助動詞「まし」確認テスト(反実仮想)|定期テスト対策|誰でも古典塾

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助動詞「まし」は、未然形に接続し、「反実仮想」と「ためらいの意志」を表します。反実仮想は「もし〜であったなら、〜だろうに(しかし実際はそうではない)」という、事実に反する仮定を述べる用法で、和歌や物語に非常に多く見られます。構文としては「ましかば〜まし」「せば〜まし」「未然形+ば〜まし」の三つが最頻出です。一方、「ためらいの意志」は「〜しようかしら、どうしようか」と心の中で迷う気持ちを表します。「まし」の活用は(ませ・ましか/〇/まし/まし/ましか/〇)と特殊なので、識別の手がかりになります。次の各例文を読み、後の問いに答えよ。

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本文

※③は『古今和歌集』、①は同集所収の在原業平詠、⑥は『徒然草』からの引用です。②④⑤⑦は趣旨参考として添えた他出の和歌で、「まし」の検討対象には含めません。⑧〜⑯は学習用のオリジナル例文(擬古文)です。
① 世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(『古今和歌集』在原業平)
② 思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせばさめざらましを(『古今和歌集』小野小町)
③ 鏡に色・形あらましかば映らざらまし(『徒然草』第二百三十五段)
④ もし雨降らましかば、出でてゆかざらまし。
⑤ この酒を一人で飲まましか、それとも友を待たまし。
⑥ いざ、いかにせまし。今宵帰らましや、とどまらましや。
⑦ その人ありせば、かく心細くはあらざらまし。
⑧ 春の花さかざらましかば、世の人かくも心ときめかざらまし。
⑨ 声立てましかば、人に聞こえなまし。されば声をぞ忍びける。
⑩ 心あてに折らばや折らむ初霜の置きまどはせる白菊の花(参考)
⑪ 月見ればちぢにものこそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど(参考)
⑫ あはれと言ふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな(参考)
⑬ 散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世になにか久しかるべき(参考)
⑭ 君なくは何ぞ身を飾らむ。物言はぬ鏡に向かひてもよしなしと思へば、いとはかなし。
⑮ いかなる契りにかありけむ、世を恨みざらましものを。
⑯ あらましごとばかり言ひて、げにと思ふことなし。

設問

  1. 例文①の「のどけからまし」について、この文全体が反実仮想であることを示す構文上の手がかり(接続助詞を含む部分)を、本文中から抜き出せ。
  2. 例文①「春の心はのどけからまし」を「もし〜なら…だろうに」の形で現代語訳せよ。
  3. 例文②「さめざらましを」の「まし」の意味(反実仮想か、ためらいの意志か)を答えよ。
  4. 例文②「夢と知りせばさめざらましを」を現代語訳せよ。
  5. 例文②で反実仮想を構成している「せば〜まし」のうち、「せば」の部分を抜き出せ。
  6. 反実仮想の「まし」が表す心情には、しばしば「実際にはそうならなかったことへの残念さ・後悔」がこめられる。例文②の小野小町の歌について、作者がどのような心情を「ましを」に託しているか、二十字程度で記述せよ。
  7. 例文③「あらましかば映らざらまし」の二つの「まし」のうち、結びの主節にあたる「まし」を含む語を抜き出せ。
  8. 例文③を現代語訳せよ。
  9. 例文④「雨降らましかば、出でてゆかざらまし」について、次の小問に答えよ。
    • (1) 用いられている反実仮想の構文の型(「ましかば〜まし」「せば〜まし」「未然形+ば〜まし」のいずれか)を答えよ。
    • (2) 全体を現代語訳せよ。
  10. 例文⑤「飲まましか、…待たまし」の「まし」の意味を答えよ。
  11. 例文⑥「いかにせまし」「帰らましや、とどまらましや」に共通する「まし」の意味を答えよ。
  12. 例文⑥「いざ、いかにせまし」を現代語訳せよ。
  13. 例文⑦「その人ありせば、かく心細くはあらざらまし」を現代語訳せよ。
  14. 例文⑦で用いられている反実仮想の構文の型を答えよ。
  15. 例文⑦「その人ありせば、かく心細くはあらざらまし」には、話し手のどのような気持ちがこめられているか。「実際は…」という形を用いて、反実仮想であることがわかるように三十字程度で説明せよ。
  16. 例文⑧「さかざらましかば、…心ときめかざらまし」の構文の型を答えよ。
  17. 例文⑧を現代語訳せよ。
  18. 例文⑨「声立てましかば、人に聞こえなまし」について、次の小問に答えよ。
    • (1) 構文の型を答えよ。
    • (2) 現代語訳せよ。
  19. 「まし」は何形に接続するか。接続する活用形を答えよ。
  20. 例文①「のどけからまし」、例文③「映らざらまし」、例文⑥「せまし」の各「まし」の、文中での活用形をそれぞれ答えよ。
  21. 例文④「降らましかば」、例文⑧「さかざらましかば」の「ましか」は、「まし」の何という活用形か。活用形の名称を答えよ。
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問1 「なかりせば」。「(桜が)なかりせば〜のどけからまし」で、「せば〜まし」の反実仮想構文を作っている。手がかりとなる接続助詞は「ば」。

問2 もしこの世の中にまったく桜がなかったなら、春を過ごす人の心はのどかであっただろうに。(実際には桜があるので落ち着かない、の意)

問3 反実仮想。「知りせば…ざらましを」で、事実に反する仮定(夢だと知っていたなら)を述べている。

問4 (これが)夢だと知っていたなら、目を覚まさなかっただろうに。(夢だと知らずに目覚めてしまったことが残念だ、の意)

問5 「夢と知りせば」の「(知り)せば」。(「せ」は過去の助動詞「き」の未然形、「ば」は接続助詞)

問6 (解答例)夢と知らず目覚めてしまった悔しさと、夢の中の人への未練。

問7 「映らざらまし」。「あらましかば(仮定)〜映らざらまし(結び・主節)」の構造で、主節の結びは「映らざらまし」の「まし」。

問8 もし鏡に色や形があったなら、(物の姿は)映らなかっただろうに。(実際には鏡に色も形もないからこそ物が映るのだ、の意)

問9 (1) 「ましかば〜まし」の型。 (2) もし雨が降ったなら、外出して行かなかっただろうに。(実際には雨が降らなかったので出かけた、の意)

問10 ためらいの意志(「〜しようかしら」と迷う気持ち)。この酒を一人で飲もうかしら、それとも友を待とうかしら、の意。

問11 ためらいの意志。「さあ、どうしようか」「帰ろうかしら、とどまろうかしら」と迷う気持ちを表す。

問12 さあ、どうしようか(どうしたものか)。

問13 もしあの人が(生きて)いたなら、こんなに心細くはなかっただろうに。(実際にはその人がもういないので心細い、の意)

問14 「せば〜まし」の型。(「ありせば〜あらざらまし」)

問15 (解答例)実際はその人がもういないので心細いが、もし生きていればこうではなかったのに、という嘆き。

問16 「ましかば〜まし」の型。(「さかざらましかば〜心ときめかざらまし」)

問17 もし春の花が咲かなかったなら、世の人々もこれほど心をときめかせなかっただろうに。(花が咲くからこそ人は心ときめくのだ、の意)

問18 (1) 「ましかば〜まし」の型。 (2) もし声を立てたなら、人に聞こえてしまっただろうに。(だから声を忍ばせたのだ、の意)

問19 未然形。

問20 ①「のどけからまし」…終止形、③「映らざらまし」…終止形、⑥「せまし」…終止形(いずれも文末で言い切っているため終止形)。

問21 未然形。(反実仮想は仮定条件なので未然形+『ば』。『ましかば』は『まし』の未然形『ましか』+接続助詞『ば』で仮定条件を作る。『まし』は未然形に『ませ』『ましか』の二形があり、ここは未然形『ましか』。已然形『ましか』+『ば』は確定条件で別用法。)

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文の引用は古典作品(著作権の対象外)から正確に行っています。

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