若紫(垣間見)テスト対策問題28問|源氏物語・解答つきPDF

若紫|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

『源氏物語』のなかでも、光源氏(ひかるげんじ)が幼い少女(のちの紫の上)を北山ではじめて見つける「若紫(わかむらさき)・北山の垣間見(かいまみ)」の場面は、定期テストで非常によく出されるところです。少女が「雀(すずめ)の子を逃がしてしまった」と泣きべそをかく有名な箇所や、源氏がその子に強く心をひかれる理由(じつは恋い慕う藤壺〈ふじつぼ〉によく似ている)が問われます。まずは本文を読んで設問に答え、最後の解答・解説で答え合わせをしてみましょう。話の流れをやさしく確認したい人は、先に源氏物語『若紫』のやさしい解説を読んでおくと、設問がぐっと解きやすくなります。

本文(傍線①〜⑮)

 日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたう霞(かす)みたるにまぎれて、かの小柴垣(こしばがき)のもとに立ち出(い)で給(たま)ふ。人々は帰し給ひて、惟光(これみつ)の朝臣(あそん)とのぞき給へば、ただこの西面(にしおもて)にしも、持仏(じぶつ)据(す)ゑ奉(たてまつ)りて行(おこな)ふ尼(あま)なりけり。
 四十余ばかりにて、いと白うあてに痩(や)せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪(かみ)のうつくしげにそがれたる末(すゑ)も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなと、あはれに見給ふ。
 清(きよ)げなる大人(おとな)二人ばかり、さては童(わらは)べぞ出で入り遊ぶ。中に、十ばかりにやあらむと見えて、白き衣(きぬ)、山吹(やまぶき)などの、なえたる着て、走り来たる女子(めのこ)、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えてうつくしげなる容貌(かたち)なり。髪は扇(あふぎ)を広げたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。
 「何ごとぞや。童べと腹立ち給へるか」とて、尼君(あまぎみ)の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ。「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる、伏籠(ふせご)のうちに籠めたりつるものを」とて、いと口惜(くちを)しと思へり。
 尼君、「いで、あな幼や言ふかひなうものし給ふかな。おのがかく今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひ給ふほどよ。罪得ることぞと、常に聞こゆるを、心憂(こころう)く」とて、「こちや」と言へば、ついゐたり。
 ねびゆかむさまゆかしき人かなと、目とまり給ふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけり、と思ふにも涙ぞ落つる。

語注 いたう=たいそう。 小柴垣=丈の低い、柴で編んだ垣根。 惟光の朝臣=光源氏の乳母子(めのとご)で腹心の家来。 西面=西向きの部屋。 持仏=身近に置いて日ごろ拝む仏像。 行ふ=仏道の勤めをする。 つらつき=顔だち。 まみ=目もと。 そぐ=(髪の先を)切りそろえる。 なかなか=かえって。 こよなう=この上なく。 清げなり=こざっぱりとして美しい。 大人=おとなの女房。 童べ=子どもの召し使い。 なえたる=着なれてやわらかくなった。 女子=女の子。 容貌=顔だち。 おぼゆ=似る。 犬君=少女に仕える童女の名。 伏籠=ふせて上に衣をかけ、香をたきしめるためのかご。ここには雀の子を入れていた。 口惜し=残念だ。 いで=いやもう・まあ(感動詞)。 おのが=自分の。 今日明日におぼゆる命=今日か明日かと思われる、先の短い命。 罪得=仏罰を受ける。 ついゐる=ひざをついてすわる。 さるは=というのは。 まもる=じっと見つめる。 ※この少女が、のちの紫の上である。

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使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「つれづれなれば」の「つれづれなり」の意味を書け。
  2. ③「あてに」の終止形と、ここでの意味を書け。
  3. ④「うつくしげに」のもとになる形容詞「うつくし」の意味を書け。
  4. ⑤「今めかしき」の終止形と意味を書け。
  5. ⑥「あはれに」の、ここでの意味を書け。
  6. ⑦「生ひ先見えて」の「生ひ先」の意味を書け。
  7. ⑪「いで、あな幼や」の「あな〜や」はどのような気持ちを表す言い方か。また、「幼し」のここでの意味を書け。

B 文法

  1. ②「まぎれて」の「まぎれ」について、動詞「紛る」の活用の種類と活用形を書け。
  2. ⑧「子なめり」の「なめり」は、もとどのような形か。変化の順を追って説明せよ。
  3. ⑨「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる」の「つる」を文法的に説明せよ(終止形と活用形も示すこと)。
  4. ⑩「籠めたりつるものを」の「たり」の意味と活用形を書け。
  5. ⑩「籠めたりつるものを」の「ものを」の意味とはたらきを書け。
  6. ⑮の「まもらるるなりけり」の「るる」は、自発・可能・受身・尊敬のどれか。終止形もあわせて書け。

C 主語・指す内容・敬意の方向

  1. ⑧「子なめり」とあるが、誰が、誰を、誰の子だと思ったのか。
  2. ⑨「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる」は、誰の言葉か。
  3. ⑪「いで、あな幼や」は、誰が誰に向けて言った言葉か。
  4. ⑭「限りなう心を尽くしきこゆる人」とは誰を指すか。
  5. ⑮の「似たてまつれる」の「たてまつれ」について、敬語の種類と、誰から誰への敬意かを書け。

D 口語訳

  1. ⑨「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる」を口語訳せよ。
  2. ⑫「言ふかひなうものし給ふかな」を口語訳せよ。
  3. ⑬「ねびゆかむさまゆかしき人かな」を口語訳せよ。
  4. ⑮「いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけり」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ⑨・⑩の言い方と、直前の「顔はいと赤くすりなして立てり」から、少女がどのような子どもとして描かれているか説明せよ。
  2. ⑪・⑫のように尼君が少女をたしなめたのはなぜか。あとに続く尼君の言葉をふまえて六十字程度で書け。
  3. ⑭・⑮をふまえて、源氏が少女に目をとめ、さらに「涙ぞ落つる」とまでなったのはなぜか。源氏の心の中を説明せよ。

F 文学史

  1. 『源氏物語』の作者名と、成立した時代を書け。
  2. 『源氏物語』は全部で何帖からなるか。また、「若紫」は巻の初めから数えて何番目の巻か。
  3. 『源氏物語』のような作り物語に対して、和歌を中心に短い話を連ねた物語を何というか。また、その代表作を一つ挙げよ。

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解答と解説

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A 語句の意味と読み

問1 することがなくて退屈だ・所在ない(もの寂しい)
└ 源氏が夕暮れに歩み出る理由になっている

問2 終止形=あてなり/意味=上品だ・高貴だ
└ 尼君の品のよさをいう語

問3 かわいらしい・いとしい
└ ×今の「美しい」。小さいものへの愛情をいう語

問4 終止形=今めかし/意味=現代風だ・今風で華やかだ
└ 「今めく(今風になる)」から。短く切った髪をそう感じている

問5 しみじみと心がひかれる様子で・しみじみと趣深く
└ 「うつくし」と並ぶ源氏物語の頻出の心情語

問6 成長した先ざき・将来(の姿)
└ 「生ひ先見ゆ」=将来(の美しさ)が思いやられる

問7 「あな〜や」=感動・詠嘆(ここではあきれ)を表す言い方で、「ああ〜だなあ」の意。「幼し」=子どもっぽい・分別がない・あどけない。
└ 「あな+形容詞の語幹(幼)+や」で感動を表す形。「いで」も感動詞

B 文法

問8 ラ行下二段活用・連用形
└ 接続助詞「て」は連用形に付く

問9 断定の助動詞「なり」の連体形「なる」に推定(婉曲)の助動詞「めり」が付いた「なるめり」が、撥音便で「なんめり」となり、その「ん」を書き表さずに「なめり」となったもの。
└ 「めり」は終止形に付くが、ラ変型に活用する語(ここでは断定の「なり」)には連体形に付く。だから「なるめり」となる。頻出の音の変化

問10 完了の助動詞「つ」の連体形(終止形は「つ」)。下に体言を省いた言いさしの形で、余情・詠嘆を表す。
└ 終止形なら「逃がしつ」。「つ」は連用形に付く

問11 存続(完了)の助動詞「たり」の連用形。「〜ておいた」の意。
└ 下の「つ」が連用形に付くので、ここは連用形

問12 逆接を表す接続助詞で「〜のに」の意。ここは下を言いさして詠嘆の気持ちをこめている。文末に置かれた詠嘆の終助詞と説明する教科書もあるので、お使いの教科書の説明に合わせること。
└ 「閉じこめておいたのに(逃がされた)」という不満

問13 自発(自然と〜される)。終止形は「る」で、ここは連体形「るる」。
└ 心の動きを表す語に付く「る・らる」は自発になりやすい

C 主語・指す内容・敬意の方向

問14 光源氏が、走って来た女の子(のちの紫の上)を、尼君の子であるようだと思った。
└ 「見給ふ」の尊敬語から主語は源氏。実際には尼君の孫にあたる

問15 走って来た十歳ほどの女の子(のちの紫の上)の言葉。
└ 直後に「いと口惜しと思へり」とある

問16 尼君が、雀を逃がされて泣きべそをかいている少女(のちの紫の上)に向けて言った言葉。
└ 直前に「尼君、」と主語が示されている

問17 藤壺(の宮)。光源氏がひそかにこの上なく恋い慕っている人。
└ 少女は藤壺の姪にあたる

問18 謙譲語(補助動詞)。敬意の対象は、似ている相手である藤壺。敬意の主体は、この部分を直後の「と思ふ」が受ける源氏の心の中の思いとみれば源氏、「さるは」以下を語り手の説明(草子地)とみれば語り手(作者)となる。お使いの教科書の説明に合わせること。
└ 「たてまつる」は動作の向かう相手を高める(動作主を高める「給ふ」と区別する)。直後の「と思ふ」をどう見るかで、敬意の主体の答えが変わる

D 口語訳

問19 雀の子を犬君が逃がしてしまったの(ですよ)。
└ 犬君は少女に仕える童女の名。人名として訳す

問20 たわいなく(言ってもしかたがないほど子どもっぽく)いらっしゃることよ。
└ 「ものす」=「ある・いる・する」の代わりに使う語/「かな」=詠嘆

問21 成長していくような様子が見たい人だなあ。(「む」を推量ととって「成長していくであろう様子が見たい人だなあ。」も可)
└ 体言(さま)に続く連体形の「む」は婉曲(〜ような)と教えるのが一般的だが、推量(〜だろう)とする教科書もあるので、お使いの教科書に合わせること

問22 (その人に)たいそうよく似申し上げているために、自然と見つめられるのであった。
└ 「が」は「〜のが(理由で)」。直前の「さるは(というのは)」から、目がとまった理由を述べている部分。「まもる」=じっと見つめる

E 内容・記述

問23 雀の子を伏籠に入れて飼うほど生き物をかわいがり、逃げられたことを泣いて顔をこするほど本気で残念がる、あどけなく感情のままな子ども。その幼さが、のちに尼君にたしなめられることにつながっている。
└ ⑩の「ものを」=〜のに。大事に閉じこめておいたのに、が不満の中身。顔が赤いのは泣いてこすっていたため

問24 自分の命が今日明日とも知れないのに、少女はそれを何とも思わず雀を惜しがり、生き物を捕らえるのは罪だといつも言っているのに聞き入れないから。
└ 「今日明日におぼゆる命」「罪得ることぞ」が手がかり。※尼君は自分の亡きあとの少女の行く末も案じている(のちの場面)

問25 少女が、源氏がひそかにこの上なく恋い慕う藤壺によく似ていたから。会うことのかなわぬその人の面影をふいに目の前に見て、思慕とせつなさがこみ上げ、思わず涙が落ちたのである。
└ 「さるは」=というのは、で理由が始まる合図。⑭「限りなう心を尽くしきこゆる人」=藤壺を指すと分かれば書ける。会えないその人の面影を見た、という心の動きまで書く

F 文学史

問26 作者=紫式部/時代=平安時代(十一世紀初め・平安時代中期)
└ 同じ作者の日記に『紫式部日記』がある

問27 五十四帖/五番目(桐壺・帚木・空蝉・夕顔・若紫)
└ 巻名の順は、冒頭の四巻だけ覚えておけばよい

問28 歌物語/『伊勢物語』(『大和物語』も可)
└ 作り物語=『竹取物語』『源氏物語』など

【テスト直前チェック】この三つ
「うつくし」は「かわいい」。今の「美しい」ではない。「あてなり=上品だ」「今めかし=現代風だ」「ねびゆく=成長していく」「ゆかし=見たい」もセットで覚える。
「子なめり」は「なるめり」→「なんめり」→「なめり」。断定「なり」の連体形+推定「めり」で、撥音の「ん」を書き表さない形。
源氏が目を離せない理由は「藤壺によく似ているから」。記述問題の答えは、ほぼここに集まります。

現代語訳(全文)

日もたいそう長く、することもなく退屈なので、(光源氏は)夕暮れのひどく霞んでいるのにまぎれて、あの小柴垣のところに歩み出なさる。供の人々はお帰しになって、惟光の朝臣とのぞきなさると、ちょうどこの西向きの部屋で、持仏をお据え申し上げて勤行している尼であった。

四十歳過ぎくらいで、たいそう色白で上品にやせているけれど、顔つきはふっくらとして、目もとのあたりや、髪がかわいらしく切りそろえられている末も、かえって長い髪よりもこの上なく今風で華やかなものだなあと、しみじみと心をひかれてご覧になる。

こざっぱりとした大人の女房が二人ほど、そのほかには童女たちが出たり入ったりして遊んでいる。その中に、十歳くらいであろうかと見えて、白い衣に、山吹色などの、着なれてやわらかくなった着物を着て走って来た女の子は、たくさん見えた子どもたちとは似ても似つかず、たいそう成長した先の姿が思いやられて、かわいらしい顔だちである。髪は扇を広げたようにゆらゆらとして、顔は(泣いて手でこすったために)たいそう赤くなって立っている。

「どうしたのか。童女たちとけんかをなさったのか」と言って、尼君が見上げた(その顔に、少女と)少し似ているところがあるので、(尼君の)子であるようだと(源氏は)ご覧になる。(少女は)「雀の子を犬君が逃がしてしまったの。伏籠の中に閉じこめておいたのに」と言って、たいそう残念だと思っている。

尼君が、「まあ、なんと幼いこと。たわいなくていらっしゃることよ。私がこのように今日か明日かと思われる(先の短い)命であるのを、何ともお思いにならないで、雀を恋しがりなさるとは。(生き物を捕らえておくのは)罪を得ることだと、いつも申し上げているのに、情けない」と言って、「こちらへ」と言うと、(少女は)ひざをついてすわった。

(源氏は)成長していくであろう様子が見たい人だなあと、目がおとまりになる。というのは、この上なく心を尽くしてお慕い申し上げている人(=藤壺)に、たいそうよく似申し上げているのが(理由)で、自然と見つめられるのであった、と思うにつけても涙が落ちる。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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