蜻蛉日記『うつろひたる菊』定期テスト対策問題|現代語訳・和歌・文法の頻出設問と解答

うつろひたる菊|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

『蜻蛉日記』の「うつろひたる菊(町の小路の女)」は、夫・藤原兼家の心変わりに苦しむ作者が、色のあせた菊に和歌を添えて贈る場面で、平安時代の日記文学を代表する名場面です。係り結びや反語「かは」、助動詞、敬語など、定期テストで問われる要素が一段落に凝縮されています。このページでは現代語訳・和歌の修辞・文法を中心に、頻出の設問を二十問以上そろえました。本文の語注や場面の流れをもう一度おさえたい人は、まず 蜻蛉日記『うつろひたる菊』のやさしい解説 を読んでから挑戦すると効果的です。

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本文

さて、九月ばかりになりて、出でにたるほどに、箱のあるを手まさぐりに開けて見れば、〔①〕人のもとに遣らむとしける文あり。あさましさに、〔②〕見てけりとだに知られむと思ひて、書きつく。

  うたがはし ほかに渡せる 文見れば ここや〔③〕とだえに ならむとすらむ

など思ふほどに、〔④〕むべなう、十月つごもりがたに、三夜しきりて見えぬ時あり。つれなうて、「しばしこころみるほどに。」など、〔⑤〕気色あり。

これより、夕さりつかた、「〔⑥〕内裏に逃るまじかりけり。」とて出づるに、心得で、人をつけて見すれば、「町の小路なるそこそこになむ、〔⑦〕とまり給ひぬる。」とて来たり。さればよと、いみじう心憂しと思へども、言はむやうも知らであるほどに、二、三日ばかりありて、あかつきがたに門をたたく時あり。さなめりと思ふに、憂くて開けさせねば、例の家とおぼしきところにものしたり。

つとめて、なほもあらじと思ひて、

  嘆きつつ ひとり寝る夜の 〔⑧〕明くる間は いかに久しき ものと〔⑨〕かは知る

と、例よりはひきつくろひて書きて、〔⑩〕うつろひたる菊にさしたり。返りごと、「明くるまでも〔⑪〕こころみむとしつれど、とみなる召使の、来合ひたりつればなむ。〔⑫〕いとことわりなりつるは

  げにやげに 冬の夜ならぬ 真木の戸も 遅く〔⑬〕明くるは わびしかりけり」

とぞあるものから、しばしは〔⑭〕忍びたるさまにとや思ひけむ、たとしへなく心づきなく思ふほどに、見えたり。

設問

  1. 傍線部①「人のもとに遣らむとしける文あり」を、誰が誰に送ろうとした手紙かが分かるように現代語訳しなさい。
  2. 波線部の「らむ」「む」について、次の助動詞の文法的意味を答えなさい。
    • 傍線部①「遣ら」の「む」
    • 傍線部③「ならむとすらむ」の「らむ」
  3. 傍線部②「見てけりとだに知られむ」について、次の問いに答えなさい。
    • 「だに」の意味・用法を説明しなさい。
    • 「られ」の文法的意味(助動詞「る」の意味)を答えなさい。
    • 全体を現代語訳しなさい。
  4. 傍線部④「むべなう」の意味を答えなさい。また、ここで作者が「むべなう(なるほど)」と感じたのはどのような事態か説明しなさい。
  5. 「三夜しきりて見えぬ時あり」とはどのような状況か。当時の結婚の習わしをふまえて説明しなさい。
  6. 次の語句の本文中での意味を答えなさい。
    • あさましさ
    • つれなし(「つれなうて」)
    • 心憂し
    • つとめて
  7. 傍線部⑤「気色あり」、傍線部⑥「内裏に逃るまじかりけり」について答えなさい。
    • 「気色あり」とはここでは兼家のどのような態度を表すか、現代語訳を含めて説明しなさい。
    • 「まじかり」の文法的意味を答えなさい。
  8. 傍線部⑦「とまり給ひぬる」について、次の問いに答えなさい。
    • 「給ひ」は誰に対する敬意を表す敬語か。敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)とあわせて答えなさい。
    • この敬語は、誰が用いている言葉の中の敬語か。会話文か地の文かに注意して説明しなさい。
    • 「ぬる」の文法的意味と、連体形になっている理由を答えなさい。
  9. 「さればよ」とはどういう意味か。作者のどのような気持ちが込められているか説明しなさい。
  10. 「憂くて開けさせねば」について、次の問いに答えなさい。
    • 誰が、何をする門を「開けさせ」なかったのか説明しなさい。
    • 「させ」「ね」の文法的意味(助動詞の意味)をそれぞれ答えなさい。
  11. 和歌Ⅱは作者のどのような心情を詠んだ歌か。「ひとり寝る夜」「明くる間」という表現に注意して説明しなさい。
  12. 和歌Ⅱ「嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は いかに久しき ものとかは知る」の傍線部⑧「明くる間は」には掛詞が用いられている。どの語に、どのような二つの意味が掛けられているか説明しなさい。
  13. 和歌Ⅱの傍線部⑨「ものとかは知る」について、次の問いに答えなさい。
    • 「かは」の文法的説明をしなさい(係助詞の意味・用法)。
    • この「かは」によって結びの語「知る」はどう変化しているか、係り結びの観点から説明しなさい。
    • 「かは」をふまえて、結句の意味を現代語訳しなさい。
  14. 傍線部⑩「うつろひたる菊にさしたり」について、次の問いに答えなさい。
    • 「うつろひたる」とはどのような状態の菊か説明しなさい。
    • 作者が和歌を「うつろひたる菊」に挿して贈ったのはなぜか。菊が象徴するものをふまえて説明しなさい。
  15. 傍線部⑪「こころみむとしつれど」、傍線部⑫「いとことわりなりつるは」について答えなさい。
    • 兼家は何を「こころみ(試み)」ようとしたと言っているのか説明しなさい。
    • 「ことわりなり」の意味を答え、兼家がこう言った意図を説明しなさい。
  16. 「たとしへなく心づきなく思ふ」について、次の問いに答えなさい。
    • 「たとしへなし」「心づきなし」の意味をそれぞれ答えなさい。
    • 作者がこのように感じているのはなぜか説明しなさい。
  17. 作者が箱の中の手紙を見つけたあと、わざと和歌を書きつけたのはなぜか。その心情を説明しなさい。
  18. 和歌Ⅰ「うたがはし ほかに渡せる 文見れば ここやとだえに ならむとすらむ」について、次の問いに答えなさい。
    • この歌で詠み手(作者)が疑っている内容を、具体的に説明しなさい。
    • 「とだえ」とはどういうことか、この場面に即して説明しなさい。
    • 歌全体を現代語訳しなさい。
  19. 和歌Ⅲ「げにやげに 冬の夜ならぬ 真木の戸も 遅く明くるは わびしかりけり」について、次の問いに答えなさい。
    • この歌は和歌Ⅱのどの表現を受けて詠まれているか。応答の関係を説明しなさい。
    • 「げにやげに」の意味を答えなさい。
    • 歌全体を現代語訳しなさい。
  20. 和歌Ⅱと和歌Ⅲをふまえ、この贈答歌のやりとりから読み取れる兼家の人物像を説明しなさい。
  21. この場面全体を通して描かれている作者の心情を、「嫉妬」「苦悩」という語を用いて百字程度で説明しなさい。
  22. 『蜻蛉日記』について、次の問いに答えなさい。
    • この作品の作者は誰か。一般的な呼称で答えなさい。
    • 作者の夫で、本文に登場する人物は誰か。漢字で答えなさい。
    • 本文に登場する作者と夫の間に生まれた子で、のちに歌人として知られた人物は誰か。
  23. 『蜻蛉日記』の文学史上の位置づけについて、次の問いに答えなさい。
    • 『蜻蛉日記』は何という文学ジャンルに属するか。ジャンル名を答えなさい。
    • このジャンルの作品として現存するもののうち、女性の手による最初の作品とされるのは何か。
    • 『蜻蛉日記』が成立したのは何時代か。また、おおよそ何世紀の作品か答えなさい。
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問1 (解答例)兼家が、(作者ではない)ほかの女のもとへ送ろうとしていた手紙がある。
〔解説〕「人のもと」の「人」は作者以外の女性(=町の小路の女)を指す。箱を手すさびに開けたところ、その女に宛てた兼家の手紙が見つかった、という場面である。

問2
・傍線部①「遣ら」…意志(〜よう・〜つもりだ)。「送ろうとしていた」の意で、兼家の意志を表す。
・傍線部③「ならむとすらむ」…現在推量(〜ているのだろう)。目の前で進行していることへの推量を表す。
〔解説〕「む」は意志・推量・婉曲などの意味を文脈で判断する。「らむ」は現在推量が基本で、「今ごろ〜しているのだろう」と訳す。

問3
・「だに」…類推(〜さえ)を表す副助詞。「(手紙を見たことを)知らせることだけでも」と、せめてそれだけはという最小限の希望を示す。
・「られ」…「知ら」(動詞「知る」の未然形)+助動詞「る」の未然形「れ」。意味は受身(〜られる)で、「(兼家に)気づかれよう」の意。※「自然と知られてしまうだろう」と自発にとる説もある。
・現代語訳(解答例)…せめて、手紙を見てしまったということだけでも(兼家に)知られたいと思って。
〔解説〕箱の手紙を黙って戻すのではなく、あえて自分が見たと気づかせたい、という屈折した心理を「だに」が支えている。

問4 意味…なるほど(思ったとおりだ)。/事態…和歌で兼家の心変わりを疑った直後、十月の末ごろに三晩続けて兼家が姿を見せないという、自分の予感を裏づける事態が起きたこと。
〔解説〕「むべ(うべ)なり」=もっともだ・なるほどだ。自分の不安が現実になったことへの、苦い納得を表す。

問5 (解答例)平安時代の貴族の結婚は、夫が妻のもとへ通う「通い婚」だった。その夫(兼家)が三晩続けて訪れない、つまり夫の足が遠のき、関係が冷え込み始めている状況を表す。
〔解説〕三晩連続で来ないことは、当時の感覚では関係の危機を強く示すものだった。

問6
・あさましさ…(あまりのことに)驚きあきれること。意外さ・情けなさ。
・つれなし…そしらぬ顔だ・平然としている。「つれなうて」で「何くわぬ顔で」。
・心憂し…つらい・情けない・いやだ。
・つとめて…翌朝。(また、早朝。)ここは「(その)翌朝」。

問7
・「気色あり」…(解答例)(兼家が)何くわぬ顔で、「しばらく(ほかの女のことは)ためしているだけだ」などと、そぶり・口ぶりを見せた、ということ。平然と言い訳がましい態度をとる様子を表す。
・「まじかり」…打消推量(〜ないだろう)あるいは打消意志(〜まい)。ここでは「(宮中の用で)抜け出さないわけにはいかないようだ」と、出かける口実として用いられている。
〔解説〕「気色」は表情・態度・そぶりの意。兼家は悪びれず、もっともらしい理由をつけて外出する。

問8
・「給ひ」…尊敬の補助動詞で、動作の主体である兼家に対する敬意を表す。
・用いている人物…⑦を含む「町の小路なるそこそこになむ、とまり給ひぬる。」は、あとをつけさせた供の者が帰ってきて報告した言葉(会話文)。したがって、報告した供の者(従者)が兼家に対して払った敬意であり、作者の地の文の敬語ではない。
・「ぬる」…完了の助動詞「ぬ」の連体形。文末が連体形になっているのは、上に係助詞「なむ」があり、係り結びの法則によって連体形で結ばれているため。
〔解説〕「町の小路なるそこそこになむ……とまり給ひぬる」で、「なむ(強意)→連体形ぬる」という係り結びが成立している。

問9 意味…思ったとおりだ(やっぱりそうだったか)。/気持ち…兼家の車が町の小路の女の家に停まったと聞き、薄々感じていた浮気が事実だと分かって、深く傷つき嘆く気持ち。
〔解説〕「さ(然)+あれ+ば+よ」で、「そうであるからよ=やはりそうだ」の意。予感の的中を表す。

問10
・(解答例)作者が、自分の家の門を(従者に)開けさせなかった。あかつきに兼家が門をたたいたが、つらく腹立たしくて、開けさせずに追い返した。
・「させ」…使役(〜せる)の助動詞「さす」の連用形。家人に門を開け「させる」の意。
・「ね」…打消の助動詞「ず」の已然形。「開けさせば」で「開けさせないので」と訳す。
〔解説〕「ね」は已然形+「ば」で順接の確定条件「〜ので」を作る。

問11 (解答例)兼家の訪れを拒んでひとりで寝た夜が、明けるまでどれほど長く感じられたか。その辛さも知らないであろう夫への、恨みと嘆きの心情を詠んでいる。
〔解説〕「ひとり寝る夜」=独り寝の寂しさ、「明くる間」=夜明けを待つ時間の長さ、が嘆きの中心。

問12 (解答例)「明くる」に、夜が「明く(明ける)」と、戸を「開く(開ける)」の二つの意味が掛けられている。
〔解説〕門を開けてもらえずひとり過ごした長い夜の「明け」と、戸が「開く」ことを重ね、「あなたを待ったが戸も開けず、夜の明けるのを待つのがどれほど長いか分かりますか」という恨みを込める。

問13
・「かは」…疑問・反語を表す係助詞「か」に係助詞「は」が付いたもの。ここでは反語(〜だろうか、いや〜ない)。
・係り結び…係助詞「かは」を受けて、文末(結びの語)「知る」が終止形ではなく連体形「知る」で結ばれている。
・現代語訳(解答例)…どれほど長いものかお分かりになるでしょうか、いや、お分かりにはなりますまい。
〔解説〕反語「かは」によって、「(あなたには)分かるまい」という強い恨み言になる。

問14
・「うつろひたる」…色があせ、盛りを過ぎて変色した(状態の菊)。
・理由(解答例)…色あせた菊は、盛りを過ぎ衰えていくものの象徴であり、自分への兼家の愛情が「うつろふ(移ろう/色あせる)」さまを重ねている。色変わりした菊に歌を添えることで、心変わりへの恨みをそれとなく訴えた。
〔解説〕「うつろふ」は〈色があせる〉と〈心が移る〉の両意を響かせる、本場面の主題を象徴する語。

問15
・(解答例)兼家は「夜が明けるまで(門が開くのを)待ってみようとしたが、急ぎの召使がやって来たので(やむを得ず帰った)」と、開けてもらえなかったのを自分のせいではないように言い訳している。
・「ことわりなり」…もっともだ・当然だ、の意。「(あなたが怒るのも)もっともだ」と一見理解を示しつつ、自分の非をはぐらかす意図がある。
〔解説〕兼家は謝るのではなく、もっともらしい弁解で角を立てずにかわそうとしている。

問16
・「たとしへなし」…たとえようもない・この上ない。/「心づきなし」…気に入らない・心が引かれない・いやだ。
・理由(解答例)…浮気を指摘しても兼家が悪びれず、軽い返歌でかわすばかりなので、その態度がたとえようもなく不快で、心がまったくなじまないから。
〔解説〕「心づきなし」は〈気に食わない〉という否定的感情を表す重要古語。

問17 (解答例)夫の浮気の証拠を見つけて衝撃を受けたが、何も言わずにいるのは悔しい。せめて「あなたの手紙を見てしまいましたよ」という思いを夫に伝え、暗に責めたかったから。
〔解説〕直接なじるのではなく、和歌という形でそれとなく心情をぶつけるところに、平安貴族の女性らしい表現がある。

問18
・疑っている内容…兼家の愛情がほかの女へ移り、自分のもとへの訪れが途絶えてしまうのではないか、ということ。
・「とだえ」…男が女のもとへ通って来なくなり、夫婦・男女の仲が途切れること。当時の通い婚では、夫の訪れが絶えることが関係の終わりを意味した。
・現代語訳(解答例)…(あなたが)疑わしいことです。ほかの女に送る手紙を見ると、私のところはこれで途絶えてしまうのだろうか。
〔解説〕「ここや」の「や」は疑問の係助詞で、「ならむ」に係って「途絶えになるのだろうか」と訳す。

問19
・応答の関係…和歌Ⅱの「明くる(明く・開く)」を受け、兼家も「(真木の)戸も遅く明く(開く)」と、同じ「明く」の語を用いて切り返している。
・「げにやげに」…本当に本当に・いかにもいかにも、の意。
・現代語訳(解答例)…いかにもいかにも、冬の夜ではないのに、真木の戸も(あなたが開けてくれず)遅く開くのはつらいことでしたよ。
〔解説〕作者の歌の言葉を逆手にとり、「開けてくれなかったのはあなたのほうだ」とやり返している点をおさえる。

問20 (解答例)妻の鋭い恨みの歌にも本気で謝ろうとせず、「げにやげに」と調子を合わせ、相手の言葉尻をとらえて軽妙に切り返す。心変わりを指摘されても悪びれず、飄々として誠実さに欠ける人物として描かれている。
〔解説〕兼家の返歌は、反省より機知を優先する態度を示しており、作者の苦悩をいっそう際立たせる。

問21 (解答例)夫の手紙からほかの女の存在を知り、訪れが途絶える不安と嫉妬に苦しむ。車が女の家に停まったと知って傷つき、門を閉ざして恨みの歌を贈るが、夫は悪びれず軽くかわす。その態度に、やり場のない嫉妬と深い苦悩を募らせている。(約110字)

問22
・作者…藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)。
・夫…藤原兼家(ふじわらのかねいえ)。
・子…藤原道綱(ふじわらのみちつな)。
〔解説〕作者は本名が伝わらず、子の道綱の名をとって「道綱母」と呼ばれる。『尊卑分脈』に「本朝三美人」の一人と記される。

問23
・ジャンル…日記(日記文学)。
・女性による最初の日記文学…『蜻蛉日記』。(仮名による女性の自伝的日記として最初期のもの。)
・成立…平安時代(中期)。十世紀(974年ごろ成立とされる)。
〔解説〕『蜻蛉日記』は、作者自身の結婚生活の苦悩を内面までつづった点で、後の『和泉式部日記』『紫式部日記』『更級日記』など女流日記文学の先がけとなった。

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

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