春のあたたかさに、ついうとうとしてしまう――そんな朝の気分を、わずか二十字でえがいた漢詩が孟浩然(もうこうねん)の『春暁(しゅんぎょう)』です。中学校でも習う有名な作品ですが、高校の定期テストでは「五言絶句という形式」「押韻のきまり」「各句の正確な現代語訳」「疑問・否定の句法」まで、ぐっと細かく問われます。この記事では、テストで本当に出るポイントだけにしぼって、二十問以上の対策問題と、ていねいな解答・解説をのせました。まず自分で解き、答え合わせをしながら弱点をつぶしていきましょう。
解き始める前に、漢詩そのものの基本ルール(絶句と律詩のちがい、押韻や対句のきまり)があやしい人は、先にこちらで確認しておくと理解がぐっと深まります。 → 漢詩のきまり(絶句・律詩)のやさしい解説
本文
春暁 孟浩然
〔白文〕
〔書き下し文〕
春眠①暁を覚えず
処処②啼鳥を聞く
夜来③風雨の声
花落つること④知んぬ多少ぞ
※読みの確認:春暁(しゅんぎょう)/春眠(しゅんみん)/暁(あかつき)/処処(しょしょ)/啼鳥(ていちょう)/夜来(やらい)/風雨(ふうう)。書き下しの「覚えず」は「おぼえず」と読みます。
設問
次の各問いに答えなさい。傍線部①〜④は本文中の位置を示しています。
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この詩の形式を、漢字四字で答えなさい。
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この詩の形式について、次の問いに答えなさい。
- 一句が何字で構成されているか、漢数字で答えなさい。
- 全部で何句から成るか、漢数字で答えなさい。
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この詩で押韻している漢字を、本文中からすべて抜き出しなさい。
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近体詩で、五言絶句が押韻する位置の原則を、簡潔に説明しなさい。
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第一句「春眠不覚暁」について、次の問いに答えなさい。
- この句を書き下し文に直しなさい。
- この句を現代語訳しなさい。
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傍線部①「不覚」は「覚えず」と書き下す。ここでの「覚」の意味として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。
- ア 目をさます イ 気がつく ウ 覚悟する エ 暗記する
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第二句「処処聞啼鳥」について、次の問いに答えなさい。
- この句を書き下し文に直しなさい。
- この句を現代語訳しなさい。
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傍線部②「処処」の読みと意味を答えなさい。
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「啼鳥」とはどのような意味か、答えなさい。
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第三句「夜来風雨声」について、次の問いに答えなさい。
- この句を書き下し文に直しなさい。
- この句を現代語訳しなさい。
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傍線部③「夜来」の意味として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。
- ア 夜が来るころ イ 昨夜から ウ 夜どおし未来へ エ 夜ごとに
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第四句「花落知多少」について、次の問いに答えなさい。
- この句を書き下し文に直しなさい。
- この句を現代語訳しなさい。
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傍線部④「知多少」は「知んぬ多少ぞ」と書き下す。「多少」がここで表している意味として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。
- ア 多いか少ないか イ どれほどか(数量への問いかけ) ウ 多くもなく少なくもない エ いくらか(わずかに)
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「知多少」のように、文末で疑問・詠嘆の気持ちを表す表現を何というか。次から最も適切なものを一つ選びなさい。
- ア 使役 イ 受身 ウ 疑問(反語をふくむ) エ 比較
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「春眠不覚暁」の「不」のように、下の語を打ち消す働きをもつ字を何というか。漢字二字で答えなさい。
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「不覚暁」に返り点を付けると「不」を最後に読む。「不覚暁」を読む順に従って書き下したものとして正しいものを、次から一つ選びなさい。
- ア 暁を覚えず イ 覚えず暁を ウ 暁不を覚え エ 覚え暁を不
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この詩には、起承転結の構成上「転句」にあたる句がある。それは第何句か、漢数字で答えなさい。
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この詩全体の主題(作者が表現しようとしたこと)として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。
- ア 戦乱の世をなげく気持ち
- イ 春の朝ののどかでけだるい心地と、散った花を惜しむ気持ち
- ウ ふるさとを遠くはなれた旅のさびしさ
- エ 友人との別れのつらさ
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第三句・第四句から読み取れる、作者の心情を説明しなさい。
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この詩は、目に見える景色だけでなく「耳で聞いた音」を多く詠みこんでいる点に特徴がある。詩中で「音・声」に関係する語を、本文中から二つ抜き出しなさい。
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作者の孟浩然について、次の問いに答えなさい。
- 孟浩然が活躍したのは、唐のどの時期か。最も適切なものを次から選びなさい。(ア 初唐 イ 盛唐 ウ 中唐 エ 晩唐)
- 孟浩然は、ある詩人と作風が近く「王孟」と並び称された。その詩人とは誰か、答えなさい。
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孟浩然は、どのような題材をえがいた詩人として知られているか。最も適切なものを次から一つ選びなさい。
- ア 戦場をえがく辺塞(へんさい)の詩 イ 自然や田園の風景をえがく詩 ウ 宮廷の華やかさをえがく詩 エ 酒と豪快さをうたう詩
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)
問1 五言絶句(ごごんぜっく)
〈解説〉一句が五字、全体が四句なので「五言絶句」。一句五字・八句なら五言律詩、一句七字・四句なら七言絶句となる。
問2
・一句の字数 … 五(字)
・句数 … 四(句)
〈解説〉「五言」は一句が五字であること、「絶句」は四句から成ることを表す。
問3 暁・鳥・少
〈解説〉それぞれ「ギョウ(暁)」「チョウ(鳥)」「ショウ(少)」と、響きの似た音(-yō/-ō系の韻)でそろえてある。第一句末の「暁」も韻を踏んでいる点に注意。
問4 (例)偶数句の末字で押韻する。
〈解説〉五言詩では原則として偶数句末(この詩では第二句「鳥」・第四句「少」)で韻を踏む。なお『春暁』は第一句末「暁」も韻を踏んでおり、これは初句から押韻する形である。
問5
・書き下し … 春眠暁を覚えず
・現代語訳 …(例)春の眠りは心地よく、夜が明けたことにも気づかない。
〈解説〉「春眠」は春の眠り。「不覚暁」は「暁(夜明け)を覚えず=夜明けに気づかない」。春の朝のついねむってしまう心地よさを表す。
問6 イ(気がつく)
〈解説〉ここでの「覚」は「目をさます」ではなく「気がつく・自覚する」の意。「暁を覚えず」で「夜が明けたことに気づかない」となる。
問7
・書き下し … 処処啼鳥を聞く
・現代語訳 …(例)あちらこちらで、鳥のさえずる声が聞こえてくる。
〈解説〉「処処」はあちこち。「聞啼鳥」は「啼鳥(鳴く鳥)を聞く」。目ざめたあとに耳へ届く春の気配を描く。
問8 読み … しょしょ/意味 … あちらこちら・いたるところ
〈解説〉同じ字を重ねて「あちこち」という広がりを表す。
問9 (例)鳴いている鳥。さえずる鳥(の声)。
〈解説〉「啼」は鳥や虫が鳴くこと。「啼鳥」で「鳴く鳥」、転じてその鳴き声を指す。
問10
・書き下し … 夜来風雨の声
・現代語訳 …(例)昨夜から(聞こえていた)風と雨の音よ。
〈解説〉「夜来」は「昨夜から・ゆうべ」。寝ているあいだに降っていた風雨を思い返している。
問11 イ(昨夜から)
〈解説〉「夜来」は「夜が来る」ではなく「昨夜から・ゆうべ以来」の意の熟語。ここを「夜が来る」と訳すと第四句とのつながりが崩れるので注意。
問12
・書き下し … 花落つること知んぬ多少ぞ
・現代語訳 …(例)花は、いったいどれほど散ってしまったことだろうか。
〈解説〉昨夜の風雨で散ったであろう花の量を思いやる句。「知多少」で「どれほどか(わからない)」と、数量を問いかけながら詠嘆する。
問13 イ(どれほどか〈数量への問いかけ〉)
〈解説〉ここでの「多少」は「多い少ない」ではなく「どれくらい・どれほど」という数量をたずねる言い方。「知多少」で「どれほど(散ったか)わかるだろうか=どれほど散ったことか」となる。
問14 ウ(疑問〈反語をふくむ〉)
〈解説〉「多少(いくばくぞ)」は文末で数量を問いかけ、答えを求めるというより詠嘆(〜だろうか)に近い疑問を表す。句法としては疑問の一種。
問15 否定(ひてい)
〈解説〉「不」は下の語を打ち消す否定の字。「不覚(覚えず)」のように、必ず下から返って読む。
問16 ア(暁を覚えず)
〈解説〉「不」は否定の助字で、下の「覚暁」を読んでから最後に「ず」と読む。よって「暁を覚え(て)→ず」=「暁を覚えず」の順になる。
問17 三(第三句)
〈解説〉起承転結では、第一句=起句、第二句=承句、第三句=転句、第四句=結句。第三句「夜来風雨声」で、朝の景色から一転して昨夜の風雨へと話題が転じている。
問18 イ
〈解説〉春の朝のうとうととした心地よさ(第一・二句)から、昨夜の風雨と散った花への思い(第三・四句)へと展開する。のどかさと、過ぎゆく春・散る花を惜しむ気持ちが主題。アは杜甫『春望』など、ウ・エは別作品の主題。
問19 (例)昨夜の風雨で、花がどれほど散ってしまっただろうかと思いめぐらし、過ぎゆく春や散る花を惜しむ気持ち。
〈解説〉直接「悲しい」「惜しい」とは言わず、「花落知多少」と数量を問いかける形で、花を惜しむ心をしみじみと表している点がこの詩のうまさ。
問20 啼鳥(鳥の声)・(風雨の)声 ※「啼」「声」を含む語であれば可
〈解説〉この詩は「見る」よりも「聞く」描写が中心で、鳥の声や風雨の音といった耳でとらえた春が詠まれている。これが『春暁』のさわやかさ・臨場感を生んでいる。
問21
・時期 … イ(盛唐)
・詩人 … 王維(おうい)
〈解説〉孟浩然(689〜740)は盛唐の詩人。自然・田園をうたう作風が王維と近く、二人あわせて「王孟」と呼ばれる。
問22 イ(自然や田園の風景をえがく詩)
〈解説〉孟浩然は、雄大な自然や静かな田園の風景に、人生の思いをかさねてうたう「自然詩人(田園詩人)」として知られる。『春暁』もその代表作である。
【補足・本文の異同について】第三句「夜来風雨声」は、古い詩集『文苑英華』では「欲知昨夜風(夜来の風を知らんと欲す)」という別の形で伝わっている箇所もありますが、現在の教科書・参考書では「夜来風雨声」が一般的です。テストでは教科書本文に従って答えましょう。
※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は中国古典の原文(著作権の対象外)を用いています。


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