葵 車争ひ テスト対策問題26問|源氏物語・解答つきPDF

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賀茂祭(葵祭)の御禊(ごけい)見物で、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の車と光源氏の正妻・葵の上の車が場所をめぐって争う「車争ひ」の場面は、高校の定期テストで非常によく出題されます。とくに敬語・助動詞の識別、御息所が受けた屈辱とその心情(のちの「物の怪」の伏線)が問われやすいところです。まずは本文を読んで設問に答え、最後の解答で確認しましょう。場面の流れがあいまいな人は、先に源氏物語『葵(車争ひ)』のやさしい解説に目を通しておくと理解が深まります。

本文(傍線①〜⑮)

大殿(おほとの)には、かやうの御歩(あり)きもをさをさし給はぬに、御心地(ここち)さへ悩ましければ、思しかけざりけるを、若き人々、「いでや、一人々々(ひとりひとり)して見給はむこそ、はえなからめ」など言ひて、出で立ち給ふ
日たけゆきて、儀式もわざとならぬさまにて出で給へり。隙(ひま)もなう立ちわたりたるに、よき女房車(にようばうぐるま)多くて、雑々(ざふざふ)の人なき隙を思ひ定めて、皆さし退(の)けさする中に、網代(あじろ)のすこしなれたるが、下簾(したすだれ)のさまなどよしばめるに、いたう引き入りて、ほのかなる袖口・裳(も)の裾・汗衫(かざみ)など、物の色いと清らにて、ことさらにやつれたるけはひしるく見ゆる車、二つあり。
「これは、さらに、さやうにさし退けなどすべき御車にもあらず」と、口強(くちこは)くて、手触れさせず。
……つひに御車ども立て続けつれば副車(ひとだまひ)の奥に押しやられて、物も見えず。
心やましきをばさるものにて、かかるやつれをそれと知られぬるが、いみじうねたきこと、限りなし

語注 大殿=葵の上のお邸(左大臣家)。 御歩き=お出かけ。 をさをさ〜ぬ=ほとんど〜ない。 思しかく=お考えになる。 はえなし=見ばえがしない。 日たく=日が高くなる。 儀式=格式・作法。 網代=網代車。上級貴族の乗る牛車。 下簾=牛車の簾の内側に垂らす布。 よしばむ=風情ありげである。 汗衫=女児の上着。 やつる=目立たないように質素にする。 しるし=はっきりしている。 口強し=強気に言い張る。 副車=ひとだまひ。お供の者が乗る車。 心やまし=不愉快だ。 さるものにて=それはそれとして。 ねたし=しゃくにさわる・くやしい。

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使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①の「をさをさ〜ぬ」の意味を書け。
  2. ⑤「わざとならぬさま」の意味を書け。
  3. ⑦「よしばめる」の意味を書け。
  4. ⑫「副車」と、本文中の「汗衫」「下簾」の読みを、それぞれ現代かなづかいで書け。
  5. ⑮の「ねたき」の意味を書け。
  6. ⑧の「やつれ」の意味を書け。

B 文法

  1. ①の「給は」と④の「給ふ」は、敬語の種類と、誰から誰への敬意を表すか。
  2. ②「思しかけざりける」の「ざり」は文法的に何の何形か。終止形(基本形)も書け。
  3. ③の「む」と「め」は、それぞれ何の助動詞か。係り結びの関係も説明せよ。
  4. ⑥の「さする」は文法的に何の何形か。意味も書け。
  5. ⑪「立て続けつれば」の「つれ」は文法的に何の何形か。
  6. ⑬「押しやられて」の「られ」は文法的に何の何形か。意味も書け。

C 誰の・何のことか

  1. ⑧の車に乗っていたのは誰か。また、なぜそのような様子で来ていたのかも書け。
  2. ⑨のように言い張っているのは、どちら側の人々か。⑩を手がかりに書け。
  3. ⑭の「さるもの」とは、何を指しているか。

D 口語訳

  1. ①を含む「大殿には、かやうの御歩きもをさをさし給はぬに」
  2. ③「一人々々して見給はむこそ、はえなからめ」
  3. ⑨「さし退けなどすべき御車にもあらず」を含む「これは、さらに、さやうにさし退けなどすべき御車にもあらず」
  4. ⑫・⑬を含む「副車の奥に押しやられて、物も見えず」(主語を補って訳すこと)

E 内容・記述

  1. 葵の上が、ふだんはしないこの見物に出かけることになったきっかけを、二つ書け。
  2. ⑭・⑮から、御息所にとって「行列が見えないこと」と「正体を知られたこと」のどちらがより深い痛手だったと読み取れるか。理由もつけて書け。
  3. ⑮とあるが、御息所はどのような点をくやしいと感じているのか。本文に即して書け。
  4. この場面で受けた屈辱は、のちの物語でどのような出来事につながっていくか。簡潔に書け。

F 文学史

  1. 『源氏物語』の作者名を漢字で書け。また、成立した時代を書け。
  2. 『源氏物語』が大成した、伝説や空想をもとにした物語の系譜を何というか。
  3. この「車争ひ」の当事者で、のちに物の怪に苦しめられて世を去る光源氏の正妻は誰か。

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解答と解説

▼ 解答・解説を見る

A 語句の意味と読み

問1 ほとんど〜ない・めったに〜ない
└ ★下に打消を伴う陳述の副詞

問2 特別に仕立てたのではない、格式ばらない様子

問3 風情ありげである・趣がある

問4 ひとだまい/かざみ/したすだれ

問5 しゃくにさわる・くやしい
└ ×「ねたましい(うらやましい)」だけではない

問6 目立たないように、わざと質素にすること

B 文法

問7 どちらも尊敬語/作者から葵の上への敬意

問8 打消の助動詞「ず」の連用形(補助活用「ざり」)/終止形は「ず」

問9 「む」=婉曲の助動詞「む」の連体形/「め」=推量の助動詞「む」の已然形。係助詞「こそ」を受けて已然形「め」で結ばれている(係り結び)。

問10 使役の助動詞「さす」の連体形/〜させる

問11 完了の助動詞「つ」の已然形
└ 「立ちわたりたる」の「たり」(存続)と区別する

問12 受身の助動詞「らる」の連用形/受身
└ ★尊敬・自発・可能ではない

C 誰の・何のことか

問13 六条御息所。身分を隠して、人目を忍んで見物に来ていたから。

問14 六条御息所側の供の者たち

問15 行列が見えなくなってしまったこと(それはそれとして、の意)

D 口語訳

問16 大殿(葵の上のお邸)では、このようなお出かけもめったになさらないうえに、

問17 ひとりひとりで(こっそり)ご覧になるようなのは、見ばえがしないでしょう。

問18 これは、決して、そのように押しのけたりしてよいお車ではない。

問19 (六条御息所の車は)お供の車の奥に押しやられて、何も見えない。

E 内容・記述

問20 ①若い女房たちが「ひとりひとりで見るのは見ばえがしない」とすすめたこと。②(もともと)気分がすぐれず出かける気はなかったが、周囲にうながされたこと。

問21 正体を知られたこと。「心やましきをばさるものにて(それはそれとして)」と、見えないことは二の次に置いたうえで、知られたことを「いみじうねたきこと、限りなし」と最上級に言っているから。

問22 身分を隠して忍んで来ていたのに、正妻である葵の上の側にそれと見破られ、車を押しのけられて奥に追いやられるという屈辱を受けた点。

問23 御息所の恨みが生霊(物の怪)となって葵の上を苦しめ、葵の上は出産後に世を去ることになる。

F 文学史

問24 紫式部/平安時代

問25 作り物語

問26 葵の上

【テスト直前チェック】この三つ
「押しやられて」の「られ」は受身。尊敬ではありません。御息所の車が「押しやられた」側だからです。
「心やましきをばさるものにて」=見えないことは二の次。本当の痛手は正体を知られたこと。記述の答えはここです。
「をさをさ〜ぬ」=ほとんど〜ない。下に打消がくる副詞です。

現代語訳(全文)

大殿(葵の上のお邸)では、このようなお出かけもめったになさらないうえに、ご気分までもすぐれなかったので、(見物に行くことを)お考えにもならなかったが、若い女房たちが「いやもう、ひとりひとりで(こっそり)ご覧になるようなのは、見ばえがしないでしょう」などと言って、(葵の上は)お出かけになる。

日が高くなってから、格式ばらない様子でお出ましになった。すきまもなく車が立ち並んでいるところに、りっぱな女房車が多くて、身分の低い者のいない場所を選び定めて、(供の者が)皆(先客の車を)押しのけさせる中に、網代車で少し使い古したのが、下簾の様子などが風情ありげで、(乗っている人は)奥深く引き入って、かすかに見える袖口・裳の裾・汗衫など、色合いがたいそう美しく、わざと目立たないようにしている様子がはっきり分かる車が、二台あった。

「これは、決して、そのように押しのけたりしてよいお車ではない」と、(供の者が)強気に言い張って、手を触れさせない。

……とうとう(大殿の)お車を次々と立て並べてしまったので、(御息所の車は)お供の車の奥に押しやられて、何も見えない。

(行列が見えず)不愉快なのはそれはそれとして、このように忍んで来ているのを「あの人だ」と気づかれてしまったのが、たいそうしゃくにさわることこの上ない。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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