『大鏡』「鶯宿梅(鶯の宿)」定期テスト対策問題|文法・内容の頻出設問と解答

定期テスト対策

『大鏡』「鶯宿梅」は、村上天皇が枯れた清涼殿の梅の代わりを求めた際、献上された梅の木に付けられた「勅なれば」の歌をめぐる話で、定期テストでは敬語(させ給ふ・侍り)の識別と敬意の方向、和歌の心情、「あはれ」「をかし」「わりなし」などの重要語、天皇が反省した理由(主題)が繰り返し問われます。語り手が夏山繁樹であること(=「侍り」の丁寧語の相手は聞き手)を意識すると敬語問題を落としません。

本文

【一】
いとをかしうあはれに侍りしことは、この天暦の御時に、清涼殿の御前の梅の木の枯れたりしかば、求めさせ給ひしに、なにがし主の蔵人にていますがりし時、承りて、「若き者どもはえ見知らじ。きむぢ求めよ。」とのたまひしかば、一京まかり歩きしかども、侍らざりしに、

【二】
西の京のそこそこなる家に、色濃く咲きたる木の、様体うつくしきがはべりしを、掘り取りしかば、家あるじの、「木にこれ結ひつけて持て参れ。」と言はせ給ひしかば、あるやうこそはとて、持て参りて候ひしを、「なにぞ。」とて御覧じければ、女の手にて書きて侍りける。  勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へむ

【三】
とありけるに、あやしく思し召して、「何者の家ぞ。」と尋ねさせ給ひければ、貫之のぬしの御むすめの住む所なりけり。「遺恨のわざをもしたりけるかな。」とて、あまえおはしましける。繁樹今生の恥はこれや侍りけむ。さるは、「あるまじきことなり。」とて、皆かへし奉りて、その家をば陽成院の斎院にはたてまつられにける、とぞ。

問題

  1. 傍線部の和歌中「勅」の読みをひらがなで答えよ。また意味を答えよ。
  2. 傍線部「をかしう」(もとの形「をかし」)の、この文脈での意味を答えよ。
  3. 傍線部「求めさせ給ひし」を、敬語の種類に注意して現代語訳せよ。「させ給ひ」が何を表すかも説明せよ。
  4. 傍線部「侍り(ける)」は敬語として何にあたるか。敬語の種類と、誰から誰への敬意かを答えよ。
  5. 傍線部の和歌「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へむ」を現代語訳せよ。
  6. 傍線部「遺恨のわざをもしたりけるかな」とは、天皇がどのようなことを「遺恨(残念)」だと思ったのか、和歌の内容をふまえて説明せよ。
  7. 傍線部「あるまじきことなり」とあるが、天皇はこの後どうしたか。本文に即して答えよ。
  8. この「鶯宿梅」の話が伝えようとしている内容(主題)として最も適切なものを説明せよ。

解答・解説

問1の解答

読み=ちょく。意味=天皇の命令(みことのり)。「勅命」の「勅」で、帝じきじきのお言いつけを指す。

問2の解答

趣がある・興味深い(心がひかれる)。冒頭「いとをかしうあはれに侍りしことは」で、繁樹が「たいそう趣深く、しみじみと心打たれましたことは」と語り出す部分。ここでの「あはれ」は「しみじみと感慨深い」の意で、あわせて覚える。

問3の解答

訳=(村上天皇が代わりの梅の木を)お探しになった。「させ給ひ」は尊敬の助動詞「さす」+尊敬の補助動詞「給ふ」が重なった二重敬語(最高敬語)で、天皇など最高位の人物への高い敬意を表す。ここでの敬意の対象は村上天皇。

問4の解答

丁寧語(丁寧の補助動詞)。この話の語り手である夏山繁樹から、話の聞き手(読者・その場の人々)への敬意を表す。冒頭の「侍りし」も同じく繁樹の丁寧語で、地の文の丁寧語は「語り手→聞き手」と押さえる。

問5の解答

帝の御命令なので(差し上げるのは)まことに恐れ多い(ことです、従います)。けれども、(毎年この梅に来る)鶯が「私の宿はどこか」と尋ねたならば、私はどう答えたらよいのでしょうか。梅を手放したくない心を、鶯に託して婉曲に訴えた歌。作者は紀貫之の娘(紀内侍)。

問6の解答

貫之の娘の家の、父の形見ともいえる大切な梅の木を、帝の権力で無理に掘り取らせてしまったこと。歌からその家の風情ある心が伝わり、天皇は「残念なことをしてしまったなあ」と後悔した。

問7の解答

(帝が民の家の梅を取り上げるのは)あってはならないことだとして、梅の木をすべてもとの家にお返しになった。「まじ」は打消当然・不可能などを表す助動詞で、ここは「あってはならない」の意(打消当然)。天皇が自らの非を認めて返した点が要点。

問8の解答

天皇という最高権力者であっても、和歌に込められた人の心・風流(みやび)を解し、非を認めて改める態度こそ立派だということ。あわせて、権力で人の大切なものを奪うべきではないという教訓も含む。村上天皇の徳をたたえる逸話になっている。

👉 本文の現代語訳・語句・文法のくわしい解説は 解説記事 で確認できます。

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