枕草子『香炉峰の雪』定期テスト対策問題|敬語・漢詩・機知の頻出設問と解答

香炉峰の雪|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

『枕草子』の中でも屈指の名場面として知られるのが、この「香炉峰の雪」の段です。中宮定子が「少納言よ、香炉峰の雪はどうかしら」と問いかけると、清少納言は言葉で答えるのではなく、さっと御簾(みす)を高く巻き上げてみせました。これは中国・唐の詩人、白居易(はくきょい)の漢詩「香炉峰の雪は簾(すだれ)を撥(かか)げて看(み)る」を踏まえた、機知(ウィット)に富んだ応答です。漢詩の教養と、それを場面に応じて即座に行動で示す清少納言の才知が、定期テストでもくり返し問われます。まずは本文を読んで設問に答え、最後の解答・解説で確認してみましょう。あらすじから確認したい人は、枕草子のやさしい解説(あらすじ)もあわせて読んでみてください。

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本文

雪のいと〔①〕高う降りたるを、例ならず〔②〕御格子(みかうし)まゐりて、炭櫃(すびつ)に火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、「少納言よ。香炉峰(かうろほう)の雪いかならむ〔③〕」と仰せらるれ〔④〕ば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ〔⑤〕。人々も「さる事は知り、歌などにさへうたへど、思ひこそよらざりつれ〔⑥〕。なほこの宮の人にはさべきなめり」と言ふ。

設問

  1. 傍線部①「いと」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
    ア たいして イ たいへん(非常に) ウ ときどき エ かえって
  2. 傍線部②「例ならず」を現代語訳しなさい。
  3. 傍線部②「例ならず」の「なら」「ず」を、それぞれ文法的に説明しなさい(助動詞の種類と活用形)。
  4. 本文中の「御格子(みかうし)まゐりて」の「まゐり」は、ここではどのような意味・用法か。最も適切なものを次から選びなさい。
    ア 参上する(謙譲語) イ 差し上げる(謙譲語) ウ (御格子を)お下ろしする エ 召し上がる
  5. 本文中の「あつまりさぶらふ」の「さぶらふ」は、ここではどのような敬語か。種類を答え、誰への敬意かを説明しなさい。
  6. 傍線部③「いかならむ」を、文法的な構成(語の品詞)にふれながら現代語訳しなさい。
  7. 傍線部③「いかならむ」の「む」の文法的意味を答えなさい。
  8. 傍線部④「仰せらるれ」について、次の問いに答えなさい。
    • 「仰す」はどのような敬語か。種類(尊敬・謙譲・丁寧のいずれか)を答えなさい。
    • 「仰す」は、誰から誰への敬意を表しているか答えなさい。
    • 助動詞「らる」の文法的意味(ここでの解釈)を答えなさい。
    • 「仰せらるれ」が已然形になっているのはなぜか。直後の語に着目して答えなさい。
  9. 傍線部⑤「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」について、次の問いに答えなさい。
    • 「笑はせたまふ」の「せ」「たまふ」を、それぞれ文法的に説明しなさい。
    • 「笑はせたまふ」は何という敬語法か。漢字で答えなさい(ヒント:尊敬語を二つ重ねた言い方)。
    • 「笑はせたまふ」は誰への敬意を表しているか。また、その主語にあたる人物は誰か答えなさい。
    • 清少納言はなぜ御簾を上げたのか。白居易(はくきょい)の漢詩を踏まえて説明しなさい。
    • この場面における清少納言の応答は、どのような点で「機知(ウィット)に富む」と評価されるのか、簡潔に説明しなさい。
  10. 本文中の「御格子上げさせて」の「させ」の文法的意味を答えなさい。傍線部⑤「笑はせたまふ」の「せ」との違いにふれること。
  11. 本文中の「歌などにさへうたへど」の「さへ」の意味として最も適切なものを次から選びなさい。
    ア 〜だけ イ 〜さえ(〜までも) ウ 〜ばかり エ 〜のみ
  12. 傍線部⑥「よらざりつれ」を単語に分け、それぞれの品詞・文法的意味を答えなさい。
  13. 傍線部⑥をふくむ「思ひこそよらざりつれ」には、ある文法上のきまりが用いられている。その名称と、結びの語の活用形を答えなさい。
  14. 傍線部⑥「よらざりつれ」を現代語訳しなさい。
  15. 波線部「さべきなめり」とは、ここではどのような意味か。最も適切なものを選びなさい。
    ア そうあってはならないようだ イ (女房として)そうあるべき人のようだ ウ そうであるはずがないようだ エ そうであるのが珍しいようだ
  16. 「さべきなめり」は、「さるべきなるめり」が変化した形である。どのような音の変化が起きているか、簡潔に説明しなさい。
  17. この場面で「人々(女房たち)」が清少納言に対して抱いた気持ちとして、最も適切なものを次から選びなさい。
    ア あつかましいとあきれる気持ち イ ふるまいを非難する気持ち ウ 才知に感心しほめたたえる気持ち エ 漢詩を知らないことを恥じる気持ち
  18. 【文学史】この作品『枕草子』について、次の問いに答えなさい。
    • 作者名を漢字で答えなさい。
    • ジャンル(文学の種類)を答えなさい。
    • 作者が仕えた中宮(皇后)の名を漢字で答えなさい。
    • 成立した時代を答えなさい。
  19. 【文学史】『枕草子』の作風や美意識を表す言葉として最もふさわしいものを次から選びなさい。
    ア あはれ イ をかし ウ わび エ さび
  20. 【文学史】『枕草子』の作者と、しばしば対比される『源氏物語』の作者は誰か。漢字で答えなさい。また、その作者が仕えた中宮の名も答えなさい。
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問1 イ(たいへん・非常に)。「いと」は程度のはなはだしさを表す副詞で、「とても・非常に」の意味。ここは「雪がとても高く(深く)降り積もっている」となる。なお打消の語をともなう「いと〜ず」は「たいして〜ない」となるが、ここは打消がないので「非常に」でよい。

問2 いつもと違って/ふだんと違って。雪が深いので、いつもは昼間に下ろさない御格子(しとみど)を、めずらしく下ろしている状況を表す。

問3 「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形。「ず」は打消の助動詞「ず」の連用形。「例」は「いつものこと・通例」の意の名詞で、「例ならず」で「いつもの通りではない=いつもと違って」となる。

問4 ウ(御格子をお下ろしする)。「まゐる」は本来「参上する・差し上げる」という謙譲語だが、ここは「御格子まゐる」で「御格子をお下ろしする(お上げする)」という特別な使い方。雪が深いので、いつもは下ろさない昼間に御格子を下ろしている、という前後の文脈(「例ならず」)に合う。

問5 種類…丁寧語(または謙譲語)の「さぶらふ(候ふ)」。「あつまりさぶらふ」で「(女房たちが定子のおそばに)集まってお仕えしている・控えている」の意。中宮定子への敬意を表す(作者から定子へ)。*「さぶらふ」は貴人のそばに「お控えする」謙譲の用法で、ここでは定子への敬意とおさえておけばよい。

問6 「どうであろうか(どんなふうだろうか)」。「いか」は状態をたずねる語、「なら」は断定の助動詞「なり」の未然形、「む」は推量(または婉曲)の助動詞。中宮定子が「香炉峰の雪は今ごろどうなっているでしょうね」と問いかけている。

問7 推量の助動詞(「〜だろう」)。ここは定子が雪の様子を想像してたずねる場面なので推量でとるのが自然。なお、やわらかく言いさす婉曲(「〜のような」)と見る立場もある。

問8

問9

問10 「させ」は使役の助動詞「さす」の連用形で、「(人に)〜させる」の意。清少納言が(女房や女童に命じて)御格子を上げさせたことを表す。一方、問9の「笑はせたまふ」の「せ」は尊敬(二重敬語の一部)で、定子への敬意を表すものであり、意味が異なる。同じ「す・さす」でも、文脈によって使役か尊敬かを見分けることが大切。

問11 イ(〜さえ・〜までも)。「さへ」は添加(そのうえに〜までも)を表す副助詞。「歌などにさへうたへど」で「(その故事は)歌などにまで詠まれているのに」の意。*現代語の「さえ」と意味がずれる点に注意(古語「さへ」=添加、限定の「だけ」ではない)。

問12 「よら/ざり/つれ」。「よら」は動詞「よる(寄る)」の未然形(ここでは「思ひよる=思いつく」の一部)、「ざり」は打消の助動詞「ず」の連用形、「つれ」は完了(確述)の助動詞「つ」の已然形。

問13 名称…係り結び(の法則)。直前の係助詞「こそ」を受けて、文末(結び)が已然形になっている(「つれ」は完了「つ」の已然形)。

問14 「(御簾を上げて漢詩を表すなどとは)思いつきもしなかった」。女房たちが、自分にはそのような機転は思いつけなかった、と感心して言う言葉。

問15 イ((女房として)そうあるべき人のようだ)。「さべき」は「さるべき」が縮まった形で「そうあって当然だ・ふさわしい」、「なめり」は「なるめり」が縮まった形で「〜であるようだ」。女房たちが「やはりこの(定子様の)御所にお仕えする女房は、こうでなくては(=これほど機転がきく人でなくては)いけないようだ」と清少納言をほめている場面。

問16 「さるべきなるめり」→「さべきなめり」。語中の「る」が発音されなくなる変化が起きている。「さるき」→「さべき」、「なめり」→「なめり」のように、「る」が落ちて表記の上でも省かれている(「なるめり」→「なんめり」と撥音便になり、その撥音「ん」が無表記になって「なめり」となった形)。

問17 ウ(才知に感心しほめたたえる気持ち)。女房たちは「やはりこの宮(定子様)にお仕えする女房は、これくらい機転がきく人でなくては」と、清少納言の当意即妙のふるまいをほめている。

問18

問19 イ(をかし)。『枕草子』は明るく知的に物事の趣を捉える「をかし」の文学と呼ばれる。これに対し、『源氏物語』はしみじみとした情趣「あはれ(もののあはれ)」の文学とされる。

問20 作者…紫式部(むらさきしきぶ)。仕えた中宮…(中宮)彰子(しょうし)。*清少納言が仕えた定子と、紫式部が仕えた彰子を取り違えないように注意。『枕草子』=清少納言=定子=をかし、『源氏物語』=紫式部=彰子=あはれ、とセットで覚えるとよい。

※この問題はオリジナル作成です(教科書・市販問題集の転載ではありません)。本文は古典原文(著作権の対象外)を用いています。

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