『史記』屈原列伝(漁父)定期テスト対策問題|句法・内容の頻出設問と解答

定期テスト対策

『史記』屈原列伝の「漁父」の場面は、追放された屈原と漁父の対話を通して、清廉を貫く生き方と世に順応する生き方を対比させる名場面です。定期テストでは「見放」の受身、「安くんぞ〜ん(や)」の反語、対句表現、そして屈原・漁父それぞれの生き方の対比が頻出します。

本文

【冒頭(屈原の姿)】
屈原既に放たれて、江潭に遊び、行き行き沢畔に吟ず。顔色憔悴し、形容枯槁せり。漁父見て之に問ひて曰はく、「子は三閭大夫に非ずや。何の故に斯に至れる」と。

【屈原の言葉】
屈原曰はく、「世を挙げて皆濁れるに、我独り清めり。衆人皆酔へるに、我独り醒めたり。是を以て放たる」と。

【漁父の勧め】
漁父曰はく、「聖人は物に凝滞せずして、能く世と推移す。世人皆濁らば、何ぞ其の泥を淈して其の波を揚げざる。衆人皆酔はば、何ぞ其の糟を餔らひて其の醨を歠らざる。」と。

【屈原の拒絶】
「……寧ろ湘流に赴きて、江魚の腹中に葬らるとも、安くんぞ能く晧晧の白きを以て、世俗の塵埃を蒙らんや」と。

【結び(漁父の退場)】
漁父莞爾として笑ひ、枻を鼓して去る。乃ち歌ひて曰はく、「滄浪の水清まば、以て吾が纓を濯ふべし。滄浪の水濁らば、以て吾が足を濯ふべし」と。

問題

  1. 傍線部「形容枯槁せり」の読みをすべてひらがな(現代仮名遣い)で書きなさい。
  2. 「子は三閭大夫に非ずや」の「子」の意味として最も適切なものを答えなさい。また、この一文が誰の誰に対する問いかけかも答えなさい。
  3. 傍線部「世を挙げて皆濁れるに、我独り清めり。衆人皆酔へるに、我独り醒めたり」を現代語訳しなさい。また、この二文に用いられている表現技法を答えなさい。
  4. 傍線部「放たる」を文法的に説明し、屈原が「是を以て放たる」と言った理由を本文に即して説明しなさい。
  5. 傍線部「何ぞ其の泥を淈して其の波を揚げざる」を現代語訳し、句法の名称を答えなさい。
  6. 傍線部「安くんぞ能く晧晧の白きを以て、世俗の塵埃を蒙らんや」を現代語訳し、この言葉に込められた屈原の生き方を説明しなさい。
  7. 末尾の漁父の歌「滄浪の水清まば、以て吾が纓を濯ふべし。滄浪の水濁らば、以て吾が足を濯ふべし」は、どのような生き方を表しているか。屈原の生き方と対比して説明しなさい。
  8. この文章(漁父の場面)の主題として最も適切なものを、内容に即して説明しなさい。

解答・解説

問1の解答

けいようここうせり。「形容」は姿・かたち、「枯槁」はやせ衰えることを表す。屈原がやつれ果てた姿を描写している。

問2の解答

「子」は二人称の敬称で「あなた」の意。漁父が屈原に対して「あなたは(かつての)三閭大夫ではありませんか」と問いかけている。「非ず〜や」は「〜ではないか」という念押しの問いかけ。

問3の解答

訳:世の中すべての人が濁っているのに、私一人だけが清らかである。人々はみな酔っているのに、私一人だけが(酔わず)醒めている。技法は対句。「挙世皆濁/衆人皆酔」と「我独清/我独醒」が対応し、屈原の孤高さを際立たせる。

問4の解答

「放たる」は動詞「放つ」(タ行四段)の未然形「放た」+受身の助動詞「る」で、「追放される」の意(原文「見放」=受身。「見+動詞」で受身を表す)。理由は、世が濁り人々が皆酔っている中で、自分一人だけが清く醒めていた(=世に迎合しなかった)ため、周囲と相いれず追放されたのだと屈原は述べている。

問5の解答

訳:どうしてその泥をかき混ぜ、その波を立てないのか(=そうすればよいではないか)。句法は反語。「何ぞ〜ざる」の形で、世の濁りに合わせて生きよと屈原に勧める漁父の言葉。

問6の解答

訳:どうして清く白い(潔白な)身でありながら、世俗の塵やほこりをかぶることができようか、いやできない。「安くんぞ〜んや」は反語。たとえ川に身を投げて魚の餌となっても、俗世に染まって清廉を汚すことは決してできない、という妥協を許さぬ生き方を示す。

問7の解答

漁父の歌は、水が澄めば冠のひもを洗い、濁れば足を洗うように、世の中の状況に応じて柔軟に順応して生きるべきだという処世の態度を表す。清濁こだわらず世と推移する漁父の生き方は、清廉を貫き妥協を拒む屈原の生き方と鋭く対比されている。

問8の解答

追放された屈原と漁父の対話を通して、清廉潔白を守り抜こうとする屈原の生き方と、世の変化に柔軟に順応しようとする漁父の生き方という、対照的な二つの人生観・処世観を提示している点が主題である。

👉 本文の現代語訳・語句・文法のくわしい解説は 解説記事 で確認できます。

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