故事「背水の陣」確認テスト(史記・韓信)|定期テスト対策|誰でも古典塾

背水の陣|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

「背水の陣(はいすいのじん)」は、わざと川を背にして退路を断ち、一歩も引けない決死の覚悟で事に当たることを表す故事成語です。出典は『史記』淮陰侯列伝で、漢の名将韓信が川を背に陣を敷き、味方を死地に置くことでかえって全軍の力を引き出し、趙軍に大勝した話に基づきます。定期テストでは、「陥之死地而後生(これを死地に陥れて而る後に生く)」という兵法の言葉の意味、なぜあえて川を背にしたのかという理由(内容説明)、そして「背水の陣」の意味が頻出ポイントです。次の文章を読み、後の問いに答えよ。

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本文

【白文(訓点付き)】

信乃使三萬人先行、出、水陳ス。趙軍望見シテ而大イニ笑フ。
……
信曰ハク、「此レ在兵法。顧ダ諸君察セ不ル耳。兵法ニ不曰ハ、『陥之ヲ於死地而後生キ、置之ヲ於亡地而後存ス』ト乎。且ツ信非素ヨリ拊循スル士大夫也。此レ所謂『市人ヲ駆リテ而戦フ』之ナリ。其ノ勢ヒ非レバ置クニ之ヲ於死地、使メント人人ヲシテ自ラ為ニ戦ハ。今予レバ之ニ生地、皆走ラン、寧ンゾ尚ホ可得テ而用フ之乎。」ト。諸将皆服シテ曰ハク、「善シ。非臣ノ及ブ所也。」ト。

【書き下し文】

信乃ち三万人をして先行せしめ、出でて、水を背にして陳す。趙軍望み見て大いに笑ふ。
……
信曰はく、「此れ兵法に在り。顧だ諸君察せざるのみ。兵法に曰はずや、『之を死地に陥れて而る後に生き、之を亡地に置きて而る後に存す』と。且つ信、素より士大夫を拊循するを得るに非ざるなり。此れ所謂『市人を駆りて之を戦はしむ』なり。其の勢ひ、之を死地に置きて、人人をして自ら為に戦はしむるに非ずんば、今之に生地を予へば、皆走らん、寧くんぞ尚ほ得て之を用ふべけんや。」と。諸将皆服して曰はく、「善し。臣の及ぶ所に非ざるなり。」と。

【語注】
・信=韓信。漢の劉邦に仕えた名将。
・陳す(じんす)=陣を敷く。「陳」は「陣」に同じ。
・趙軍=韓信が攻めた趙(ちょう)の国の軍。
・顧(ただ)=ただ…だけ。「顧(かえ)りみる」ではない。
・拊循す(ふじゅんす)=(兵士を)いたわり手なずける。日頃から訓練し従わせること。
・士大夫=ここでは部下の兵士たち。
・市人を駆る=(訓練もしていない)町の人々をかり集めて戦わせる、にわか仕立ての軍のたとえ。
・予ふ(あたふ)=与える。
・寧くんぞ…べけんや=どうして…できようか、いやできない(反語)。

設問

  1. 傍線部①「背レ水陳ス」を、すべてひらがなで書き下しなさい。
  2. 「陥二之ヲ於死地一而後生キ」を書き下し文に直しなさい。
  3. 「陥二之ヲ於死地一而後生キ、置二之ヲ於亡地一而後存ス」を現代語訳しなさい。
  4. 「死地」「亡地」とは、ここではどのような場所を指すか。簡潔に説明しなさい。
  5. 韓信が、訓練の行き届いていない自軍をあえて川を背にした「死地」に置いたのはなぜか。本文の内容に即して説明しなさい。
  6. 「拊循スル」の意味として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
    • ア 厳しく罰すること イ いたわり手なずけ訓練すること ウ 遠ざけて放っておくこと エ 高い位を与えること
  7. 傍線部②「市人ヲ駆リテ而戦フ」とは、どのような軍隊のたとえか。説明しなさい。
  8. 「今予レバ二之ニ生地一、皆走ラン」を現代語訳しなさい。
  9. 「寧ンゾ尚ホ可二得テ而用フ一之乎」について、次の問いに答えなさい。
    • (1) 「寧ンゾ…乎」が表す表現技法(句法)の名称を答えなさい。
    • (2) この句を現代語訳しなさい。
  10. 諸将が「善シ。非二臣ノ及ブ所一也」と述べたことから、諸将の韓信に対するどのような気持ちが読み取れるか。簡潔に答えなさい。
  11. 「予」「与」「給」のうち、本文の「予ふ」と同じ「あたえる」の意味で用いられる漢字をすべて選びなさい。
  12. 「背水の陣」とは、ここからできた故事成語である。その意味を簡潔に説明しなさい。
  13. 韓信が陣を敷くのを見て、趙軍はどのような反応をしたか。本文中の語句を用いて答えなさい。
  14. 趙軍が傍線部のような反応をしたのはなぜか。当時の一般的な兵法の常識をふまえて説明しなさい。
  15. 「兵法ニ不レ曰ハ…乎」の部分について、次の問いに答えなさい。
    • (1) 書き下し文に直しなさい。
    • (2) この句に用いられている「不…乎(や)」の表現技法(句法)の名称を答えなさい。
  16. この一文(問3の句)で韓信が説こうとしている戦いの考え方を、十五字以内で答えなさい。
  17. 韓信は、自軍の兵士たちをどのような集団だと述べているか。本文中の比喩表現を抜き出して答えなさい。
  18. 韓信が「今、兵士たちに生地(逃げ場のある安全な場所)を与えたら、どうなる」と考えていたか、答えなさい。
  19. 韓信の説明を聞いた諸将の反応を、本文中の語句を用いて答えなさい。「諸将皆…」に続けて書きなさい。
  20. この故事の出典である歴史書の書名と、その著者名を漢字で答えなさい。
  21. 「背水の陣」と最も意味の近い四字熟語を次から一つ選び、記号で答えなさい。
    • ア 漁夫之利 イ 四面楚歌 ウ 背水之陣に同じ「決死」の覚悟を表す「破釜沈舟(はふちんしゅう)」 エ 臥薪嘗胆
  22. 「背水の陣」を用いた短文を一つ作りなさい。
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問1 みずをせにしてじんす
※「背」は「…を背にする」、「陳」は「陣」と同じで「陣を敷く」の意。

問2 これをしちにおとしいれてしかるのちいき

問3 (兵を)死地に追い込んでこそ、その後にかえって生き残ることができ、滅亡の地に置いてこそ、その後にかえって生き延びることができる。

問4 「死地」「亡地」とは、逃げ場がなく、そこにいれば死ぬ・滅びるしかないような絶体絶命の場所(ここでは川を背にした退路のない陣のこと)。

問5 自軍は日頃から訓練されていない寄せ集めの兵であり、逃げ場のある安全な場所に置けばすぐに逃げ出してしまう。そこで、あえて退路のない死地に置くことで、一人一人が自分のために必死に戦わざるを得ない状況を作り、その死力を引き出して勝利するため。

問6 イ(いたわり手なずけ訓練すること)。「拊循」は兵士を日頃からいたわり、訓練して従わせること。

問7 日頃から訓練されていない、町の人々を急にかり集めて戦わせるような、にわか仕立ての寄せ集めの軍隊のたとえ。

問8 今もし兵士たちに(逃げ場のある)生きられる場所を与えたら、皆逃げ出してしまうだろう。

問9 (1) 反語 (2) どうして(その兵士たちを)うまく使いこなすことなどできようか、いや、できはしない。

問10 初めは韓信の布陣をあやしみ・笑っていたが、その深い戦術の意図を聞いて心から感服し、自分たちには到底及ばない優れた知略だと認める気持ち。

問11 予・与・給(いずれも「あたえる」の意味で用いられる。本文では「予」を用いている)。

問12 一歩も引けない決死の覚悟で、全力を尽くして事に当たること。退路を断ち、もう後がない状況に身を置いて戦うこと。

問13 (趙軍は)「望み見て大いに笑ふ」(=韓信の陣を遠くから見て大いに笑った)。

問14 兵法では、川や沼などを背にして退路のない場所に陣を敷くのは愚かな布陣とされ、ふつうは避けるべきものだったから。韓信がその常識に反する布陣をしたので、勝ち目がないと見て趙軍はあざ笑った。

問15 (1) へいほうにいはずや (2) 反語(「…ず…や」で「…ではないか」と強く念を押す形。ここでは「兵法に書いてあるではないか」と確認・強調する反語的用法)。

問16 兵を死地に置いて死力を尽くさせる(十四字)。〔別解〕絶体絶命の地でこそ人は全力を出す。

問17 「市人を駆りて之を戦はしむ(市人を駆りて戦ふ)」(=町の人々をかり集めて戦わせるような、寄せ集めの軍)。

問18 兵士たちは皆(戦わずに)逃げ出してしまうだろう、と考えていた。

問19 諸将皆服して曰はく、「善し。臣の及ぶ所に非ざるなり」と。(=諸将は皆感服して「お見事です。我々の及ぶところではありません」と言った。)

問20 書名…『史記』 著者…司馬遷(しばせん)。

問21 ウ(破釜沈舟…釜を破り船を沈めて退路を断つ意で、「背水の陣」と同じく決死の覚悟を表す)。〔参考〕イ「四面楚歌」は周囲が敵ばかりで孤立すること、エ「臥薪嘗胆」は復讐のために苦労に耐えること、ア「漁夫の利」は両者が争う間に第三者が利益を得ること。

問22 (例)今度の試験は留年がかかっており、まさに背水の陣で勉強に取り組んだ。〔例〕資金も尽き、背水の陣で新事業に挑む。

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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