出師表 テスト対策問題28問|危急存亡の秋・解答つきPDF

定期テスト対策




諸葛亮が北伐に際して劉禅に奉った『出師表』は、冒頭の「危急存亡の秋」をはじめ、再読文字「宜」や断定「也(なり)」、対句表現が集中し、定期テストの狙い目です。誰が誰に向けて書いた文章か(作者=亮/宛先=陛下=劉禅/先帝=劉備)を軸に、語の読み・句法・内容説明を固めましょう。

本文(傍線①〜⑮)

臣亮(しんりやう)言(まう)す。先帝(せんてい)創業(さうげふ)未(いま)だ半(なか)ばならずして、中道(ちゆうだう)に崩殂(ほうそ)せり。今天下(てんか)三分(さんぶん)して、益州(えきしう)疲弊(ひへい)す。此(こ)れ誠(まこと)に危急存亡(ききふそんばう)の秋(とき)なり。然(しか)れども、侍衛(じゑい)の臣、内(うち)に懈(おこた)らず、忠志(ちゆうし)の士、身(み)を外(そと)に忘(わす)るる者は、蓋(けだ)し先帝の殊遇(しゆぐう)を追(お)ひて、之(これ)を陛下(へいか)に報(むく)いんと欲(ほつ)すればなり。誠に宜(よろ)しく聖聴(せいちやう)を開張(かいちやう)し、以(もつ)て先帝の遺徳(ゐとく)を光(かがや)かし、志士(しし)の気(き)を恢弘(くわいこう)すべし。宜しく妄(みだ)りに自(みづか)ら菲薄(ひはく)し、喩(たと)へを引(ひ)き義(ぎ)を失(うしな)ひて、以て忠諫(ちゆうかん)の路(みち)を塞(ふさ)ぐべからざるなり。宮中(きゆうちゆう)・府中(ふちゆう)は倶(とも)に一体(いつたい)たり。陟罰臧否(ちよくばつざうひ)、宜しく異同(いどう)あるべからず。
(中略)
賢臣(けんしん)に親(した)しみ、小人(せうじん)を遠(とほ)ざくるは、此れ先漢(せんかん)の興隆(こうりゆう)せし所以(ゆゑん)なり。小人に親しみ、賢臣を遠ざくるは、此れ後漢(ごかん)の傾頽(けいたい)せし所以なり。
(中略)
臣は本(もと)布衣(ふい)、躬(みづか)ら南陽(なんやう)に耕(たがや)し、苟(いやしく)も性命(せいめい)を乱世(らんせい)に全(まつた)うし、聞達(ぶんたつ)を諸侯(しよこう)に求(もと)めず。先帝臣の卑鄙(ひひ)なるを以てせず、猥(みだ)りに自ら枉屈(わうくつ)し、三(み)たび臣を草廬(さうろ)の中(うち)に顧(かへり)み、臣に諮(はか)るに当世(たうせい)の事を以てす。是(これ)に由(よ)りて感激(かんげき)し、遂(つひ)に先帝に許(ゆる)すに駆馳(くち)を以てす。
(中略)
今遠(とほ)く離(はな)るるに当(あ)たり、表(へう)に臨(のぞ)みて涕泣(ていきふ)し、云(い)ふ所(ところ)を知(し)らず。

語注 臣=家来。ここでは諸葛亮が自分をへりくだって言う語。 先帝=今は亡き前の皇帝。蜀を建てた劉備。 中道=途中。 益州=蜀の中心となる地方。今の四川省あたり。 侍衛の臣=宮中で君主のそばに仕え、守る家来。 忠志の士=忠義の心をもつ武士。 陛下=現在の皇帝への敬称。ここでは劉禅。 聖聴=天子がお聞きになること。 開張=広く開くこと。 恢弘=大きく広げること。 菲薄=自分をつまらない者と見て卑下すること。 忠諫=真心からのいさめ。 宮中・府中=宮中は皇帝の住まい、府中は丞相府(諸葛亮の役所)。 賢臣・小人=すぐれた家来/徳のないつまらない人間。 先漢・後漢=前漢と後漢。 傾頽=傾き崩れること。 南陽=諸葛亮が畑を耕していた土地。 聞達=名が知られ、出世すること。 卑鄙=身分が低くいやしいこと。 枉屈=自分の身を低くしてかがめること。 草廬=草ぶきの粗末な家。 駆馳=馬を走らせること。転じて主君のために奔走すること。 ※一つめの(中略)=宮中と軍営それぞれについて、信頼できる家臣(郭攸之・費禕・董允、将軍向寵)の名をあげ、相談するよう勧める部分。 ※二つめの(中略)=先帝が後漢の桓帝・霊帝の失政を嘆いていたことを述べ、忠義の臣を信任するよう願う部分。 ※三つめの(中略)=先帝の死後、遺言を受けて国政を担い、南方を平定し終えた今こそ北伐に出て漢室を復興すると誓う部分。 ※末尾の「今当遠離」は、「今遠く離るるに当たり」と読む本と、再読文字として「今当(まさ)に遠く離れんとし」と読む本があります。お使いの教科書に合わせてください。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「言(まう)す」を現代仮名遣いの平仮名に直して書け。
  2. ③「崩殂(ほうそ)せり」の意味を書け。
  3. ⑤「危急存亡(ききふそんばう)の秋(とき)」の「秋」は、季節の「あき」ではない。ここではどのような意味か書け。
  4. ⑥「殊遇(しゆぐう)」の意味を書け。
  5. ⑫「興隆(こうりゆう)せし所以(ゆゑん)なり」の「所以」の意味を書け。
  6. ⑬「臣は本(もと)布衣(ふい)」の「布衣」の意味を書け。
  7. ⑮「表(へう)に臨(のぞ)みて涕泣(ていきふ)し」の「涕泣」の意味を書け。

B 句法

  1. ②「未(いま)だ半(なか)ばならずして」の「未」は何と呼ばれる字か。読み方と意味もあわせて書け。
  2. ⑧「宜(よろ)しく聖聴(せいちやう)を開張(かいちやう)し」の「宜」も再読文字である。二度目の読み(本文では「志士(しし)の気(き)を恢弘(くわいこう)すべし」の部分)と、「宜しく〜すべし」の意味を書け。
  3. ⑨「忠諫(ちゆうかん)の路(みち)を塞(ふさ)ぐべからざるなり」は、直前の「宜しく妄(みだ)りに自(みづか)ら菲薄(ひはく)し」の「宜しく」を受けた形である。「宜しく〜べからず」の意味を書け。
  4. ⑦「之(これ)を陛下(へいか)に報(むく)いんと欲(ほつ)すればなり」の「〜んと欲す」の意味・用法を書け。
  5. ⑦「之(これ)を陛下(へいか)に報(むく)いんと欲(ほつ)すればなり」の文末の「なり」は、どのような働きをしているか。
  6. ⑥「殊遇(しゆぐう)」を含む「蓋(けだ)し先帝の殊遇(しゆぐう)を追(お)ひて」の「蓋し」は、どのような意味・用法の語か。文末のどの言い方と呼応しているかもあわせて書け。

C 主語・指す内容

  1. ①「言(まう)す」とあるが、この文章を書いて差し出したのは誰か。また、差し出した相手は誰か。
  2. ③「崩殂(ほうそ)せり」とあるが、亡くなったのは誰か。
  3. ⑦「之(これ)を陛下(へいか)に報(むく)いんと欲(ほつ)すればなり」の「之」は何を指すか。
  4. ⑭「三(み)たび臣を草廬(さうろ)の中(うち)に顧(かへり)み」の主語は誰か。また「臣」とは誰か。

D 口語訳

  1. ②③を含む「先帝創業未だ半ばならずして、中道に崩殂せり」を口語訳せよ。
  2. ④⑤を含む「今天下三分して、益州疲弊す。此れ誠に危急存亡の秋なり」を口語訳せよ。
  3. ⑨を含む「宜しく妄りに自ら菲薄し、喩へを引き義を失ひて、以て忠諫の路を塞ぐべからざるなり」を口語訳せよ。
  4. ⑪⑫を含む「賢臣に親しみ、小人を遠ざくるは、此れ先漢の興隆せし所以なり」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ④「三分(さんぶん)して」とあるが、どのような状態か。国名をあげて説明せよ。
  2. ⑩「陟罰臧否(ちよくばつざうひ)」とはどのような方針を述べたものか。続く「宜しく異同あるべからず」の内容もふくめて説明せよ。
  3. ⑪「小人(せうじん)を遠(とほ)ざくるは」とあるが、諸葛亮はここで前漢・後漢の歴史を引いて何を言おうとしているのか。四十字以内で書け。
  4. ⑮「表(へう)に臨(のぞ)みて涕泣(ていきふ)し」には、諸葛亮のどのような気持ちが表れているか。三十五字以内で書け。

F 文学史・故事

  1. この文章の題名『出師表』の読みを書け。また「表」とはどのような文章かを書け。
  2. ⑭「三(み)たび臣を草廬(さうろ)の中(うち)に顧(かへり)み」から生まれた故事成語を書け。また、その意味も書け。
  3. この文章の作者諸葛亮の字(あざな)と、仕えた国の名を書け。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 もうす(歴史的仮名遣いでは「まうす」)
└ ★「-au」は「-おう」に直す。「臣亮言す」=「家来の亮が申し上げます」で、上奏文の書き出しの決まり文句

問2 (天子が)お亡くなりになった。
└ ★「崩」も「殂」も貴人の死を表す字。ふつうの人の死には使わない

問3 大事なとき・重大な分かれめ。生き残るか滅びるかがかかった局面。
└ ★読みは「とき」。読みと意味をセットで問われる最頻出語

問4 特別に手厚いもてなし・待遇。
└ 先帝劉備が諸葛亮を特別に重く用いたことをいう

問5 わけ・理由。
└ ★「それゆえ(だから)」と取りちがえない。「〜する所以なり」=「〜する理由である」

問6 官職のない庶民。無位無官の身。
└ もとは「麻などの粗末な衣服」の意味。そこから身分をいう語になった

問7 涙を流して泣くこと。
└ 「涕」も「泣」も、なみだ・泣くことを表す字

B 句法

問8 再読文字。「いまだ〜ず」と読み、「まだ〜ない」の意。
└ ★ここは「(大事業が)まだ半分も終わらないうちに」

問9 二度目は「べし」と読む。「宜しく〜すべし」=「〜するのがよい・当然〜すべきだ」。
└ 家来が君主にそうするよう勧める言い方

問10 「〜してはならない・〜すべきでない」。「宜しく〜べし」を打ち消した、禁止・不適当の言い方。(教科書によっては「〜するのがよくない」と訳す。どちらでもよい。)
└ 「〜するのがよくない」と訳す教科書と「〜してはならない」と訳す教科書がある。お使いの教科書の説明に合わせること

問11 「〜しようとする・〜したいと思う」。願望・意志を表す。
└ 直前の動詞を未然形にして「ん(む)」を付けて読む

問12 断定(判断)を表す。「〜すればなり」の形で「〜だからである」と理由を言い切る働き。
└ 白文では「也」にあたる。文末の「也」=「なり」は判断・断定

問13 「けだし」と読む副詞で、「思うに・おそらく〜だろう」と理由を推し量って述べる。文末の「〜すればなり(=〜だからである)」と呼応している。
└ ★「蓋し〜ばなり」でひとまとまり。「〜しているのは、思うに…だからである」という形になる

C 主語・指す内容

問14 書いたのは諸葛亮(亮)。差し出した相手は蜀の皇帝劉禅(本文の「陛下」)。
└ 「臣亮」の「亮」が作者自身の名

問15 先帝=劉備。
└ ★先帝=劉備、陛下=劉禅。この二人の取りちがえが最大のミス

問16 先帝から受けた特別な厚遇(⑥「殊遇」)。
└ 直前の「先帝の殊遇を追ひて」を受けている

問17 主語=先帝(劉備)/「臣」=諸葛亮自身。
└ ★訪ねたのが劉備、訪ねられたのが諸葛亮。逆にすると意味が反対になる

D 口語訳

問18 先帝は、(漢王朝を復興するという)大事業をまだ半分も成しとげないうちに、その途中でお亡くなりになった。

問19 いま天下は三つに分かれ、益州(蜀)は疲れ弱っている。これはまことに、生き残るか滅びるかの分かれめの時である。

問20 むやみにご自分を安く見て卑下し、(都合のよい)たとえを引いて道理を見失って、そうして忠義の諫言の道をふさいでしまわれてはならない。※「〜ふさいでしまわれるのはよくない」と訳す教科書もある。

問21 すぐれた家来を親しく用いて、つまらない人間を遠ざけたこと、これこそが前漢が栄えた理由である。

E 内容・記述

問22 天下が魏・呉・蜀の三国に分かれて対立している状態。(そのなかで蜀=益州は疲弊している。)

問23 功のある者を引き立て、悪い者を罰し、善悪を正しく見きわめて賞罰を行うということ。しかもそれを宮中と丞相府とで差をつけず、同じ基準で公平に行うべきだという方針。
└ 「陟」=ひきあげる、「罰」=罰する、「臧否」=善と悪。現代仮名遣いでは「ちょくばつぞうひ」

問24 王朝の興亡は人材の登用しだいだから、賢臣を近づけ小人を遠ざけよということ。(三十七字)

問25 先帝の恩に報い漢室を復興するという決意と、都を離れる万感の思い。(三十二字)
└ 涕泣=涙を流して泣くこと。直前まで先帝への恩と北伐の決意を述べているので、答えの軸は「先帝への恩」+「都を離れる思い」

F 文学史・故事

問26 すいしのへう(現代仮名遣いでは「すいしのひょう」)/「表」は家来が君主にたてまつる文書=上奏文。「出師」は軍を出すこと。
└ 『文選(もんぜん)』に収められた名文。のちに書かれたとされる『後出師表』と区別して『前出師表』とも呼ばれる

問27 三顧の礼/目上の人が礼をつくして、くり返し人を訪ね、協力を求めること。

問28 字は孔明/蜀(蜀漢)。
└ 魏を討つ北伐に出発するにあたり、皇帝劉禅にたてまつった上奏文とされる

【テスト直前チェック】この三つ
「秋」は「とき」。「危急存亡の秋」を季節の「あき」と訳すと即アウト。読みと意味の両方を書けるようにしておく。
この範囲でねらわれる再読文字は「未」と「宜」。「未だ半ばならず=まだ半分も終わらない」「宜しく〜すべし=〜するのがよい」。打ち消した「宜しく〜べからず=〜してはならない」もセットで覚える。
先帝=劉備、陛下=劉禅。記述問題の答えは、ほぼこの人物関係と「賢臣に親しみ、小人を遠ざく」に集まります。

現代語訳(全文)

家来の亮(諸葛亮)が申し上げます。先帝(劉備)は、漢王朝を復興するという大事業をまだ半分も成しとげないうちに、その途中でお亡くなりになりました。いま天下は魏・呉・蜀の三つに分かれ、わが蜀の益州は疲れ弱っています。これはまことに、生き残るか滅びるかの分かれめの時です。それでも、宮中の護衛の家来が職務を怠らず、忠義の志をもつ武士がわが身をかえりみず外で戦っているのは、思うに、先帝から受けた特別な厚遇を心に思い、その恩に陛下(劉禅)に報いようとしているからなのです。

ぜひとも、お耳を広く開いて家来の言葉をお聞きになり、そうして先帝の残された徳を輝かせ、志ある人々の気持ちを大きく奮い立たせるのがよろしい。むやみにご自分を安く見て卑下し、(都合のよい)たとえを引いて道理を見失って、忠義の諫言の道をふさいでしまわれてはなりません。宮中と丞相府とは、ともに一体です。功のある者を引き立て、悪い者を罰し、善悪を見きわめるにあたって、(宮中と府中とで)差があってはなりません。

すぐれた家来を親しく用いて、つまらない人間を遠ざけたこと、これこそが前漢が栄えた理由です。反対に、つまらない人間を親しく用いて、すぐれた家来を遠ざけたこと、これこそが後漢が傾き衰えた理由なのです。

私はもともと官職もない一介の庶民で、南陽の地で自分の手で田畑を耕し、せめてこの乱れた世の中で何とか生き延びられればよいと思い、諸侯に名を知られ出世しようなどとは求めていませんでした。ところが先帝は、私の身分が低くいやしいことを気になさらず、ご自分から腰を低くして、三度も私の粗末な草ぶきの家を訪ねてくださり、今の世の中のことについて私にご相談くださいました。私はこのことに深く感激し、とうとう先帝のために、馬を駆って働き尽くすことをお約束したのです。

いま、遠く都を離れて出陣するにあたり、この上奏文を前にして涙があふれて泣くばかりで、自分でも何を申し上げているのか分からないほどです。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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