徒然草の序段「つれづれなるままに」は、定期テストでも入試でも超頻出の超有名箇所です。暗誦(あんしょう=そらで言えるようにすること)を課す学校も多く、現代語訳・語句の意味・係り結び・文学史まで、出題ポイントがぎっしり詰まっています。まずは下の本文を読んで設問に答え、最後の「解答・解説」で答え合わせをして確認しましょう。あらすじから先につかみたい人は、徒然草のやさしい解説(あらすじ)もあわせて読んでみてください。
本文
つれづれなるままに、日暮らし、硯〔①〕に向かひて、心にうつりゆく〔②〕よしなしごと〔③〕を、そこはかとなく〔④〕書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ〔⑤〕。
設問
- 「つれづれなるままに」を、「つれづれ」の意味がはっきりわかるように現代語訳しなさい。
- 冒頭の「つれづれなる」(つれづれ)とは、ここではどのような状態・気持ちを表すか。簡潔に説明しなさい。
- 「つれづれなる」の品詞と基本形(終止形)、活用形を答えなさい。
- 「つれづれなるままに」の「に」は、どのようなはたらきの語ですか。意味(〜のに任せて/〜のままに)がわかるように説明しなさい。
- 「日暮らし、硯に向かひて」を現代語訳しなさい。
- 「日暮らし」の意味を答えなさい。
- 傍線部①「硯」の読み方をひらがなで答えなさい。
- 「心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば」を現代語訳しなさい。
- 傍線部②「うつりゆく」はここではどういう意味か答えなさい。また、これを品詞分解しなさい(どこで区切れ、それぞれ何かを答える)。
- 傍線部③「よしなしごと」の意味を答えなさい。また、「よしなし」がどのような成り立ち(語構成)の語かを説明しなさい。
- 傍線部④「そこはかとなく」の意味を答えなさい。
- 「書きつくれば」の「ば」は、何の形に接続し、どのような意味(条件)を表していますか。文法的に説明しなさい。
- 傍線部⑤「あやしうこそものぐるほしけれ」を現代語訳しなさい。
- 傍線部⑤について、この一文に用いられている係り結びを、係助詞と結びの語の関係がわかるように説明しなさい。
- 傍線部⑤の「ものぐるほしけれ」を品詞分解し、結びの語の活用の種類と活用形を答えなさい。
- 傍線部⑤の「ものぐるほし」の意味を答えなさい。
- 傍線部⑤の「あやしう」は、もとはどのような形が変化したものですか。変化の名前(音便の種類)と、ここでの意味を答えなさい。
- 本文全体を現代語訳しなさい。
- この序段で、作者はどのような状況で、何をしていると述べていますか。本文に即してわかりやすく説明しなさい。
- この作品の書名「徒然草」は、どこから付けられた名と考えられるか。本文の言葉に触れて説明しなさい。
- 【文学史】『徒然草』の作者名と、作品のジャンル(文学の種類)を答えなさい。また、「随筆」とはどのような文章のことかを簡潔に説明しなさい。
- 【文学史】『徒然草』が成立したとされる時代を答えなさい。また、清少納言『枕草子』・鴨長明『方丈記』と本作を合わせて何と総称するかを答えなさい。
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)
問1 「することもなく退屈なのにまかせて。」「手持ちぶさたな(所在ない)気持ちのままに。」
※「つれづれ」=することがなく退屈なさま・所在なさ。「なるままに」で「〜であるのに任せて/〜のままに」となります。
問2 することがなく退屈で、手持ちぶさたなさま。何もすることがなくて、もの寂しく所在ない気持ち。
※「つれづれ」は「退屈・所在なさ」を表す語で、しんみりとしたもの寂しさのニュアンスも含む。書名の由来にもなった、序段の最重要語です。
問3 品詞=形容動詞(ナリ活用)/基本形=「つれづれなり」/活用形=連体形。
※「つれづれなり」は一語で「することもなく退屈だ」という意味の形容動詞です。下の「ままに」へ続くので連体形「つれづれなる」になっています。なお、「つれづれ(名詞)+断定の助動詞『なり』」と分けてとらえる説もあります。
問4 格助詞「に」を含む連語「ままに」で、「〜のに任せて・〜のままに」という意味を表します。
※「ままに」は「成り行きにまかせて」「〜するとすぐに」などの意味をもつ語。ここでは「退屈なのにまかせて(=退屈をまぎらすように)」と訳します。
問5 「一日中、硯(すずり)に向かって。」
※「日暮らし」=朝から晩まで・一日中。「向かひて」は「向かふ」の連用形+接続助詞「て」です。
問6 「日暮らし」=朝から晩まで・一日中(終日)。
※「暮らし」は「(一日を)暮らす」から来た言い方で、「ひぐらし」と読みます。虫の「ヒグラシ(蜩)」とは別の語です。
問7 「硯」の読み…すずり。
※墨をする道具のこと。文章を書く道具に向かう、という場面です。
問8 「心に次々と浮かんでくるとりとめのないことを、これというあてもなく書きつけていると。」
※「書きつくれば」の「ば」は已然形+「ば」で順接の確定条件(〜すると/〜していると)。原因・きっかけを表します。
問9 意味…(心に)次々に浮かんでくる。移り変わっていく。
品詞分解…うつり(ラ行四段動詞「うつる」連用形)/ゆく(カ行四段動詞「ゆく」連体形)。
※「うつりゆく」で「次から次へと現れては移り変わっていく」の意。ここでの「うつる」は、心に思いが次々と現れる意味で、現代語の「(病気が)うつる」「(席を)移る」とは意味が違う点に注意します。
問10 意味…とりとめのないこと。つまらない・取るに足りないこと。
語構成…「よしなし」=「由(よし)」+「なし」で、「筋道・理由・由緒(よし)がない」という成り立ち。それに「ごと(事)」が付いて「よしなしごと」となります。
※「由(よし)」は「わけ・理由・由緒」の意。
問11 「そこはかとなく」=これというあてもなく。とりとめもなく。なんとなく。
※「そこはかとなし」=「そこ(其処)」「は」「かと」も無い、すなわち「どこと(はっきり)特定できない」が原義です。
問12 「ば」は已然形(「書きつく」の已然形「書きつくれ」)に接続し、順接の確定条件(〜すると/〜していると/〜ので)を表します。
※未然形+「ば」(順接の仮定条件「〜なら」)との違いに注意。ここは「書きつけていると(その結果)」という意味です。
問13 「(自分でも)妙に、気が変になりそうな心地がすることだ。」
※「あやしう(=あやしく)」=妙に・不思議に。「こそ〜けれ」の強調を訳に出すと「(実に)妙に正気を失いそうなほどである」となります。
問14 係助詞「こそ」を受けて、文末が已然形「けれ」で結ばれている(「こそ―已然形」の係り結び)。これにより意味が強調されています。
※「こそ」が無ければ終止形「ものぐるほし」となるところを、「こそ」に呼応して已然形で結んでいます。
問15 ものぐるほしけれ=ものぐるほしけれ(形容詞「ものぐるほし」の已然形)。活用の種類=シク活用/活用形=已然形。
※「ものぐるほし」はシク活用の形容詞。その已然形が「ものぐるほしけれ」で、係助詞「こそ」の結びになっています。
問16 「ものぐるほし」=気が変になりそうだ。正気を失いそうなほどだ。狂おしいほどだ。
※「もの」は「なんとなく・どことなく」の意を添える接頭語。次々と書きつけているうちに、自分でも妙な気分になってくる、という心情を表します。
問17 もとの形…「あやしく」(形容詞「あやし」の連用形)。変化の名前…ウ音便。意味…妙に・不思議に。
※「あやしく」→「あやしう」とク→ウに変わるのがウ音便です。「あやしうこそ」で「妙に(〜なことよ)」と、下の強調へつながります。
問18 (例)「することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、硯(すずり)に向かって、心に次々と浮かんでは消えていくとりとめのないことを、これというあてもなく書きつけていると、(自分でも)妙に、気が変になりそうな心地がすることだ。」
※短い一文ですが、序段として「徒然草を書く動機」を述べた有名な箇所です。一語ずつていねいに訳しましょう。
問19 作者は、することもなく退屈なのにまかせて、一日中、硯に向かい、心に次々と浮かんでくるとりとめのないことを、あてもなく書きつけている。すると自分でも妙に正気を失いそうな(不思議な)心地がする、と述べています。
※「徒然草」という随筆を書きつづっていく、その動機・きっかけを語った序章にあたる部分です。
問20 書き出しの「つれづれなるままに」の「つれづれ」(=することもなく退屈なさま)から取って『徒然草』と名づけられたと考えられます。
※「徒然」を音読みすると「とぜん」ですが、書名としては訓で「つれづれ(ぐさ)」と読みます。冒頭の語が書名になっている点が問われやすいところです。
問21 作者…兼好法師(吉田兼好/卜部兼好)。 ジャンル…随筆。
「随筆」とは…見聞・体験・感想などを、筆の進むままに自由につづった文章のこと。
※兼好は出家した人物なので「兼好法師」と呼ばれます。
問22 成立時代…鎌倉時代(末期)(14世紀前半ごろ)。 総称…清少納言『枕草子』・鴨長明『方丈記』・兼好法師『徒然草』を合わせて「(日本の)三大随筆」といいます。
※成立順は『枕草子』(平安中期)→『方丈記』(鎌倉前期)→『徒然草』(鎌倉末期)。『徒然草』が三つの中で最も新しい作品です。
※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。


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