接続助詞は、用言や助動詞に付いて前後の文をつなぐはたらきをします。なかでも最重要なのが「ば」で、上に来る活用形によって意味が変わります。未然形+ばは順接仮定条件「もし〜ならば」、已然形+ばは順接確定条件「〜ので・〜と・〜といつも」を表します。同じ「ば」でも、直前が未然形か已然形かで訳がまったく変わる点が定期テスト最頻出です。あわせて「とも」(逆接仮定「たとえ〜ても」)、「ど・ども」(逆接確定「〜けれども」)、「で」(打消接続「〜ないで」)なども確認しましょう。次の各例文を読み、後の問いに答えよ。
本文
※例文は学習用に作成しています。
① 雨降らば、川の水まさりなむ。
② 風吹けば、花散りにけり。
③ 春来れば、鳥のおのづから鳴く。
④ いかに恨むとも、君は心を変へじ。
⑤ いとせちに頼めども、つひに来たらず。
⑥ 月は出でたれど、雲厚くして見えず。
⑦ 道を知らで、夜もすがらまどひありく。
⑧ 笛を吹きつつ、夜を明かしてけり。
⑨ 物思ひながら、端近くながめゐたり。
⑩ 富めるものの、心は常に貧しげなり。
⑪ 言はば人や笑はむと思へど、口に出でずなりぬ。
⑫ 命長くもがなと思へば、いとど世の惜しまるる。
⑬ 名は聞きながら、いまだ顔を見ず。
⑭ 山を越えて、海辺の里に至りぬ。
⑮ 灯火をかかげて、書を読みふけりたり。
⑯ 文も書かで、ただ涙にぞくれける。
設問
- ①「降らば」の「ば」は順接仮定条件か順接確定条件か。直前の活用形(未然形か已然形か)も答えよ。
- ②「吹けば」の「ば」は順接仮定条件か順接確定条件か。直前の活用形も答えよ。
- ③「来れば」の「ば」は順接仮定条件か順接確定条件か。直前の活用形も答えよ。
- ④「恨むとも」の「とも」の意味(順接仮定/順接確定/逆接仮定/逆接確定/単純接続/打消接続/並行)を一つ選べ。
- ④「いかに恨むとも、君は心を変へじ。」を現代語訳せよ。
- ⑤「頼めども」の「ども」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。
- ⑤「いとせちに頼めども、つひに来たらず。」を現代語訳せよ。
- ⑥「出でたれど」の「ど」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。
- ⑦「道を知らで、夜もすがらまどひありく。」を現代語訳せよ。
- ⑧「吹きつつ」の「つつ」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。
- ⑨「思ひながら」の「ながら」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。
- ⑩「富めるものの」の「ものの」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。
- ⑪「言はば」の「ば」が仮定か確定か、直前の活用形とともに答えよ(あとの「思へど」とのちがいに注意)。
- ⑫「思へば」の「ば」は順接仮定条件か順接確定条件か。直前の活用形も答えよ。
- 未然形+ば(仮定)の例と已然形+ば(確定)の例を、本文の番号から一つずつ選べ。
- ⑬「聞きながら」の「ながら」の意味を、設問4の選択肢から一つ選べ。⑨との違いに注意せよ。
- ⑭「越えて」の「て」、⑮「かかげて」の「て」の意味を、それぞれ設問4の選択肢から選べ。
- ⑦「知らで」の「で」、⑯「書かで」の「で」の意味を答え、それぞれ何形に接続しているかも答えよ。
- ⑦「知らで」
- ⑯「書かで」
- 次の傍線部を現代語訳せよ。
- ②「風吹けば、花散りにけり。」
- ①「雨降らば、川の水まさりなむ。」
- 「ば」は直前の活用形によって意味が変わる。未然形+ばと已然形+ばで、それぞれどのような条件(意味)を表すか、訳語を添えて記述せよ。
- 「ども」と「とも」は字面が似ているが意味が異なる。両者の違い(条件の種類)を簡潔に記述せよ。
▼ 解答・解説を見る
問1 順接仮定条件/未然形。「降ら」はラ行四段「降る」の未然形。「もし雨が降るならば」の意。
問2 順接確定条件/已然形。「吹け」はカ行四段「吹く」の已然形。「風が吹くと(吹いたので)」の意。
問3 順接確定条件/已然形。「来れ」はカ行変格「来(く)」の已然形。「春が来ると(来ると決まって)」の意で、ここは恒常条件(〜といつも)。
問4 逆接仮定。「たとえどんなに恨んでも」の意。「〜とも」は未然形・終止形などに付き、まだ起きていない事柄を仮定して逆接する。
問5 「たとえどんなに恨んでも、あなたは心を変えるまい(変えないだろう)。」逆接仮定「とも」+打消推量「じ」。
問6 逆接確定。「ども」は已然形に付き「いくら〜けれども」の意。「これほど切に頼りにしたけれども」。
問7 「たいそう切実に頼りにしたけれども、とうとう来なかった。」逆接確定「ども」。
問8 逆接確定。「ど」も已然形に付き「〜けれども」。「月は出たけれども」。
問9 「道がわからないで、一晩中迷い歩く。」打消接続「で」=「〜ないで」。
問10 並行(同時進行)。「笛を吹きながら(吹き吹き)」の意。「つつ」は動作の並行・反復を表す。
問11 並行(同時進行)。「物思いをしながら」の意。「ながら」が動作の同時進行を表す例。
問12 逆接確定。「ものの」は「〜けれども・〜とはいうものの」の意。「裕福ではあるけれども、心は常に貧しそうだ」。
問13 「言はば」は順接仮定条件/未然形。「言は」はハ行四段「言ふ」の未然形で「言うならば」。あとの「思へど」は已然形+「ど」で逆接確定。未然形+ばと已然形+(ば/ど)の対比に注意。
問14 順接確定条件/已然形。「思へ」はハ行四段「思ふ」の已然形。「(長生きしたいと)思うので」の意。
問15 未然形+ば(仮定)の例=①(または⑪の「言はば」)。已然形+ば(確定)の例=②・③・⑫のいずれか。
問16 逆接(逆接確定)。「名は聞いているけれども、まだ顔を見ない」。同じ「ながら」でも、⑨は並行、⑬は逆接で、文脈で判断する。
問17 ⑭「越えて」=単純接続(動作の順序を示す「〜て」)。⑮「かかげて」=単純接続(手段・状態を添える「〜て」)。いずれも順接・逆接の意味を強く持たない単なる接続。
問18 ⑦「知らで」=打消接続/未然形に接続(「知ら」は四段未然形)。「道を知らないで」。⑯「書かで」=打消接続/未然形に接続(「書か」は四段未然形)。「手紙も書かないで」。「で」は「〜ないで・〜ずに」と訳す。
問19 ②「風が吹くと、花が散ってしまった。」(已然形+ばの確定条件)。①「もし雨が降るならば、川の水が増すだろう。」(未然形+ばの仮定条件)。
問20 未然形+ば=順接仮定条件で「もし〜ならば」と訳す(まだ実現していない事柄を仮定)。已然形+ば=順接確定条件で、原因・理由「〜ので」、偶然「〜と・〜ところ」、恒常「〜といつも」のいずれかで訳す(すでに実現した、または一般的に成り立つ事柄)。
問21 「とも」は逆接仮定条件で「たとえ〜ても」と、まだ起きていない事柄を仮定して逆接する。「ども」は逆接確定条件で「〜けれども」と、すでに成立した事柄に対して逆接する。接続も「とも」は未然形・終止形など、「ども」は已然形と異なる。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。
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