完了・存続の助動詞「たり」「り」は、定期テストでねらわれる超頻出ポイントです。最大の山場は接続による識別。「たり」は連用形に付き、「り」はサ変の未然形・四段の已然形にだけ付きます(いわゆる「サ未四已(さみしい)」)。とくに「り」がどの活用形に付くかを問う設問は毎年のように出ます。あわせて、両方とも「完了(〜た・〜てしまった)」か「存続(〜ている・〜てある)」かを訳し分ける力も必須です。活用は「たり」がタリ活用型、「り」がラ変型(ら・り・り・る・れ・れ)である点も忘れずに。接続のしくみをまず固めたい人は、あわせて古文「たり」の識別を完全攻略|接続を見れば一瞬でわかるも確認してください。それでは、次の各例文を読み、後の問いに答えよ。
本文
① あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。(『竹取物語』)
② 三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。(『竹取物語』)
③ 紫だちたる雲の細くたなびきたる。(『枕草子』)
④ おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。(『平家物語』)
⑤ よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。(『方丈記』)
⑥ 花、咲けり。(四段「咲く」の已然形に接続した例)
⑦ いみじう降れる雪を、人々に見せたり。(四段「降る」の已然形に接続した例)
⑧ 今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。(『竹取物語』)
⑨ 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。(『土佐日記』)
⑩ 三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。(『竹取物語』)
⑪ つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。(『徒然草』)
⑫ 兵(つはもの)たりし者、今はみな世を捨てて出家す。(体言に接続した「たり」の例)
⑬ 夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐ。(『枕草子』)
⑭ 闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。(『枕草子』)
設問
- 例文①「光りたり」の「たり」について答えよ。
- (1) この「たり」は何の助動詞か(基本形で答えよ)。
- (2) 直前の「光り」は動詞「光る」のどの活用形か。
- 例文①「光りたり」の「たり」の活用形(基本形・連用形…のどれか)を答えよ。
- 例文①「筒の中光りたり」を現代語訳せよ。
- 例文②「ゐたり」について答えよ。
- (1) 直前の「ゐ」は動詞「ゐる」のどの活用形か。
- (2) この「たり」の活用形を答えよ。
- 例文③「紫だちたる雲」「たなびきたる」の二つの「たる」は、それぞれ「完了」「存続」のどちらの意味でとるのが自然か答えよ。
- 例文④「おごれる」の「る」について答えよ。
- (1) この「る」は何の助動詞か(基本形で答えよ)。
- (2) ここでの意味は「完了」「存続」のどちらか。
- 例文④「おごれる」は、四段動詞「おごる」に助動詞「り」が付いた形である。「おごる」のどの活用形に付いているか、活用形の名称で答えよ。
- 例文④「おごれる人も久しからず」を現代語訳せよ。
- 例文⑤「久しくとどまりたるためしなし」を現代語訳せよ。
- 例文⑦「いみじう降れる雪」を、「る」を存続の意味にとって現代語訳せよ。
- 例文⑧「ありけり」のラ変動詞「あり」の連体形は「ある」である。この「ある」は、「あり」に存続の助動詞「り」が付いた形と言えるか。「り」の接続の決まりに触れて、「言える/言えない」で答えよ。
- 例文⑨「すなる日記」の「なる」は、助動詞「り」とは無関係の助動詞である。これは何の助動詞か(伝聞・推定/断定 のどちらか)を答え、そう判断できる理由(直前の語の活用形)も書け。
- 例文⑩「三寸ばかりなる人」の「なる」は何の助動詞の連体形か。完了の「り」とまぎらわしい「に+あり」由来のこの語の名称を答えよ。
- 例文⑪「書きつくれば」の「書きつくれ」は四段動詞「書きつく」の已然形である。この「書きつくれ」に存続の助動詞「り」を付けて連体形にすると、どのような形になるか答えよ。
- 例文⑥「咲けり」、例文⑦「降れる」で、助動詞「り」が「咲け」「降れ」という形に付いているのはなぜか。接続の決まりにふれて説明せよ。
- 助動詞「り」が接続できるのは、どの活用の種類のどの活用形か。決まり(いわゆる「サ未四已」)を説明せよ。
- 助動詞「たり」は活用語のどの活用形に接続するか、活用形の名称で答えよ。
- 助動詞「り」の活用は何活用型か。また、その活用を「ら・り・り・る・れ・れ」の順にならって、未然形から命令形まですべて平仮名で書け。
- 完了・存続の「り」と、断定の「なり」(「に+あり」由来)を識別するときの着眼点を一つ、簡潔に説明せよ。
- 例文⑫「兵たりし者」の「たり」は、例文①〜⑤の存続「たり」とは別の助動詞である。
- (1) これは何の助動詞(意味)か。
- (2) 存続の「たり」と断定の「たり」を見分ける着眼点(接続のちがい)を簡潔に説明せよ。
- 助動詞「たり」「り」が表す二つの意味を、それぞれ訳語(「〜た」「〜ている」など)を添えて答えよ。
▼ 解答・解説を見る
問1 (1) 完了・存続の助動詞「たり」。 (2) 連用形。「光る」(四段)の連用形が「光り」で、「たり」は連用形に付きます。
問2 終止形。文がここで言い切られているので終止形です。
問3 (例)筒の中が光っている。/筒の中が光った。(「たり」は完了「光った」とも存続「光っている」とも訳せますが、ここは光っている状態が見えている場面なので存続「光っている」が自然です。)
問4 (1) 連用形。「ゐる」(ワ行上一段)の連用形は「ゐ」です。 (2) 終止形。文末で言い切っているので終止形です。
問5 どちらも存続。「紫がかっている雲」「(細く)たなびいている」と、状態が続いているようすを表すので存続でとります。
問6 (1) 助動詞「り」。 (2) 存続。「おごり高ぶっている人」と、その状態が続いていることを表すので存続です。
問7 已然形。「おごる」は「おご-ら/り/る/る/れ/れ」と活用する四段動詞で、その已然形「おごれ」に「り」が付いています。
問8 おごり高ぶっている人も長くは続かない。(「久しからず」=長くは続かない)
問9 長くとどまっている例(ためし)はない。
問10 (例)たいそう降り積もっている雪。(「降れる」を存続にとると「降っている・降り積もっている」となります。)
問11 言えない。「ある」はラ変動詞「あり」の連体形そのものであり、存続の「り」が付いた形ではありません。「り」はサ変の未然形・四段の已然形にのみ接続し(いわゆる「サ未四已」、問16参照)、ラ変には接続しません。(仮に已然形「あれ」に「る」を付けても「あれる」となり、「ある」にはなりません)
問12 伝聞・推定の助動詞「なり」。理由:直前の「す」がサ変動詞の終止形だから。伝聞・推定の「なり」は終止形(ラ変型には連体形)に接続します。
問13 断定の助動詞「なり」の連体形。「三寸ほどである人」の意味で、「なり」は「に+あり」が縮まってできた断定の助動詞です。体言や連体形に接続します。
問14 「書きつくれる」。四段已然形「書きつくれ」に「り」が付き、連体形「る」となります。
問15 助動詞「り」は四段動詞には已然形に接続するから。「咲く」「降る」はどちらも四段動詞で、その已然形「咲け」「降れ」に「り」が付いています。(直前が「エ段+り(る)」になるのが目印)
問16 助動詞「り」は、サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形に接続する。頭文字をとって「サ未四已(さみしい)」と覚えます。(例:サ変「す」→「せ+り」、四段「行く」→「行け+り」)
問17 連用形。「たり」は活用語の連用形に接続します。
問18 ラ変型。活用は「ら・り・り・る・れ・れ」(未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形)。
問19 (例)接続を見る。完了・存続の「り」はサ変未然形・四段已然形にしか付かず、直前は「エ段+り(る)」になりやすい。一方、断定の「なり」は体言や連体形に付く。直前の語の活用形・品詞を確かめれば見分けられます。
問20 (1) 断定の助動詞「たり」(〜である)。「兵たり」=「武士である」。 (2) 接続が違う。存続の「たり」は活用語の連用形に付き(例:「光り+たり」)、断定の「たり」は体言に付く(例:「兵+たり」)。直前が連用形か体言かを見れば区別できます。
問21 ①完了…「〜た・〜てしまった」。②存続…「〜ている・〜てある」。文脈で訳し分けます(動作が終わった点に重きを置けば完了、結果の状態が続く点に重きを置けば存続)。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文の引用は古典作品(著作権の対象外)から正確に行っています。
🔗 解説で復習する・ほかのテストを探す


コメント