「し」の識別 確認テスト(古典文法)|定期テスト対策|誰でも古典塾

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古文の「し」は、文中での働きがいくつもある重要な識別ポイントです。主なものは、①過去の助動詞「き」の連体形「し」(直前が連用形で、下に体言が来たり係り結びの結びになったりする)、②形容詞の活用語尾(「〜し」「〜しき」のように、ク活用・シク活用の一部となるもの)、③副助詞「し」(強意・語調を整える働きで、「しも」「しぞ」の形でも現れ、取り除いても文意が通じる)、④サ変動詞「す」の連用形「し」の四つです。見分けの基本は、その「し」を取り除いても文として通じるか、また直前の語が何の活用形かを確かめることです。連用形の下にあれば過去の「き」、形容詞の語幹的な部分に続いていれば活用語尾、取り除いても支障がなければ副助詞、と段階的に判断していきましょう。次の各例文中の傍線部「し」について、後の問いに答えよ。

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本文

※例文は学習用に作成しています。
① 昨日、都より文(ふみ)来たりて、母の安否を知りぬ。
② 春の野に出でて人は、夕(ゆふ)べになりても帰らず。
③ 山の端(は)に入り月を、なほ惜しと見送りけり。
④ この花の色こそ、いと美(うつく)けれ。
⑤ 旅の空にて、ふるさとぞ恋かりける。
⑥ 風だに吹かば、舟をば出ださむと待つ。
⑦ かの人の詠み歌、今も人の口にあり。
⑧ 夜(よ)もすがら降り雨、暁(あかつき)に晴れたり。
⑨ 山里は冬こそ寂(さび)さまされ。
⑩ 一人居れば、夜の長きこと限りなし。
⑪ 我が思ふ人に逢ひ夜は、いと短く覚えき。
⑫ 都にて見桜を、この里にても尋ぬ。
⑬ 君が植ゑ松の、今は大きになりにけり。
⑭ 名にし負はばいざ言問はむ、と歌に詠めり。
⑮ かばかりつらき世を、なほ捨てがたく思ふ。
⑯ 暮れ秋を惜しみて、人々歌をぞ詠みける。

設問

  1. 傍線部①「し」の文法的説明として正しいものを、次から選べ。
    • ア 過去の助動詞「き」の連体形 イ 形容詞の活用語尾 ウ 副助詞 エ サ変動詞「す」の連用形
  2. 傍線部①を含む一文「昨日、都より文し来たりて、母の安否を知りぬ。」を現代語訳せよ。
  3. 傍線部②「し」が過去の助動詞「き」の連体形であると判断できる根拠を答えよ。
    • 直前の語「出でて」の活用形に着目すること。
  4. 傍線部③「し」が過去の助動詞「き」の連体形であることについて、次の二点を答えよ。
    • (1) 直前の「入り」は何の活用形か。
    • (2) この連体形「し」は、下のどの語に連なっているか(被修飾語を抜き出せ)。
  5. 傍線部④「し」が形容詞の活用語尾であると判断できる根拠を、語の構成に触れて答えよ。
  6. 傍線部⑤を含む一文「旅の空にて、ふるさとぞ恋しかりける。」を現代語訳せよ。
  7. 傍線部⑥「し」が副助詞であると判断できる根拠を、「取り除く」という観点から答えよ。
  8. 傍線部⑦「し」が過去の助動詞「き」の連体形であることについて、下に連なる体言を本文中から抜き出せ。
  9. 傍線部⑩「し」が副助詞であると判断できる根拠を、「取り除く」という観点から答えよ。
  10. 傍線部⑪「し」が連体形であることを、下に来る語(体言)を示して説明せよ。
  11. 傍線部⑫を含む一文「都にて見し桜を、この里にても尋ぬ。」を現代語訳せよ。
  12. 傍線部⑬「君が植ゑし松」を、「し」の働きが分かるように現代語訳せよ。また、ここでの「し」の文法的名称を答えよ。
  13. 傍線部②「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  14. 傍線部③「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  15. 傍線部④「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  16. 傍線部⑤「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  17. 傍線部⑥「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  18. 傍線部⑦「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  19. 傍線部⑧「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  20. 傍線部⑨「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  21. 傍線部⑩「し」の文法的説明として正しいものを、①の選択肢ア〜エから選べ。
  22. 傍線部⑭「名にし負はば」の「し」の文法的説明を、①の選択肢ア〜エから選び、あわせてこの「し」を取り除いた形を示せ。
  23. 過去の助動詞「き」の連体形「し」は、活用語のどの活用形に接続するか。漢字三字で答えよ。
  24. 傍線部⑨「寂し」と傍線部⑤「恋し」は、ともに同じ活用の種類の形容詞である。その活用の種類を答えよ。
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問1 ウ(副助詞)。「文し来たりて」の「し」は強意・語調を整える副助詞。直前の「文」は名詞であり連用形ではないので過去の「き」ではない。取り除いて「文来たりて」としても文意が通じることが決め手。

問2 (訳例)昨日、都から手紙が来て、母の安否を知った。(「し」は強意の副助詞で、訳には特に表さない。)

問3 直前の「出でて」が下二段動詞「出づ」の連用形(+接続助詞「て」)であり、連用形を受ける「し」は過去の助動詞「き」の連体形だと判断できる。さらに下の体言「人」に連なっている点も連体形である根拠となる。

問4 (1) 四段動詞「入る」の連用形。 (2) 体言「月」(「入りし月」)。連用形「入り」を受け、下の体言「月」に連なるので過去の助動詞「き」の連体形である。

問5 「美し(うつくし)」は語幹「美(うつく)」に活用語尾「し」が付いた一語の形容詞(シク活用)であり、「し」だけを切り離して助動詞や助詞として扱うことはできない。直前が連用形でない(語幹に直接続く)ことからも活用語尾と分かる。

問6 (訳例)旅の空の下で、故郷が恋しかったことだ。(「ぞ〜ける」の係り結びに注意。「恋し」はシク活用形容詞。)

問7 「し」を取り除いて「風だに吹かば」としても文意が変わらず通じるため、強意・語調を整えるだけの副助詞だと判断できる。直前が連用形「吹き」ではない点も過去の「き」でない根拠となる。

問8 体言「歌」(「詠みし歌」)。連用形「詠み」を受けて体言「歌」に連なる連体形。

問9 「し」を取り除いて「一人居れば」としても文意が通じるため、強意の副助詞だと判断できる。直前の「一人」が名詞であり連用形でないことも根拠となる。

問10 「逢ひし夜」の「し」は、連用形「逢ひ」を受け、下の体言「夜」に連なっている。体言に連なる形であることから連体形であると分かる。

問11 (訳例)都で見た桜を、この里でも探し求める。(「見し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で「見た」と訳す。)

問12 (訳例)あなたが植えた松。 ここでの「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、「植ゑ」は下二段動詞「植う」の連用形。下の体言「松」に連なるため連体形である。

問13 ア(過去の助動詞「き」の連体形)。直前の「出で」は下二段動詞「出づ」の連用形+接続助詞「て」で、その下の「し」が連用形を受けて体言「人」に連なる連体形となっている。

問14 ア(過去の助動詞「き」の連体形)。「入り」は四段動詞「入る」の連用形。下の体言「月」に連なる連体形。

問15 イ(形容詞の活用語尾)。「美し(うつくし)」はシク活用形容詞で、「し」はその終止形の活用語尾。ここは係助詞「こそ」を受けて已然形「美しけれ」となる一部分。語幹「美(うつく)」+活用語尾の関係であり、独立した助動詞・助詞ではない。

問16 イ(形容詞の活用語尾)。「恋し」はシク活用形容詞「恋し」の語の一部(語幹「恋」+「し」)。下に「かりける」と続き、形容詞の補助活用(カリ活用)になっている。

問17 ウ(副助詞)。「風だにし吹かば」の「し」は強意の副助詞。直前は副助詞「だに」で連用形ではない。「風だに吹かば」と取り除いても文意が通じる。

問18 ア(過去の助動詞「き」の連体形)。「詠み」は四段動詞「詠む」の連用形。下の体言「歌」に連なる連体形。

問19 ア(過去の助動詞「き」の連体形)。「降り」は四段動詞「降る」の連用形。下の体言「雨」に連なる連体形。

問20 イ(形容詞の活用語尾)。「寂し(さびし)」はシク活用形容詞。「し」は語の一部であり、ここでは「寂しさ」(形容詞の語幹+接尾語「さ」)として名詞化している、その語幹を構成する部分。助動詞・助詞ではない。

問21 ウ(副助詞)。「一人し居れば」の「し」は強意の副助詞。直前の「一人」は名詞で連用形ではない。「一人居れば」と取り除いても文意が通じる。

問22 ウ(副助詞)。「名にし負はば」の「し」は語調を整える強意の副助詞で、取り除いた形は「名に負はば」。直前の「名に」は名詞+格助詞であり連用形でないことからも過去の「き」ではないと分かる。

問23 連用形。(過去の助動詞「き」は連用形に接続する。)

問24 シク活用。(「寂し」「恋し」はいずれもシク活用形容詞。)

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。

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