源氏物語『若紫(垣間見)』定期テスト対策問題|現代語訳・文法・内容の頻出設問と解答

若紫|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

『源氏物語』のなかでも、光源氏(ひかるげんじ)が幼い少女(のちの紫の上)を北山ではじめて見つける「若紫(わかむらさき)・北山の垣間見(かいまみ)」の場面は、定期テストで非常によく出されるところです。少女が「雀(すずめ)の子を逃がしてしまった」と泣きべそをかく有名な箇所や、源氏がその子に強く心をひかれる理由(じつは恋い慕う藤壺〈ふじつぼ〉によく似ている)が問われます。まずは本文を読んで設問に答え、最後の解答・解説で答え合わせをしてみましょう。話の流れをやさしく確認したい人は、先に源氏物語『若紫』のやさしい解説を読んでおくと、設問がぐっと解きやすくなります。

📥 PDFダウンロード(無料・印刷OK)
問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全24問)✅ 解答・解説編PDF

本文

 日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたう霞みたるにまぎれて〔①〕、かの小柴垣(こしばがき)のもとに立ち出で給ふ。人々は帰し給ひて、惟光(これみつ)の朝臣(あそん)とのぞき給へば、ただこの西面(にしおもて)にしも、持仏(じぶつ)据ゑ奉りて行ふ尼なりけり。

 四十余ばかりにて、いと白うあてに痩せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげに〔②〕そがれたる末も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなと、あはれに〔③〕見給ふ。

 清げなる大人(おとな)二人ばかり、さては童(わらは)べぞ出で入り遊ぶ。中に、十ばかりにやあらむと見えて、白き衣(きぬ)、山吹などの、なえたる着て、走り来たる女子(めのこ)、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひ先見えてうつくしげなる容貌(かたち)なり。髪は扇を広げたるやうにゆらゆらとして、顔はいと赤くすりなして立てり。

 「何ごとぞや。童(わらは)べと腹立ち給へるか」とて、尼君の見上げたるに、すこしおぼえたるところあれば、子なめりと見給ふ。「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる〔④〕、伏籠(ふせご)のうちに籠めたりつるものを」とて、いと口惜しと思へり。

 尼君、「いで、あな幼や〔⑤〕。言ふかひなうものし給ふかな。おのがかく今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、雀慕ひ給ふほどよ。罪得ることぞと、常に聞こゆるを、心憂く」とて、「こちや」と言へば、ついゐたり。

 ねびゆかむさまゆかしき人かな〔⑥〕と、目とまり給ふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれる〔⑦〕が、まもらるるなりけり、と思ふにも涙ぞ落つる。

設問

  1. 本文冒頭の「つれづれなれば」の「つれづれなり」の意味を答えなさい。
  2. 傍線部①「まぎれて」について、(1)「まぎれ」は動詞「紛る」の活用の種類と活用形を答えなさい。(2)「まぎれて」を現代語訳しなさい。
  3. 本文冒頭の「立ち出で給ふ」の「給ふ」について、(1)敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)を答え、(2)この敬語は誰から誰への敬意を表しているかを説明しなさい。
  4. 本文冒頭の「立ち出で給ふ」「のぞき給へば」の動作をしているのは誰か。本文をふまえて答えなさい。
  5. 本文中の「いと白うあてに痩せたれど」を現代語訳しなさい(「あてなり」の意味に注意すること)。
  6. 傍線部②「うつくしげに」・傍線部⑤「いで、あな幼や」の「幼や」について、それぞれ本文中での意味として最も適切なものを答えなさい。
  7. 本文中の「こよなう今めかしきものかな」の「今めかし」の意味を答えなさい。
  8. 傍線部③「あはれに」の、本文中での意味を答えなさい。
  9. 本文中の「子なめり」を、文法的に説明しなさい(もとの語の形と、活用語尾の音の変化にふれること)。
  10. 傍線部④「雀の子を犬君が逃がしつる」を、現代語訳しなさい。
  11. 傍線部④「雀の子を犬君が逃がしつる」の「つる」は、どのような意味・はたらきの語か。文法的に説明しなさい(活用形・終止形も示すこと)。
  12. 本文中の「籠めたりつるものを」の「たり」は、どのような意味・はたらきの助動詞か。文法的に説明しなさい。
  13. 本文中の「いと口惜しと思へり」の「口惜し」の、本文中での意味を答えなさい。
  14. 少女(女子)が顔を赤くし、「いと口惜し」と思っているのはなぜか。本文の内容にそって説明しなさい。
  15. 傍線部⑤「いで、あな幼や」は、誰が、誰に対して言ったことばか。本文の内容にそって答えなさい。
  16. 尼君のことば「言ふかひなうものし給ふかな」を現代語訳しなさい。
  17. 傍線部⑥「ねびゆかむさまゆかしき人かな」を現代語訳しなさい(「ねびゆく」「ゆかし」の意味に注意すること)。
  18. 傍線部⑥にふくまれる「ねびゆく」「ゆかし」の、語句としての意味をそれぞれ答えなさい。
  19. 傍線部⑦「限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれる」を現代語訳しなさい。
  20. 傍線部⑦の「きこゆる」「似たてまつれる」に用いられている敬語について、それぞれ敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)を答え、誰への敬意を表しているか説明しなさい。
  21. 傍線部⑦「限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれる」とあるが、源氏が垣間見た少女(のちの紫の上)に強く心をひかれたのはなぜか。本文をふまえて説明しなさい。
  22. 本文末の「まもらるるなりけり」の「るる」は、どのような意味・はたらきの助動詞か。意味(自発・可能・受身・尊敬のいずれか)を答えなさい。
  23. 本文中の「持仏据ゑ奉りて」の「奉り」について、(1)敬語の種類を答え、(2)誰から誰への敬意を表しているかを説明しなさい。
  24. 【文学史】『源氏物語』について、(1)作者名、(2)成立した時代、(3)ジャンル(物語の種類)を、それぞれ答えなさい。
  25. 【文学史】『源氏物語』の主人公の名を答えなさい。また、『源氏物語』と同じく平安時代に成立した、和歌を中心に短い話を連ねた物語(「歌物語」)の代表作を一つ挙げなさい。
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)

問1 答え:手持ちぶさただ・することがなくて退屈だ。
〔解説〕「つれづれなり」は「することがなく退屈だ・もの寂しい」という意味の形容動詞です。「日もいと長きに、つれづれなれば」で「日も長く、することもなく退屈なので」となり、源氏が垣間見に出かける理由になっています。

問2 答え:(1)ラ行下二段活用「紛る」の連用形。(2)(夕暮れの霞に)紛れて(=人目につかないよう、霞にまぎれるようにして)。
〔解説〕「紛る」は「入りまじって区別がつかなくなる・まぎれこむ」意のラ行下二段動詞。ここは光源氏が夕暮れの濃い霞にまぎれ、人目を避けるように小柴垣のそばへ歩み出た場面。「まぎれ」は連用形で、下に接続助詞「て」が付いています。

問3 答え:(1)尊敬語。(2)作者(語り手)から、立ち出でる動作の主である光源氏への敬意。
〔解説〕「給ふ」は四段活用で、動作をする人を高める尊敬の補助動詞です。北山の小柴垣のもとに歩み出るのは光源氏なので、語り手から源氏への敬意を表します。地の文の敬語は「語り手(作者)から」と考えるのが基本です。

問4 答え:光源氏
〔解説〕「立ち出で給ふ」「のぞき給へば」は、いずれも尊敬の「給ふ」が付いており、北山で小柴垣のもとに歩み出て、惟光とともに中をのぞいているのは光源氏です。主語が省略されていても、敬語(給ふ)や文脈から動作主を判断します。

問5 答え:「たいへん色白で上品にやせているけれど。」
〔解説〕「いと」は「たいへん・とても」。「白う」は「白く」のウ音便で色白なこと。「あてなり」は「上品だ・高貴だ」という意味の形容動詞で、ここでは尼君の品のよさを表します。「痩せたれど」は「やせているけれど」。

問6 答え:②「うつくしげに」=かわいらしい様子で/⑤「幼や」=幼い、子どもっぽい(ことよ)。
〔解説〕古文の「うつくし」は、今の「美しい」ではなく「かわいい・いとしい」という意味が中心です(小さいものへの愛情)。「うつくしげなり」はその様子を表し「かわいらしい様子だ」。「あな幼や」の「あな」は「ああ」という感動の語、「幼や」は「幼い・子どもっぽいことよ」。尼君があきれて言っています。

問7 答え:現代風だ・今風で華やかだ・しゃれている。
〔解説〕「今めかし」は「現代風だ・今風で華やかだ」という意味の形容詞です。尼君の短く切りそろえた髪が、かえって長い髪よりも「こよなう今めかし(この上なく今風で華やかだ)」と源氏が感じている場面です。

問8 答え:しみじみと心がひかれる様子で・しみじみと(趣深く)。
〔解説〕「あはれなり」は「しみじみと心が動かされる・しみじみと趣がある」という意味。ここでは源氏が尼君の様子を「あはれに(しみじみと心ひかれて)見ている」ことを表します。「うつくし(かわいい)」とともに源氏物語頻出の心情語です。

問9 答え:断定の助動詞「なり」の連体形「なる」+推定(婉曲)の助動詞「めり」が結びついた「なるめり」が、「なんめり」をへて「なめり」となったもの。
〔解説〕「子なめり」は「(尼君の)子であるようだ」の意味。「なり(断定)」の連体形「なる」に「めり(推定・〜ようだ)」が付くと「なるめり」→撥音便「なんめり」→「ん」が表記されず「なめり」となります。古文特有の音の変化で頻出です。

問10 答え:「雀の子を、犬君(という召し使いの子)が逃がしてしまったの。」
〔解説〕「雀の子」は飼っていた小さな雀。「犬君」は少女に仕える女の子の名前(人名)です。「逃がしつる」は「逃がしてしまった」。少女が、かわいがっていた雀を逃がされて、がっかりしている場面です。

問11 答え:完了の助動詞「つ」の連体形。終止形は「つ」。
〔解説〕「つ」は「〜てしまった・〜た」という完了を表す助動詞です。あとに「を」という助詞が続いて、文がまだ続いていく形(連体修飾・準体法)なので、終止形「つ」ではなく連体形「つる」になっています。「ぬ」とともに完了の助動詞の代表としてよく問われます。

問12 答え:完了(存続)の助動詞「たり」の連体形。
〔解説〕「籠めたりつる」は「(伏籠の中に)閉じこめておいた」の意味。「たり」は「〜ている・〜てある(存続)」「〜た(完了)」を表す助動詞で、ここは「閉じこめておいた(その雀を)」という存続・完了の意味です。あとに体言を受ける「つる」が続くため連体形になっています。

問13 答え:残念だ・くやしい。
〔解説〕「口惜し」は「残念だ・くやしい・もの足りない」という意味。かわいがっていた雀を犬君に逃がされてしまい、少女が「いと口惜し(とても残念だ)」と思っている場面です。

問14 答え:かわいがって伏籠の中に入れて飼っていた雀の子を、犬君が逃がしてしまったから。
〔解説〕少女は「雀の子を犬君が逃がしつる、伏籠のうちに籠めたりつるものを」と言っており、大事に閉じこめて飼っていた雀を逃がされてしまったことを「いと口惜し(とても残念だ)」と思っています。顔が赤いのは、泣いて訴えていたためです。

問15 答え:尼君が、(雀を逃がされて泣いている)少女(のちの紫の上)に対して言ったことば。
〔解説〕直前で少女が「雀の子を犬君が逃がしつる…」と残念がっており、それを受けて尼君が「いで、あな幼や(まあ、なんて子どもっぽいこと)」とたしなめています。尼君は自分の命が長くないことを気にかけており、雀のことばかり気にする少女を心配しているのです。

問16 答え:「ふがいなく(しっかりしないで)いらっしゃることよ。」
〔解説〕「言ふかひなし」は「言ってもしかたがない・ふがいない・たわいない」。「ものし給ふ」の「ものす」は「ある・いる・する」などの代わりに使う言葉で、ここでは「(そのように)していらっしゃる」。「かな」は詠嘆。雀のことばかり気にする少女を、尼君があきれてたしなめています。

問17 答え:「成長していくだろう様子を見たい人だなあ。」
〔解説〕「ねびゆく」は「成長していく・大人びていく」。「ゆかし」は「見たい・知りたい・心がひかれる」という意味の形容詞です。「む」は推量。源氏が、この子が大人になったらどうなるか見てみたい、と感じている気持ちを表します。

問18 答え:「ねびゆく」=成長していく・大人びていく。「ゆかし」=見たい・知りたい・心がひかれる。
〔解説〕どちらも頻出の重要語です。「ねびゆく」は年齢を重ねて大人になっていくこと。「ゆかし」は対象に心が引かれて「見たい・聞きたい・知りたい」と思う気持ちを表す形容詞で、現代語の「ゆかしい(奥ゆかしい)」とは意味がずれるので注意します。

問19 答え:「(源氏が)この上なく深く思いを寄せ申し上げている人(藤壺)に、たいへんよく似申し上げているのが(理由で、目がとまるのだった)。」
〔解説〕「限りなう」は「この上なく」。「心を尽くす」は「深く思いをこめる・恋い慕う」。「きこゆ」「たてまつる」はどちらも謙譲の補助動詞で、現代語訳では「〜申し上げる」とします。「いとよう」は「たいへんよく」。少女が藤壺によく似ている、という意味です。

問20 答え:「きこゆる」=謙譲語で、(源氏が)思いを寄せる相手(藤壺)への敬意。「似たてまつれる」=謙譲語で、(似ている対象である)藤壺への敬意。
〔解説〕「きこゆ」は「言ふ」の謙譲語としても使いますが、ここでは補助動詞的に「心を尽くしきこゆ」で、動作の向かう相手(思い慕う対象=藤壺)を高める謙譲語です。「たてまつる」も「似る」に付いた補助動詞で、似ている相手=藤壺を高める謙譲語。どちらも語り手から藤壺への敬意を表します。

問21 答え:その少女が、源氏が限りなく恋い慕っている人(藤壺〈ふじつぼ〉)に、たいへんよく似ていたから。
〔解説〕傍線部⑦「限りなう心を尽くしきこゆる人」とは、源氏が深く思いを寄せている藤壺を指します。少女の面影が藤壺に似ていたため、源氏は思わずその子から目が離せなくなり(「まもらるるなりけり」)、涙までこぼしているのです。「藤壺に似ているから」が答えの核心で、頻出ポイントです。

問22 答え:自発(自然と〜される)。
〔解説〕「まもらるるなりけり」は「(自然と)見つめられるのであった」。「るる」は助動詞「る」の連体形で、ここでは源氏が藤壺に似た少女を思わずじっと見てしまう、という自発の意味です。心情を表す動詞に付く「る・らる」は自発になりやすい、と覚えておきましょう。

問23 答え:(1)謙譲語。(2)作者(語り手)から、持仏(仏)を据える動作の向かう相手である仏(持仏)への敬意。
〔解説〕「奉る」は、動作の向かう相手を高める謙譲の補助動詞です。「持仏据ゑ奉りて」は「持仏をお据え申し上げて」で、据える対象である仏を敬っています。尊敬語の「給ふ」(動作主を高める)との違いに注意しましょう。

問24 【文学史】 答え:(1)作者=紫式部(むらさきしきぶ)/(2)成立した時代=平安時代(11世紀初め・中期)/(3)ジャンル=作り物語(つくりものがたり)(長編の物語文学)。
〔解説〕『源氏物語』は平安時代中期に紫式部が書いた、五十四帖からなる長編の作り物語です。光源氏を主人公とし、王朝の恋愛や人生を描きます。作者・時代・ジャンルの3点セットはテストで頻出なので必ず覚えましょう。

問25 【文学史】 答え:主人公=光源氏(ひかるげんじ)。歌物語の代表作=『伊勢物語』(ほかに『大和物語』なども可)。
〔解説〕『源氏物語』の主人公は光源氏。これに対し、和歌を中心に短い話を連ねた物語を歌物語といい、その代表が在原業平を思わせる男を主人公とする『伊勢物語』です。「作り物語(源氏物語・竹取物語など)」と「歌物語(伊勢物語など)」の区別は文学史で頻出です。

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。本文は『源氏物語』若紫巻の流通本文により、頻出箇所を抜き出して再構成しています(一部の地の文を省略してつないでいます)。

コメント

タイトルとURLをコピーしました