助動詞「なり・たり」確認テスト(断定)|定期テスト対策|誰でも古典塾

なり・たり|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

断定の助動詞「なり」「たり」は、いずれも「〜だ・〜である」と訳します。「なり」は体言・連体形に接続し(「に+あり」が縮まった語)、「たり」は体言に接続します(「と+あり」が縮まった語で、「主たり」「将軍たり」のように漢文訓読調の文章で身分・資格を表す体言に付くことが多い)。どちらもラ変型に活用します。

注意したいのは識別です。「なり」には断定のほかに、音や伝え聞いた内容をもとにする推定・伝聞の「なり」(終止形=ラ変は連体形に接続)や、「〜にある」と場所・存在を表す用法があります。「たり」にも、断定とは別に完了・存続の「たり」(連用形に接続)があります。接続する語の形を手がかりに見分けましょう。次の各例文を読み、後の問いに答えよ。

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本文

① これは、なくてはならぬ物なり
② 国王の仰せごと、背くべきにあらず。これは王の御使ひなり
③ 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。(『土佐日記』)
④ 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
⑤ あなたの山に、僧こそあなれ。(人の話す声から、そこに僧がいるらしいと推し量る場面)
⑥ 君は今ぞ天下の主たり。よく国を治めたまへ。
⑦ 堂々たる軍勢、野を埋めて進みけり。
⑧ この所、昔は都なりき。今は野となれり。
⑨ 舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして旅をすみかとす
⑩ 月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり。(『おくの細道』)
⑪ 人の語るを聞けば、唐土には不思議のこと多かなり
⑫ われは関白の子たりしが、世を捨てて山に入りぬ。
⑬ 谷の底に水の流るる音なり。耳を澄ませばよく聞こゆ。
⑭ この城、国の要害たり。攻むとも容易には落ちじ。
⑮ 竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さぬきのみやつことなむいひける。(『竹取物語』)
⑯ かの大納言、いづれの船にか乗らべき。

※①②⑦⑧⑨⑩⑪⑬⑭⑮⑯は学習用のオリジナル例文です(③は『竹取物語』、④は『土佐日記』、⑫は『おくの細道』からの引用)。

設問

  1. ①の「なり」の文法的意味を答えよ。
  2. ②の「なり」の直前の語「御使ひ」は何という品詞か。これによって、ここでの「なり」は断定か推定・伝聞か、いずれと判断できるか答えよ。
  3. ③「するなり」の「なり」について、次の小問に答えよ。
    • (1) 直前の「する」の活用形を答えよ。
    • (2) この「なり」の文法的意味を答えよ。
  4. ⑤「あなれ」を単語に分け、もとの形(終止形)にもどして示せ。また、この「なり」の文法的意味を答えよ。
  5. ⑤の「なり」は、直前のラ変動詞「あり」のどの活用形に接続しているか。撥音便を考慮して答えよ。
  6. ⑥「主たり」の「たり」の文法的意味を答えよ。
  7. ⑥「たり」の直前の語「主」は体言である。この事実は、ここでの「たり」が断定であることの根拠となるか、ならないか。理由とともに答えよ。
  8. ⑦「堂々たる」は、学校文法では一語で何という品詞・活用に分類されるか。活用形とあわせて答えよ。
  9. ⑧「都なりき」の「なり」の文法的意味と活用形を答えよ。
  10. ⑧「昔は都なりき」を現代語訳せよ。
  11. ⑩「旅人なり」の「なり」の文法的意味を答えよ。また、直前の「旅人」の品詞を答えよ。
  12. ⑪「多かなり」の「なり」の文法的意味を答えよ。また、そう判断できる根拠を、接続の面から簡潔に述べよ。
  13. ⑫「子たりし」の「たり」と、その下の「し」について、次に答えよ。
    • (1) 「たり」の文法的意味を答えよ。
    • (2) 「たり」の活用形を答えよ。
  14. ⑬「音なり」の「なり」は断定・存在・推定伝聞のいずれか。文脈をふまえて答えよ。
  15. ⑭「要害たり」の「たり」の文法的意味を答えよ。また、断定の「たり」はどのような文章・どのような語に付きやすいか、簡潔に述べよ。
  16. ⑨「すみかとす」の「と」と、⑬「音なり」の「なり」を比べる。断定の助動詞「なり」が「に+あり」から生じたのに対し、「たり」は何+「あり」から生じたか。⑨の「と」と関連づけて答えよ。
  17. 次の各文の「なり」について、断定であれば「断」、推定・伝聞であれば「推」と答えよ。
    • (1) ①「ならぬ物なり」
    • (2) ⑤「僧こそあなれ」
    • (3) ⑪「多かなり」
    • (4) ⑩「旅人なり」
  18. 断定「なり」と推定・伝聞「なり」は、活用語に接続する場合、接続する活用形が異なる。それぞれどの活用形に接続するか答えよ。
  19. ④「おどろかれぬる」の「ぬる」、⑫「子たりし」の「たり」について、これらは断定の助動詞か。違う場合はそれぞれ何の助動詞か答えよ。
  20. 次の傍線部を現代語訳せよ。
    • (1) ⑩「行きかふ年もまた旅人なり
    • (2) ⑥「君は今ぞ天下の主たり
  21. 断定の「なり」「たり」は、どちらも「ある語+あり」が縮まって成立した。なぜラ変型に活用するのか、その理由を成り立ちの面から説明せよ。(記述)
  22. 「なり」が断定か推定・伝聞かは、しばしば直前の語の形で見分ける。終止形(ラ変は連体形)に接続していれば推定・伝聞、連体形・体言に接続していれば断定と判断できる理由を、両者の成り立ち・性質の違いにふれて説明せよ。(記述)
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問1 断定。「物(体言)+なり」で「〜である」の意。「なくてはならぬ物である」。

問2 「御使ひ」は名詞(体言)。体言に接続しているので、ここでの「なり」は断定と判断できる。推定・伝聞の「なり」は終止形(ラ変は連体形)に接続するため、体言の下に来る「なり」は断定である。

問3 (1) 連体形(サ変動詞「す」の連体形「する」)。 (2) 断定。連体形に接続し、「(女も)するのである」の意。なお有名な「男もすなる日記」の「すなる」は終止形「す」+伝聞「なり」だが、設問の「するなり」は連体形接続で断定。両者の対比に注意。

問4 「あ/なれ」と分け、もとの形は「あり(ラ変動詞「あり」の連体形「ある」の撥音便「あん」の「ん」が表記されず「あ」となった形)+なり」。「なり」の文法的意味は推定(または伝聞)。声を聞いて「僧がいるようだ」と推し量っている。

問5 連体形。ラ変動詞「あり」の連体形「ある」が撥音便化して「あん(なり)」となり、「ん」が無表記で「あなり」となったもの。推定・伝聞の「なり」はラ変型には連体形に接続する。

問6 断定。「主(体言)+たり」で「〜である」。「今や天下の主である」。

問7 根拠となる。断定の「たり」は体言にのみ接続するので、直前が体言「主」であることは断定の根拠となる。完了の「たり」は連用形(活用語)に接続するため、体言に付く「たり」は断定と判断できる。

問8 タリ活用の形容動詞「堂々たり」の連体形。「堂々」のような畳語・状態を表す漢語に付く「たり」は、学校文法では断定の助動詞ではなく、一語のタリ活用形容動詞の一部(活用語尾)と分類するのが標準である。体言「軍勢」を修飾しているので連体形。「堂々としている軍勢が」。断定の助動詞「たり」は、⑥「主たり」のように自立した体言に付く場合をいう。

問9 文法的意味は断定、活用形は連用形。下に過去の助動詞「き」が続くので連用形「なり」。「昔は都であった」。

問10 昔は(ここは)都であった

問11 文法的意味は断定。直前の「旅人」は名詞(体言)。「行き交う年もまた旅人である」。

問12 推定(伝聞)。「多かり(形容詞「多し」のカリ活用)」の終止形「多かり」が「多かん」と撥音便化し「ん」が無表記となって「多かなり」となったもの。終止形(ラ変・カリ活用は連体形相当の語形)に接続している点が、伝聞・推定であることの根拠。人の話を聞いて「多いそうだ」の意。

問13 (1) 断定(「関白の子であった」)。 (2) 連用形。下に過去の助動詞「き」の連体形「し」が続くので連用形「たり」。

問14 断定。「(これは)谷の底で水が流れる音である」の意。「谷の底に」の「に」は連体形「流るる」にかかる格助詞で、「なり」とは結びつかない。直前が体言「音」で、文脈も「これは〜の音だ」と判断を述べているので断定。存在(「〜にある」)の用法は、「春日なる三笠の山」のように連体形「なる」で場所を示す形が中心で、ここには当たらない。(推定・伝聞ではない点も重要。)

問15 断定。「要害(体言)+たり」で「(国の)要害である」。断定の「たり」は漢文訓読調の文章で、「主たり」「将軍たり」のように身分・資格・性質を表す体言に付きやすい。なお「堂々たり」のような状態を表す語に付く「たり」は、タリ活用形容動詞の一部として区別する(問8参照)。

問16 +「あり」。断定「たり」は「と+あり」が縮まって成立した語で、⑨「旅をすみかす」の「と」と同じく、もとは格助詞「と」に「あり」が付いた形である。一方「なり」は「に+あり」から生じた。

問17 (1) 断 (2) 推 (3) 推 (4) 断

問18 断定の「なり」は連体形・体言に接続し、推定・伝聞の「なり」は終止形(ラ変型は連体形)に接続する。

問19 いずれも断定ではない。④「ぬる」は完了(強意)の助動詞「ぬ」の連体形(「おどろかれぬる」=はっと気づかれてしまう/気づかれることだ)。⑫「たり」は断定の助動詞「たり」(「関白の子であった」)。※⑫の「たり」は断定なので、ここでは「④のぬるが完了で断定ではない」ことが要点。⑫の「たり」が完了か断定かは直前が体言「子」であることから断定と判定する。

問20 (1) 行き交う年もまた旅人である。 (2) 君は今こそ天下の主である

問21 断定の「なり」は「に+あり」、「たり」は「と+あり」のように、いずれもラ変動詞「あり」を含んで成立した。活用の中心が「あり」であるため、その活用のしかたを受け継ぎ、ラ変型(ら・り・り・る・れ・れ)に活用する。

問22 断定の「なり」は「に+あり」、すなわち体言や連体形(=名詞的にとらえた内容)に「あり」を付けて「〜である」と性質・身分を述べる語なので、体言・連体形に接続する。一方、推定・伝聞の「なり」は、音や人の声・うわさといった「聞こえてくる事態」をもとに「〜ようだ・〜そうだ」と判断を述べる語で、言い切りの内容(終止形、ラ変型は連体形)を受ける。したがって、終止形(ラ変は連体形)接続なら推定・伝聞、連体形・体言接続なら断定と見分けられる。

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文の引用は古典作品(著作権の対象外)から正確に行っています。

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