徒然草『ある人、弓射ることを習ふに』定期テスト対策問題|現代語訳・文法・教訓の頻出設問と解答

ある人、弓射ることを習ふに|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

鎌倉時代末期に兼好法師が著した随筆『徒然草』の第九十二段「ある人、弓射ることを習ふに」は、弓の稽古を題材にしながら、「今この一瞬を大切にせよ」という人生全般に通じる教訓を説いた、定期テストの頻出章段です。ここでは現代語訳・文法・語句・内容理解・文学史をバランスよく問う対策問題をオリジナルで用意しました。本文の流れや背景をもう一度確認したい人は、あわせて徒然草のやさしい解説も読んでみてください。

📥 PDFダウンロード(無料・印刷OK)
問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全22問)✅ 解答・解説編PDF

本文

ある人、弓射ることを習ふに、諸矢〔①〕をたばさみて的に向かふ。師の言はく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ〔②〕。後の矢を頼みて〔③〕、初めの矢に等閑なほざり〔④〕の心あり。毎度、ただ、得失なく、この一矢に定むべし〔⑤〕と思へ」と言ふ。
わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかに〔⑥〕せんと思はんや〔⑦〕。懈怠〔⑧〕の心、みづから知らずといへども〔⑨〕、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。
道を学する人、夕べには朝あらんことを思ひ〔⑩〕、朝には夕べあらんことを思ひて、重ねてねんごろに修せんことを期す〔⑪〕。いはんや〔⑫〕、一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らんや。なんぞ、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き〔⑬〕。

※「等閑」は「なほざり」と読みます。底本により表記の揺れがありますが、ここでは一般的な高校教科書の本文に従いました。

設問

  1. 傍線部①「諸矢」について、次の問いに答えなさい。
    • (1) この語の読みをひらがなで答えなさい。
    • (2) どのようなものを指すか、簡潔に説明しなさい。
  2. 「初心の人、二つの矢を持つことなかれ」と師が戒めたのはなぜか。本文に即して説明しなさい。
  3. 傍線部②「二つの矢を持つことなかれ」について。
    • (1) 「なかれ」を文法的に説明しなさい(語の種類と意味)。
    • (2) この一文を現代語訳しなさい。
  4. 本文の教訓は、現代の私たちの生活にもあてはまる。あなたが「後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり」と同じ失敗をしそうな場面を、一つ具体的に挙げなさい(自由記述)。
  5. 傍線部③「頼みて」を、文中の意味に即して現代語訳しなさい。
  6. 傍線部④「等閑(なほざり)」の意味として最も適切なものを、次から一つ選びなさい。
    • ア いいかげんに考えて本気でないこと
    • イ 心をこめて大切にすること
    • ウ 強く期待して頼りにすること
    • エ おそれてためらうこと
  7. 傍線部⑤「定むべし」の「べし」の意味として最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
    • ア 推量 イ 意志 ウ 当然・義務 エ 可能 オ 命令
  8. 傍線部⑥「おろかに」の意味を答えなさい。また、現代語の「愚かだ」との意味の違いに注意して説明しなさい。
  9. 傍線部⑦「思はんや」について。
    • (1) 「思は」の活用形(活用の種類と活用形)を答えなさい。
    • (2) この「や」は何を表すか、文法的に説明しなさい。
    • (3) 全体を現代語訳しなさい。
  10. 傍線部⑧「懈怠」の読みと意味を答えなさい。
  11. 傍線部⑨「みづから知らずといへども」を現代語訳しなさい。
  12. 師は弓の稽古を例にとって何を教えようとしているか。本文中の「この戒め、万事にわたるべし」をふまえて、四十字以内で説明しなさい。
  13. 傍線部⑩「夕べには朝あらんことを思ひ」の「ん(む)」の文法的意味として最も適切なものを次から選びなさい。
    • ア 意志 イ 推量 ウ 仮定・婉曲 エ 勧誘
  14. 傍線部⑪「期す」の意味を、文脈に即して答えなさい。
  15. 傍線部⑫「いはんや」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
    • ア まして イ もしかすると ウ どうして エ かろうじて
  16. 傍線部⑬「ただちにすることのはなはだ難き」を現代語訳しなさい。また、文末が「難き」と連体形で結ばれている理由を説明しなさい。
  17. 「懈怠の心、みづから知らずといへども、師これを知る」とあるが、ここで兼好が言おうとしていることを、二十五字以内で説明しなさい。
  18. 本文の内容に合致するものを、次から一つ選びなさい。
    • ア 弓の名人になるには、矢を多く持って何度も射るのがよい。
    • イ 師は、弟子の怠け心を見抜くことができないものだ。
    • ウ 人は無意識のうちに「次がある」と考えて今をおろそかにしがちである。
    • エ 学問は朝より夕方に励むほうが効果的である。
  19. この文章で、兼好が最も伝えたい主張を述べた一文を、本文中から抜き出しなさい(句読点を含まない)。
  20. 次の文学史の問いに答えなさい。
    • (1) 『徒然草』の作者を、僧としての名で答えなさい。
    • (2) 『徒然草』の成立した時代を答えなさい。
    • (3) 『徒然草』のジャンル(文学の種類)を漢字二字で答えなさい。
  21. 『徒然草』と同じジャンルに属する平安時代の作品を、作者名とあわせて一つ答えなさい。
  22. 「嗜む(たしなむ)」という語は、芸事や学問に熱心に打ち込む意味で古文によく用いられる。この語を用いて、本文の師が弟子に求めた学びの姿勢を一文で説明しなさい(自由記述)。
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)

問1 (1) もろや (2) 二本で一組になっている矢。射芸では甲矢(はや)と乙矢(おとや)の二本をまとめてこう呼ぶ。ここでは「二本の矢」の意。

問2 (例)二本持つと、「あとの矢がある」と当てにして、無意識のうちに一本目をおろそかにしてしまうから。一本に集中させるための戒めである。

問3 (1) 「なかれ」=形容詞「なし」の命令形。「~してはならない・~するな」という禁止を表す。 (2)(訳)初心者は二本の矢を持ってはならない。

問4 (例)テスト勉強で「まだ前日があるから今日は少しでいい」と思い、結局直前まで手をつけずに後悔してしまう場面。(自由記述のため解答例)

問5 あてにして/頼りにして。(「頼む」は古語で「あてにする・期待する」の意。)

問6 ア(いいかげんに考えて本気でないこと)。「なほざり」は「本気でない・おろそかだ・いいかげんだ」の意。

問7 イ(意志)。「この一矢で決めようと思え」という、射る人の心づもりを表すため意志。〔当然「ウ」と迷うが、直後の「と思へ」と呼応し、射手自身の決意を述べているので意志ととる。〕

問8 いいかげんにする・おろそかにする、の意。現代語の「愚かだ(=ばかだ)」とは異なり、古語「おろかなり」は「不十分だ・なおざりだ」の意で用いられている点に注意。

問9 (1) 四段活用動詞「思ふ」の未然形。 (2) 反語を表す係助詞。「~だろうか、いや~ない」と訳す。 (3)(訳)たった二本の矢で、師の前で(そのうちの)一本をいいかげんにしようと思うだろうか、いや思いはしない。

問10 読み=けだい。意味=なまけ怠ける心。仏教語で「修行を怠ること」をいう。

問11 (訳)自分では気づかないけれども。(「みづから」=自分自身で、「といへども」=~とはいうものの・~けれども。)

問12 (例)何事も「次がある」と思わず、今この一瞬に全力を尽くすべきだという、人生全般に通じる教え。(40字以内)

問13 ウ(仮定・婉曲)。「朝(が)あるようなことを思い」と、未来のことを婉曲に述べる用法。〔「明日があると思って」の意で、推量に近いが、体言「こと」に連なるため仮定・婉曲ととる。〕

問14 (学問・修行などを)成し遂げよう・実現しようと心に決める、の意。「期す」は「期待する・あてにする・覚悟する」。

問15 ア(まして)。下に反語を伴い「まして~だろうか、いや~ない」という強調の構文をつくる。

問16 (訳)たった今すぐに実行することがたいへん難しい。/文末が連体形「難き」で結ばれているのは、文頭の「なんぞ(=どうして)」が係助詞的に働き、係り結び(疑問・反語)によって結びが連体形になっているため。

問17 (例)怠け心は本人は気づかなくても師には見抜かれているということ。(25字)

問18 ウ。(アは「二つの矢を持つことなかれ」と反する。イは「師これを知る」と矛盾。エは本文にない。)

問19 なんぞ、ただ今の一念において、ただちにすることのはなはだ難き(=「今この一瞬を大切にせよ」という主張を述べた一文)。

問20 (1) 兼好法師 (2) 鎌倉時代(末期) (3) 随筆

問21 (例)清少納言『枕草子』。〔このほか、随筆の三大作品として鴨長明『方丈記』(鎌倉時代)もおさえておきたい。〕

問22 (例)師は弟子に、一本ごとに気をゆるめず、つねに芸事を嗜むように真剣に取り組む姿勢を求めた。(自由記述のため一例)

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました