「限定」とは、「ただ〜だけ」と範囲を限る言い方です。文頭では「唯(惟・只)」「徒・特・独・但」などを「たダ」と読み、文末では「のみ」「だけだ」の意味を「耳・爾・而已・而已矣」で表します。これらは、訳すときに「ただ〜だけ」「〜にすぎない」「〜のみ」とまとめるのが基本です。読みと訳の両面から確実に身につけましょう。次の各例文について、後の問いに答えよ。
本文
※例文は学習用です。
① 唯だ仁者のみ能く人を愛す。/ただ仁者のみ能く人を愛す。
② 我レ独リ生く。/我れ独り生く。
③ 但だ聞く人語の響くを。/ただ人語の響くを聞く。
④ 特だ以て口舌を為す労のみ。/ただ口舌を以て労を為すのみ。
⑤ 是れ口腹を養ふ耳のみ。/これ口腹を養ふのみ。
⑥ 夫子の道、忠恕のみ而已矣。/夫子の道は、忠恕のみ。
⑦ 惟だ君のみ知る之を。/ただ君のみこれを知る。
⑧ 徒らに読むのみ而已。/ただ読むのみ。
⑨ 直だ百歩ならざるのみ。/ただ百歩ならざるのみ。
⑩ 只だ在り此の山中に。/ただ此の山中に在り。
⑪ 但だ手の熟するのみ爾。/ただ手の熟するのみ。
⑫ 寡人の於ける国や、尽心を焉くす耳のみ。/寡人の国に於けるや、心を尽くすのみ。
設問
- 例文①の「唯」の読み方を、送り仮名も含めてひらがなで書け。
- 例文①の「仁者」の下に付いている「のみ」は、何という限定を表しているか。意味を簡潔に説明せよ。
- 例文①を書き下し文に直せ。
- 例文①「唯仁者能愛人」を現代語訳せよ。
- 例文②の「独」の読み方をひらがなで書け。
- 例文③の「但」の読み方を、送り仮名も含めてひらがなで書け。
- 例文③を書き下し文に直せ。
- 例文③「但聞人語響」を現代語訳せよ。
- 例文④の「特」の読み方を、送り仮名も含めてひらがなで書け。
- 例文④「特以為口舌労耳」のように、文頭の「特」と文末の「耳」が両方使われている。このとき、訳の上で「ただ〜だけだ」という限定の意味はどのように表れるか、簡潔に説明せよ。
- 例文⑤の文末「耳」の読み方をひらがなで書け。
- 例文⑤を書き下し文に直せ。
- 例文⑤「是養口腹耳」を現代語訳せよ。
- 例文⑥の文末「而已矣」の読み方をひらがなで書け。
- 例文⑦の「惟」の読み方を、送り仮名も含めてひらがなで書け。
- 例文⑦を書き下し文に直せ。
- 例文⑧の「徒」の読み方を、送り仮名も含めてひらがなで書け。
- 例文⑧の文末「而已」の読み方をひらがなで書け。
- 例文⑧「徒読耳」を現代語訳せよ。
- 次の限定を表す字のうち、文末に置いて「〜のみ」と読むものをすべて選び、記号で答えよ。
- ア 唯
- イ 耳
- ウ 但
- エ 而已
- オ 独
- 限定の表現について、次の問いに答えよ。
- (1) 文頭に置く限定の字を、本文中から二つ抜き出せ。
- (2) 文末に置く限定の字(語)を、本文中から二つ抜き出せ。
- 文末の「耳」「而已」は、もともと二つの語が縮まってできたとされる。「而已」はどのような意味から「〜のみ」の意になったか、簡潔に説明せよ。(記述)
- 「ただ〜だけ」という限定を表すために、文頭の字と文末の字を組み合わせて用いることがある。その効果(意味の上でどうなるか)を一文で説明せよ。(記述)
▼ 解答・解説を見る
問1 ただ/「唯」は「たダ」と読み、「ただ〜だけ」と範囲を限定する。
問2 「ただ〜だけ」という限定。「唯(たダ)〜のみ」で「ただ〜だけが」の意となり、ここでは「仁者だけが」と限る。
問3 ただ仁者のみ能く人を愛す。
問4 ただ仁の心を持つ者だけが、本当に人を愛することができる。
問5 ひとり/「独」は「ひと(リ)」と読み、「ただひとり〜だけ」と限定する。
問6 ただ/「但」も「たダ」と読み、限定を表す。
問7 ただ人語の響くを聞く。
問8 ただ人の話し声が(こだまして)響くのだけが聞こえる。
問9 ただ/「特」も「たダ」と読み、「ただ〜だけ」「ただ〜にすぎない」の意。
問10 文頭の「特(ただ)」が「ただ〜にすぎない」と限り、文末の「耳(のみ)」が「〜だけだ」と念を押すことで、「ただ口先だけのことにすぎない」と限定の意味がいっそう強まる。
問11 のみ/文末の「耳」は「のみ」と読み、「〜だけだ」の意。
問12 これ口腹を養ふのみ。
問13 これはただ腹を満たす(食欲を満たす)だけのことだ。
問14 のみ/「而已矣」も「のみ」と読み、「而已」をさらに強めた言い方。
問15 ただ/「惟」は「唯」と同じく「たダ」と読む。
問16 ただ君のみこれを知る。
問17 いたずらに/「徒」は「いたづ(らに)」と読み、「ただ〜だけ・むなしく〜だけ」の意で限定を表す。
問18 のみ/文末の「而已」は「のみ」と読む。
問19 ただ読むだけだ。(むなしく読んでいるだけだ。)
問20 イ・エ(耳・而已)。「唯・但・独」は文頭で「たダ」と読む限定の字で、文末には置かない。
問21 (1) 唯・独(但・特・惟・徒なども可) (2) 耳・而已(而已矣も可)。
問22 「而已」は「而(しかして)」+「已(やむ・おわる)」で、「そうしてそれで終わりだ=それ以上はない」という意味から、「ただ〜だけだ(〜のみ)」の限定の意になった。
問23 文頭で「たダ」と限り、文末で「のみ」と受けることで、上と下から範囲を挟みこみ、「ただ〜だけだ」という限定の意味を強調する効果がある。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。
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