枕草子『九月ばかり』定期テスト対策問題|現代語訳・文法・内容の頻出設問と解答

定期テスト対策

枕草子『九月ばかり』は、一晩中降り続いた雨が上がった翌朝、庭の植え込みの露、蜘蛛の巣にかかる雨粒、露の落ちた萩の枝のはね上がりを生き生きと描いた章段です。「をかし」の感性が凝縮された定期テストの定番で、係り結び「こそ〜已然形」、打消推量「じ」、呼応の副詞「つゆ」、イ音便・ウ音便など、文法の問いどころも豊富です。まず本文を読み、設問に答え、最後の解答で確認しましょう。

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本文

九月ばかり、夜一夜〔①〕降り明かしつる〔②〕雨の、今朝はやみて、朝日いとけざやかに〔③〕さし出でたるに、前栽〔④〕の露こぼるばかり〔⑤〕濡れかかりたるも、いとをかし。透垣の羅文、軒の上などは、かいたる〔⑥〕蜘蛛の巣のこぼれ残りたるに、雨のかかりたるが、白き玉を貫きたるやうなるこそ、いみじうあはれにをかしけれ〔⑦〕。

少し日たけぬれば〔⑧〕、萩などいと重げなる〔⑨〕に、露の落つるに、枝のうち動きて、人も手触れぬに〔⑩〕、ふと上ざまへ上がりたる〔⑪〕も、いみじうをかし、と言ひたることどもの、人の心にはつゆをかしからじ〔⑫〕と思ふこそ、またをかしけれ〔⑬〕。

設問

  1. 「九月ばかり」の「九月」の読みを答えよ。また、「ばかり」のここでの意味を答えよ。
  2. 傍線部①「夜一夜」の読みと意味を答えよ。
  3. 傍線部②「降り明かしつる」の「つる」の基本形・文法的意味・活用形を答えよ。また、その活用形だと判断できる根拠を簡潔に述べよ。
  4. 本文の場面は、一晩中雨の降った「翌朝」である。古文で「早朝(夜が明けて間もないころ)」を表す語を、平仮名四字で答えよ。
  5. 傍線部③「けざやかに」の意味を答えよ。
  6. 傍線部④「前栽」の読みと意味を答えよ。
  7. 傍線部⑤「こぼるばかり」を現代語訳せよ。「ばかり」の意味がわかるように訳すこと。
  8. 「いとをかし」の「をかし」の意味を答えよ。また、「をかし」と「あはれなり」の表す趣の違いを簡潔に説明せよ。
  9. 「透垣の羅文」の読みを答えよ。また、「透垣」とはどのようなものか説明せよ。
  10. 傍線部⑥「かいたる」の「かい」は、ある動詞の連用形が音便化したものである。もとの形と音便の種類を答えよ。また、「かいたる蜘蛛の巣」を現代語訳せよ。
  11. 傍線部⑦には係り結びが用いられている。係助詞と、結びの語・その活用形を指摘せよ。
  12. 傍線部⑦を現代語訳せよ。
  13. 「いみじう」は、ある形容詞の連用形が音便化した形である。もとの形と音便の種類、ここでの意味を答えよ。
  14. 雨のかかった蜘蛛の巣のようすを、作者は何にたとえているか。また、「やうなる」の基本形「やうなり」の文法的意味を答えよ。
  15. 傍線部⑧「日たけぬれば」の「たけ」の意味と、「ぬれば」の文法的説明(助動詞の基本形・意味・活用形と、表す条件の種類)を答えよ。
  16. 傍線部⑨「重げなる」の「げ」はどのような意味を添えるか。また、萩が「重げ」に見えるのはなぜか。
  17. 傍線部⑩「人も手触れぬに」の「ぬ」の基本形・文法的意味・活用形を答えよ。また、完了の助動詞「ぬ」ではないと判断できる根拠を簡潔に述べよ。
  18. 傍線部⑩〜⑪「人も手触れぬに、ふと上ざまへ上がりたるも」を現代語訳せよ。
  19. 枝が「ふと上ざまへ上が」るのはなぜか。その理由を説明せよ。
  20. 傍線部⑫「つゆをかしからじ」について、「じ」の文法的意味と、副詞「つゆ」の用法を説明したうえで、現代語訳せよ。
  21. 傍線部⑬「と思ふこそ、またをかしけれ」の係り結びを指摘せよ(係助詞と結びの語・活用形)。
  22. 「と言ひたることども」とは、何を指すか。本文に即して答えよ。
  23. 【文学史】この作品の作者名と、作者が仕えた人物、成立した時代、文学のジャンルを答えよ。また、この作品とともに「古典三大随筆」と呼ばれる残り二つの作品名と作者名を答えよ。
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問1 読み「ながつき」。「ばかり」=「〜ごろ」(おおよその時を表す)。陰暦九月は現在の十月ごろにあたる、晩秋の場面である。

問2 読み「よひとよ」・意味「一晩中」。対義語に「日一日(ひひとひ)」がある。

問3 基本形「つ」・完了・連体形。下に体言「雨」が続いているため連体形「つる」となっている(「つ」は連用形「明かし」に接続)。「一晩中降り通した雨」の意。

問4 つとめて。「夜が明けて間もない早朝」、特に何かがあった夜の翌朝を指して使われる重要語(『春はあけぼの』の「冬はつとめて」でも頻出)。

問5 「くっきりと鮮やかに・きわだって」。雨上がりの朝日がひときわ鮮明に差し出たようす。

問6 読み「せんざい」・意味「庭先の植え込み(庭に植えた草木)」。

問7 「(露が)こぼれ落ちそうなほど」。この「ばかり」は程度(〜ほど・〜くらい)を表す副助詞。

問8 「をかし」=趣がある・風情がある。違い:「をかし」は対象を明るく知的に面白がり、賞美する趣。「あはれなり」はしみじみと心の底に染みとおるような感動。『枕草子』は「をかし」の文学、『源氏物語』は「あはれ」の文学と対比される。

問9 読み「すいがいのらもん」。「透垣」=板や竹の間を透かして(すき間をあけて)作った垣根。「羅文」=透垣の上に、細い木や竹をひし形に組んで付けた飾り。

問10 もとの形=「掻き」で、イ音便。「(蜘蛛が)かけ渡した(張った)蜘蛛の巣」。破れ残った巣に雨粒がかかっている場面である。

問11 係助詞「こそ」、結びは形容詞「をかし」の已然形「をかしけれ」。「こそ」の結びは已然形になる。

問12 「(蜘蛛の巣に雨粒がかかっているのが)白い玉を糸で貫き通してあるようなのは、たいそうしみじみとして趣深い。」雨粒を真珠の玉に、巣の糸を玉を貫く糸に見立てている。

問13 もとの形=「いみじく」で、ウ音便。意味は「たいそう・はなはだしく」(程度のはなはだしさを表し、よい意味にも悪い意味にも使う)。

問14 白い玉(真珠)を糸で貫き通したものにたとえている。「やうなり」=比況の助動詞(〜のようだ)。

問15 「たけ」=(日が)高くなる(動詞「たく(長く・闌く)」)。「ぬれ」=完了の助動詞「ぬ」の已然形で、接続助詞「ば」が付いて確定条件(〜すると・〜したので)を表す。「少し日が高くなると」の意。

問16 「げ」=「いかにも〜そうな様子」の意を添える接尾語。一晩中降った雨の露(雨粒)をたくさん帯びてしなっているため、萩の枝がいかにも重そうに見える。

問17 基本形「ず」・打消・連体形。下に助詞「に」が続く位置で、「誰も手を触れないのに」と打消の意味になることが根拠(完了の「ぬ」なら終止形で文が切れるはずであり、また完了では文意が通らない)。

問18 「誰も手を触れていないのに、(枝が)さっと上の方へはね上がったのも(たいそう趣深い)。」

問19 枝をしならせていた露(雨粒)が落ちて、その分だけ枝が軽くなり、ひとりでに元へはね戻るから。誰も触れていないのに枝が動く意外さを、作者は面白がっている。

問20 「じ」=打消推量の助動詞(〜ないだろう)。「つゆ」は下に打消の語を伴って「少しも(〜ない)」の意を表す呼応(陳述)の副詞。訳「(私の言ったことなどは)他人の心には少しも面白くないだろう。」

問21 係助詞「こそ」、結びは形容詞「をかし」の已然形「をかしけれ」。

問22 ここまで作者が「いとをかし」「いみじうあはれにをかしけれ」「いみじうをかし」と言い立ててきた、雨上がりの朝の露・蜘蛛の巣の雨粒・萩の枝のはね上がりについての一連の感想。

問23 作者=清少納言/仕えた人物=中宮定子(一条天皇の中宮)/成立=平安時代中期/ジャンル=随筆。三大随筆の残り二つは『方丈記』(鴨長明)と『徒然草』(兼好法師)。

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。

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