李白の七言絶句『早発白帝城(早に白帝城を発す)』は、高校漢文の漢詩分野で頻出の名作です。流罪の途中で恩赦の知らせを受けた李白が、長江を一気に下って帰る喜びとスピード感を描いています。形式・押韻・現代語訳・句法は定期テストでねらわれやすいポイントです。このページでは、テストで問われやすい設問を集めたオリジナルの定期テスト対策問題を用意しました。まずは本文をよく読み、自分の力で解いてみましょう。
作品そのものをやさしく学び直したい人は、先に 李白『早発白帝城』のやさしい解説 を読んでから取り組むと、いっそう理解が深まります。
本文
(書き下し文)
朝(あした)に辞す 白帝 彩雲の間
千里の江陵 一日にして還る
両岸の猿声 啼きて住(や)まざるに
軽舟 已(すで)に過ぐ 万重の山
※本文中の傍線①〜⑦は、下の設問で問われている箇所を示しています。
設問
- この詩の形式を、漢字四字で答えなさい。
- この詩の作者である李白は、後世から何と呼ばれているか。次から選びなさい。
- ア 詩聖
- イ 詩仙
- ウ 詩仏
- エ 詩鬼
- この詩で押韻している漢字を、本文中からすべて抜き出しなさい。
- 設問3で抜き出した字に共通する韻(母音のひびき)を、ローマ字で答えなさい。
- 第一句「朝辭白帝彩雲間」を現代語訳しなさい。
- 傍線①「彩雲」とはどのような雲か。簡潔に説明しなさい。
- 第二句「千里江陵一日還」を現代語訳しなさい。
- 傍線③「還る」とは、ここではどうすることか。説明しなさい。
- 傍線部②の「江陵」は、白帝城から見てどのような場所にあるか。次から選びなさい。
- ア はるか遠く(千里)の、長江の下流にある町
- イ 白帝城のすぐ隣にある小さな村
- ウ 長江の上流にある、李白の故郷
- エ 都の長安のすぐ近くにある町
- 第三句「兩岸猿聲啼不住」を現代語訳しなさい。
- 傍線④「猿聲」は、どこを通るときに聞こえる声か。地名を入れて説明しなさい。
- 傍線⑤「不住」の読みと意味を答えなさい。
- 第四句「輕舟已過萬重山」を現代語訳しなさい。
- 傍線⑥「已」の読みと意味(用法)を答えなさい。
- 傍線⑦「萬重山」とはどのような山々のことか。説明しなさい。
- 第二句にある「千里」と「一日」は、何と何を対比させた表現か。また、その対比によって何を強調しているか説明しなさい。
- 第三句と第四句は、どのような関係でつながっているか。次から最も適切なものを選びなさい。
- ア 猿の声を聞いてゆっくり休んでいるうちに、舟が止まってしまった
- イ 両岸の猿の声がまだ鳴きやまないうちに、舟はもう幾重もの山々を通り過ぎていた
- ウ 猿の声があまりにうるさいので、舟をいそいで進めた
- エ 山々が高くそびえているので、舟がなかなか進まなかった
- この詩全体に共通して流れている感情として最も適切なものを、次から選びなさい。
- ア 故郷を離れる深いさびしさ
- イ 自由を取り戻して帰る、晴れやかな喜び
- ウ 戦乱の世をなげく悲しみ
- エ 老いて旅を続けるつらさ
- この詩には、舟が進む「速さ」を感じさせる表現が多くある。速さを感じさせる語句を、本文中から二つ以上抜き出しなさい。
- 李白がこの詩をよんだとき、彼はどのような状況に置かれていたか。「流罪」「恩赦」という二つの語を必ず使って、四十字以内で説明しなさい。
- この詩の主題(テーマ)を、十五字以内で簡潔に書きなさい。
- 七言絶句では、ふつう第何句と第何句の末で押韻するか。原則を答えなさい(起首の句で韻をふむ場合も含めて説明しなさい)。
▼ 解答・解説を見る(まず自分で解いてから)
問1 七言絶句
(一句が七字、全四句で構成される漢詩。だから「七言絶句」。)
問2 イ(詩仙)
(李白は奔放で雄大な作風から「詩仙」と呼ばれる。なお「詩聖」は杜甫を指す。)
問3 間・還・山
(第一句末「間」、第二句末「還」、第四句末「山」。第三句末「住」は韻をふんでいない。)
問4 -an(アンの音)
(間(kan)・還(kan)・山(san)が、いずれも「アン」のひびきでそろっている。)
問5 朝、朝焼けの雲がたなびく中、白帝城に別れを告げて(出発する)。
(「辭す」は別れを告げる・出発するの意。「彩雲の間」は朝日に輝く雲のあいだ。)
問6 朝日に照らされて、色とりどりに美しく輝く雲。
(「彩」は色あざやかなようす。明るく晴れやかな出発の情景を表す。)
問7 千里も離れた(遠くの)江陵まで、わずか一日で帰り着く。
(流れの速い長江を、舟が一気に下っていくさまを表す。)
問8 舟で長江を一気に下って、目的地の江陵まで帰り着くこと。
(「還る」はもとの場所・行こうとする土地へ帰ることを指す。)
問9 ア(はるか遠く(千里)の、長江の下流にある町)
(江陵は今の湖北省にあたる下流の町。白帝城(上流)から千里も離れている。)
問10 両岸の猿の鳴き声が、まだ鳴きやまないうちに。
(「住(や)まず」は止まらない・やまないの意。次の句へと続いていく。)
問11 長江三峡(さんきょう)を通るときに、両岸から聞こえる猿の鳴き声。
(三峡は切り立った峡谷で、古来、猿の声で知られた難所。)
問12 読み…(やま)ず 意味…(鳴き)やまない・止まらない
(「不」は打ち消し(否定)を表す。「住」をここでは「やむ」と読む。)
問13 軽やかな舟は、もう幾重にも重なる山々を通り過ぎてしまった。
(「軽舟」は軽やかに進む舟。舟の速さを印象づける結びの句。)
問14 読み…すで(に) 意味(用法)…「もう・すっかり〜してしまった」と完了を表す。
(「已(すで)に過ぐ」で、いつのまにか通り過ぎていた、という完了の意を示す。)
問15 幾重にも重なって続いていく、多くの山々。
(「万重」は数えきれないほど重なるようす。三峡の険しい山々を指す。)
問16 「千里」という長い距離と、「一日」という短い時間とを対比させている。遠い道のりをごく短い時間で下る、舟の速さ(と帰る喜びのはずむ気持ち)を強調している。
(数の対比によって、スピード感を際立たせる工夫。)
問17 イ(両岸の猿の声がまだ鳴きやまないうちに、舟はもう幾重もの山々を通り過ぎていた)
(第三句「啼いて住まざるに」と第四句「已に過ぐ」が呼応し、声がやむ間もない速さを表す。)
問18 イ(自由を取り戻して帰る、晴れやかな喜び)
(表面は川下りの風景だが、行間に解放された喜びがこめられている。)
問19 (例)一日・軽舟・已過 など。
(「一日(にして還る)」「軽舟」「已に過ぐ」などが、舟の速さを感じさせる。)
問20 (例)夜郎への流罪の途中で恩赦の知らせを受け、自由になって帰る途上にあった。(37字)
(流罪→恩赦という展開を必ず入れる。喜びの背景を説明できればよい。)
問21 (例)恩赦を受けて帰る喜びとスピード感。(17字)/(例)自由を取り戻した解放感。
(指定字数に収まり、喜び・速さのどちらかが書けていれば可。)
問22 原則として、第二句と第四句の末で押韻する。起首の句(第一句)でも韻をふむことが多く、その場合は第一・二・四句の末で押韻する。
(この詩は第一句「間」・第二句「還」・第四句「山」で韻をふむ形。)
※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は中国古典の原文(著作権の対象外)を用いています。
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