古文 敬意の方向 100題ドリル|無料PDFと解答付き

古文「敬意の方向」識別ドリル アイキャッチ 古文ドリル

「誰から誰への敬意か」を100問で完全理解

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A4・問題用は解答スペース付き/解答用は答えと解説

📖 先に理屈を固めたい人へ:「敬意の方向」解説 を読んでから解くと正答率が上がります。

このドリルでわかること

はじめに:敬意の方向とは

古文の敬語問題で 最頻出 なのが「敬意の方向」。

「誰から誰への敬意か」を問う問題。

敬語の種類 敬意の方向
尊敬語 動作主 を敬う
謙譲語 動作の受け手 を敬う
丁寧語 聞き手・読み手 を敬う

「誰から」の判別

地の文(地の文章)

  • 敬意の発信者 = 作者

会話文

  • 敬意の発信者 = 話し手(その会話をしている人物)

心内文(心の中の独白)

  • 敬意の発信者 = 心内で思っている人物

手紙文

  • 敬意の発信者 = 手紙の書き手

「誰へ」の判別

尊敬語

  • 動作主(その動作をしている人)への敬意

謙譲語

  • 動作の受け手(その動作を受ける人。「参る」なら行き先、「まかる」なら退出してくる所の主、「賜はる」ならくださる人)への敬意

丁寧語

  • 聞き手(会話の相手) or 読み手(地の文・手紙文の場合)

識別の鉄則

  1. 地の文 or 会話文 or 心内文 をまず確認
  2. 敬語の 種類(尊敬/謙譲/丁寧)を判定
  3. 「誰から」「誰へ」を 動作の構造 で特定

二重敬語

二重敬語(せたまふ・させたまふ・しめたまふ・仰せらる など)は 最高敬意。 地の文では、天皇・皇族・摂関級など、最上位の人物への敬意を示す(会話文では、それより下の人にも使う)。 方向の構造は通常の尊敬と同じ(地の文=作者→動作主)。 ただし「せ・させ」は使役のこともある(「女房に御簾を上げさせたまふ」のように、させる相手がいるとき)。使役でも「たまふ」は尊敬なので、「たまふ」の敬意の方向は変わらない。


敬意の方向の典型パターン

場面 発信者 敬語種類 受け手
地の文・尊敬 作者 尊敬 動作主
地の文・謙譲 作者 謙譲 動作の受け手
会話文・尊敬 話し手 尊敬 動作主
会話文・謙譲 話し手 謙譲 動作の受け手
会話文・丁寧 話し手 丁寧 聞き手
地の文・丁寧(日記等) 作者 丁寧 読み手

上の「識別の鉄則」が基本の考え方。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。

コツ① 「から」は 会話文か地の文か で2択即決

カッコ「 」の中なら 話し手 、カッコの外なら 作者 。これだけで「誰から」の多くは決まる。 – 地の文 → 作者から – 会話文「 」 → 話し手から – 会話の中の会話『 』 → その言葉を言った(思った)人から。ほかの人の言葉なら外側の話し手ではない。話し手が自分の言葉や思いを引くときは話し手から – 心内文(〜と思ふ) → 思っている人から – 手紙文 → 書き手から

コツ② 「へ」は 敬語の種類で公式化

  • 尊敬 → 動作主へ
  • 謙譲 → 動作の受け手へ
  • 丁寧 → 聞き手(会話文)/読み手(地の文・手紙文)へ

種類さえ決まれば「誰へ」は公式に当てはめるだけ。

コツ③ 「給ふ」の活用で「誰へ」の対象が変わる

  • 四段「給ふ」(尊敬)→ 動作主へ
  • 下二段「給ふ」(謙譲)→ 聞き手・読み手へ(会話文・手紙文で、話し手自身の「思ふ・見る・聞く・知る」に付く)

例:会話文中の「思ひ給へ」(下二段)→ 話し手から 聞き手 への敬意(謙譲)

コツ④ 二重敬語の方向は通常の尊敬と同じ

「せたまふ/させたまふ/しめたまふ」を見ても、 方向の構造は普通の尊敬と同じ 。 地の文なら「作者→動作主」、会話文なら「話し手→動作主」。最高敬意のニュアンスは方向問題では問われない。

試験本番でのチェック順序

  1. その敬語が 地の文/会話文/心内文/手紙文 のどこにあるかを確認 →「誰から」決定
  2. 敬語の 種類(尊敬/謙譲/丁寧)を判定
  3. 種類に応じた公式(尊敬=動作主、謙譲=受け手、丁寧=聞き手/読み手)で「誰へ」決定
  4. 「給ふ」は 活用 をチェックして種類を間違えない

→ この順番で 迷わず 答えが出ます。

よくある引っかけ

  • 会話文中の敬語を「作者から」と答える → 会話文は 話し手から
  • 謙譲を尊敬と取り違えて方向を間違える → 種類の判別が先
  • 丁寧語の対象を動作主と答える → 丁寧は 聞き手・読み手 へ
  • 心内文の敬語を作者からと誤答 → 心内の主体(その登場人物)から
  • 『 』の中の敬語を、いつも外側の話し手からと答える → 『 』の中は その言葉を言った(思った)人 から
  • 「まかる」(退出する)を行き先への敬意と答える → 退出してくる所の主 への敬意

🎯 解き方のコツ(時短テクニック)

問題(Q1〜Q100)

ここから100問を表示します。スマホでも解けるよう、答えと解説は各問の直下に表示しています。「解答が見えると解いた気にならない」という方は、上のPDFをダウンロードして印刷で解いてください。

【第1部】基礎編(Q1〜Q20)

地の文・会話文の基本パターン。


Q1.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御文書かせたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:地の文の尊敬二重敬語。動作主の帝を作者が敬う。


Q2.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大臣、御文を奉る。

答え:作者 → 御文の受け手(高貴な人) 解説:地の文の謙譲語。動作の受け手(御文を差し上げる相手)を作者が敬う。


Q3.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「これは尊く侍り」

答え:話し手 → 聞き手 解説:会話の丁寧語。話し手が聞き手を敬う。


Q4.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御覧ず。

答え:作者 → 中宮 解説:尊敬語。動作主の中宮を、作者が敬う。


Q5.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「我れ、御文を奉り侍り」

答え:「奉り」話し手 → 御文の受け手(高貴な人)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「奉る」(謙譲)→受け手、「侍り」(丁寧)→聞き手。一つの文で、受け手と聞き手の両方を敬う(同じ人のこともある)。


Q6.敬意の方向を答えよ。

(地の文)法皇、鳥羽殿へおはす。

答え:作者 → 法皇 解説:「おはす」は「行く・来」の尊敬語(いらっしゃる)。動作主の法皇を作者が敬う。


Q7.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「君に仕うまつり侍り」

答え:「仕うまつり」話し手 → 君(動作の受け手)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「仕うまつる」(謙譲)→受け手「君」、「侍り」(丁寧)→聞き手。


Q8.敬意の方向を答えよ。

(地の文)上、夜もすがら嘆かせたまふ。

答え:作者 → 上 解説:二重敬語(尊敬「す」+尊敬「たまふ」)。動作主の上(天皇)を作者が敬う。


Q9.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「いま参り候ふ」

答え:「参り」話し手 → 行き先の高貴な人/「候ふ」話し手 → 聞き手 解説:「参る」(謙譲)→行き先、「候ふ」(丁寧)→聞き手。


Q10.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御簾を上げさせたまふ。

答え:作者 → 中宮 解説:「させたまふ」は尊敬「さす」+尊敬「たまふ」の二重敬語とみて、作者が中宮を敬う。「させ」を女房に上げさせる使役と読んでも、「たまふ」は尊敬なので答えは同じ「作者 → 中宮」。


Q11.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大納言、御前に候ふ。

答え:作者 → 御前の高貴な人 解説:「候ふ」謙譲。お仕えする対象(御前にいる高貴な方)を敬う。


Q12.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「我れも参らんと申し侍り」

答え:「申し」話し手 → 申し上げる相手/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「申す」(謙譲)→受け手、「侍り」(丁寧)→聞き手。


Q13.敬意の方向を答えよ。

(地の文)君、いと美しき御姿におはす。

答え:作者 → 君 解説:「おはす」(尊敬・存在)。動作(存在)主体を敬う。


Q14.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「いと尊く思しめし侍り」

答え:「思しめし」話し手 → 思いの主(高貴な人)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「思しめす」(尊敬)→動作主、「侍り」(丁寧)→聞き手。


Q15.敬意の方向を答えよ。

(地の文)僧、御物を賜はる。

答え:作者 → 御物の与え手(高貴な人) 解説:「賜はる(給はる)」は謙譲語で「いただく・頂戴する」の意。動作の出発点(物を与えてくれる高貴な人)を敬う。


Q16.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御琴弾かせたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:二重敬語。


Q17.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「昨日、宮を見奉り侍りき」

答え:「奉り」話し手 → 宮(見る相手)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「奉る」(謙譲の補助動詞)→見る相手の宮、「侍り」(丁寧の補助動詞)→聞き手。


Q18.敬意の方向を答えよ。

(地の文)法皇、御使ひを遣はす。

答え:作者 → 法皇 解説:「遣はす」(尊敬)。動作主を敬う。


Q19.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「君が仰せらるるやう」

答え:話し手 → 君 解説:「仰せらる」(尊敬二重)。動作主の君を話し手が敬う。


Q20.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「今宵の月は、いとおもしろく候ふ」

答え:話し手 → 聞き手 解説:「候ふ」は形容詞に付く丁寧の補助動詞(〜ございます)。話し手が聞き手を敬う。


基礎編 /20


【第2部】標準編(Q21〜Q50)

複合敬語・物語の典型・心内文。


Q21.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中将、御琴を弾きたまふ。

答え:作者 → 中将 解説:「たまふ」(尊敬補助)。動作主の中将を作者が敬う。


Q22.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「我れも、さなむ思ひたまふる」

答え:話し手 → 聞き手 解説:「たまふる」は下二段「給ふ」(謙譲の補助動詞)の連体形(「なむ」の結び)。会話文・手紙文で、話し手自身の「思ふ・見る・聞く・知る」に付き、聞き手(読み手)を敬う。


Q23.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大臣、御文を奉りたまふ。

答え:「奉り」作者 → 御文の受け手/「たまふ」作者 → 大臣 解説:「奉る」(謙譲)→受け手、「たまふ」(尊敬補助)→動作主。同じ動作に二方向の敬意。


Q24.敬意の方向を答えよ。

(地の文)従者、ことのよしを大臣に申しけり。

答え:作者 → 大臣(申し上げた相手) 解説:「申す」は「言ふ」の謙譲語(申し上げる)。地の文の謙譲語なので、作者から、申し上げる相手の大臣への敬意。


Q25.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御酒を参る。

答え:作者 → 帝 解説:「参る」は飲食の場合は尊敬「召し上がる」。動作主の帝を敬う。


Q26.敬意の方向を答えよ。

(地の文)我れ、御所に参る。

答え:作者 → 御所の高貴な人 解説:「参る」(謙譲・参上)。行き先の高貴な人を敬う。


Q27.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「僧、殿に『御祈りは明日にて候ふ』と申し侍りき」

答え:「候ふ」僧(『 』の言葉を言った人)→ 殿(僧が話しかけた相手)/「申し」話し手 → 殿(申し上げた相手)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:『 』は僧の言葉なので、その中の丁寧語「候ふ」(〜でございます)は、僧から、僧の話を聞いた殿への敬意。外側の「申す」(謙譲)は話し手から殿へ、「侍り」(丁寧)は話し手から今の聞き手へ。


Q28.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御文を上に御覧ぜさせたまふ。

答え:「御覧ぜ」作者 → 上(御文を見る人)/「たまふ」作者 → 中宮(見せる人) 解説:「御覧ぜさせたまふ」は「御覧ず」+使役「さす」+尊敬「たまふ」で、「(上に)お見せになる」。「させ」は使役で敬語ではない。見る動作の「御覧ず」(尊敬)は見る人の上を、「たまふ」は見せる動作の主の中宮を敬う。


Q29.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「ただ今、参り候はむ」と申しけり。

答え:「候は」話し手 → 聞き手/「申し」作者 → 申し上げる相手 解説:「候は」は会話中の丁寧、「申し」は地の文の謙譲。発信者が異なる。


Q30.敬意の方向を答えよ。

(心内文)「我れ、いかでこの御方に仕うまつらん」

答え:心内で思う人 → 御方 解説:「仕うまつる」(謙譲)。心内文の発信者(思っている人物)→動作の受け手(御方)への敬意。


Q31.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大納言、いかにせむと思す。

答え:作者 → 大納言 解説:「思す」は「思ふ」の尊敬語(お思いになる)。動作主の大納言を作者が敬う。


Q32.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「『君に奉らん』と仰せらる」

答え:「奉ら」『 』の言葉を言った人(仰せになった人)→ 君(差し上げる相手)/「仰せらる」話し手 → 仰せになった人 解説:会話の中の会話『 』の敬語は、その言葉を言った人からの敬意。「奉る」(謙譲)は、仰せになった人から、差し上げる相手の君へ。外側の「仰せらる」(尊敬の二重敬語)は、話し手から、仰せになった人へ。


Q33.敬意の方向を答えよ。

(地の文)若君、御湯召したまふ。

答え:作者 → 若君 解説:「召す」尊敬+「たまふ」尊敬補助。動作主を敬う。


Q34.敬意の方向を答えよ。

(地の文)御使ひ、宮に御文を奉りて、まかり出づ。

答え:「奉り」作者 → 宮(御文を受け取る人)/「まかり」作者 → 宮(退出してくる所の主) 解説:「奉る」は「与ふ」の謙譲語(差し上げる)で、受け取る宮を敬う。「まかり出づ」は「(貴人のもとから)退出する」の謙譲語で、退出してくる所の主の宮を敬う(行き先の人ではない)。


Q35.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「これ御覧ぜよ」とて、中宮に花を奉る。

答え:「御覧ぜよ」話し手(花を差し上げる人)→ 中宮(見る人)/「奉る」作者 → 中宮 解説:「 」の中は話し手から。「御覧ず」は「見る」の尊敬語で、見る人の中宮を敬う。「とて」の後の「奉る」(謙譲)は地の文なので作者から、受け取る中宮を敬う。


Q36.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、いと物思はしげにおはしましけり。

答え:作者 → 帝 解説:「おはします」は「おはす」より敬意の高い尊敬語。ここは「〜げにおはします」(〜様子でいらっしゃる)の補助動詞の使い方。動作主の帝を作者が敬う。


Q37.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「いままかり侍らむ」

答え:「まかり」話し手 → 退出する場所の高貴な人/「侍ら」話し手 → 聞き手 解説:「まかる」(謙譲・退出)+「侍り」(丁寧)。


Q38.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御髪を梳らせたまふ。

答え:作者 → 中宮 解説:「せたまふ」は尊敬「す」+尊敬「たまふ」の二重敬語とみて、作者が中宮を敬う。「せ」を女房に梳らせる使役と読んでも、「たまふ」は尊敬なので答えは同じ「作者 → 中宮」。


Q39.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「『御覧ぜよ』と仰せらる」

答え:「御覧ぜよ」『 』の言葉を言った人(仰せになった人)→ 見るように言われた人(御覧になる人)/「仰せらる」話し手 → 仰せになった人 解説:会話の中の会話『 』の敬語は、その言葉を言った人から。「御覧ず」(尊敬)は、仰せになった人から、見る人へ。外側の「仰せらる」(尊敬の二重敬語)は、話し手から、仰せになった人へ。発信者が別々になる。


Q40.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、使ひの者に禄を賜はせたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:「賜はす」は「与ふ」の尊敬語(お与えになる)、「たまふ」は尊敬の補助動詞。どちらも、与える動作の主の帝を作者が敬う。


Q41.敬意の方向を答えよ。

(地の文)君、御心地いと苦しく思しめすを、慰め奉る。

答え:「思しめす」作者 → 君/「奉る」作者 → 慰める受け手(君) 解説:「思しめす」(尊敬)→動作主、「奉る」(謙譲)→動作の受け手。同じ人物(君)に対して尊敬と謙譲が混在する典型。


Q42.敬意の方向を答えよ。

(手紙文)「君のおほせのこと、承りて侍り」

答え:「承り」書き手 → 承る相手(君)/「侍り」書き手 → 読み手 解説:手紙文では発信者は書き手、丁寧は読み手への敬意。


Q43.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「さやうに仕うまつるべきやうにても侍らず」

答え:「仕うまつる」話し手 → お仕えする対象/「侍ら」話し手 → 聞き手 解説:「仕うまつる」(謙譲)+「侍り」(丁寧)。


Q44.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御湯を召して、入らせたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:「召す」尊敬+「せたまふ」二重尊敬。


Q45.敬意の方向を答えよ。

(地の文)院、御衣を奉りて、出でたまふ。

答え:作者 → 院 解説:「奉る」は衣服では尊敬「お召しになる」。動作主を敬う。


Q46.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「我れ、君の御心を承り侍れば」

答え:「承り」話し手 → 君(承る対象)/「侍れ」話し手 → 聞き手 解説:「承る」(謙譲)+「侍り」(丁寧)。


Q47.敬意の方向を答えよ。

(地の文)僧、院に参りて、御物語申し、御衣を賜はりて帰る。

答え:「参り」「申し」「賜はり」作者 → 院(三つとも) 解説:三重の謙譲。「参る」は行き先の院を、「申す」はお話を申し上げる相手の院を、「賜はる」(いただく)は御衣をくださる院を、作者が敬う。謙譲語の「受け手」には、行き先・申し上げる相手・くださる人がある。


Q48.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「『これは尊し』と申し侍り」

答え:「申し」話し手 → 申し上げる相手/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:会話の中の謙譲+丁寧。発信者は同じ話し手。


Q49.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、ものもおほせられず。

答え:作者 → 中宮 解説:「仰せらる」二重尊敬+打消。中宮を敬う。


Q50.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「まかり出で侍りなむ」と申しけり。

答え:「まかり」話し手 → 退出する所の高貴な人/「侍り」話し手 → 聞き手/「申し」作者 → 申し上げる相手 解説:会話部分(「」内)は話し手から。「まかり出づ」(謙譲・退出する)は退出する所の主を敬う。地の文の「申しけり」は作者から。


標準編 /30


【第3部】応用編(Q51〜Q80)

入れ子の会話・複数の敬語連動・特殊敬語。


Q51.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大臣、このよしを奏したまふ。

答え:「奏し」作者 → 帝(申し上げる相手)/「たまふ」作者 → 大臣 解説:「奏す」は帝(天皇・上皇)に「申し上げる」意の謙譲語(絶対敬語)なので、書いていなくても受け手は帝。「たまふ」(尊敬の補助動詞)は動作主の大臣を敬う。同じ動作に二方向。


Q52.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「はや内裏へ参りたまへ」と、乳母、君に申す。

答え:「参り」乳母(話し手)→ 内裏の帝(参上する先)/「たまへ」乳母(話し手)→ 君(参上する人)/「申す」作者 → 君(申し上げる相手) 解説:「 」の中は話し手の乳母から。「参る」(謙譲)は参上する先の帝を、「たまへ」(尊敬の補助動詞「たまふ」の命令形)は参上する動作の主の君を敬う。「と申す」は地の文なので、作者から申し上げる相手の君へ。


Q53.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「いとかしこくなむ思ひたまふる」と申しけり。

答え:会話「たまふる」話し手 → 聞き手/地の文「申し」作者 → 申し上げる相手 解説:「たまふる」は下二段「給ふ」(謙譲の補助動詞)の連体形(「なむ」の結び)で、話し手から聞き手への敬意。地の文の「申し」は作者から、申し上げる相手へ。


Q54.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大納言、中宮に御絵を参らせたまふを、中宮御覧じて、笑はせたまふ。

答え:「参らせ」作者 → 中宮/「たまふ」作者 → 大納言/「御覧じ」作者 → 中宮/「せたまふ」作者 → 中宮 解説:前半は二方向の敬語で、「参らす」(「与ふ」の謙譲語・差し上げる)は受け取る中宮を、「たまふ」は差し上げる大納言を敬う。後半の「御覧ず」「せたまふ」は動作主の中宮を敬う。一つの文の中で、敬う相手が入れかわる。


Q55.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「『かくと宮に申せ』と仰せらるれば、承り侍りぬ」

答え:「申せ」『 』の言葉を言った人(仰せになった人)→ 宮(申し上げる相手)/「仰せらるれ」話し手 → 仰せになった人/「承り」話し手 → 仰せになった人(仰せを受ける相手)/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:会話の中の会話『 』の敬語は、その言葉を言った人(仰せになった人)から。外側の「仰せらるれ」「承り」「侍り」は、すべて話し手から。発信者は二人だけで、『 』の中と外で切り分ける。


Q56.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御物の怪に悩みたまふを、皇后いと心苦しと思しめす。

答え:「たまふ」作者 → 帝/「思しめす」作者 → 皇后 解説:それぞれ異なる動作主への尊敬。


Q57.敬意の方向を答えよ。

(地の文)御乳母、若君を抱き奉りて、まかり出づ。

答え:「奉り」作者 → 若君/「まかり」作者 → 退出する所の高貴な人 解説:「奉る」(謙譲の補助動詞)は抱かれる若君を、「まかり出づ」(謙譲・退出する)は退出してくる所の主(御前の高貴な人)を敬う。


Q58.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御簾のうちにて、ものを仰せらる。

答え:作者 → 中宮 解説:「仰せらる」二重尊敬。


Q59.敬意の方向を答えよ。

(手紙文)「承り侍りて、いとかたじけなくなむ思ひたまふる」

答え:「承り」書き手 → 承る相手/「侍り」書き手 → 読み手/「たまふる」書き手 → 読み手 解説:手紙の中の謙譲+丁寧+謙譲の補助動詞(下二段「給ふ」)。下二段「給ふ」は会話文・手紙文で使い、聞き手・読み手を敬う。


Q60.敬意の方向を答えよ。

(地の文)院、宮に御文を遣はしたりければ、宮、御返り聞こえたまふ。

答え:「遣はし」作者 → 院/「聞こえ」作者 → 院(お返事を申し上げる相手)/「たまふ」作者 → 宮 解説:「遣はす」は「遣る(送る)」の尊敬語で、送る院を敬う。「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語(申し上げる)で、お返事を受け取る院を、「たまふ」(尊敬の補助動詞)はお返事をする宮を敬う。


Q61.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大納言、御前にさぶらひて、御物語申す。

答え:「さぶらひ」作者 → 御前の高貴な人/「申す」作者 → 御前の高貴な人(お話を申し上げる相手) 解説:「さぶらふ」は「貴人のおそばにお控えする」の謙譲語、「申す」は「言ふ」の謙譲語。どちらも、おそばでお話を聞く高貴な人を敬う。


Q62.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「いとかしこき御方なれば、畏まり侍り」

答え:話し手 → 聞き手 解説:「畏まる」は「恐縮する・つつしむ」意の普通の動詞で、敬語ではない。「侍り」は丁寧の補助動詞(〜ております)で、話し手から聞き手への敬意。


Q63.敬意の方向を答えよ。

(地の文)中宮、御文を御覧じて、いみじく愛でたまふ。

答え:「御覧じ」作者 → 中宮/「たまふ」作者 → 中宮 解説:両方とも動作主の中宮への尊敬。


Q64.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「まうで来つ。仕うまつるべきこと侍らば」

答え:「まうで来」話し手 → 詣でた先の高貴な人/「仕うまつる」話し手 → お仕えする対象/「侍ら」話し手 → 聞き手 解説:謙譲+謙譲+丁寧。


Q65.敬意の方向を答えよ。

(地の文)上、御物の怪にて、苦しませたまふを、皇后、夜昼御祈祷せさせたまふ。

答え:「せたまふ」作者 → 上/「させたまふ」作者 → 皇后 解説:どちらも二重敬語とみて、それぞれの動作主(上・皇后)を敬う。「祈祷せさせたまふ」の「させ」は、僧に祈祷をさせる使役とも読めるが、その場合も「たまふ」は尊敬なので答えは同じ「作者 → 皇后」。


Q66.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「御覧ぜさせ奉らばや」

答え:「御覧ぜ」話し手 → 御覧になる人/「奉ら」話し手 → 御覧になる人 解説:「御覧ぜさす」は「御覧にならせる=お見せする」。「させ」は使役の助動詞で敬語ではない。尊敬の「御覧ず」も謙譲の補助動詞「奉る」も、見る高貴な人(お見せする相手)を敬う。


Q67.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、かしこく御心を動かしたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:「たまふ」尊敬補助。動作主の帝を敬う。


Q68.敬意の方向を答えよ。

(地の文)「御物を賜はり侍りぬ」と申す。

答え:会話「賜はり」話し手 → 物をくださった高貴な人/「侍り」話し手 → 聞き手/地の文「申す」作者 → 申し上げる相手 解説:「」の中は話し手から。「賜はる」(謙譲・いただく)は物をくださった人を、「侍り」(丁寧)は聞き手を敬う。外の「申す」は地の文なので作者から。


Q69.敬意の方向を答えよ。

(地の文)上、ものをのたまはすれど、遠くてよくも聞こえず。

答え:「のたまはすれ」作者 → 上/「聞こえ」敬語ではない(「聞こゆ」=聞こえる) 解説:「のたまはす」は「言ふ」の尊敬語(「のたまふ」より敬意が高い)で、上を敬う。「聞こゆ」には謙譲語(申し上げる)と普通の動詞(聞こえる)がある。ここはお声が「よく聞こえない」の意なので敬語ではない。「え聞こえず」なら「申し上げることができない」(謙譲)になることが多い。


Q70.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「さらば、そのよしを宮に聞こえ侍らむ」

答え:「聞こえ」話し手 → 宮(申し上げる相手)/「侍ら」話し手 → 聞き手 解説:「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語(申し上げる)で、申し上げる相手の宮を敬う。「侍り」(丁寧の補助動詞)は聞き手を敬う。謙譲+丁寧。


Q71.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、このことを聞こしめして、御涙を流させたまふ。

答え:作者 → 帝 解説:「聞こしめす」は「聞く」の尊敬語(お聞きになる)、「せたまふ」は二重敬語。どちらも動作主の帝を作者が敬う。


Q72.敬意の方向を答えよ。

(地の文)院、御車に奉りて、御所より出でさせたまふ。

答え:「奉り」作者 → 院(乗り物の場合は尊敬「お乗りになる」)/「させたまふ」作者 → 院 解説:「奉る」は、衣服を「お召しになる」(Q45)のほか、乗り物に「お乗りになる」も尊敬語になる。「させたまふ」とともに、動作主の院を敬う。


Q73.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「宮に参り侍りて、宮の仰せを承りて、帰りて申し侍らむ」

答え:「参り」話し手 → 宮(参上する先)/「侍り」話し手 → 聞き手/「承り」話し手 → 宮(お話をうかがった相手)/「申し」話し手 → 聞き手(申し上げる相手)/「侍ら」話し手 → 聞き手 解説:謙譲+丁寧+謙譲+謙譲+丁寧の連続。謙譲語は、それぞれの動作の受け手(参上する先・お話をうかがう相手・申し上げる相手)を、丁寧語は聞き手を敬う。


Q74.敬意の方向を答えよ。

(地の文)入道殿、このことをいとねたく思しめしけり。

答え:作者 → 入道殿 解説:「思しめす」(尊敬)。


Q75.敬意の方向を答えよ。

(地の文)大納言、ありつることを中宮に啓したまふ。

答え:「啓し」作者 → 中宮/「たまふ」作者 → 大納言 解説:「啓す」は中宮・東宮に「申し上げる」意の謙譲語(絶対敬語)で、申し上げる相手の中宮を敬う。「たまふ」は尊敬の補助動詞で、動作主の大納言を敬う。同じ動作に二方向。


Q76.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「『君に奉らん』となむ思ひたまふる」

答え:会話「奉ら」話し手 → 君/「たまふる」話し手 → 聞き手 解説:『 』は話し手自身の思いなので、その中の「奉る」(謙譲)も話し手から、差し上げる相手の君へ。「たまふる」(下二段「給ふ」・謙譲の補助動詞)は話し手から聞き手へ。


Q77.敬意の方向を答えよ。

(地の文)御使ひ、宮の御もとよりまかり帰りぬ。

答え:作者 → 宮(退出してきた所の主) 解説:「まかり帰る」の「まかる」は「(貴人のもとから)退出する」の謙譲語で、退出してくる所の主(宮)を敬う。帰っていく先の人ではない。


Q78.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「君は、ただいま大殿籠りて侍り」

答え:「大殿籠り」話し手 → 君/「侍り」話し手 → 聞き手 解説:「大殿籠る」は「寝」の尊敬語(お休みになる)で、動作主の君を敬う。「侍り」は丁寧の補助動詞(〜ております)で、聞き手を敬う。


Q79.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、御琴を召して、あそばす。

答え:作者 → 帝 解説:「召す」「あそばす」両方とも動作主の帝への尊敬。


Q80.敬意の方向を答えよ。

(会話文)「その御事、昨日承りて、いとうれしくなむ思ひたまふる」

答え:「承り」話し手 → 承る相手(お話をくださった高貴な人)/「たまふる」話し手 → 聞き手 解説:「承る」は「聞く」の謙譲語で、お話をくださった高貴な人を敬う。「たまふる」は下二段「給ふ」(謙譲の補助動詞)で、話し手自身の「思ふ」に付き、聞き手を敬う。


応用編 /30


【第4部】入試レベル(Q81〜Q100)

源氏物語・枕草子など難関大頻出。


Q81.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひたまひける中に…

答え:「候ひ」作者 → 帝(仕える対象)/「たまひ」作者 → 女御・更衣 解説:「候ふ」(謙譲)→受け手の帝、「たまふ」(尊敬補助)→動作主の女御・更衣。複数の女御更衣+帝の三角構図。


Q82.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)すぐれて時めきたまふありけり。

答え:作者 → 桐壺更衣(帝の寵愛を受けている人) 解説:「たまふ」尊敬補助。動作主=桐壺更衣を作者が敬う。


Q83.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方々…おとしめそねみたまふ。

答え:「たまへ」作者 → 御方々(女御・更衣たち)/「たまふ」作者 → 御方々 解説:「たまふ」(尊敬補助)→動作主の女御・更衣たち。


Q84.敬意の方向を答えよ。(枕草子・香炉峰の雪)

(地の文)「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」と仰せらるれば…

答え:作者 → 中宮(仰せの動作主) 解説:地の文の「仰せらる」は中宮定子への二重尊敬。


Q85.敬意の方向を答えよ。(枕草子・香炉峰の雪)

(地の文)御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。

答え:作者 → 中宮 解説:「笑はせたまふ」二重尊敬。動作主の中宮を作者(清少納言)が敬う。


Q86.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・若紫)

(会話文)「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」

答え:敬語なし(「逃がし」「籠め」は普通の動詞。参考問題) 解説:若紫(のちの紫の上)が祖母の尼君に訴える、幼い子どもの言葉で、敬語は使われていない。


Q87.敬意の方向を答えよ。(伊勢物語・東下り)

(地の文)「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、…と詠めりければ、舟こぞりて泣きにけり。

答え:敬語なし(「言ふ」は普通の動詞。参考問題) 解説:渡し守の言葉を、普通の動詞「言ふ」で書いている。地の文に敬語はない。


Q88.敬意の方向を答えよ。

(地の文)帝、隠れさせたまひにしかば、御名を村上の帝と申す。

答え:「させたまひ」作者 → 帝/「申す」作者 → 帝(「村上の帝」とお呼びする相手) 解説:「隠れさせたまふ」は「お亡くなりになる」。「させたまふ」は二重敬語で、動作主の帝を敬う。「〜と申す」は「〜とお呼び申し上げる」の意の謙譲語で、呼ばれる帝を敬う。


Q89.敬意の方向を答えよ。(大鏡・競べ弓)

(地の文)この殿わたらせたまへれば、思ひかけずあやしと、中関白殿思し驚きて、いみじう饗応し申させたまうて、…(この殿=道長、中関白殿=道隆)

答え:「思し」作者(語り手)→ 中関白殿(道隆)/「申さ」作者(語り手)→ この殿(道長)/「せたまう」作者(語り手)→ 中関白殿(道隆) 解説:「思し驚く」は「思ひ驚く」の尊敬語で、驚いた中関白殿を敬う。「饗応し申す」の「申す」は謙譲の補助動詞(〜申し上げる)で、もてなしを受ける道長を敬う。「せたまう」は尊敬「す」+尊敬「たまふ」(ウ音便)の二重敬語で、もてなす中関白殿を敬う。大鏡は語り手(大宅世継)が語る形なので、「語り手から」と答えることもある。


Q90.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)一の皇子は、右大臣の女御の御腹にて、寄せ重く、疑ひなき儲の君と、世にもてかしづききこゆれど、この御にほひには並びたまふべくもあらざりければ…

答え:「きこゆれ」作者 → 一の皇子/「たまふ」作者 → 一の皇子 解説:「きこゆ」は謙譲の補助動詞(〜申し上げる)で、世の人が大切にお世話する一の皇子を敬う。「たまふ」は尊敬の補助動詞で、並ぶ動作の主の一の皇子を敬う。同じ人に謙譲と尊敬の両方が向く。「この御にほひ」は光源氏の美しさ。


Q91.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)人のそしりをもえ憚らせたまはず…

答え:作者 → 帝 解説:「せたまふ」二重尊敬の打消。動作主の帝を作者が敬う。


Q92.敬意の方向を答えよ。(枕草子・中納言参りたまひて)

(地の文)「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。…」と申したまふ。(中納言隆家が、姉の中宮定子に申し上げる場面)

答え:「はべれ」中納言隆家(話し手)→ 中宮(聞き手)/「申し」作者 → 中宮(申し上げる相手)/「たまふ」作者 → 中納言隆家 解説:「はべり」は丁寧の補助動詞(「こそ」の結びで已然形)で、話し手の隆家から聞き手の中宮へ。地の文の「申したまふ」は、謙譲「申す」が申し上げる相手の中宮を、尊敬「たまふ」が動作主の隆家を、作者(清少納言)が敬う。発信者は会話と地の文で分かれる。


Q93.敬意の方向を答えよ。(大鏡・競べ弓)

(地の文)また入道殿射たまふとて、「摂政・関白すべきものならば、この矢当たれ」と仰せらるるに、…(入道殿=道長)

答え:「たまふ」「仰せらるる」作者(語り手)→ 入道殿(道長) 解説:「射たまふ」の「たまふ」は尊敬の補助動詞、「仰せらる」は「仰す」+尊敬「らる」の二重敬語で、どちらも動作主の道長を敬う。「 」の中は道長自身の言葉なので、敬語は使っていない。


Q94.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・夕顔)

(地の文)「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申し侍る」と申す。

答え:「申し」「侍る」随身(話し手)→ 光源氏(聞き手)/「申す」作者 → 光源氏 解説:「 」は随身が光源氏に申し上げる言葉。謙譲の「申し」と丁寧の「侍る」(「なむ」の結び)は、話し手の随身から聞き手の光源氏へ。外の「申す」は地の文なので、作者から申し上げる相手の光源氏へ。


Q95.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・夕顔)

(地の文)白き扇のいたうこがしたるを、「これに置きて参らせよ。枝も情けなげなめる花を」とて取らせたれば、門開けて惟光朝臣出で来たるして、奉らす。(夕顔の宿の女童が、光源氏の随身に扇を渡す場面)

答え:「参らせよ」女童(話し手)→ 光源氏(花を差し上げる相手)/「奉ら」作者 → 光源氏 解説:「参らす」は「与ふ」の謙譲語(差し上げる)で、女童が、花を受け取る光源氏を敬う。「奉らす」の「奉ら」も謙譲語(差し上げる)で、作者が光源氏を敬う。「す」は「惟光を通して差し上げさせる」使役で、敬語ではない。


Q96.敬意の方向を答えよ。(徒然草・第五十二段)

(地の文)仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ…ただひとり、徒歩より詣でけり。

答え:「拝ま」敬語ではない(普通の動詞)/「詣で」作者 → 石清水八幡宮(参詣する先の神) 解説:「詣づ」は「行く」の謙譲語(参上する・お参りする)で、行き先の石清水八幡宮(の神)を敬う。「拝む」は普通の動詞で、敬語ではない。


Q97.敬意の方向を答えよ。(更級日記)

(地の文・自伝)あづま路の道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかは怪しかりけむ…

答え:敬語なし(「生ひ出で」は普通の動詞。参考問題) 解説:作者(菅原孝標女)が自分のことを書いている。自分の動作には敬語を使わないので、敬語はない。


Q98.敬意の方向を答えよ。(平家物語・敦盛最期)

(地の文)「同じくは、直実が手にかけまゐらせて、後の御孝養をこそつかまつり候はめ」と申しければ…

答え:「まゐらせ」「つかまつり」熊谷(話し手)→ 敦盛/「候は」熊谷(話し手)→ 敦盛(聞き手)/「申し」作者 → 敦盛 解説:「 」は熊谷直実が敦盛に言う言葉。謙譲の「まゐらす」(補助動詞・〜申し上げる)と「つかまつる」(「す」の謙譲語・いたす)は動作の受け手の敦盛を、丁寧の「候ふ」は聞き手の敦盛を、話し手の熊谷が敬う。地の文の「申す」は、作者から申し上げる相手の敦盛へ。


Q99.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)前の世にも、御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ。

答え:作者 → 男御子(光源氏) 解説:「たまふ」(尊敬補助)→誕生の主体・光源氏。


Q100.敬意の方向を答えよ。(源氏物語・桐壺)

(地の文)父の大納言は亡くなりて、母北の方なむいにしへの人のよしあるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方々にもいたう劣らず、なにごとの儀式をももてなしたまひけれど、とりたててはかばかしき後見しなければ、事ある時はなほよりどころなく心細げなり。

答え:作者 → 母北の方(桐壺更衣の母) 解説:「もてなしたまひ」の主語は「母北の方」(桐壺更衣の母)。尊敬の補助動詞「たまふ」で、作者(紫式部)が母北の方を敬う。前の文までの主語(桐壺更衣)から変わっていることに注意。


入試レベル編 /20


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