のくわしい解説は 解説記事 で確認できます。

📗 参考書・問題集で対策するなら|塾長が古文・漢文の市販教材を目的別に正直レビューしています。目的別おすすめを見る →

[広告・PR]

動画で授業を受けたい人へ

誰でも古典塾は「読んで覚える」無料テキスト専門で、動画授業はありません。「文字だけだと入りにくい」「授業を聞いて理解したい」人は、動画授業のスタディサプリ(古文・漢文=岡本梨奈先生)が相棒になります。

▶ スタディサプリを見てみる

コメント

タイトルとURLをコピーしました