徒然草のあらすじ|兼好法師・仁和寺の法師・無常観をやさしく解説

徒然草のあらすじ|兼好法師・仁和寺の法師・無常観をやさしく解説 作品解説

つれづれなるままに」で始まる『徒然草』は、兼好法師が書いた中世を代表する随筆です。人生・無常・教訓を語る段が多く、定期テストでも入試でも超頻出。あらすじとポイントをやさしくまとめました。

生徒
生徒徒然草って名前は聞くけど、結局なにを覚えればいいんですか?
先生
先生まずは兼好法師・随筆・無常観の三つ。これだけで土台はバッチリだよ。

徒然草の基本データ

成立 鎌倉時代末期(1330年ごろ)
作者 兼好法師(吉田兼好/卜部兼好)
ジャンル 随筆(序段+243段)
三大随筆 枕草子・方丈記・徒然草の一つ

有名な段

  • 序段「つれづれなるままに、日暮らし、硯(すずり)に向かひて…」=することもなく、心に浮かぶことを書きつける、という執筆の動機。
  • 仁和寺にある法師(第52段):石清水八幡宮を拝みに行った法師が、本殿が山の上にあると知らず、ふもとの付属の社だけ拝んで満足して帰ってしまう失敗談。「少しのことにも、先達(せんだち)はあらまほしきことなり」(案内人がいてほしいものだ)という教訓で結ばれます。
  • 高名の木登り(第109段):木登りの名人が、低い所まで降りてから「気をつけよ」と声をかける話。油断への戒め

テストで問われる古文ポイント

  • 仁和寺の段は係り結び「なむ」敬語が問われます。
  • 教訓を述べる文末の「〜なり(断定)」「あらまほし(〜てほしい)」に注目。なりの識別も復習を。
  • 無常観」(すべては移り変わる)が全体のテーマ。

テスト直前チェック

  • 作者=兼好法師、ジャンル=随筆、時代=鎌倉末期
  • 三大随筆=枕草子・方丈記・徒然草
  • 仁和寺の法師=「先達はあらまほしきことなり」(案内人は必要)

『徒然草』ってどんな作品?やさしい全体像

『徒然草(つれづれぐさ)』は、鎌倉時代の終わりごろ(一三三〇年前後)に、兼好法師(けんこうほうし)が書いたとされる随筆です。「随筆」とは、見たこと・聞いたこと・心に浮かんだことを、決まった形にとらわれず自由に書きつづったエッセイのこと。物語のように一本の長い筋(ストーリー)があるわけではなく、序段のほかに二百四十三段もの短い文章が集まってできています。一段ごとに話題はバラバラで、人生論・自然・芸能・うわさ話・教訓・失敗談など、じつにさまざまです。

作者の兼好法師は、もとは宮中に仕えた人で、のちに出家して僧になりました。「吉田兼好(よしだけんこう)」「卜部兼好(うらべけんこう)」とも呼ばれますが、教科書では「兼好法師」と覚えておけば十分です。世の中をすこし離れた立場から、人間や世間のありさまを冷静に、ときにユーモアを交えて見つめているのが特徴です。だからこそ、約七百年前に書かれたのに、いまの私たちが読んでも「あるある」と共感できる話が多いのです。

テストでは、まず「作者は兼好法師」「ジャンルは随筆」「成立は鎌倉時代末期」の三点セットが基本中の基本。さらに『枕草子』『方丈記』とあわせて「三大随筆」と呼ばれることも、ほぼ必ず問われます。混同しやすいので、下の表でちがいを整理しておきましょう。

三大随筆のちがいを表で整理

生徒
生徒枕草子と方丈記と徒然草、作者がいつもごちゃ混ぜになっちゃいます…
先生
先生よくある悩みだね。徒然草を清少納言と書くミスが本当に多いから、表で作者ごと覚えてしまおう。

「枕草子・方丈記・徒然草」は名前が似ていて、作者や時代をごちゃ混ぜにしてしまう人がとても多いところです。次の表で、作者・時代・特徴をセットで覚えてしまいましょう。

作品作者時代特徴・キーワード
枕草子清少納言平安時代中期「をかし」=明るく知的な美。宮中の生活や四季の趣を生き生きと描く
方丈記鴨長明鎌倉時代前期「無常観」。災害や世の移り変わりを見つめ、小さな庵での暮らしを語る
徒然草兼好法師鎌倉時代末期人生論・教訓・無常観。さまざまな話題を自由に書く

覚え方のコツは、「平安=枕草子(清少納言)/鎌倉=方丈記(鴨長明)と徒然草(兼好法師)」とまとめること。とくに『方丈記』と『徒然草』はどちらも鎌倉時代で「無常観」を語る点が共通していますが、作者がちがう(鴨長明と兼好法師)ので、必ずセットで区別して覚えてください。

キーワード「無常観」をやさしく理解する

『徒然草』を読むうえで、いちばん大切な考え方が「無常観(むじょうかん)」です。「無常」とは、この世のすべては絶えず移り変わり、永遠に同じままのものは何ひとつない、という見方のこと。花はやがて散り、人もいつか年をとって死ぬ。栄えたものもいつかは衰える——そうした「移ろい」を静かに見つめる気持ちが、徒然草の根っこに流れています。

ただし兼好法師の無常観は、「どうせ消えるのだからむなしい」と悲しむだけのものではありません。移り変わるからこそ、今この一瞬がいとおしい、という前向きな味わいも含んでいます。たとえば桜の花も、満開のときだけが美しいのではなく、散りぎわや、まだ咲かないつぼみのころにも趣がある——というように、完全でないもの・移りゆくものの中に美を見いだそうとします。この感覚は『花は盛りに』の段などによく表れています。

テストでは「徒然草のテーマ(中心となる考え方)は何か」と問われたら、迷わず「無常観」と答えられるようにしておきましょう。記述で説明する場合は「すべてのものは移り変わり、永遠に変わらないものはないという考え方」とまとめれば正解になります。

有名な段をもう少し詳しく

記事の前半で紹介した有名な段を、テストで問われやすいポイントとあわせてもう一歩くわしく見ていきましょう。あらすじだけでなく、「何が教訓なのか」をつかむことが大切です。

仁和寺にある法師(第五十二段)

仁和寺(にんなじ)のあるお坊さんが、「年をとるまで一度も石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)にお参りしたことがないのは残念だ」と思い立ち、ある日たった一人で歩いてお参りに出かけました。ところが、八幡宮の本殿(ほんとうの本社)は山の上にあるのに、法師はそれを知らず、ふもとにあった付属の社(極楽寺・高良など)だけを拝んで「これで参拝はすんだ」と思い込み、満足して帰ってしまったのです。本当のお参りは果たせなかったのに、本人はそれに気づいていません。

帰ってきた法師は、仲間に「ほかの参拝客が、みんな山へ登っていったのは何かあるのだろうか、でも自分は神様を拝むのが目的だから山までは見なかった」と得意げに話します。ここに、読者だけが「いちばん大事な本殿を拝みそびれたのに……」と気づける、おかしみと皮肉があります。この段は「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」「ちょっとしたことにも、案内してくれる人(先導者)がいてほしいものだ」という一文で結ばれます。思い込みで突っ走らず、くわしい人に確かめることの大切さを説いた、徒然草を代表する教訓段です。

先生
先生コツは「あらすじ」より「教訓」を一言で言えるようにすること。仁和寺の段なら「案内人がいてほしい」だね。

高名の木登り(第百九段)

木登りの名人として有名な男が、人に木の高い枝を切らせていたときの話です。高い危ないところで作業しているあいだは何も言わなかったのに、いよいよ仕事が終わって軒の高さほどの、もう安全に見える低いところまで降りてきたときに、はじめて「あやまちすな。心して降りよ(=失敗するな、気をつけて降りろ)」と声をかけました。「こんな低い所なら飛び降りてもよさそうなのに、なぜ今ごろ注意するのですか」と聞かれると、名人はこう答えます。「高くて怖い所では、自分でこわがって用心するから言わない。失敗は、やさしくなって油断したときに必ず起こるものだ」と。

つまりこの段の教訓は、「物事は、もう大丈夫だと油断したときにこそ失敗する」ということ。試験の見直し、スポーツ、運転など、私たちの日常にもそのまま当てはまる、いまも通じる名言です。兼好法師が、身分の低い職人の言葉を「聖人の戒め(=りっぱな教え)にもかなっている」とほめている点もポイントです。

つまずきやすいポイントと入試での問われ方

  • 作者の混同:「徒然草=清少納言」と書いてしまうミスが非常に多いです。清少納言は『枕草子』。徒然草は兼好法師です。
  • 時代の混同:枕草子は平安、徒然草は鎌倉。「三大随筆だから全部同じ時代」ではありません。
  • 「先達」の意味:「先輩」と訳すと△。ここでは「先導してくれる案内人・くわしい人」の意味です。
  • 「あらまほし」の意味:現代語の「あらまほしい」ではなく、「あってほしい・あるのが望ましい」という意味の古語です。
  • 係り結び:仁和寺の段の「こそ……けれ(已然形)」など、係り結びの法則がよく出ます。係助詞「ぞ・なむ・や・か」は連体形、「こそ」は已然形で結ぶ、を確認しておきましょう。
生徒
生徒「先達」を「先輩」って訳しちゃいそうです…!
先生
先生そこが落とし穴。先達は「案内人・くわしい人」。先輩と訳すと点はもらえないよ。

入試・定期テストでは、(1)文学史として「作者・ジャンル・時代・三大随筆」を選ばせる問題、(2)有名段の現代語訳、(3)教訓を説明させる記述、(4)敬語・係り結び・「なり」の識別などの文法問題、という四つの形でよく問われます。あらすじと教訓、基本文法をセットでおさえておけば、どの形で出ても落ち着いて答えられます。

ミニ練習問題(解答つき)

ここまでの内容が身についたか、かんたんな問題で確認してみましょう。まず自分で答えを考えてから、解答を読んでください。

  1. 『徒然草』の作者は誰ですか。また、そのジャンル(種類)は何ですか。
  2. 「枕草子・方丈記・徒然草」をまとめて何と呼びますか。
  3. 「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」を現代語に訳しなさい。
  4. 「高名の木登り」の段が伝えようとしている教訓を、一文で説明しなさい。

【解答】
1. 作者=兼好法師、ジャンル=随筆
2. 三大随筆
3. (例)ちょっとしたことにも、案内してくれる人がいてほしいものだ。
4. (例)もう大丈夫だと油断したときにこそ、人は失敗するものだ(という戒め)。

よくある質問(Q&A)

Q. 「徒然(つれづれ)」ってどういう意味ですか?
A. 「することがなく、手持ちぶさたなようす/しんみりと物思いにふけるようす」を表す言葉です。序段の「つれづれなるままに」は、「することもなく退屈なのにまかせて」という意味で、執筆のきっかけを述べています。

Q. 全部で何段あるのですか?
A. 序段のほかに二百四十三段あります。ただしテストでは段の総数を細かく問われることは少なく、有名な段(序段・仁和寺・高名の木登り・花は盛りに など)の内容を理解しているかどうかが大切です。

Q. 『方丈記』とどう区別すればいいですか?
A. どちらも鎌倉時代で「無常観」を語りますが、方丈記=鴨長明、徒然草=兼好法師と作者がちがいます。方丈記は災害や住まいの話が中心、徒然草はもっと幅広い話題を自由に書いている、と覚えるとよいでしょう。

先生
先生ここまで読めたら十分。あとは仁和寺と高名の木登りの教訓を声に出して言えれば、テストは怖くないよ。

まとめ

徒然草は兼好法師・随筆・無常観と、「仁和寺の法師」「高名の木登り」の教訓段をおさえれば安心です。枕草子と同じ随筆ですが、時代(平安⇔鎌倉)と作者が違う点を混同しないようにしましょう。

📖 この作品の教科書頻出シーンを詳しく

📝 確認クイズ

読んだあとの腕だめし。「▶ 答えと解説」を開く前に、まず自分で考えてみましょう。

Q1. 『徒然草』の作者は誰ですか。

  • ア.紫式部
  • イ.兼好法師
  • ウ.清少納言
▶ 答えと解説

イ.兼好法師
徒然草は兼好法師(吉田兼好/卜部兼好)が書いた中世を代表する随筆です。

Q2. 『枕草子』『方丈記』『徒然草』をまとめて何と呼びますか。

  • ア.三大随筆
  • イ.三大物語
  • ウ.三大歌集
▶ 答えと解説

ア.三大随筆
枕草子・方丈記・徒然草は三大随筆と呼ばれます。

Q3. 「仁和寺にある法師」の段が結ばれる教訓「先達はあらまほしきことなり」の意味はどれですか。

  • ア.学問は大切なものだ
  • イ.旅は急ぐべきだ
  • ウ.案内人がいてほしいものだ
▶ 答えと解説

ウ.案内人がいてほしいものだ
「先達はあらまほしきことなり」は、案内人(先導してくれる人)がいてほしいものだ、という教訓です。

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