漢文『矛盾』定期テスト対策問題|書き下し・現代語訳・句法の頻出設問と解答

矛盾|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

矛盾」は、つじつまの合わないことを指す言葉として日常でもよく使われますが、もとは中国の思想書『韓非子』に出てくる故事です。盾と矛を売る商人が、自分の商品を売り込もうとして、思わず言いすぎてしまう――その一言が、自分で自分の言葉を打ち消す結果になってしまいます。短い話の中に「自己矛盾」のおもしろさが詰まった、定期テストでも頻出の作品です。物語の背景や故事成語のなりたちをもう少しやさしく知りたい人は、漢文の故事成語のやさしい解説もあわせて読んでみてください。

📥 PDFダウンロード(無料・印刷OK)
問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全22問)✅ 解答・解説編PDF

本文

【白文(訓点)】

楚人有ひさ盾與矛
之曰、「吾盾之堅、能陷。」
又譽其矛曰、「吾矛之利、物無陷也。」
或曰、「以子之矛、陷子之盾何如。」
其人應也

【書き下し文】

楚人に盾と矛とをひさぐ者あり。
之を誉めて曰はく、「吾が盾の堅きこと、能く陥すものきなり。」と。
又其の矛を誉めて曰はく、「吾が矛の利きこと、物に於いて陥さざる無きなり。」と。
或るひと曰はく、「子の矛を以て、子の盾を陥さば、何如。」と。
其の人応ふること能はざるなり。

設問

  1. 傍線部①「鬻」について、次の小問に答えなさい。
    • (1) 「鬻」の読み(送り仮名を含む)をひらがなで答えなさい。
    • (2) 「鬻」の意味を答えなさい。
  2. 傍線部②「莫能陷也」について、次の小問に答えなさい。
    • (1) ここで用いられている句法の種類(何を表すか)を答えなさい。
    • (2) 「莫」「能」の読みをそれぞれひらがなで答えなさい。
  3. 傍線部③「於物無不陷也」について、次の小問に答えなさい。
    • (1) 「無不」は二重否定の句法です。これがどのような意味を強めているか、簡単に説明しなさい。
    • (2) 「於物無不陷也」を書き下し文に直しなさい。
  4. 「或曰」の「或」の読みと、ここでの意味を答えなさい。
  5. 「以子之矛、陷子之盾」を現代語訳しなさい。なお「子」が誰を指すかがわかるように訳すこと。
  6. 傍線部④「何如」について、次の小問に答えなさい。
    • (1) 「何如」の読みをひらがなで答えなさい。
    • (2) 「何如」はどのような種類の表現か(何を表すか)を答えなさい。
    • (3) 「以子之矛、陷子之盾、何如」を現代語訳しなさい。
  7. 傍線部⑤「弗能應也」について、次の小問に答えなさい。
    • (1) 「弗(…ず)」と「能(よく)」が組み合わさって、ここではどのような意味(句法)を表しているか答えなさい。
    • (2) 「其人弗能應也」を書き下し文に直しなさい。
  8. 商人が「応ふること能はざるなり(答えることができなかった)」のはなぜか。本文に即して、その理由をわかりやすく説明しなさい。
  9. 本文中の「楚人有鬻盾與矛者」を書き下し文に直しなさい。
  10. 「楚人有鬻盾與矛者」を現代語訳しなさい。
  11. 「吾盾之堅、莫能陷也」を書き下し文に直しなさい。
  12. 「吾盾之堅、莫能陷也」を現代語訳しなさい。
  13. 本文中の「陷」の読み(送り仮名を含む)と意味を答えなさい。
  14. 「吾矛之利、於物無不陷也」を現代語訳しなさい。
  15. 本文中の「譽(誉)」の読み(送り仮名を含む)と意味を答えなさい。
  16. 「其人弗能應也」を現代語訳しなさい。
  17. この話で、商人の言葉の「どこ」と「どこ」が食い違っているか。二つの主張を取り出して、対比がわかるように書きなさい。
  18. 故事成語「矛盾」の意味を答えなさい。また、この故事から得られる教訓を一つ、自分の言葉で書きなさい。
  19. 次の文の空欄に「矛盾」を入れて使うとき、正しい使い方になっている文を考え、「矛盾」を用いた短文を一つ作りなさい。
  20. この話の出典である『韓非子』について、次の小問に答えなさい。
    • (1) 『韓非子』の中心となった思想(学派)の名を答えなさい。
    • (2) その学派が重んじた考え方を、簡単に一言で説明しなさい。
  21. 『韓非子』の著者とされる人物名を答えなさい。また、その人物が生きたのはおおよそどの時代か(次から選びなさい:春秋時代の初め/戦国時代の末/後漢の時代)。
  22. 「矛盾」と同じように、漢文の故事成語からできた言葉を、本文の「矛盾」以外に一つ挙げなさい。
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)

問1
(1) ひさ(ぐ)
(2) 売る。(商品として売り出す、の意味。)

問2
(1) 否定(「〜するものがない」という打ち消しを表す。ここでは「貫けるものは何もない」という強い否定。)
(2) 莫…なし(なき)/能…よく

問3
(1) 「無(なし)」と「不(ず)」が重なった二重否定で、「〜しないものはない」、つまり「すべて〜する」という強い肯定の意味を表す。ここでは「貫けない物など一つもない=どんな物でも貫く」と、矛の鋭さを最大限に強めている。
(2) 物に於いて陥さざる無きなり。

問4
読み:ある(ひと)/意味:あるひと。(その場に居合わせた、名前の知れない誰か。)

問5
あなたの矛で、あなたの盾を突いたら。
※「子」は相手を指す言葉で、「あなた・きみ」の意味。ここでは商人を指します。

問6
(1) いかん
(2) 疑問(相手に「どうなるか」を問いかける表現)。
(3) あなたの矛で、あなたの盾を突いたら、どうなるのか。

問7
(1) 「能(よく)=〜できる」を「弗(ず)=打ち消し」で否定しているので、「〜することができない」という不可能(不可能を表す否定)の意味になる。
(2) 其の人応ふること能はざるなり。

問8
先に「私の盾はどんな矛でも突き通せない(絶対に貫けない)」と言い、あとで「私の矛はどんな物でも突き通す(必ず貫ける)」と言ったため、「その矛でその盾を突いたらどうなるか」と問われると、どちらを認めても自分の前の発言を打ち消すことになり、答えようがなかったから。

問9
楚人に盾と矛とを鬻ぐ者あり。
※「有〜者」は「〜する者あり(〜する人がいる)」と読みます。

問10
楚の国の人で、盾と矛とを売る者がいた。

問11
吾が盾の堅きこと、能く陥すもの莫きなり。

問12
私の盾の堅いことといったら、(これを)突き通せるものは何もない。

問13
読み:とほ(す)/意味:突き通す。貫く。(盾や矛などで物をつらぬくこと。)

問14
私の矛の鋭いことといったら、どんな物でも突き通さないものはない(=何でも貫く)。

問15
読み:ほ(めて)/意味:ほめる。(ここでは自分の商品をほめあげて売り込むこと。)

問16
その商人は(問いに)答えることができなかった。

問17
・盾について:「どんな矛でも、この盾を突き通すことはできない」
・矛について:「この矛は、どんな物でも突き通す」
この二つは、同じ商人が同時に言っているのに両立しない(一方が正しければもう一方が成り立たない)。※この食い違いが「自己矛盾」です。

問18
意味:二つの物事のつじつまが合わないこと。前に言ったことと後に言ったことが食い違っていること。
教訓(例):物事を大げさに言いすぎると、かえって自分の言葉どうしが食い違って信用を失うことがある。発言する前に、前後でつじつまが合っているかを確かめることが大切だ。(自分の言葉で書けていれば正解。)

問19
(例)彼の話は、昨日の説明と今日の説明とで矛盾している。/(例)規則を守れと言いながら自分は破るのは矛盾だ。――「前後で食い違う」意味で使えていれば正解。

問20
(1) 法家(ほうか)
(2) 国を治めるには、人の情けや道徳に頼るのではなく、はっきりとした「法(きまり)」と「罰」によってきびしく治めるべきだ、という考え方。

問21
人物名:韓非(かんぴ)。
時代:戦国時代の末。

問22
(例)漁夫の利/五十歩百歩/蛇足/推敲/杞憂/助長 など。(漢文の故事からできた言葉が一つ挙げられていれば正解。)

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は中国古典の原文(著作権の対象外)を用いています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました