断定・伝聞推定・形容動詞を100問で見分ける
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📖 識別の理屈を先に押さえたい方へ
このドリルでわかること
はじめに:「なり」の正体
古文の「なり」は 2種類 の助動詞があり、入試の最頻出識別テーマ。
| 種類 | 接続 | 訳 |
|---|---|---|
| ① 断定の「なり」 | 体言・連体形 | 〜である |
| ② 伝聞・推定の「なり」 | 終止形(ラ変型には連体形) | 〜という/〜のようだ |
さらに:
- ③ ナリ活用形容動詞の活用語尾:「静かなり」「あはれなり」など語幹あり
- ④ 四段動詞「成る/鳴る」:動詞そのもの(なら・なり・なる・なれ と活用する)
識別の鉄則
識別の鉄則
- 直前の語の活用形 を見る
- 体言・連体形+「なり」 → 断定
- 終止形(ラ変型には連体形)+「なり」 → 伝聞・推定。撥音便の「あ(ん)なり」「ざ(ん)なり」などは伝聞・推定
- 四段動詞のように 終止形と連体形が同じ形 の語なら、形では決まらない → 音・声・うわさの文脈なら伝聞・推定、「〜のである」と言い切るなら断定
- 語幹(静か・あはれ等) 付きなら形容動詞
- 文意で「〜になる/鳴る」と訳せる なら動詞
上の「識別の鉄則」は、文法の理屈にそった見分け方。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。
コツ① 直前が 体言 なら即・断定
名詞の直後に「なり」があれば 断定(〜である)でほぼ確定。 例:花なり / 君なり / 春なり
→ 「○○なり」で「これは〜だ」と訳せたら断定で即答。
コツ② 直前が 終止形 なら伝聞・推定
終止形に「なり」がついていれば伝聞・推定(〜という/〜のようだ)。終止形と連体形の形がちがう語なら、形で決まる。 例:音すなり(サ変の終止形「す」→伝聞・推定)/ 音するなり(連体形「する」→断定)/ 聞こゆなり(下二段の終止形)/ 来(く)なり(カ変の終止形。「来る」は連体形なので「来るなり」は断定)
→ 四段動詞(鳴く・吹く・言ふ など)は終止形と連体形が同じ形なので、形では決まらない。音・声が聞こえる場面なら推定、人から聞いた話なら伝聞、「〜のである」と言い切るなら断定。
コツ③ 形容動詞の語幹+なり → 形容動詞
「静か/あはれ/きよげ/のどか」のように、ものの様子を表し、それだけでは主語にならず(×静かが)、上に「いと」をつけられる(いと静かなり)語に「なり」がついていれば、形容動詞ナリ活用の活用語尾。 助動詞ではないので別物として扱う。 例:静かなり / あはれなり / きよげなり
→ 名詞(花・春・人 など)は主語になり、上に「いと」をつけられないので、名詞+なりは断定。
コツ④ ラ変型の連体形+なり に注意
ラ変動詞「あり/をり/侍り/いまそかり」や、ラ変型に活用する語(打消の「ざる」、「べかる」「たる」、断定の「なる」など)には、断定も伝聞・推定も連体形に付くので、形だけでは決まらない。伝聞・推定のときは、ふつう撥音便になる(「ん」は書かないことが多い)。 例:あんなり・あなり(ある+なり)/ ざんなり・ざなり(ざる+なり)/ べかなり(べかる+なり)/ ななり(なる+なり)
→ 撥音便(「ん」を書かない形も)+なり を見たら伝聞・推定(Q30・Q73)。逆に、「あるなり」「ざるなり」と書き切ってある形は、多くは断定(Q49・Q58)。
試験本番でのチェック順序
- 直前が 体言 → 断定
- 直前が 形容動詞の語幹(主語にならず、上に「いと」がつく:静か・あはれ) → 形容動詞ナリ活用
- 直前が 形で終止形とわかる語(す・来(く)・聞こゆ・完了の「ぬ」「つ」 など) → 伝聞・推定/形で連体形とわかる語(する・来る・聞こゆる・ぬる・打消の「ぬ」(知らぬなり)・形容詞の「〜き」など) → 断定
- 直前が 撥音便(あん・ざん、「ん」を書かない あ・ざ・べか) → 伝聞・推定。「あるなり」「ざるなり」と書き切った形は、多くは断定
- 四段動詞など 終止形と連体形が同じ形 の語 → 音・声・うわさの文脈なら伝聞・推定、「〜のである」と言い切るなら断定
- 「〜になる/鳴る」と訳せる → 四段動詞「成る/鳴る」
→ この順番で見れば、すばやく答えが出ます。
よくある引っかけ
- 「あなり」「ざなり」「べかなり」 → ラ変型の連体形の撥音便(「ん」を書かない形)+伝聞推定(伝聞推定の典型サイン)
- 「なる」連体形だけ見ても、体言の前なら断定/伝聞推定どちらも可能 → 直前の活用形で判定
- 四段動詞「成る/鳴る」は 意味で判別(〜になる・〜と鳴る)
- 「〜なりけり」の「なり」は伝聞・推定と取らない(伝聞・推定の「なり」の下に「けり」が来ることはほとんどない。体言・連体形の下なら断定)
🎯 解き方のコツ(時短テクニック)
問題(Q1〜Q100)
ここから100問を表示します。スマホでも解けるよう、答えと解説は各問の直下に表示しています。「解答が見えると解いた気にならない」という方は、上のPDFをダウンロードして印刷で解いてください。
【第1部】基礎編
Q1.「なり」を識別せよ。
これは花なり。
答え:断定の助動詞「なり」 解説:体言「花」+「なり」。「これは花である」。
Q2.「なり」を識別せよ。
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。
答え:伝聞・推定の助動詞「なり」連体形「なる」(伝聞) 解説:サ変「す」終止形+伝聞・推定「なり」連体形「なる」+体言「日記」。終止形に付いているので伝聞・推定で、人から聞いて知っていることなので伝聞。「男も書くという日記というものを、女(の私)も書いてみようと思って書くのである」。文末の「するなり」は、サ変「す」連体形「する」+断定「なり」。終止形「す」か連体形「する」かで見分ける。(『土佐日記』冒頭)
Q3.「なり」を識別せよ。
静かなり。
答え:ナリ活用形容動詞「静かなり」終止形 解説:語幹「静か」+「なり」。
Q4.「なり」を識別せよ。
鐘の音、響くなり。
答え:伝聞・推定の助動詞「なり」 解説:四段「響く」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。鐘の音を聞いて推し量っているので推定。「鐘の音が響いているようだ」。
Q5.「なり」を識別せよ。
春なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「春」+「なり」。「春である」。
Q6.「なり」を識別せよ。
あはれなり。
答え:ナリ活用形容動詞「あはれなり」 解説:語幹「あはれ」+「なり」。
Q7.「なり」を識別せよ。
鳥鳴くなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「鳴く」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。鳥の鳴き声(音)を聞いて推し量っているので推定。「鳥が鳴いているようだ(鳴き声が聞こえる)」。
Q8.「なり」を識別せよ。
われは、都より下りたる者なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「者」+「なり」。「私は、都から下ってきた者である」。
Q9.「なり」を識別せよ。
物音、聞こゆなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:「聞こゆ」終止+「なり」。聴覚で推定。
Q10.「なり」を識別せよ。
風なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「風」+「なり」連用+「けり」。「風であった」。
Q11.「なり」を識別せよ。
月清き夜なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「夜」+「なり」。
Q12.「なり」を識別せよ。
春の日、いとのどかなり。
答え:ナリ活用形容動詞「のどかなり」 解説:語幹「のどか」+活用語尾「なり」。「のどか」だけでは主語にならず、上に「いと」がつくので形容動詞。「春の日は、たいそうのどかだ」。
Q13.「なり」を識別せよ。
海の面、なほ平らかなり。
答え:ナリ活用形容動詞「平らかなり」 解説:語幹「平らか」+活用語尾「なり」。「海の面は、やはり穏やかだ」。
Q14.「なり」を識別せよ。
聞けば、隣の翁も歌詠むなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「詠む」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。「聞けば」とあり、人から聞いた話なので伝聞。「聞くところでは、隣の老人も歌を詠むそうだ」。
Q15.「なり」を識別せよ。
鶯さへづるなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「さへづる」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。鶯の声(音)を聞いて推し量っているので推定。「鶯がさえずっているようだ」。
Q16.「なり」を識別せよ。
これは、母の形見の琴なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「琴」+「なり」。「これは、母の形見の琴である」。
Q17.「なり」を識別せよ。
明日、かの人、京を出づなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:下二段「出づ」終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「出づる」となり、それに付く「なり」は断定(Q32)。明日の予定を人から聞いた話なので伝聞。「明日、あの人は京を出発するそうだ」。
Q18.「なり」を識別せよ。
沓の音遠ざかりて、客人は往ぬなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:ナ変「往ぬ」終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「往ぬる」となる(「往ぬるなり」なら断定)。「往ぬ」は一語の動詞(Q90「行きぬなり」の「ぬ」は完了の助動詞)。沓の音が遠ざかるのを聞いて推し量っているので推定。「沓の音が遠ざかって、客人は帰っていくようだ」。
Q19.「なり」を識別せよ。
名にし負ふ都鳥なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「都鳥」+「なり」。
Q20.「なり」を識別せよ。
春になりぬ。
答え:四段動詞「成る」連用形「なり」 解説:「春」+格助詞「に」+動詞「成る」連用「なり」+完了「ぬ」。「春になった」。
基礎編 /20
【第2部】標準編
Q21.「なり」を識別せよ。
いと尊き人なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「人」+「なり」。
Q22.「なり」を識別せよ。
几帳の内に、女房たち笑ふなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「笑ふ」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。几帳(布を垂らした仕切り)の向こうの笑い声を聞いて推し量っているので推定。「几帳の中で、女房たちが笑っているようだ」。
Q23.「なり」を識別せよ。
御車の音して、大納言殿、出で給ふなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:尊敬の補助動詞「給ふ」(四段)は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。お車(牛車)の音を聞いて推し量っているので推定。「お車の音がして、大納言殿がお出かけになるようだ」。
Q24.「なり」を識別せよ。
都は、なほはるかなり。
答え:ナリ活用形容動詞「はるかなり」 解説:語幹「はるか」+活用語尾「なり」。「はるか」だけでは主語にならず、「いとはるかなり」と上に「いと」がつくので形容動詞。「都は、まだはるかに遠い」。
Q25.「なり」を識別せよ。
心ある人にこそありけれ。
答え:断定「なり」連用形「に」 解説:体言「人」+断定「なり」連用形「に」+係助詞「こそ」+ラ変「あり」+過去「けり」已然形「けれ」(こその結び)。「心ある人だったのだ」。「なり」が連用形「に」になっている点に注意。
Q26.「なり」を識別せよ。
軒の雫の音して、春雨降るなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「降る」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。軒の雫の音を聞いて推し量っているので推定。「軒の雫の音がして、春雨が降っているようだ」。
Q27.「なり」を識別せよ。
歌の道にすぐれたる人なりければ、人みな敬ひけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+断定「なり」連用形+過去「けり」已然形「けれ」+接続助詞「ば」(原因・理由)。「和歌の道にすぐれた人だったので、人々はみな敬った」。
Q28.「なり」を識別せよ。
夜更けて、遠く犬吠ゆなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:下二段「吠ゆ」終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「吠ゆる」となる。夜ふけに遠くの声を聞いて推し量っているので推定。「夜がふけて、遠くで犬がほえているようだ」。
Q29.「なり」を識別せよ。
われはこの寺の主なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「主」+「なり」。
Q30.「なり」を識別せよ。
嵐の音、いまだ止まざなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:打消「ず」連体形「ざる」の撥音便「ざん」の「ん」を書かない形+伝聞・推定「なり」(ざるなり→ざんなり→ざなり)。打消「ず」に伝聞・推定の「なり」が付くときは、ラ変型の連体形「ざる」に付き、ふつうこの「ざ(ん)なり」の形になる。嵐の音を聞いて推し量っているので推定。「嵐の音が、まだ止まないようだ」。
Q31.「なり」を識別せよ。
あらたなり。
答え:ナリ活用形容動詞「あらたなり」 解説:語幹「あらた」+「なり」。
Q32.「なり」を識別せよ。
月の出づるなり。
答え:断定「なり」 解説:下二段「出づ」連体形「出づる」+断定「なり」。連体形に直接接続するのは断定(伝聞推定「なり」は終止形接続が原則)。「月が出るのである/出ているのだ」。
Q33.「なり」を識別せよ。
暗くて見えねど、滝落つなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:上二段「落つ」終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「落つる」となる。暗くて見えないが、音を聞いて推し量っているので推定。「暗くて見えないけれど、滝が落ちているようだ(音がする)」。
Q34.「なり」を識別せよ。
この童は、かの聖の弟子なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「弟子」+「なり」連用+「けり」。
Q35.「なり」を識別せよ。
海辺に住む人なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「人」+「なり」。
Q36.「なり」を識別せよ。
風吹く音なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「音」+「なり」。「(それは)風が吹く音である」。
Q37.「なり」を識別せよ。
心知る人なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+「なり」連用+「けり」。
Q38.「なり」を識別せよ。
人の物言ふ声すなれど、姿は見えず。
答え:伝聞・推定「なり」已然形「なれ」 解説:サ変「す」終止形+伝聞・推定「なり」已然形「なれ」+接続助詞「ど」(逆接)。話し声を聞いて推し量っているので推定。「人の話し声がするようだが、姿は見えない」。
Q39.「なり」を識別せよ。
あはれなる御方なり。
答え:断定「なり」(最後の「なり」) 解説:体言「御方」+「なり」。先頭の「あはれなる」は形容動詞連体形。
Q40.「なり」を識別せよ。
松の梢を鳴らして、春の風吹くなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「吹く」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。松の梢が鳴る音を聞いて推し量っているので推定。「松の梢を鳴らして、春の風が吹いているようだ」。
Q41.「なり」を識別せよ。
人の心を知ることは、なほ難きなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞「難し」連体形「難き」+断定「なり」。連体形+なりは断定。「人の心を知ることは、やはり難しいのだ」。
Q42.「なり」を識別せよ。
物のあはれ知る人なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「人」+「なり」。
Q43.「なり」を識別せよ。
心なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「心」+「なり」連用+「けり」。
Q44.「なり」を識別せよ。
海なる船、いま帰るなり。櫓の音聞こゆ。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「帰る」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。続く「櫓の音聞こゆ」から、音を聞いて推し量っているとわかるので推定。「海にいる船が、今帰ってくるようだ。櫓の音が聞こえる」。はじめの「海なる」は、場所+断定「なり」連体形で「海にある」(存在)の意味。
Q45.「なり」を識別せよ。
この池は、いと深きなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞「深し」連体形「深き」+断定「なり」。「この池は、たいそう深いのだ」。
Q46.「なり」を識別せよ。
心ある人なりしが、いま見えず。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+「なり」連用+過去「き」連体「し」+「が」(接続助詞)。「心ある人だったが」。
Q47.「なり」を識別せよ。
人の言ふを聞けば、春日野には、はや若菜摘むなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「摘む」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。人の話を聞いて知ったことなので伝聞。「人が言うのを聞くと、春日野では、もう若菜を摘んでいるそうだ」。
Q48.「なり」を識別せよ。
大臣なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「大臣」+「なり」連用+「けり」。
Q49.「なり」を識別せよ。
名にし負ふ都鳥にてあるなり。
答え:断定「なり」 解説:ラ変「あり」連体形「ある」+断定「なり」。ラ変型には断定も伝聞・推定も連体形に付くが、伝聞・推定ならふつう撥音便で「あんなり」「あなり」の形になる(Q73)。「ある」と書き切ってあり、「〜であるのだ」と言い切っているので断定。「にて」は断定「なり」連用形「に」+接続助詞「て」。「名高い都鳥であるのだ」。
Q50.「なり」を識別せよ。
御堂のうちに経読み給ふなる声、いと尊し。
答え:伝聞・推定「なり」連体形「なる」 解説:尊敬の補助動詞「給ふ」(四段)+伝聞・推定「なり」連体形「なる」+体言「声」。お経を読む声を聞いて推し量っているので推定(断定の「なる」と取ると「〜である声」となり、意味が通らない)。「御堂の中でお経をお読みになっているらしい声が、たいそう尊い」。
標準編 /30
【第3部】応用編
Q51.「なり」を識別せよ。
いみじき宿世の人なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:「人」+「なり」連用+「けり」。
Q52.「なり」を識別せよ。
風の音、いまだ激しきなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞「激し」連体形「激しき」+断定「なり」。「風の音は、まだ激しいのだ」。
Q53.「なり」を識別せよ。
月明らかなりけり。
答え:形容動詞「明らかなり」連用形+過去「けり」 解説:語幹「明らか」+「なり」連用+「けり」。
Q54.「なり」を識別せよ。
山里の冬は、ことに寒きなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞「寒し」連体形「寒き」+断定「なり」。「山里の冬は、とりわけ寒いのだ」。
Q55.「なり」を識別せよ。
春来るなり。
答え:断定「なり」 解説:カ変「来」連体形「来る」+断定「なり」。「春が来るのだ」。(伝聞・推定にするなら終止形「来(く)」を用いて「来(く)なり」とする。)
Q56.「なり」を識別せよ。
心ある人にて、いとあはれなりけり。
答え:形容動詞「あはれなり」連用形+過去「けり」 解説:語幹「あはれ」+活用語尾「なり」(連用形)+過去「けり」終止形。上に「いと」がつくので形容動詞。はじめの「にて」は断定「なり」連用形「に」+接続助詞「て」。「心ある人で、たいそうしみじみと心ひかれる人であった」。
Q57.「なり」を識別せよ。
入相の鐘ぞなる。
答え:四段動詞「鳴る」連体形「なる」(「ぞ」の結び) 解説:主語「入相の鐘」の述語で、「鳴る」と訳せるので動詞。上は係助詞「ぞ」で、断定(体言・連体形に付く)や伝聞・推定(終止形に付く)の形に当たらないので、助動詞の「なり」ではない。係助詞「ぞ」の結びで連体形。「夕暮れを告げる寺の鐘が鳴る」。
Q58.「なり」を識別せよ。
かの人の来ぬは、道を知らざるなり。
答え:断定「なり」 解説:打消「ず」連体形「ざる」+断定「なり」。「ざる」はラ変型の活用なので、断定も伝聞・推定も連体形に付くが、伝聞・推定ならふつう撥音便で「ざんなり」「ざなり」の形になる(Q30)。「ざる」と書き切ってあり、「来ないのは〜からだ」と理由を言い切っているので断定。「あの人が来ないのは、道を知らないからなのだ」。
Q59.「なり」を識別せよ。
月の都の人なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+「なり」連用+「けり」。
Q60.「なり」を識別せよ。
雨止みつなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:完了「つ」終止+「なり」。「雨が止んだという」。
Q61.「なり」を識別せよ。
心ありし人なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「人」+「なり」。
Q62.「なり」を識別せよ。
み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり
答え:伝聞・推定「なり」 解説:四段「うつ」は終止形と連体形が同じ形なので、形だけでは決まらない。夜ふけに、砧(きぬた)で衣を打つ音が聞こえてくるのを詠んだ歌なので、音による推定。「吉野の山の秋風が吹き、夜がふけて、昔の都のあった吉野の里は寒々として、衣を打つ音が聞こえてくる」。(『新古今和歌集』・藤原雅経。百人一首にもとられる)
Q63.「なり」を識別せよ。
静かなりける夜。
答え:形容動詞「静かなり」連用形+過去「ける」 解説:語幹「静か」+「なり」連用+「ける」連体+体言「夜」。
Q64.「なり」を識別せよ。
都の中、いと賑はしきなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞連体「賑はしき」+「なり」。
Q65.「なり」を識別せよ。
まだ若き人なるを、はや世を背きぬ。
答え:断定「なり」連体形「なる」 解説:体言「人」+断定「なり」連体形「なる」+接続助詞「を」(逆接「〜のに」)。「世を背く」は出家すること。「まだ若い人であるのに、もう出家してしまった」。
Q66.「なり」を識別せよ。
月見る人多くなる。
答え:四段動詞「成る」終止形 解説:「多く」(形容詞連用)+動詞「成る」終止形「なる」。文末で係り結びもないため終止形。「多くなる」。
Q67.「なり」を識別せよ。
いみじき才ある人なるべし。
答え:断定「なり」連体形「なる」 解説:体言「人」+「なる」+助動詞「べし」。
Q68.「なり」を識別せよ。
風さやかなる夕暮れ。
答え:形容動詞「さやかなり」連体形「なる」 解説:語幹「さやか」+「なる」+体言「夕暮れ」。
Q69.「なり」を識別せよ。
古き友、なほ生けるなりけり。
答え:断定「なり」連用形「なり」 解説:四段「生く」已然形「生け」+存続「り」連体形「る」+断定「なり」連用形+過去「けり」終止形。「古い友は、まだ生きていたのだ」。連体形「生ける」+なりで断定。
Q70.「なり」を識別せよ。
夜更けて、あたり静かになりぬれば、人々みな寝入りぬ。
答え:四段動詞「成る」連用形 解説:形容動詞「静かなり」連用形「静かに」+動詞「成る」連用形「なり」+完了「ぬ」已然形「ぬれ」+接続助詞「ば」。「静かになる」のように「〜になる」と訳せるので動詞(形容動詞「静かなり」の語尾の「なり」と見まちがえないこと)。「夜がふけて、あたりが静かになったので、人々はみな寝入ってしまった」。
Q71.「なり」を識別せよ。
心ある人なるぞよき。
答え:断定「なり」連体形 解説:体言「人」+断定「なり」連体形「なる」(「〜であること」)+係助詞「ぞ」+形容詞「よし」連体形「よき」(「ぞ」の結び)。「心ある人であるのがよい」。
Q72.「なり」を識別せよ。
かの翁は、もとは都の人なりけり、と申す。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+「なり」連用+「けり」終止+引用「と」。
Q73.「なり」を識別せよ。
この山の奥に、古き寺あなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:ラ変「あり」連体形「ある」の撥音便「あん」の「ん」を書かない形+伝聞・推定「なり」(あるなり→あんなり→あなり)。撥音便+「なり」は伝聞・推定の目印。人から聞いた話なので伝聞。「この山の奥に、古い寺があるそうだ」。
Q74.「なり」を識別せよ。
この男、物のあはれ知る人ならず。
答え:断定「なり」未然形「なら」 解説:体言「人」+断定「なり」未然形「なら」+打消「ず」終止形。「この男は、物のあわれを知る人ではない」。
Q75.「なり」を識別せよ。
月明らかならむ。
答え:形容動詞「明らかなり」未然形「なら」 解説:語幹「明らか」+「なら」+「む」(推量)。
Q76.「なり」を識別せよ。
君や心ある人なるらむ。
答え:断定「なり」連体形 解説:体言「人」+「なる」+「らむ」(推量)。
Q77.「なり」を識別せよ。
荻の葉に、秋風おとづるなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:下二段「おとづる」(音を立てる)終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「おとづるる」となる。荻の葉が風に鳴る音を聞いて推し量っているので推定。「荻の葉に、秋風が音を立てて吹いているようだ」。
Q78.「なり」を識別せよ。
げに、旅の空は心細きなりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:形容詞「心細し」連体形「心細き」+断定「なり」連用形+詠嘆「けり」。「本当に、旅の空(旅先)は心細いものであったのだなあ」。
Q79.「なり」を識別せよ。
月の都の人なるを、世の人は知らず。
答え:断定「なり」連体形 解説:体言「人」+断定「なり」連体形「なる」+格助詞「を」(「〜であることを」)。「月の都の人であることを、世間の人は知らない」。
Q80.「なり」を識別せよ。
まだ幼き童なれば、文字も知らず。
答え:断定「なり」已然形「なれ」 解説:体言「童」+断定「なり」已然形「なれ」+接続助詞「ば」(原因・理由)。「まだ幼い子どもなので、文字も知らない」。
応用編 /30
【第4部】入試レベル
Q81.「なり」を識別せよ。
昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、あづまの方に住むべき国求めにとて行きけり。もとより友とする人、ひとりふたりして行きけり。道知れる人もなくて、まどひ行きけり。三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水ゆく河のくもでなれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。
答え:断定「なり」已然形「なれ」 解説:「くもで(蜘蛛手)」は、蜘蛛の足のように川の流れが四方に分かれていること。体言「くもで」+断定「なり」已然形「なれ」+接続助詞「ば」(原因・理由)。「そこを八橋といったのは、水の流れる川が蜘蛛の足のように分かれているので、橋を八つ渡してあることによって、八橋といったのだった」。(『伊勢物語』第九段)
Q82.「なり」を識別せよ。
御簾の内より人の出で来る音すなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:サ変「す」終止形+伝聞・推定「なり」。「出で来る」はカ変の連体形で、下の体言「音」にかかっている(「なり」のすぐ上の語ではない)。御簾の中の音を聞いて推し量っているので推定。「御簾の中から人が出てくる音がするようだ」。
Q83.「なり」を識別せよ。
人の心こそ、うつろひやすきものなれ。
答え:断定「なり」已然形「なれ」(「こそ」の結び) 解説:体言「もの」+断定「なり」已然形「なれ」。係助詞「こそ」の結びなので已然形。「人の心こそ、移り変わりやすいものである」。
Q84.「なり」を識別せよ。
唐土に渡りたりける人なり。
答え:断定「なり」 解説:体言「人」+「なり」。「たり」は完了「たり」の連用形、「ける」は過去「けり」の連体形。「中国に渡った人である」。
Q85.「なり」を識別せよ。
月明らかなる夜なれば、人々出でて遊ぶ。
答え:ナリ活用形容動詞「明らかなり」連体形「なる」 解説:語幹「明らか」+活用語尾「なる」。下の体言「夜」を修飾する連体形。あとの「夜なれ」は、体言「夜」+断定「なり」已然形で別物。「月が明るい夜なので、人々は外に出て(管弦の)遊びをする」。
Q86.「なり」を識別せよ。
身は賤しき者なれど、心ばへはいとめでたし。
答え:断定「なり」已然形「なれ」 解説:体言「者」+断定「なり」已然形「なれ」+接続助詞「ど」(逆接)。「身分は低い者であるけれど、気立てはたいそうすばらしい」。
Q87.「なり」を識別せよ。
見わたせば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりける
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「錦」+断定「なり」連用形+詠嘆「けり」連体形「ける」(係助詞「ぞ」の結び)。「見渡すと、柳の緑と桜の花の色をまぜ合わせて、都こそが春の錦であったのだなあ」。(『古今和歌集』・素性法師)
Q88.「なり」を識別せよ。
嵐山の紅葉、見る人多くなりぬ。
答え:四段動詞「成る」連用形 解説:「多く」(形容詞連用)+「成る」連用「なり」+完了「ぬ」。「多くなった」。
Q89.「なり」を識別せよ。
帝、御殿の内におはすなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:サ変「おはす」終止形+伝聞・推定「なり」。連体形なら「おはする」となる。終止形に付いているので伝聞・推定。「帝は、御殿の中にいらっしゃるそうだ」。
Q90.「なり」を識別せよ。
笛を吹く人、門の前を過ぎて行きぬなり。
答え:伝聞・推定「なり」 解説:完了「ぬ」終止形+伝聞・推定「なり」。「行き」は四段の連用形なので、この「ぬ」は完了(打消なら「行かぬ」)。完了「ぬ」の連体形なら「ぬる」となる。笛の音が遠ざかるのを聞いて推し量っているので推定。「笛を吹く人が、門の前を通り過ぎて行ってしまったようだ」。
Q91.「なり」を識別せよ。
かの琴弾く人は、故大納言の御娘なりけり、と聞く。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「御娘」+断定「なり」連用形+過去「けり」終止形+引用「と」。「と聞く」と人から聞いた話でも、「なり」のすぐ上が体言なので断定。「あの琴を弾く人は、亡くなった大納言の娘であったと聞く」。
Q92.「なり」を識別せよ。
この十五日になむ、月の都よりかぐや姫の迎へにまうで来なる。
答え:伝聞・推定「なり」連体形「なる」(伝聞) 解説:カ変「まうで来」の終止形「まうで来(く)」+伝聞・推定「なり」連体形「なる」(係助詞「なむ」の結び)。カ変は終止形「来(く)」と連体形「来る」の形がちがうので、形で決まる。かぐや姫から聞いたことを翁が帝の使いに伝えているので伝聞。「この十五日に、月の都からかぐや姫の迎えに(人々が)参上するそうです」。(『竹取物語』)
Q93.「なり」を識別せよ。
昔は歌よく詠む人なりしを、今はみな忘れにけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人」+断定「なり」連用形+過去「き」連体形「し」+接続助詞「を」(逆接)。「昔は歌を上手に詠む人だったのに、今はすっかり忘れてしまった」。
Q94.「なり」を識別せよ。
物のあはれを知る人ならば、これを尊しとせむ。
答え:断定「なり」未然形「なら」 解説:体言「人」+「なら」+「ば」(仮定)。
Q95.「なり」を識別せよ。
夜半に鳴く鹿の声は、いと悲しきなり。
答え:断定「なり」 解説:形容詞「悲し」連体形「悲しき」+断定「なり」。声(音)の文でも、すぐ上が形容詞の連体形なので断定。「夜中に鳴く鹿の声は、たいそう悲しいのだ」。
Q96.「なり」を識別せよ。
海辺に住む人らなりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「人ら」+「なり」連用+「けり」。
Q97.「なり」を識別せよ。
月清く照る夜なりけり。
答え:断定「なり」連用形 解説:体言「夜」+「なり」連用+「けり」。
Q98.「なり」を識別せよ。
これは、かの姫君の弾き給ふ琴の音なるべし。
答え:断定「なり」連体形「なる」 解説:体言「音」+断定「なり」連体形「なる」+推量「べし」。「音」の文でも、すぐ上が体言なので断定。「これは、あの姫君がお弾きになる琴の音であるにちがいない」。
Q99.「なり」を識別せよ。
秋にならば、また来む。
答え:四段動詞「成る」未然形「なら」 解説:「秋」+格助詞「に」+動詞「成る」未然形「なら」+接続助詞「ば」(仮定)。「〜になる」と訳せるので動詞。「来む」はカ変「来(こ)」未然形+意志「む」。「秋になったら、また来よう」。
Q100.「なり」を識別せよ。
ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。
答え:断定「なり」連用形「に」 解説:体言「水」+断定「なり」連用形「に」+ラ変「あり」未然形「あら」+打消「ず」。「にあらず」で「〜ではない」。「流れていく川の流れは絶えることがなくて、しかも、もとの水ではない」。あとの「世の中にある人」の「に」は場所を表す格助詞(「世の中である人」とは訳せない)。(『方丈記』冒頭)
入試レベル /20
合計 /100
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