登高 テスト対策問題28問|杜甫の七言律詩・解答つきPDF

定期テスト対策

杜甫晩年の七言律詩の名作『登高』は、押韻・対句・律詩の構成といった漢詩の基本知識と、雄大な秋景と老病孤独の自己を対比させた主題が同時に問われる定番教材です。書き下し・現代語訳・修辞・情景と心情の対応を中心に頻出問題を確認しましょう。

本文(傍線①〜⑮)

風(かぜ)急(きふ)に天(てん)高(たか)くして猿嘯(ゑんせう)哀(かな)し
渚(なぎさ)清(きよ)く沙(すな)白(しろ)くして鳥(とり)飛(と)び廻(めぐ)る
無辺(むへん)の落木(らくぼく)蕭蕭(せうせう)として下(くだ)り
不尽(ふじん)の長江(ちやうかう)滾滾(こんこん)として来(き)たる
万里(ばんり)悲秋(ひしう)常(つね)に客(かく)と作(な)り
百年(ひやくねん)多病(たびやう)独(ひと)り台(だい)に登(のぼ)る
艱難(かんなん)苦(はなは)だ恨(うら)む繁霜(はんさう)の鬢(びん)
潦倒(らうたう)新(あら)たに停(とど)む濁酒(だくしゆ)の杯(はい)

語注 登高=高い所に登ること。中国には陰暦九月九日の重陽(ちようやう)の日に高い所に登る風習があり、詩の題はこれをふまえるとされる。 猿嘯=猿の鳴き声。長江の三峡の猿の声は、古くから旅人の悲しみをさそうものとして詩によまれる。 渚=水ぎわ。川岸。 沙=すな。 廻る=旋回する。飛びめぐる。 無辺=果てしなく広いこと。 落木=散り落ちる木の葉。 蕭蕭=木の葉がものさびしく散るさま。 不尽=尽きることがない。 長江=揚子江。中国第一の大河。 滾滾=水が勢いよく、絶え間なく流れ来るさま。 万里=非常に遠いこと。ここは故郷から遠く離れた土地をいう。 悲秋=もの悲しい秋。 客=旅人。他郷に身を寄せる者。 作る=訓読では「なる」と読む。 百年=人の一生。生涯。 多病=病気がちであること。 台=高台。高い所。 艱難=苦しみ。困難。 苦だ=はなはだ。ひどく。つくづく。 繁霜=一面に降りた霜。 鬢=耳ぎわの髪。 潦倒=おちぶれ、やつれ衰えるさま。 新たに=つい最近。〜したばかり。 停む=やめる。断つ。 濁酒=にごり酒。粗末で安い酒。 ※律詩では二句ずつをひとまとまりとし、第一・二句を首聯(しゆれん)、第三・四句を頷聯(がんれん)、第五・六句を頸聯(けいれん)、第七・八句を尾聯(びれん)という。 ※本文は書き下し文で示している。押韻(韻字)は書き下し文ではなく白文の句末で見ること。白文(原文)は次の八句。風急天高猿嘯哀/渚清沙白鳥飛廻/無辺落木蕭蕭下/不尽長江滾滾来/万里悲秋常作客/百年多病独登台/艱難苦恨繁霜鬢/潦倒新停濁酒杯。 ※「苦」は副詞「苦(はなは)だ」で、「苦しむ」の意味ではない。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ①「猿嘯(ゑんせう)哀(かな)し」の「猿嘯」の読みを現代仮名遣いで書け。また、その意味も書け。
  2. ③「無辺(むへん)の落木(らくぼく)」の「無辺」と「落木」の意味を、それぞれ書け。
  3. ④「蕭蕭(せうせう)として」と、⑤の中の「滾滾(こんこん)として」の読みを、それぞれ現代仮名遣いで書け。また、二つの語が表しているようすの違いも書け。
  4. ⑦「悲秋(ひしう)」の読みを現代仮名遣いで書け。また、その意味も書け。
  5. ⑨「百年(ひやくねん)多病(たびやう)」の「百年」は、ここではどのような意味か書け。
  6. ⑪「艱難(かんなん)」の意味を書け。
  7. ⑭「潦倒(らうたう)」の読みを現代仮名遣いで書け。また、その意味も書け。

B 句法・漢詩の形式

  1. ①をふくむ第一句から⑮をふくむ第八句までを見て、この詩の形式を漢字四字で書け。また、韻をふんでいる字を、語注に示した白文の句末からすべて抜き出せ。
  2. ②「渚(なぎさ)清(きよ)く沙(すな)白(しろ)くして」は、一句の中でも語がきれいに対応するように作られている。どの語とどの語が対応しているか書け。
  3. ⑤「不尽の長江滾滾として来たる」と対句になっている句を、書き下し文で一句すべて抜き出せ。
  4. ⑨・⑩をふくむ第六句「百年多病独り台に登る」と対句になっている句を、書き下し文で一句すべて抜き出せ。
  5. ⑫「苦(はなは)だ恨(うら)む」の「苦」の読みを書け。また、ここでの品詞と働きも書け。
  6. 律詩では、ふつう対句にするのは第三・四句(頷聯)と第五・六句(頸聯)である。①から⑮までの傍線がある八句を見比べて、この詩ではどの句どうしが対句になっているか、決まりとの違いがわかるように書け。

C 主語・指す内容

  1. ⑧「常(つね)に客(かく)と作(な)り」の「客」とは誰のことか。また「作」の読みもあわせて書け。
  2. ⑩「独(ひと)り台(だい)に登(のぼ)る」の「台」とは、どのような場所か。詩の題名ともあわせて書け。
  3. ⑬「繁霜(はんさう)の鬢(びん)」は、誰の鬢か。
  4. ⑮「新(あら)たに停(とど)む濁酒(だくしゆ)の杯(はい)」で、杯を停めたのは誰か。また「停む」とは、ここではどうすることか書け。

D 口語訳

  1. ①をふくむ第一句「風急に天高くして猿嘯哀し」を口語訳せよ。
  2. ⑤「不尽の長江滾滾として来たる」(第四句)を口語訳せよ。
  3. ⑥・⑦・⑧をふくむ第五句「万里悲秋常に客と作り」を口語訳せよ。
  4. ⑪・⑫・⑬をふくむ第七句「艱難苦だ恨む繁霜の鬢」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ⑥「万里(ばんり)」と、⑨「百年(ひやくねん)多病(たびやう)」の「百年」は対になっている。それぞれ何を表しているか、対比がわかるように書け。
  2. ⑬「繁霜(はんさう)の鬢(びん)」とは、どのような状態を表した言い方か。たとえに注意して説明せよ。
  3. ⑮「新(あら)たに停(とど)む濁酒(だくしゆ)の杯(はい)」から、作者のどのような境遇が読み取れるか。三十五字以内で書け。
  4. ⑤(前半)と⑮(後半)をふまえて、この詩の前半四句と後半四句は、それぞれ主に何をよんでいるか。両者の関係をふまえて、この詩の主題を説明せよ。

F 文学史・作者

  1. この詩の作者杜甫は、どの王朝の詩人か。また、後世どのように呼ばれるか書け。
  2. 詩の題名「登高」の読みを書け。また「登高」とはどのようなことか、中国の風習にもふれて書け。
  3. 「国破れて山河在り 城春にして草木深し」で始まる、同じ杜甫の五言律詩の題名を書け。

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解答と解説

▼ 解答・解説を見る

A 語句の意味と読み

問1 読み=えんしょう/意味=猿の鳴き声(長く引く猿の声)。
└ ★歴史的仮名遣いでは「ゑんせう」。「-eu」は「-よう」に直すので「せう→しょう」。長江の三峡の猿の声は、古くから旅人の悲しみをさそうものとして詩によまれる

問2 無辺=果てしなく広いこと。見わたすかぎり限りがないこと。/落木=散り落ちる木の葉。落ち葉。
└ 次の句の「不尽(=尽きることがない)」と対になる語。どちらも「限りがない」ことをいう

問3 読み=④しょうしょう/⑤こんこん。「蕭蕭」は木の葉がものさびしく、はらはらと散り落ちるさま。「滾滾」は川の水が勢いよく、絶え間なく流れ来るさま。
└ ★どちらも同じ字を重ねた語(畳語)。「せう」は「しょう」に直す。散って終わる落ち葉と、尽きずに流れ続ける大河とが対になっている

問4 読み=ひしゅう/意味=もの悲しい秋。秋をもの悲しく感じること。
└ ★「しう→しゅう」と直す。中国の詩では、秋は衰えと別れを思わせる悲しい季節としてよまれる

問5 人の一生。生涯。(「百歳」という具体的な年齢のことではない。)
└ ★前の句の「万里」が空間の隔たりを表すのに対し、「百年」は時間の長さを表す

問6 苦しみ。困難。つらい目にあうこと。
└ 「艱」も「難」も、なやみ・くるしみを表す字。ここは流浪と病に苦しんだ人生をいう

問7 読み=ろうとう/意味=おちぶれて、やつれ衰えたようす。失意で気力も落ちた状態。
└ ★「らう→ろう」「たう→とう」と直す。老い・病・貧しさの重なった晩年の自分をいう語

B 句法・漢詩の形式

問8 七言律詩/韻字=哀・廻・来・台・杯。(第一句末と偶数句末で韻をふむ。)
└ ★七言の詩は第一句末も韻をふむのが原則なので、「哀」を落とさない。書き下し文では第六句が「独り台に登る」で終わり「台」が句末に来ないので、韻字は必ず語注の白文の句末で確かめる

問9 「渚」と「沙」(水辺の景物どうし)、「清く」と「白く」(そのようすを表す語どうし)が対応している。
└ 第一句「風急に天高くして」も同じ作り(「風」と「天」、「急に」と「高く」)。この詩は句の中にも対を仕込んでいる

問10 無辺の落木蕭蕭として下り
└ 無辺⇔不尽、落木⇔長江、蕭蕭⇔滾滾、下り⇔来たる。語の位置がそのまま対応する

問11 万里悲秋常に客と作り
└ 万里⇔百年、悲秋⇔多病、常に客と作り⇔独り台に登る。語の位置がそのまま対応する

問12 読み=はなはだ/副詞で、「ひどく・つくづく」と程度を強める働き。「苦しむ」の意味ではない。
└ ★最頻出。「艱難苦だ恨む繁霜の鬢」=度重なる苦労のせいで白くなった髪を、つくづく恨めしく思う

問13 第一・二句(首聯)と第七・八句(尾聯)もふくめて、八句すべてが対句になっている点。(このような作りを「全対格」と呼ぶことがある。教科書によっては触れないので、お使いの教科書の説明に合わせること。)
└ ★「対句は頷聯と頸聯だけ」と思いこむと落とす問題。まず八句を並べて見比べること

C 主語・指す内容

問14 「客」は作者杜甫自身。故郷を離れて他郷にいる旅人・寄寓の身であることをいう。「作」は「作(な)り」と読み、「〜になる」の意。
└ ★「作」を「つくる」と読まない。訓読では「作(な)ル」。ここから詩の目が風景から作者自身へ移る

問15 高台。高い所。詩の題名「登高」も「高い所に登る」ことをいい、この句と重なる。
└ 長江のほとりの高台にただ一人で登り、そこから秋の景色を見わたしている場面

問16 作者杜甫自身の鬢(耳ぎわの髪)。
└ 後半の四句は、すべて作者自身の境遇を述べている

問17 停めたのは作者杜甫自身。「停む」は「やめる・断つ」で、酒を飲むのをやめたということ。
└ ★「飲みはじめた」と反対に取るミスが多い。「新たに」は「つい最近・〜したばかり」の意

D 口語訳

問18 風は激しく吹き、空は澄みきって高く、猿の鳴き声が悲しげに響く。
└ 三つの短い情景を重ねて、秋の荒涼としたようすを一気に描いている

問19 尽きることのない長江(揚子江)の水が、とうとうと勢いよく流れて来る。
└ 散って終わる落ち葉と、尽きずに流れ続ける大河との対比になっている

問20 故郷から万里も遠く離れた地で、もの悲しい秋に、いつも旅人の身であり続け。
└ 「万里」=故郷から遠く離れていること。「客」=旅人・他郷に身を寄せる者

問21 度重なる苦労のために霜のように白くなった耳ぎわの髪を、つくづく恨めしく思い。
└ ★「苦だ」は「はなはだ(ひどく・つくづく)」。「苦しむ」と訳すと即アウト。「繁霜の鬢」=霜が一面に降りたように白くなった耳ぎわの髪

E 内容・記述

問22 「万里」は故郷から遠く離れているという空間(距離)の隔たりを表し、「百年」は人の一生という時間の長さを表す。空間と時間の両面から、流浪の長さと老いの深さを言い表している。
└ ★頸聯は「万里⇔百年」「悲秋⇔多病」「常に客と作り⇔独り台に登る」と、きれいに対応している

問23 霜が一面に降りたように白くなった、耳ぎわの髪。苦労を重ねて白髪が増えたことを、霜にたとえて言っている。
└ 「繁霜」=一面に降りた霜。「鬢」=耳ぎわの髪。白髪を霜に見立てるのは漢詩の定番

問24 老い衰えたうえ病のため、慰めであった酒さえ断たねばならない境遇。(三十二字)
└ ★「濁酒」は粗末で安い酒。貧しい暮らしもにじむ。最後の慰めまで失ったところで詩が終わる

問25 前半の四句は、風・空・猿の声・川岸・白い砂・鳥・散る落ち葉・流れる長江といった、雄大でありながらものさびしい秋の情景をよむ。後半の四句は、故郷を遠く離れた流浪、老い、病、白髪、断酒という作者自身の境遇をよむ。悠久で雄大な自然と、衰えていく孤独な自分とを対比させ、晩年の孤独と人生のやりきれない悲しみをうたっている。
└ ★前半=景、後半=情の構成。答えには必ず「対比」を入れて書く

F 文学史・作者

問26 唐(盛唐)の詩人。「詩聖」と呼ばれる。(「詩仙」と呼ばれる李白と並び称される。)
└ 安史の乱の中で官職を捨て、家族を連れて各地を流浪した。『登高』は晩年、長江上流の夔州(三峡のあたり)での作とされる

問27 読み=とうこう(歴史的仮名遣いでは「とうかう」)/「高い所に登る」こと。中国には陰暦九月九日の重陽の日に高い所に登る風習があり、この詩もその折の作とされる。
└ 高台に登って遠くを見わたす場面だから、前半に雄大な秋の景色が広がる

問28 春望
└ 『登高』は七言律詩、『春望』は五言律詩。どちらも杜甫の代表作としてよく並べて問われる

【テスト直前チェック】この三つ
韻字は「哀・廻・来・台・杯」。七言の詩は第一句末も韻をふむので「哀」を落とさない。押韻は書き下し文ではなく白文の句末で見ること。
「苦」は「はなはだ」。⑫「苦だ恨む」を「苦しむ」と訳すと即アウト。「ひどく・つくづく」と程度を強める副詞です。
記述は「対比」で書く。前半四句=雄大な秋の景色、後半四句=老い・病・流浪の自分。「万里(空間)と百年(時間)」まで書けると満点に近づきます。

現代語訳(全文)

風は激しく吹き、空は澄みきって高く、猿の鳴き声が悲しげに響く。
川岸の水は清らかで砂は白く、その上を鳥が飛びめぐっている。
見わたすかぎり果てしなく、木の葉がものさびしくはらはらと散り落ち、
尽きることのない長江(揚子江)の水が、とうとうと勢いよく流れて来る。
故郷から万里も遠く離れた地で、もの悲しい秋に、いつも旅人の身であり続け、
一生を病がちで過ごしてきたこの身で、ただひとり高台に登る。
度重なる苦労のために霜のように白くなった耳ぎわの髪を、つくづく恨めしく思い、
おちぶれ衰えたわが身は、つい最近、濁り酒の杯までやめてしまったのだ。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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