再読文字(さいどくもじ)とは、一つの漢字を文中で二度読む字のことです。一度目は返り点に関係なく上から副詞のように、二度目は返り点に従って下から動詞・助動詞のように読みます。全部で九つ。まず一覧で形と意味をつかんでください。
| 字 | 一度目 | 二度目 | 意味 | はたらき | 例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 未 | いま(ダ) | 〜ず | まだ〜ない | 打消 | 未だ嘗て有らざるなり |
| 将 | まさ(ニ) | 〜(ント)す | 今にも〜しようとする | これからの予定・意志 | 吾将に東して帰らんとす |
| 且 | まさ(ニ) | 〜(ント)す | 今にも〜しようとする | 同上 | 日且に暮れんとす |
| 当 | まさ(ニ) | 〜べシ | 当然〜すべきだ | 当然 | 事当に是くのごとくなるべきなり |
| 応 | まさ(ニ) | 〜べシ | きっと〜だろう | 推量 | 罪人応に罰せらるべし |
| 須 | すべか(ラク) | 〜べシ | ぜひ〜する必要がある | 義務・必要 | 学者須らく志を立つべし |
| 宜 | よろ(シク) | 〜べシ | 〜するのがよい | 適当 | 汝宜しく自ら勉むべし |
| 猶・由 | な(ホ) | 〜ノ/ガごとシ | ちょうど〜のようだ | 比況 | 猶ほ水の下に就くがごときなり |
| 盍 | なん(ゾ) | 〜ざル | どうして〜しないのか | 再読の反語 | 子盍ぞ之を言はざる |
ここが一番出ます。「まさニ」と読む字が四つ(将・且・当・応)あります。読みが同じで意味がちがうので、ここを問う設問が定期テストで最頻出です。
将・且=これからの予定/当=当然/応=推量。
書き下しのきまり。一度目はひらがな、二度目は送り仮名をつけて書きます。二度目を漢字にしてはいけません。(例)未だ多少を知らず。
例文(傍線①〜⑫)
①未(いま)だ嘗(かつ)て有らざるなり
②花の落つること未だ多少を知らず
③吾(われ)将(まさ)に東(ひがし)して帰らんとす
④日且(まさ)に暮れんとす
⑤事当(まさ)に是(か)くのごとくなるべきなり
⑥罪人応(まさ)に罰せらるべし
⑦学者須(すべか)らく志を立つべし
⑧汝(なんぢ)宜(よろ)しく自ら勉むべし
⑨過ちて改めざるは、是れ猶(な)ほ過ち有るがごときなり
⑩民の仁に帰するは、猶ほ水の下に就(つ)くがごときなり
⑪子(し)盍(なん)ぞ之を言はざる
⑫君は由(な)ほ父のごときなり
語注 多少=どれほど。 東す=東へ行く。 仁に帰す=仁徳のある君主のもとに集まる。 就く=流れ下る。 子=あなた(男子への敬称)。
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設問
A 読み
- ①の「未」の読みを、一度目と二度目に分けて答えよ
- ⑦の「須」の読みを、一度目と二度目に分けて答えよ
- ⑨の「猶」の読みを、一度目と二度目に分けて答えよ
- ⑪の「盍」の読みを、一度目と二度目に分けて答えよ
B 意味・はたらき
- ③の「将」と⑤の「当」は、どちらも一度目を「まさニ」と読む。意味のちがいを答えよ
- ⑥の「応」の表す意味を答えよ
- ⑧の「宜」の表す意味を答えよ
- ⑪の「盍」は、意味のうえでどのような言い方になるか
C 書き下し文
- ②「未知多少」の部分を書き下し文に直せ
- ④「日且暮矣」を書き下し文に直せ
- ⑦「学者須立志也」を書き下し文に直せ
- ⑫「君由父也」を書き下し文に直せ
D 口語訳
- ③「吾(われ)将(まさ)に東(ひがし)して帰らんとす」
- ⑤「事当(まさ)に是(か)くのごとくなるべきなり」
- ⑨「過ちて改めざるは、是れ猶(な)ほ過ち有るがごときなり」
- ⑪「子(し)盍(なん)ぞ之を言はざる」
E 見分けと記述
- 再読文字とはどのような字か。読み方の手順にふれて四十字以内で書け。
- 書き下し文にするとき、再読文字の一度目と二度目は、それぞれどう書くか。
- ⑨と⑩は、どちらも「猶ほ〜ごとし」の形である。この形は何を表すか。またその形を答えよ。
F まとめ
- 再読文字を九つ、漢字で書け。
- 「まさニ」と読む再読文字を三つ挙げ、それぞれの意味を書け。
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解答と解説
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A 読み
問1 一度目=いま(ダ)/二度目=〜ず
問2 一度目=すべか(ラク)/二度目=〜べシ
問3 一度目=な(ホ)/二度目=〜ノ(ガ)ごとシ
問4 一度目=なん(ゾ)/二度目=〜ざル
B 意味・はたらき
問5 「将」=今にも〜しようとする(これからの予定)/「当」=当然〜すべきだ(当然)
└ 読みが同じで意味が違う最頻出ペア
問6 きっと〜だろう(推量)
└ 「当」の当然と区別する
問7 〜するのがよい(適当)
問8 反語(どうして〜しないのか=〜すればよい、と勧める)
C 書き下し文
問9 未だ多少を知らず
└ 再読文字は一度目をひらがな、二度目も送り仮名で書く
問10 日且に暮れんとす
問11 学者須らく志を立つべし
問12 君は由ほ父のごときなり
└ 「由」は「猶」と同じはたらき
D 口語訳
問13 私は今にも東へ行って帰ろうとしている。
問14 物事は当然このようであるべきなのだ。
問15 あやまちを犯して改めないのは、ちょうどあやまちがあるのと同じようなものだ。
問16 あなたはどうしてこれを言わないのか(=言えばよいではないか)。
E 見分けと記述
問17 一つの字を、一度目は上から副詞として、二度目は返り点に従って下から動詞・助動詞として読む字。(四十四字→短縮可)
問18 一度目はひらがなで書き、二度目は送り仮名をつけて書く。二度目は漢字にしない。
問19 比況(ちょうど〜のようだ)。「猶ほ〜ノ(ガ)ごとシ」の形。
F まとめ
問20 未・将・且・当・応・須・宜・猶(由)・盍
問21 将=今にも〜しようとする/且=同じ/当=当然〜すべきだ/応=きっと〜だろう(四つのうち三つ書けばよい)
【テスト直前チェック】この三つ
❶「まさニ」の四字=将・且(これからの予定)/当(当然)/応(推量)。
❷書き下しは一度目ひらがな・二度目送り仮名。二度目を漢字にしない。
❸猶/由は同じはたらき(比況)。「〜ノ(ガ)ごとシ」で受ける。
現代語訳(全文)
①まだかつて(そんなことは)なかったのである。/②花が散ったことがどれほどかまだ分からない。/③私は今にも東へ行って帰ろうとしている。/④日が今にも暮れようとしている。/⑤物事は当然このようであるべきなのだ。/⑥罪人はきっと罰せられるだろう。/⑦学ぶ者はぜひとも志を立てる必要がある。/⑧おまえは自分から努力するのがよい。/⑨あやまちを犯して改めないのは、これはちょうどあやまちがあるのと同じようなものだ。/⑩民が仁徳のある君主のもとに集まるのは、ちょうど水が低いほうへ流れ下るのと同じだ。/⑪あなたはどうしてこれを言わないのか(=言えばよいではないか)。/⑫君主はちょうど父のようなものである。
※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。
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