伊勢物語『筒井筒』定期テスト対策問題|和歌・現代語訳・文法の頻出設問と解答

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伊勢物語の中でも、定期テストで特によく問われるのが『筒井筒』です。幼なじみの二人が大人になって結ばれるまでの純愛と、夫が他の女のもとへ通うようになっても夫を気づかう妻の貞節(けなげな愛情)が大きな読みどころで、和歌の修辞(掛詞・序詞)や「けらし」「べき」といった文法もねらわれます。まずは本文を読み、設問に答えてみましょう。最後の解答で確認できます。基礎をもう一度おさえたい人は、先に 伊勢物語『筒井筒』のやさしい解説 を読んでから取り組むと、設問がぐっと解きやすくなります。

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問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全22問)✅ 解答・解説編PDF

本文

昔、田舎わたらひしける人の子ども、井のもとに出でて遊びけるを、大人になりにければ、男も女も恥ぢかはしてありけれ〔①〕ど、男はこの女をこそ得めと思ふ。女はこの男をと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。

さて、この隣の男のもとより、かくなむ。

 筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな〔②〕妹見ざるまに

女、返し、

 くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずして誰かあぐべき〔③〕

などいひいひて、つひに本意〔④〕のごとくあひにけり。

さて、年ごろ経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国、高安の郡に、行き通ふ所出で来にけり。さりけれど、このもとの女、あしと思へるけしきもなくて、出だしやりければ、男、異心ありてかかるにやあらむと思ひうたがひて、前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、この女、いとよう化粧じて、うちながめて、

 風吹けば沖つ白波たつた山〔⑤〕夜半にや君がひとりこゆらむ

とよみけるを聞きて、かぎりなくかなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。

まれまれかの高安に来て見れば、はじめこそ心にくくもつくりけれ、今はうちとけて〔⑥〕、手づから飯匙取りて、笥子のうつはものに盛りけるを見て、心憂がりて行かずなりにけり。

設問

設問は全部で22問あります。型ごとにまとめてありますが、番号は通し番号です。解答は記事末尾の「解答・解説を見る」で確認できます。

1. 現代語訳

  1. 傍線部①「恥ぢかはしてありけれ」を現代語訳しなさい。また、誰と誰がそうしているのかも本文に即して答えなさい。
  2. 傍線部②「過ぎにけらしな」を現代語訳しなさい。
  3. 傍線部③「誰かあぐべき」を現代語訳しなさい。
  4. 本文中「聞かでなむありける」を現代語訳しなさい。だれが、何を「聞か」なかったのかも明らかにすること。
  5. 本文中「もろともにいふかひなくてあらむやはとて」を、わかりやすく現代語訳しなさい。
  6. 本文末尾「心憂がりて行かずなりにけり」を現代語訳しなさい。「心憂がりて」の意味がわかるように訳すこと。

2. 和歌の解釈と修辞

  1. 男の歌「筒井つの井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに」は、何を、どのように述べた歌か。「丈(たけ)」が何と比べられているかを含めて説明しなさい。
  2. 女の返歌「くらべこし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずして誰かあぐべき」は、男の歌のどのような点を受けて、どのような気持ちを返した歌か。「振り分け髪」「あぐ(髪上げ)」の語にふれて説明しなさい。
  3. 傍線部⑤「たつた山」には和歌の修辞が用いられている。その修辞の名称を答え、「たつ」がどのような二つの意味を掛けているかを説明しなさい。また、上の句「風吹けば沖つ白波」がこの歌で果たしているはたらき(修辞の名称)も答えなさい。
  4. 「風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとりこゆらむ」の歌には、女のどのような心情が表れているか。この歌を聞いた男がその後どうしたかと合わせて説明しなさい。

3. 文法

  1. 傍線部②「過ぎにけらしな」を文法的に説明しなさい。「に」「けらし」「な」のそれぞれの意味・はたらきに触れること。
  2. 傍線部③「誰かあぐべき」について、(1)助動詞「べき」の文法的意味を答え、(2)「か」と「べき」がつくる構文(係り結び)を明らかにし、ここでの「か」が疑問・反語のどちらかを答えなさい。
  3. 「聞かでなむありける」の「なむ」は何か。文法的に説明し、なぜ文末が「ける」(連体形)で結ばれているのかを答えなさい。
  4. 「男はこの女をこそ得めと思ふ」の「め」、および「行き通ふ所出で来にけり」の前提となる「男」の気持ちをふまえ、「得め」の「め」(助動詞「む」)の文法的意味を答えなさい。
  5. 「夜半にや君がひとりこゆらむ」の「らむ」の文法的意味を答え、あわせて「にや」の下に省略されている語を補いなさい。
  6. 「異心ありてかかるにやあらむ」の「にやあらむ」を文法的に説明し、現代語訳しなさい。

4. 語句

  1. 傍線部④「本意(ほい)」の本文中での意味を答えなさい。
  2. 傍線部⑥「うちとけて」の本文中での意味を答えなさい。
  3. 「はじめこそ心にくくもつくりけれ」の「心にくし」の意味を答えなさい。
  4. 「前栽の中に隠れゐて」の「前栽」とは何か、簡潔に説明しなさい。

5. 内容理解

  1. この物語の前半(二人が結ばれるまで)と後半(高安の女のもとへ通う場面)を通して、「もとの女(妻)」のどのような人柄が描かれているか。純愛貞節の二語にふれてまとめなさい。

6. 文学史

  1. 【文学史】『伊勢物語』について、(1)和歌を中心に物語が展開するこのような作品のジャンル名、(2)主人公の「男」のモデルとされ、六歌仙・三十六歌仙にも数えられる実在の歌人の名、(3)各章段の多くが書き出しに用いる決まり文句を、それぞれ答えなさい。
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【現代語訳】

問1 訳:「(たがいに)恥ずかしがり合っていた」。
幼なじみとして井戸のそばで遊んでいた男と女(の二人)が、大人になったため、たがいに気恥ずかしく思い合っていたのである。「恥ぢかはす」は「恥づ」+相互の意を表す「かはす」で、「たがいに恥ずかしがる」の意。

問2 訳:「(私の背丈は井筒を)越してしまったらしいなあ」。

問3 訳:「あなた以外の誰のために(髪を)結い上げたりしようか、いや、あなた以外の人には結い上げたりはしません」。

問4 訳:「(女は親が他の男と)結婚させようとするが、それを聞き入れずにいた」。——女が、親のすすめる縁談(他の男との結婚話)を聞き入れなかったのである。

問5 訳:「(親を亡くし、頼りなくなった妻と)いっしょに生活のしようもないさまでいてよいものか、(いや、よくない)と思って」。「やは」は反語を表す。

問6 訳:「(高安の女が自ら飯を盛る姿を)不快に思って、(高安へ)行かなくなってしまった」。「心憂し(うし)」は「いやだ、不快だ」の意。

【和歌の解釈と修辞】

問7 幼いころ井筒(井戸の囲い)と高さをくらべ合っていた自分の背丈が、(久しく会わないうちに)その井筒を越えるほどに伸びてしまったらしい、と自分の成長を詠んだ歌。あわせて「あなたに会わないうちに大人になりました(だから結婚しよう)」という求婚の気持ちをこめている。「丈」は井筒(の高さ)と比べられている。

問8 男が「背が伸びた(大人になった)」と詠んだのを受けて、女も「子どものころあなたとくらべ合っていた振り分け髪(幼児の髪型)も肩を越すほど伸びました」と返した歌。「あぐ(髪上げ=大人の女性の髪型に結うこと、結婚をも意味する)」を用いて、「あなた以外の誰のために髪を結い上げたりしません」と、男の求婚に承諾して思いを返す気持ちを表している。

問9 修辞は掛詞(かけことば)。「たつ」に、(白波が)「立つ」と地名の「竜田山(たつた山)」の「たつ」とを掛けている。また上の句「風吹けば沖つ白波」は、同音の繰り返しで「たつ」を導き出す序詞(じょことば)のはたらきをしている。

問10 夫が夜ふけに竜田山を越えて高安の女のもとへ一人で通っていく道中を気づかい、案じる心情。怒りや嫉妬ではなく、夫の身を思いやるけなげな愛情(妻の貞節)が表れている。この歌を物陰で聞いた男は「かぎりなくかなしと思ひて(このうえなくいとしいと思って)」、その後河内(高安の女のもと)へ通わなくなった

【文法】

問11 「過ぎ+に+けらし+な」と分ける。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けらし」は過去推定の助動詞「けらし」(=「けるらし」の縮まった形。…たらしい・…てしまったらしい)、「な」は詠嘆の終助詞。訳:「(私の背丈は井筒を)越してしまったらしいなあ」。

問12 (1)「べき」は適当・当然の助動詞「べし」の連体形(「…するのがふさわしい・…するはずだ」)。 (2)係助詞「か」を受けて文末が連体形「べき」で結ばれる係り結びであり、ここの「か」は反語。(「あなた以外の誰のために髪を結い上げようか、いや結い上げない」の意。)

問13 「なむ」は係助詞(強調)。係助詞「なむ」を受けると文末は連体形で結ぶという係り結びの規則があるため、助動詞「けり」が連体形「ける」で結ばれている。

問14 「得め」の「め」は助動詞「む」の已然形(ここでは「こそ」の係り結びで已然形結び)で、意志を表す。「(男は)この女をこそ妻に得ようと思う」の意。

問15 「らむ」は現在推量の助動詞「らむ」の連体形(「今ごろ…しているのだろう」)。「にや」の下には「あらむ」(「あり」+推量の「む」)が省略されている。係助詞「や」の係り結びで、本来は「夜半にやあらむ…こゆらむ」という形。

問16 「にやあらむ」=断定の助動詞「なり」の連用形「に」+係助詞「や」(疑問)+ラ変「あり」の未然形「あら」+推量の「む」の連体形(係り結び)。訳:「(夫に)浮気ぐさな心があってこう(快く送り出す)のだろうか」。

【語句】

問17 「本意(ほい)」=かねてからの願い・本来の望み(ここでは結ばれたいという二人のもとからの思い)。

問18 「うちとけて」=気をゆるして・うちとけて(とりつくろわなくなって)。ここでは高安の女が気を許してとりつくろわなくなったことをいう。

問19 「心にくし」=奥ゆかしい・上品でしとやかだ。「はじめこそ心にくくもつくりけれ」=「はじめは奥ゆかしく上品にふるまっていたが」の意。

問20 「前栽(せんざい)」=庭先に植えた草木・植え込み。男はその草木の茂みの中に身を隠して妻の様子をうかがった。

【内容理解】

問21 前半では、親がすすめる他の男との縁談を拒んでまで幼なじみの男を思い続ける、一心な純愛の人として描かれる。後半では、夫が他の女のもとへ通っても怒りや嫉妬を見せず、かえって夫の身を案じる歌(「風吹けば…」)を詠む、けなげで貞節な妻として描かれる。この一心さと思いやりが、男の心を再びもとの女に引き戻させる。

【文学史】

問22 (1)歌物語。 (2)在原業平(ありわらのなりひら)。 (3)「昔、男ありけり」(多くの章段がこの書き出しで始まる)。『伊勢物語』は、和歌を中心に短い章段を連ねた歌物語で、主人公の「男」は在原業平がモデルと考えられている。

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

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