疑問の文は、疑問詞や疑問の助字を使って「~か」とたずねる言い方です。疑問詞には「何(なんゾ・なに)」「誰(たれ)」「孰(いづレ)」「安・悪・焉(いづクンゾ・いづクニ)」「奚(なんゾ)」などがあり、場所・理由・人・選択などをたずねます。文末には「乎・哉・耶・与・也」などの疑問の助字を置いて「~か」と結びます。同じ「安・何」でも、答えを求めるのが疑問、答えを求めず「どうして~か、いや~ない」と裏返して強調するのが反語です。次の各例文について、後の問いに答えよ。
本文
※例文は学習用です。
① 子将た安いづ之く。(子将まさに安いづくに之ゆかんとす。)
② 君何なん之ゆ。(君何いづくに之ゆく。)
③ 誰たれ為ため大王為な此計者。(誰たれか大王の為ために此この計はかりごとを為なせる者ぞ。)
④ 吾誰たれ欺あざむ。(吾われ誰たれをか欺あざむかん。)
⑤ 父与と夫孰いづ親した。(父ちちと夫をつとと孰いづれか親したしき。)
⑥ 子奚なん不ず為な政まつりごと。(子し奚なんぞ政まつりごとを為なさざる。)
⑦ 君安いづ知し我不ず畏おそ死乎か。(君安いづくんぞ我われの死を畏おそれざるを知しるか。)
⑧ 此何なに鳥也や。(此これ何なにの鳥とりぞや。)
⑨ 客何なに好この乎か。(客かく何なにをか好このむか。)
⑩ 以もつ五十歩笑わら百歩、則すなは何いか如ん。(五十歩ほを以もつて百歩を笑わらはば、則すなはち何如いかん。)
⑪ 取と之何いか如ん。(之これを取とらば何如いかん。)
⑫ 吾何なに以もつ知し其然也や。(吾われ何なにを以もつて其その然しかるを知しるや。)
設問
- ①の傍線部「安」の読み(送り仮名を含む)をひらがなで書け。また、その意味を答えよ。
- ①「子将安之」を現代語訳せよ。
- ②の傍線部「何」の読みをひらがなで書け。場所・理由のどちらをたずねているか答えよ。
- ③の傍線部「誰」の読みをひらがなで書け。また、その意味を答えよ。
- ③の傍線部以外で、「誰」と同じく人をたずねている例文の番号を一つ答えよ。
- ⑤の傍線部「孰」の読み(送り仮名を含む)をひらがなで書け。また、その意味を答えよ。
- 「孰(いづレ)」は、二つ以上のものを比べて「どちらが~か」とたずねる。⑤の文で、何と何を比べているか答えよ。
- ⑥の傍線部「奚」の読み(送り仮名を含む)をひらがなで書け。また、その意味を答えよ。
- ⑥「子奚不為政」を現代語訳せよ。
- ⑦の文「君安知我不畏死乎」は疑問・反語のどちらにも読みうる。これを反語として現代語訳せよ。
- ⑫の「何以(なにヲもッテ)」の読みをひらがなで書き、その意味を答えよ。
- ⑦・⑨の文末の助字「乎」は、ここでどのような働きをしているか。漢字二字で答えよ。
- ⑧の文末の「也」と⑫の文末の「也」は、それぞれどのような意味でたずねているか。簡潔に説明せよ。
- 次の各例文を、訓点に従って書き下し文に直せ。
- (1) ④ 吾誰欺。
- (2) ⑥ 子奚不為政。
- (3) ⑨ 客何好乎。
- 次の傍線部を、「~か」の形をいかして現代語訳せよ。
- (1) ② 君何いづくに之ゆく。
- (2) ⑤ 父ちちと夫をつとと孰いづれか親したしき。
- (3) ⑨ 客かく何なにをか好このむか。
- ⑩・⑪に共通して用いられている「何如(いかん)」の意味を答えよ。
- 「如何(いかん)」と「何如(いかん)」について、次の問いに答えよ。
- (1) 「何如」は、ふつう何をたずねるのに用いるか。
- (2) 「如何」は、ふつう何をたずねるのに用いるか。一語で答えよ。
- 疑問と反語のちがいについて、次の問いに答えよ。
- (1) 「安くんぞ~や(か)」が疑問の場合、ふつうどのように訳すか。
- (2) 「安くんぞ~や(ん)」が反語の場合、ふつうどのように訳すか。
- 次のうち、人をたずねる疑問詞をすべて選び、記号で答えよ。
- ア 何 イ 誰 ウ 安 エ 孰 オ 奚
- 疑問の助字「乎・哉・耶・与」のうち、本文の例文で実際に文末に用いられているものをすべて、漢字で書き出せ。
- 記述 疑問詞「安(いづクンゾ)」と「安(いづクニ)」では、たずねている内容がちがう。それぞれ何をたずねるか、二十字程度で説明せよ。
- 記述 疑問文の文末によく置かれる助字(乎・哉・耶・与・也)は、文全体に対してどのような働きをするか。「疑問」の語を用いて一文で説明せよ。
▼ 解答・解説を見る
問1 読み…いづくに 意味…どこ(に)。場所をたずねる。「安」を「いづクニ」と読むときは場所を問う。
問2 あなたはどこへ行こうとしているのか。
問3 読み…いづくに たずねている内容…場所。「何(いづクニ)」も「どこに行くのか」と行き先(場所)をたずねている。
問4 読み…たれ 意味…だれ(が)。人をたずねる。
問5 ④(吾誰欺。=吾われ誰たれをか欺あざむかん。)
問6 読み…いづれか 意味…どちらが。二つのものを比べて「どちらが~か」とたずねる。
問7 父(ちち)と夫(をつと)。「父と夫とでは、どちらが親しいか」と二つを比べている。
問8 読み…なんぞ 意味…どうして。理由をたずねる(「奚」は「何(なんゾ)」と同じ)。
問9 あなたはどうして政治を行わないのか。
問10 あなたは、どうして私が死を恐れないとわかろうか(いや、わかるまい)。
問11 読み…なにをもつて 意味…どうして・なぜ。手段や理由(「何によって」)をたずねる。
問12 疑問(の助字)。文末の「乎」は「~か」と疑問を表す助字として働いている。
問13 ⑧の「也」…「これは何の鳥か」と、その鳥が何であるか(正体)をたずねている。⑫の「也」…「どうしてそうだとわかるのか」と、その理由・根拠をたずねている。どちらも文末で疑問を表す。
問14 (1) 吾われ誰たれをか欺あざむかん。 (2) 子し奚なんぞ政まつりごとを為なさざる。 (3) 客かく何なにをか好このむか。
問15 (1) あなたはどこへ行くのか。 (2) 父と夫とでは、どちらが親しいか(大切か)。 (3) 客人は何を好むのか。
問16 どうであるか。状態・ようす・結果などをたずねる。(「何如」は「いかん」と読み、状態や評価をたずねる。)
問17 (1) 物事の状態・ようす・是非(よしあし)。「どうであるか」とたずねる。 (2) 方法(手段)。「どうしたらよいか・どうするか」とたずねる。
問18 (1) どうして~か(理由をたずね、答えを求める)。 (2) どうして~か、いや~ない(反語で、強い否定の気持ちを表す)。
問19 イ・エ(誰・孰)。「誰」は「だれ」、「孰」は「どちらの人・どれ」と人をたずねうる。(ア何・ウ安・オ奚は、おもに場所・理由などをたずねる。)
問20 乎(⑦・⑨)・也(⑧・⑫)。本文の文末に実際に用いられているのは「乎」と「也」。(哉・耶・与は本文の文末には用いられていない。)
問21 「安(いづクンゾ)」は理由・原因(どうして)をたずね、「安(いづクニ)」は場所(どこに)をたずねる。
問22 文末に置かれて、その文全体を「~か」とたずねる疑問の文にする働きをする。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。
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