漢文句法「否定」確認テスト(不・無・非・莫)|定期テスト対策|誰でも古典塾

否定(漢文句法) 確認テスト|定期テスト対策 定期テスト対策

漢文の「否定」には、いくつかの種類があります。「不(弗)」は動詞・形容詞を打ち消して「〜ず」と読む基本の否定です。「無(莫)」は「〜なシ」と読んで存在しないことを表し、「莫」「勿」は「〜なかれ」と読むと禁止の意味になります。「非(匪)」は「〜にあらズ」と読み、「Aは〜ではない」と判断そのものを打ち消します。「未」は「いまダ〜ず」と読む再読文字で、「まだ〜していない」という意味です。同じ「〜ない」でも、何を打ち消しているかによって読みも意味も変わります。次の各例文について、後の問いに答えよ。

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本文

※例文は学習用です。
① 弗。/慮らずんば胡ぞ獲ん。
② 天ツノ。/天に二つの日は無し。
③ 己、勿カレスコト於人。/己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ。
④ 過テバカレルコトムルニ。/過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。
⑤ 莫カレフルコト前路キヲ。/前路に己を知る無きを愁ふること莫かれ。
⑥ 我マレナガラニシテ。/我は生まれながらにして之を知る者に非ず。
⑦ 学ビテ而時、未ンバアラ。/学びて時に之を習ふ、未だ嘗て説ばずんばあらず。
⑧ 未、焉クンゾラン。/未だ生を知らず、焉くんぞ死を知らん。
⑨ 過チテ而不、是。/過ちて改めざる、是を過ちと謂ふ。
⑩ 知。/之を知る者は之を好む者に如かず。
⑪ 国ナル。/国に人無きこと莫し。
⑫ 子、安クンゾラン。/子は我に非ず、安くんぞ我を知らん。
⑬ 朝カバ、夕スルモナリ。/朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。

設問

  1. ①の「弗」の読みと意味を答えよ。「不」との関係にも触れること。
  2. ②の「無」の読みを、送り仮名も含めてひらがなで答えよ。
  3. ③の「勿」の読みを答えよ。また、ここでの「勿」が表す意味(用法)を答えよ。
  4. 次の傍線部の読みとして正しいものを後から選び、記号で答えよ。
    「過テバカレルコトムルニ」(④)の「勿」
    • ア なシ イ なかれ ウ あらズ エ いまダ〜ず
  5. ⑤の「莫」の読みを答えよ。また、この「莫」は禁止か、存在の否定か、いずれであるか答えよ。
  6. 「非」が打ち消しているのは、動作・状態か、それとも判断(断定)か。⑥を例に簡潔に説明せよ。
  7. ⑦「未だ嘗て説ばずんばあらず」は、否定の語が二つ重なっている。これは結局どのような意味になるか、現代語で答えよ。
  8. 「未」が再読文字であるとはどういうことか。⑧を例に、二度目にどう読むかも含めて説明せよ。
  9. ⑧「未だ生を知らず、焉くんぞ死を知らん」を現代語訳せよ。
  10. 傍線部「不」(⑨⑩)の読みを、送り仮名も含めてひらがなで答えよ。
  11. ②の「無」と①の「弗」とでは、打ち消している内容がどう違うか、簡潔に説明せよ。
  12. ④の「勿」も③と同じ用法である。この用法を漢字二字で何と呼ぶか答えよ。
  13. ②の「無」、⑪の「莫」、③の「勿」のうち、「禁止」を表しているものをすべて選び、番号で答えよ。
  14. ⑫・⑥の「非」の読みを、送り仮名も含めてひらがなで答えよ。
  15. ⑦・⑧の「未」の読みを、送り仮名も含めてひらがなで答えよ。
  16. 次の各句を書き下し文に直せ。
    • (1) 過チテ而不。(⑨前半)
    • (2) 天ツノ。(②)
    • (3) 未。(⑧前半)
  17. 次の各句を現代語訳せよ。
    • (1) 己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ。(③)
    • (2) 子は我に非ず。(⑫前半)
    • (3) 未だ生を知らず。(⑧前半)
  18. 「莫」には二つの用法がある。⑪と⑤を比べ、それぞれの「莫」の用法(意味)の違いを説明せよ。
  19. 「非」を用いて「これは私の物ではない」という意味の漢文を作るとき、「我が物」を打ち消すにはどの否定語が最も適切か。「不・無・非・未」から選び、その理由を簡潔に述べよ。
  20. 「不」「無(存在の否定)」「非」「未」について、それぞれ「何を打ち消す否定か」を一語ずつで整理して説明せよ。(記述)
  21. 「莫」「勿」が「〜なかれ」と読まれて禁止を表すとき、相手にどのような気持ちを伝える表現になるか。具体例を一つ挙げながら、四十字程度で説明せよ。(記述)
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問1 読み…「ず(慮らずんば)」。意味…「〜しない」。「弗」は「不」とほぼ同じ意味・働きで、動詞・形容詞を打ち消して「〜ず」と読む否定語。「不」の異体・強調的な用法と考えてよい。

問2 「なし(無し)」。「天に二つの日は無し」と読み、存在しないことを表す。

問3 読み…「なかれ(施すこと勿かれ)」。用法…禁止(「〜してはならない」と相手の行為を禁じる)。

問4 イ(なかれ)。「勿」は「なかれ」と読み、「改むるに憚ること勿かれ(改めることをためらってはならない)」と禁止を表す。

問5 読み…「なかれ(愁ふること莫かれ)」。⑤の文頭の「莫」は「なかれ」と読み、相手の行為を差し止める禁止を表す。したがって、存在の否定ではなく禁止である。

問6 「非」は判断(断定)を打ち消す。⑥「我は生まれながらにして之を知る者に非ず」は、「私は(生まれつき物事を知っている者)ではない」と、「Aは〜である」という判断を丸ごと否定している。動作や状態を打ち消す「不」とは異なる。

問7 「(これまで)喜ばないことはなかった」=「いつも必ず喜んだ」という意味。否定が二つ重なり(二重否定)、結局は強い肯定を表す。

問8 再読文字とは、一つの字を二度読む字のこと。「未」はまず副詞として「いまダ」と読み、返って動詞を読んだあと、もう一度「ず(打ち消し)」と読む。⑧では「未だ生を知らず」と、「未」を「いまダ」と「ず」の二度に分けて読み、「まだ生(生きること)を知らない」の意となる。

問9 まだ生(生きるということ)さえもわかっていない。どうして死(死ぬということ)がわかろうか、いや、わかるはずがない。

問10 ⑨「あらためず」(不改=改めず)/⑩「しかず」(不如=如かず)。いずれも「不」は下の動詞を打ち消して「〜ず」と読む基本の否定。

問11 「弗(不)」は動作・状態(「慮る」という動詞)を打ち消して「〜しない」を表す。これに対し「無」は物事の存在そのものを打ち消して「(…が)無い・存在しない」を表す。打ち消す対象が、前者は動作、後者は存在である点が異なる。

問12 禁止。

問13 ③。(②の「無」は存在の否定、⑪の「莫」は「人無きこと莫し」で二重否定の存在の否定であり、禁止を表すのは③の「勿」のみ。なお④の「勿」、⑤の「莫」も禁止だが、本問は②⑪③の三つから選ぶため答えは③。)

問14 ⑫「あらず(我に非ず)」/⑥「あらず(知る者に非ず)」。「非」は「〜にあらず」と読む。

問15 ⑦「いまだ(未だ嘗て説ばず…)」/⑧「いまだ(未だ生を知らず)」。「未」は「いまダ〜ず」と読む。

問16 (1) 過ちて改めず。 (2) 天に二つの日は無し。 (3) 未だ生を知らず。

問17 (1) 自分が(人から)されたくないことは、人に対してしてはならない。 (2) あなたは私ではない。 (3) まだ生(生きるということ)を知らない。

問18 ⑪の「莫」は「人無きこと莫し」で、「(国に)人材がいないということはない=必ず人材はいる」と、存在の否定を重ねた二重否定(強い肯定)として使われている。一方⑤の「莫」は「愁ふること莫かれ」で、「思い悩むな」と相手の行為を禁じる禁止の用法である。同じ「莫」でも、前者は存在の否定、後者は禁止という違いがある。

問19 非。「我が物(である)」という判断・断定を打ち消すのが「非(〜にあらず)」だから。「不」は動作、「無」は存在、「未」は「まだ〜していない」を打ち消すため、「これは私の物ではない」という断定の否定にはふさわしくない。

問20 ・「不(弗)」…動作・状態を打ち消す否定(〜しない)。 ・「無」(存在の否定)…物事の存在を打ち消す否定(〜が無い)。 ・「非」…判断・断定を打ち消す否定(〜ではない)。 ・「未」…ある時点でまだ実現していないことを表す否定(まだ〜していない)。

問21 (例)「勿かれ・莫かれ」は、相手の行為を「するな・してはならない」と差し止め、戒めや忠告の気持ちを伝える表現になる。例えば③「人に施すこと勿かれ」は、相手にその行為を禁じ、戒める意を表している。(約四十字)

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。

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