おくのほそ道『立石寺(閑かさや)』定期テスト対策問題|現代語訳・俳句・文法の頻出設問と解答

立石寺|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

松尾芭蕉の俳諧紀行文『おくのほそ道』のなかでも、とりわけ有名な一段が「立石寺(りゅうしゃくじ)」の章段です。山形の山寺で詠まれた発句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」は、静寂と蝉の声とが溶け合う独特の世界を描き出し、定期テストでも俳句の鑑賞・文法・語句の意味が頻出します。このページでは、本文を正確に掲げたうえで、現代語訳・発句の鑑賞・文法・文学史まで幅広く問う対策問題を用意しました。作品全体の流れを先に確認したい人は、おくのほそ道のやさしい解説もあわせて読んでおくと、立石寺の段の位置づけがつかみやすくなります。

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本文

山形領に立石寺といふ山寺あり。慈覚大師の開基にして、〔①〕殊に清閑の地なり。一見すべきよし、人々のすすむるによつて、尾花沢よりとつて返し、その間七里ばかりなり。日いまだ暮れず。麓の坊に宿借りおきて、山上の堂にのぼる。岩に巌を重ねて山とし、松柏年旧り、土石老いて〔②〕苔滑らかに、岩上の院々扉を閉ぢて、物の音聞こえず。〔③〕岸をめぐり岩を這ひて、仏閣を拝し、佳景寂寞として心澄みゆくのみおぼゆ。

 〔④〕閑さや岩にしみ入る蝉の声

設問

  1. 「山形領に立石寺といふ山寺あり」の一文について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「いふ」を現代仮名遣いに直し、すべてひらがなで書け。
    • (2)「あり」の終止形(基本形)と、その品詞を答えよ。
  2. 「慈覚大師の開基にして」とは、どのような意味か。現代語訳せよ。
  3. 傍線部①「殊に清閑の地なり」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「殊に」の意味を答えよ。
    • (2)「清閑」の意味を答えよ。
    • (3)「なり」の文法的意味(種類)を答えよ。
  4. 「一見すべきよし、人々のすすむるによつて」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「すべき」に含まれる助動詞「べき」の意味を答えよ。
    • (2)「一見すべきよし」とはどのような内容か、わかりやすく説明せよ。
  5. 次の傍線部の意味として適切なものを、それぞれあとから選べ。
    • (1)「一見すべきよし」の「よし」
      ア 理由 イ 手段 ウ 〜という事情・旨 エ 長所
    • (2)「物の音聞こえず」の「ず」
      ア 打消 イ 過去 ウ 完了 エ 推量
  6. 「尾花沢よりとつて返し」とあるが、芭蕉たちはなぜわざわざ引き返して立石寺へ向かったのか。本文に即して説明せよ。
  7. 「日いまだ暮れず」を現代語訳せよ。また、この一文が本文中で果たしている役割を簡潔に述べよ。
  8. 「麓の坊に宿借りおきて、山上の堂にのぼる」について、芭蕉たちの行動の順序がわかるように現代語訳せよ。
  9. 「岩に巌を重ねて山とし」とは、どのような情景を表しているか。現代語訳をふまえて説明せよ。
  10. 「松柏年旧り、土石老いて」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「年旧り」の読みをひらがなで書け。
    • (2)「松柏年旧り、土石老いて」とは、この山寺がどのような場所であることを表しているか答えよ。
  11. 傍線部②「苔滑らかに」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「滑らかに」は何という品詞の、どのような活用形か。
    • (2)ここで「苔滑らかに」と描かれていることから、この山寺の様子としてどのようなことが読み取れるか、簡潔に答えよ。
  12. 「岩上の院々扉を閉ぢて、物の音聞こえず」とあるが、この描写は何を強調するためのものか。あとの発句との関係に触れて説明せよ。
  13. 傍線部③「岸をめぐり岩を這ひて」を、現代語訳せよ。
  14. 「仏閣を拝し」の「拝し」を、終止形(基本形)に直して書け。
  15. 「佳景寂寞として心澄みゆくのみおぼゆ」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)「佳景」の意味を答えよ。
    • (2)「寂寞」の意味を答えよ。
    • (3)「心澄みゆくのみおぼゆ」を現代語訳せよ。
  16. 傍線部④の発句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」について、次の各問いに答えよ。
    • (1)この句の季語を抜き出し、その季節を答えよ。
    • (2)この句の切れ字を抜き出せ。
    • (3)切れ字「や」は、ここでどのような働きをしているか答えよ。
    • (4)「岩にしみ入る蝉の声」という表現には、どのような感覚的な工夫があるか。「聴覚」「視覚」などの語を用いて説明せよ。
    • (5)この句に込められた作者の心情として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選べ。
      ア 蝉のやかましさにいらだつ気持ち イ 深い静寂のなかで心が澄みわたっていく感動 ウ 旅の疲れから早く宿へ帰りたい気持ち エ 山寺の荒廃を悲しむ気持ち
  17. 本文には、音に関する表現が対照的に用いられている。「静けさ」を表す部分と「音」を表す部分を、本文中からそれぞれ一か所ずつ抜き出せ。
  18. 『おくのほそ道』の作者を漢字で答えよ。また、その人物が大成した文芸のジャンルを何というか答えよ。
  19. 『おくのほそ道』のように、旅の記録に俳句(発句)を交えて記した文章のジャンルを何というか。漢字で答えよ。
  20. 『おくのほそ道』が成立したのは、おおよそどの時代か。次のア〜エから一つ選べ。
    ア 平安時代 イ 鎌倉時代 ウ 室町時代 エ 江戸時代
  21. 芭蕉が立石寺を訪れたのは元禄二年のことである。この旅で芭蕉が同行者とともにめぐった地方として最も適切なものを、次のア〜エから一つ選べ。
    ア 四国・九州地方 イ 東北・北陸地方 ウ 関西(畿内)地方 エ 関東南部の海沿い
  22. この立石寺の段全体から読み取れる、作者がこの地で感じ取ったものはどのようなものか。「静寂」「澄む」などの語を用いて、四十字程度で説明せよ。
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問1
(1)「いう」
(2)終止形=「あり」、品詞=動詞(ラ行変格活用「あり」)。

問2
(この寺は)慈覚大師が(最初に)開いた寺であって。(「開基」=寺を開き建てること、また開いた人。「にして」=〜であって。)

問3
(1)「殊に」=とりわけ・特に。
(2)「清閑」=清らかでもの静かなこと。俗世を離れた静けさ。
(3)断定の助動詞「なり」の終止形。(「清閑の地である」と言い切っている。)

問4
(1)適当・当然(〜するのがよい、ぜひ見るべきだ)の意味。
(2)「(立石寺は)ぜひ一度見ておくのがよい(という評判だ)」という内容。人々が「見ておいたほうがよい」とすすめたということ。

問5
(1)ウ(〜という事情・旨)
(2)ア(打消)

問6
立石寺は「ぜひ一見すべきだ」と人々がすすめたため、いったん通り過ぎた尾花沢から引き返してまで訪れた。それほど見る価値のある名所だと評判だったから。

問7
現代語訳=「日はまだ暮れていない。」
役割=まだ明るいうちに山上の堂まで登れることを示し、これから山を登って参拝するという場面へ自然につなげている(時間の経過・状況を読者に伝える)。

問8
(まず)麓の宿坊に宿を(とって荷物を)預けておいて、(それから)山の上のお堂へと登る。

問9
大きな岩の上にさらに岩が重なり合って一つの山となっている、けわしく雄大な情景。(岩石が積み重なってできた山であることを表す。)

問10
(1)「としふり」
(2)松や檜(ひのき)などの木が長い年月を経て古び、土や石も古色を帯びていることから、人の手の加わらない、長い時を経たもの静かで荘厳な場所であること。

問11
(1)形容動詞「滑らかなり」(ナリ活用)の連用形。※「滑らかに」の「に」が連用形の活用語尾。
(2)長い年月のあいだ人があまり踏み入らず、土や石の上に苔がむして滑らかになるほど、ひっそりと静かな状態が長く続いている様子。(古びて、ものさびた雰囲気であること。)

問12
お堂の扉はどれも閉ざされ、物音一つ聞こえない、という極限の静けさを強調している。この徹底した静寂の描写があるからこそ、続く発句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の「閑さ(静けさ)」がいっそう生き、蝉の声がかえって静寂を際立たせる効果が生まれている。

問13
(川の)岸をめぐり、岩をはうようにしてよじ登って。(=けわしい道を、岩につかまるようにして進んで。)

問14
「拝す」(サ行変格活用)。

問15
(1)「佳景」=すばらしい景色・美しい眺め。
(2)「寂寞」=ひっそりとしてもの静かなさま。
(3)(その美しい景色のなかで)心が澄んでゆくとだけ感じられる。(ほかには何も思わず、ただ心が澄んでいくのを感じる、という意味。)

問16
(1)季語=「蝉(蝉の声)」、季節=夏。
(2)切れ字=「や」。
(3)初句「閑さや」で大きく句が切れ、作者の感動(静けさへの深い思い)を強調するとともに、そのあとの情景へと余韻をもってつなげる働きをしている。
(4)本来は耳で聞く「蝉の声」(聴覚)を、「岩にしみ入る」と、まるで固い岩の中へ音が染み込んでいくかのように表現している。聴覚を視覚的・触覚的にとらえ直す(共感覚的な)工夫によって、かえってあたりの深い静寂が際立っている。
(5)イ

問17
「静けさ」を表す部分=「物の音聞こえず」(または「佳景寂寞として」「閑さや」)。
「音」を表す部分=「蝉の声」。
※静寂のなかにただ蝉の声だけが響くという対照によって、いっそう深い静けさが表現されている。

問18
作者=松尾芭蕉。ジャンル=俳諧(はいかい。発句・俳句)。

問19
俳諧紀行文(紀行文)。

問20
エ(江戸時代)

問21
イ(東北・北陸地方)
※『おくのほそ道』は、芭蕉が弟子の曾良(そら)を伴い、江戸から東北・北陸をめぐって大垣に至るまでの旅をつづったもの。

問22
(例)あたりが徹底して静まり返るなか、わずかな蝉の声がかえって静寂を深め、その清らかな静けさのなかで作者自身の心も澄んでいくということ。(静寂と、それによって澄んでいく心の境地。)

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

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