尊敬・謙譲・丁寧を100問で見分ける
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このドリルでわかること
はじめに:敬語の3種類
古文の敬語は 3種類 あります。
| 種類 | 敬意の対象 | 例 |
|---|---|---|
| ① 尊敬語 | 動作主 を敬う | 給ふ・おはす・仰す・のたまふ |
| ② 謙譲語 | 動作の受け手 を敬う | 奉る・参る・申す |
| ③ 丁寧語 | 聞き手・読み手 を敬う | 侍り・候ふ |
主な敬語動詞
尊敬語
| 動詞 | 訳 |
|---|---|
| 給ふ | 〜なさる |
| おはす | いらっしゃる |
| 仰す | おっしゃる |
| 召す | お召しになる |
| 御覧ず | ご覧になる |
| 大殿籠る | お休みになる |
| 思す | お思いになる |
謙譲語
| 動詞 | 訳 |
|---|---|
| 奉る | 差し上げる |
| 参る | 参上する |
| 申す | 申し上げる |
| 仕うまつる | お仕えする |
| 賜ふ(下二段) | いただく |
| 侍り・候ふ(本動詞) | (貴人のそばに)お仕えする・お控えする |
丁寧語
| 動詞 | 訳 |
|---|---|
| 侍り | あります・おります(本動詞)/〜です・〜ます(補助動詞) |
| 候ふ | あります・おります(本動詞)/〜です・〜ます(補助動詞) |
識別の鉄則
- 誰の動作か を確認
- その動作を誰に対してするか を確認
- 動作主を敬う → 尊敬
- 受け手を敬う → 謙譲
- 聞き手を敬う → 丁寧
- 誰からの敬意か:地の文なら作者、会話文なら話し手
二重敬語(最高敬語)
- 「せたまふ」「させたまふ」「しめたまふ」
- 帝・中宮など最高位の人物に対する敬意
- 人に何かをさせている(「女房に」のように相手が書かれている、または前後の話からわかる)なら「使役+尊敬」(〜させなさる)。そうでなく、主語が帝・中宮など最高位の人なら「尊敬+尊敬」=最高敬語。「御簾の中に」「物の怪に」のような場所・原因の「に」は、させる相手ではない
「識別の鉄則」は、敬語の種類と向きを決める基本の考え方。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。
コツ① 敬語動詞は「形を見ただけで」種類が分かる(暗記が最強)
種類別の 頻出敬語動詞を覚えれば 多くはすぐに答えられる(「侍り・候ふ」「給ふ」「奉る・参る」は下のコツで見分ける): – 尊敬 → 給ふ(四段)/おはす/仰す/召す/御覧ず/大殿籠る/思す – 謙譲 → 奉る/参る/申す/仕うまつる/賜ふ(下二段) – 丁寧 → 侍り/候ふ(の2語だけ)
「侍り・候ふ」は 補助動詞なら丁寧(〜です・〜ます)。本動詞なら、「(貴人のそばに)お仕えする・お控えする」意は 謙譲、「あります・おります」意は 丁寧。
コツ② 「給ふ」は四段なら尊敬、下二段なら謙譲
同じ「給ふ」でも 活用 で意味が変わる超頻出ポイント: – 四段「給ふ」(給は・給ひ・給ふ・給ふ・給へ・給へ)→ 尊敬「〜なさる」 – 下二段「給ふ」(給へ・給へ・○・給ふる・給ふれ・○)→ 謙譲「〜させていただく・〜ております」
補助動詞の下二段「給ふ」は、会話文・手紙文で、話し手(書き手)自身の 「思ふ・見る・聞く・知る」など に付き、聞き手(読み手)を敬う。終止形はほとんど使わず、命令形はない。
コツ③ 「奉る」「参る」は文脈で意味が分岐
- 奉る → 基本は謙譲「差し上げる」、ただし「お召しになる/お乗りになる」の尊敬用法あり
- 参る → 基本は謙譲「参上する」、ただし「召し上がる」の尊敬用法あり
迷ったら 意味 で決める:「与ふ(差し上げる)」「行く(参上する)」なら謙譲、「着る・乗る(お召しになる・お乗りになる)」「食ふ・飲む(召し上がる)」なら尊敬。
コツ④ 動作主を文の主語から逆算する
敬意の向きは「誰がする動作か」「誰に向かう動作か」で確かめる: – 動作主(身分の高い人)を敬う → 尊敬 – 動作の受け手・行き先(身分の高い人)を敬う → 謙譲。動作主が身分の高い人でも、受け手を敬うなら謙譲(中宮が帝に「奉りたまふ」なら、「奉り」は謙譲で帝を、「たまふ」は尊敬で中宮を敬う) – 話し手が 聞き手 に丁寧に話している → 丁寧
試験本番でのチェック順序
- 「侍り・候ふ」は、補助動詞なら 丁寧。本動詞なら、貴人のそばにお仕えする・お控えする意は 謙譲、「あり・をり」の意は 丁寧
- 「給ふ」を見たら 活用 をチェック(四段=尊敬/下二段=謙譲)
- 残りは敬語動詞リストの 形 で種類を即決
- 「奉る・参る」は文脈で尊敬・謙譲を分岐
→ この順番で、すばやく 答えが出せます。
よくある引っかけ
- 「給ふ」を全部尊敬と誤答 → 下二段は謙譲(思ひ給へ・見給へ等)
- 「侍り」を「ある/いる」の意味だけで取る → 補助動詞なら丁寧
- 「侍り・候ふ」を全部丁寧と誤答 → 本動詞で「(貴人のそばに)お仕えする・お控えする」意なら謙譲
- 「奉る」「参る」を全部謙譲と誤答 → 「お召しになる/召し上がる」は尊敬
🎯 解き方のコツ(時短テクニック)
問題(Q1〜Q100)
ここから100問を表示します。スマホでも解けるよう、答えと解説は各問の直下に表示しています。「解答が見えると解いた気にならない」という方は、上のPDFをダウンロードして印刷で解いてください。
【第1部】基礎編(Q1〜Q20)
Q1.敬語の種類を答えよ。
帝、御文書かせたまふ。
答え:尊敬語(二重敬語) 解説:「せたまふ」=帝に対する尊敬。「お書きになる」。
Q2.種類を答えよ。
御文を奉る。
答え:謙譲語 解説:「奉る」=差し上げる。お手紙を差し上げる相手を敬う。
Q3.種類を答えよ。
「これは尊し」と申す。
答え:謙譲語 解説:「申す」=「言ふ」の謙譲語(申し上げる)。動作の受け手である、申し上げる相手(高貴な人)を敬う。
Q4.種類を答えよ。
我れも参り侍り。
答え:丁寧語 解説:「侍り」は「参り」に付く丁寧の補助動詞(〜ます)。「私も参ります」。話し相手を敬う。
Q5.種類を答えよ。
中宮、御覧ず。
答え:尊敬語 解説:「御覧ず」=ご覧になる。中宮に対する尊敬。
Q6.種類を答えよ。
御所に参る。
答え:謙譲語 解説:「参る」=行くの謙譲。御所を敬う。
Q7.種類を答えよ。
法皇、御堂におはす。
答え:尊敬語 解説:「おはす」=「あり・をり」の尊敬語(いらっしゃる)。「法皇が御堂にいらっしゃる」。法皇を敬う。
Q8.種類を答えよ。
君に仕うまつる。
答え:謙譲語 解説:「仕うまつる」=お仕えする。君を敬う。
Q9.種類を答えよ。
物侍り。
答え:丁寧語 解説:「侍り」=ございます。
Q10.種類を答えよ。
上、仰せらる。
答え:尊敬語 解説:「仰す」=おっしゃる。上を敬う。
Q11.種類を答えよ。
大納言、御前に候ふ。
答え:謙譲語 解説:「候ふ」はここでは本動詞。「御前に(貴人のおそばに)」とあるので「お控え申し上げる・お仕えする」意の謙譲語で、御前の主(貴人)を敬う。補助動詞(〜ます)や、物が「あります」の意なら丁寧語。
Q12.種類を答えよ。
帝、御物の怪に苦しませたまふ。
答え:尊敬語(二重敬語) 解説:「苦しま」(未然形)+「せ」(尊敬の助動詞「す」連用形)+「たまふ」(尊敬の補助動詞)。「せたまふ」の二重敬語(最高敬語)で帝を敬う。
Q13.種類を答えよ。
我れ、御前にまうづ。
答え:謙譲語 解説:「まうづ(参づ)」=「行く・来」の謙譲語。「御前」(高貴な方の御前)に参上する意。動作の向かう先である高貴な方を敬う。
Q14.種類を答えよ。
院、大殿籠る。
答え:尊敬語 解説:「大殿籠る」=お休みになる。院を敬う。
Q15.種類を答えよ。
「さなむ思ひたまふる」と申す。
答え:謙譲語(下二段「給ふ」の連体形) 解説:「たまふる」は係助詞「なむ」の結びで連体形。四段の「給ふ」なら連体形は「たまふ」なので、「たまふる」は下二段。下二段の「給ふ」は、会話文で話し手自身の「思ふ」などに付く謙譲の補助動詞(〜ております)で、聞き手を敬う。「そのように思っております」と申し上げる。
Q16.種類を答えよ。
「いま参り候ふ」と申す。
答え:丁寧語 解説:「候ふ」は「参り」に付く丁寧の補助動詞(〜ます)。「今参ります」。聞き手を敬う。
Q17.種類を答えよ。
中宮、女房に御簾を上げさせたまふ。
答え:尊敬語(「させ」は使役で、敬語は「たまふ」だけ) 解説:「女房に」と、させる相手があるので「させ」は使役の助動詞「さす」(〜させる)。「たまふ」は尊敬の補助動詞で、中宮を敬う。「中宮が女房に御簾を上げさせなさる」。させる相手がなく、主語が帝・中宮などなら「させたまふ」は二重尊敬(最高敬語)になる(Q24)。
Q18.種類を答えよ。
国の守、帝に馬を奉る。
答え:謙譲語 解説:「奉る」=「与ふ」の謙譲語(差し上げる)。動作の受け手(馬を受け取る帝)を敬う。
Q19.種類を答えよ。
女房ども、宮の御前に侍りけり。
答え:謙譲語 解説:「侍り」はここでは本動詞。「宮の御前に」とあるので、貴人のおそばに「お仕えする・お控えする」意の謙譲語で、宮を敬う。「侍り」は丁寧語のことが多いが、本動詞で貴人のそばにいる意なら謙譲語。
Q20.種類を答えよ。
帝、思しめす。
答え:尊敬語 解説:「思しめす」=お思いになる。帝を敬う。
基礎編 /20
【第2部】標準編(Q21〜Q50)
Q21.種類と敬意の対象を答えよ。
女房、中宮に御文を奉る。
答え:謙譲語/受け取り手(差し上げる相手の中宮)への敬意 解説:「奉る」は謙譲。差し上げる相手(中宮)を敬う。
Q22.種類と敬意の対象を答えよ。
中宮、御文奉りたまふ。
答え:謙譲+尊敬/受け取り手と中宮の両方を敬う 解説:「奉り」=謙譲、「たまふ」=尊敬。動作主中宮(尊敬)と受け取り手(謙譲)の、二方面(二方向)への敬意。
Q23.種類を答えよ。
「いとうれしく侍り」と申す。
答え:丁寧語 解説:「侍り」は形容詞「うれし」の連用形に付く丁寧の補助動詞(〜です・〜ございます)。「とてもうれしゅうございます」。聞き手を敬う。
Q24.種類を答えよ。
帝、端近く出でさせたまふ。
答え:尊敬語(二重敬語) 解説:「出で」(下二段「出づ」の未然形)+尊敬の助動詞「さす」の連用形「させ」+尊敬の補助動詞「たまふ」=最高敬語(二重敬語)。させる相手がいないので「させ」は使役ではない。帝に対する敬意。「帝が縁先近くにお出になる」。
Q25.種類を答えよ。
御供に仕うまつる。
答え:謙譲語 解説:「仕うまつる」=お仕えする。
Q26.種類を答えよ。
いと尊くおはします。
答え:尊敬語 解説:「おはします」=「おはす」の最高敬語化。いらっしゃる。
Q27.種類を答えよ。
御物をたまはる。
答え:謙譲語 解説:「たまはる」=いただく。「賜ふ(下二段)」と同系。
Q28.種類を答えよ。
「いとあはれなり」と仰せらる。
答え:尊敬語 解説:「仰せらる」=「仰す」+尊敬「らる」。おっしゃる。
Q29.種類を答えよ。
「御文は、ここに候ふ」と申す。
答え:丁寧語 解説:「候ふ」は本動詞だが、主語が「御文」(物)で「あり」の意(ございます)なので丁寧語。会話の聞き手を敬う。「お手紙はここにございます」。人が貴人のおそばに控える意なら謙譲語(Q11)。
Q30.種類を答えよ。
中宮、女房に御文を賜ふ。
答え:尊敬語 解説:中宮が女房に与える動作なので、四段の「賜ふ」=「与ふ」の尊敬語(お与えになる)。中宮を敬う。
Q31.種類を答えよ。
文を奉りたまふ。
答え:謙譲+尊敬 解説:「奉り」=謙譲、「たまふ」=尊敬。受け取り手と動作主の両方を敬う。
Q32.種類を答えよ。
帝、御簾の中に入らせたまふ。
答え:尊敬語(二重敬語) 解説:「せたまふ」最高敬語。
Q33.種類を答えよ。
御前に参り侍り。
答え:謙譲(参り)+丁寧(侍り) 解説:「参り」=動作の向かう先を敬う、「侍り」=聞き手を敬う。
Q34.種類を答えよ。
御物を召す。
答え:尊敬語 解説:「召す」=お召しになる・お呼びになる。動作主を敬う。
Q35.種類を答えよ。
人々、清水にまうづ。
答え:謙譲語 解説:「まうづ」=「行く」の謙譲語(参上する・参詣する)。向かう先(清水寺の仏)を敬う。
Q36.種類を答えよ。
絵を院に御覧ぜさす。
答え:尊敬語 解説:「御覧ぜ」は「御覧ず」(「見る」の尊敬語)の未然形で、見る人(院)を敬う。「さす」は使役で、「御覧ぜさす」=院にご覧に入れる(お見せ申し上げる)。「たまふ」などが付かない「さす」は使役。
Q37.種類を答えよ。
院の御前に花をたてまつる。
答え:謙譲語 解説:「たてまつる(奉る)」=「与ふ」の謙譲語(差し上げる)。受け取り手の院を敬う。
Q38.種類を答えよ。
御台ばかり侍り。
答え:丁寧語 解説:「侍り」=ございます。
Q39.種類を答えよ。
中宮、庭の雪を御覧ず。
答え:尊敬語 解説:「御覧ず」=ご覧になる。中宮を敬う。
Q40.種類を答えよ。
御父にまゐる。
答え:謙譲語 解説:「まゐる」=参上する。御父を敬う。
Q41.種類を答えよ。
君、おぼしわづらふ。
答え:尊敬語 解説:「おぼす(思す)」=お思いになる。
Q42.種類を答えよ。
上、さぶらふ人々を召す。
答え:「さぶらふ」=謙譲語/「召す」=尊敬語 解説:「さぶらふ(候ふ)」は本動詞で、「さぶらふ人々」=(上の)おそばにお仕えしている人々。「あり・仕ふ」の謙譲語で、仕えられている上(帝)を敬う。「召す」は「呼ぶ」の尊敬語(お呼びになる)で、上を敬う。「帝が、おそばにお仕えしている人々をお呼びになる」。
Q43.種類を答えよ。
我れ、御いとまたまはる。
答え:謙譲語 解説:「たまはる」=いただく。
Q44.種類を答えよ。
帝、いと心苦しと思しめしたり。
答え:尊敬語 解説:「思しめす」=「思す」よりさらに高い尊敬。帝に対する敬意。
Q45.種類を答えよ。
御文を書きまゐらす。
答え:謙譲語 解説:「書き」に付く謙譲の補助動詞「まゐらす」(お〜申し上げる)。「お書き申し上げる」。手紙を受け取る相手を敬う。本動詞の「まゐらす」は「差し上げる」(「奉る」と同じ意味)。
Q46.種類を答えよ。
御供に候ひたまふ。
答え:謙譲(候ひ)+尊敬(たまふ) 解説:「候ふ」=控える(謙譲)、「たまふ」=動作主を敬う。
Q47.種類を答えよ。
宮にまゐりたり。
答え:謙譲語 解説:「まゐる」=参上する。
Q48.種類を答えよ。
帝、蔵人を召して、仰せらる。
答え:尊敬語 解説:「召す」=「呼ぶ」の尊敬語(お呼びになる)。帝を敬う。傍線部ではない「仰せらる」も尊敬語。
Q49.種類を答えよ。
「宮の御前に候ふは誰そ」と問ふ。
答え:謙譲語 解説:「候ふ」は本動詞で、「宮の御前に」(貴人のおそばに)お仕えしている意の謙譲語。話し手から宮への敬意。「宮のおそばにお仕えしているのは誰か」。
Q50.種類を答えよ。
我れ、御文をまゐらす。
答え:謙譲語 解説:「まゐらす」=差し上げる。
標準編 /30
【第3部】応用編(Q51〜Q80)
複合敬語・敬語連動・誰から誰への敬意かを問う。
Q51.敬意の方向(誰から誰へ)を答えよ。
大臣、帝に文を奉りたまふ。
答え:「奉り」=作者から帝への敬意(謙譲)/「たまふ」=作者から大臣への敬意(尊敬) 解説:地の文の敬語は、すべて作者(語り手)からの敬意。謙譲は動作の受け手(文を受け取る帝)を、尊敬は動作主(大臣)を敬う。「大臣から帝へ」とはしない(敬意を表すのは、地の文なら作者、会話文なら話し手)。
Q52.敬意の方向を答えよ。
帝、御文を御覧じて、うち笑ませたまふ。
答え:「御覧じ」「せたまふ」ともに作者から帝への敬意(尊敬) 解説:地の文の尊敬語は、作者から動作主(帝)への敬意。「御覧ず」=「見る」の尊敬語(ご覧になる)。「笑ま」(四段「笑む」の未然形)+「せたまふ」=二重尊敬(最高敬語)。
Q53.敬意の方向を答えよ。
「我れ、参り侍り」と申す。
答え:「侍り」=話し手から聞き手(高貴な人)への丁寧 解説:会話文の中の丁寧語は聞き手敬意。
Q54.種類を答えよ。
帝、笛の音を聞こしめす。
答え:尊敬語 解説:「聞こしめす」=「聞く」の尊敬語(お聞きになる)。「思しめす」と同じく敬意の高い語で、帝・中宮などに使う。帝を敬う。
Q55.種類を答えよ。
中宮、おはしましけり。
答え:尊敬語 解説:「おはします」=最高位の「いらっしゃる」。
Q56.種類を答えよ。
宮、「おそろし」とおぼす。
答え:尊敬語 解説:「おぼす(思す)」=「思ふ」の尊敬語(お思いになる)。動作主の宮を敬う。
Q57.種類を答えよ。
御簾の前にさぶらひたまふ。
答え:謙譲(さぶらひ)+尊敬(たまふ) 解説:「さぶらふ」=控える(謙譲)/「たまふ」=動作主を敬う。
Q58.種類を答えよ。
「これは尊し」と申したまふ。
答え:謙譲(申し)+尊敬(たまふ) 解説:「申す」=言うの謙譲、「たまふ」=動作主を敬う。
Q59.種類を答えよ。
上、人々に禄をたまはせたり。
答え:尊敬語 解説:「たまはす」=「与ふ」の尊敬語(お与えになる)。「たまふ」より敬意が高い。上(帝)を敬う。「帝が人々にほうびをお与えになった」。
Q60.種類を答えよ。
帝、仰せ言たまふ。
答え:尊敬語 解説:「仰せ言」=ご命令、「たまふ」=尊敬。帝を敬う。
Q61.敬意の方向を答えよ。
「君にさぶらはむ」と申す。
答え:「さぶらは」=話し手から君への謙譲 解説:会話文の中の謙譲語は、話し手から動作の受け手(ここではお仕えする相手の君)への敬意。
Q62.種類を答えよ。
御けしきをたまはらむ。
答え:謙譲語 解説:「たまはる」=いただく。
Q63.種類を答えよ。
「御文を奉りつ」と申し侍り。
答え:謙譲(奉り)+謙譲(申し)+丁寧(侍り) 解説:3敬語連動。「奉る・申す」謙譲、「侍り」丁寧。
Q64.種類を答えよ。
院、御簾のうちより御覧ず。
答え:尊敬語 解説:「御覧ず」=「見る」の尊敬語(ご覧になる)。院を敬う。「院が御簾の内からご覧になる」。
Q65.種類を答えよ。
中宮まゐりたまへり。
答え:謙譲(まゐり)+尊敬(たまへ) 解説:「まゐる」=参上する(謙譲)、「たまふ」=中宮を敬う。
Q66.種類を答えよ。
「御文たてまつりたまへ」と仰す。
答え:謙譲(たてまつり)+尊敬(たまへ)+尊敬(仰す) 解説:3敬語の連鎖。文脈で読み解く。
Q67.種類を答えよ。
帝、この絵をまだ御覧ぜず。
答え:尊敬語 解説:「御覧ぜ」は「御覧ず」(サ変・「見る」の尊敬語)の未然形で、下に打消「ず」が付く。「帝はこの絵をまだご覧にならない」。帝を敬う。
Q68.種類を答えよ。
御供にさぶらひ侍り。
答え:謙譲(さぶらひ)+丁寧(侍り) 解説:「さぶらふ」謙譲+「侍り」丁寧。
Q69.種類を答えよ。
「御車に奉れ」と申す。
答え:尊敬語 解説:「奉る」はふつう謙譲語(差し上げる)。ここは聞き手が車に乗る動作なので「乗る」の尊敬語(お乗りください)。会話文なので話し手から聞き手への敬意。「申す」は謙譲語で、作者から申し上げる相手への敬意。
Q70.種類を答えよ。
御おもてをまもりたまふ。
答え:尊敬語 解説:「たまふ」は四段の尊敬の補助動詞(〜なさる)で、見つめる人(動作主)を敬う。「まもる」(じっと見つめる)は敬語ではない。「(その方の)お顔をじっと見つめなさる」。
Q71.種類を答えよ。
御文を奉らせたまふ。
答え:謙譲(奉ら)+尊敬(せたまふ) 解説:「奉る」謙譲、「せたまふ」尊敬(主語が帝・中宮などで、させる相手がいなければ最高敬語。使いに持たせるなら「差し上げさせなさる」)。
Q72.種類を答えよ。
帝、いみじう驚かせたまふ。
答え:尊敬語 解説:「せ」は尊敬の助動詞「す」の連用形(四段「驚く」の未然形「驚か」に付く)。下に「たまふ」があり、させる相手もいないので尊敬で、「せたまふ」=最高敬語。帝を敬う。
Q73.種類を答えよ。
「行く」と申したまへり。
答え:謙譲(申し)+尊敬(たまへ) 解説:「申す」謙譲+「たまふ」尊敬。
Q74.種類を答えよ。
御物を奉らす。
答え:謙譲語 解説:「奉る」+「す」(使役)。差し上げさせる。
Q75.種類を答えよ。
中宮、御心地あしくて、御湯をだにまゐらず。
答え:尊敬語 解説:「まゐる」はふつう謙譲語(参上する・差し上げる)。ここは気分の悪い中宮自身が飲まない動作なので「飲む・食ふ」の尊敬語(召し上がる)。「お薬湯さえ召し上がらない」。中宮を敬う。
Q76.種類を答えよ。
御簾の内にさぶらはせたまふ。
答え:謙譲+尊敬 解説:「さぶらふ」謙譲(御簾の内の貴人のおそばにお控えする)、「せたまふ」尊敬(させる相手がいなければ最高敬語。人を控えさせるなら「控えさせなさる」)。
Q77.種類を答えよ。
「君にまうすべきこと侍り」と言ふ。
答え:謙譲(まうす)+丁寧(侍り) 解説:「まうす(申す)」謙譲、「侍り」丁寧。
Q78.種類を答えよ。
院、いたく嘆かせたまふ。
答え:尊敬語(最高敬語) 解説:「嘆か」(四段「嘆く」の未然形)+尊敬の助動詞「す」の連用形「せ」+尊敬の補助動詞「たまふ」=最高敬語。院に対する敬意。
Q79.種類を答えよ。
御前にて禄をたまはりたり。
答え:謙譲語 解説:「たまはる」=「受く」の謙譲語(いただく)。禄(ほうび)をくださる貴人を敬う。
Q80.敬意の方向を答えよ。
「我れ、御供にまゐらむ」と申し侍り。
答え:「まゐら」=話し手(我れ)からお供をする相手(貴人)への謙譲/「申し」=作者から申し上げる相手(同じ貴人)への謙譲/「侍り」=作者から読み手への丁寧 解説:会話文の中の敬語は話し手から、地の文(「」の外)の敬語は作者(語り手)からの敬意。謙譲語は動作の受け手(お供をする相手・申し上げる相手)を、丁寧語は聞き手・読み手を敬う。
応用編 /30
【第4部】入試レベル(Q81〜Q100)
最高敬語・絶対敬語・特殊敬語動詞。
Q81.種類を答えよ。
帝に奏す。
答え:謙譲語(絶対敬語) 解説:「奏す」=帝(天皇)・上皇に申し上げる。受け手が天皇・上皇に限られる絶対敬語。
Q82.種類を答えよ。
東宮に啓す。
答え:謙譲語(絶対敬語) 解説:「啓す」=中宮・東宮(皇太子)に申し上げる。絶対敬語。
Q83.種類を答えよ。
帝、月をながめさせたまふ。
答え:尊敬語(最高敬語) 解説:「ながめ」(下二段「ながむ」の未然形)+尊敬の助動詞「さす」の連用形「させ」+「たまふ」=最高敬語。させる相手がいないので「させ」を使役と取らない。帝への最高敬意。
Q84.種類を答えよ。
「しろしめすところなり」と申す。
答え:尊敬語 解説:「しろしめす」=お知りになる。最高敬語。
Q85.種類を答えよ。
「あな尊」とのたまふ。
答え:尊敬語 解説:「のたまふ」=おっしゃる。動作主を敬う。
Q86.種類を答えよ。
人々、宮に御くだものをたてまつる。
答え:謙譲語 解説:「たてまつる」=差し上げる。受け取り手の宮を敬う。
Q87.種類を答えよ。
院、おはしましぬ。
答え:尊敬語 解説:「おはします」=いらっしゃる(最高位)。
Q88.種類を答えよ。
御衣をたまはす。
答え:尊敬語 解説:「たまはす」=お与えになる。動作主を敬う。
Q89.種類を答えよ。
「君のあれば」とのたまはせたり。
答え:尊敬語(最高敬語) 解説:「のたまはす」=「のたまふ」最高敬語化。
Q90.種類を答えよ。
院、いとうれしと思ほしたり。
答え:尊敬語 解説:「思ほす」=「思ふ」の尊敬語(お思いになる)。最高敬語ではない。
Q91.種類を答えよ。
中宮の御前に参りて、このよしをけいす。
答え:謙譲語(絶対敬語) 解説:「けいす(啓す)」=中宮・東宮に申し上げる(絶対敬語)。ここでは中宮を敬う。
Q92.種類を答えよ。
御かしらおろしたまふ。
答え:尊敬語 解説:「たまふ」は四段の尊敬の補助動詞(〜なさる)で、動作主を敬う。「御かしらおろす」=髪をおろして出家する(「かしらおろす」は敬語ではない)。「出家なさる」。
Q93.種類を答えよ。
中宮、日ごろわづらはせたまふ。
答え:尊敬語(最高敬語) 解説:「わづらは」(四段「わづらふ」=病気で苦しむ、の未然形)+尊敬の助動詞「す」の連用形「せ」+「たまふ」=最高敬語。中宮への最高敬意。
Q94.種類を答えよ。
「御文をたてまつらせたまへ」と申す。
答え:謙譲(たてまつら)+尊敬(せたまへ)/申す=謙譲 解説:3敬語の連鎖。文中の人物関係を整理する必要あり。
Q95.種類を答えよ。
我れ、つかうまつり侍り。
答え:謙譲(つかうまつり)+丁寧(侍り) 解説:「つかうまつる(仕うまつる)」=お仕えする(謙譲)。「侍り」は丁寧の補助動詞(〜ております)で、聞き手敬意。
Q96.種類を答えよ。
帝、夜もすがら泣きまどはせたまふ。
答え:尊敬語(最高敬語) 解説:「泣きまどは」(四段「泣きまどふ」の未然形)+尊敬の助動詞「す」の連用形「せ」+「たまふ」=最高敬語。させる相手がないので「せ」は尊敬。帝を敬う。
Q97.種類を答えよ。
中宮、御琴をあそばす。
答え:尊敬語 解説:「あそばす」=「遊ぶ(管弦をする)」「す」の尊敬語(お弾きになる・なさる)。中宮を敬う。
Q98.種類を答えよ。
帝、しろしめしたり。
答え:尊敬語 解説:「しろしめす」=お知りになる(最高敬語)。
Q99.種類を答えよ。
御供にひかへ侍り。
答え:丁寧語 解説:「ひかへ」は下二段「ひかふ」(控える・待つ)の連用形で、敬語ではない。それに付く「侍り」は丁寧の補助動詞(〜ております)で、聞き手を敬う。Q68「さぶらひ侍り」の「さぶらひ」(謙譲語)と区別する。
Q100.次の文中の傍線部の敬語の種類を、すべて答えよ。
中宮、御文を御覧じて、「あはれ」と仰せられけるに、御供の人、御硯を奉り、紙をまゐらせたること侍りき。
答え: – 「御覧じ」=尊敬(中宮を敬う) – 「仰せられ」=尊敬(中宮を敬う、「らる」尊敬) – 「奉り」=謙譲(硯を差し上げる相手の中宮を敬う) – 「まゐらせ」=謙譲(紙を差し上げる相手の中宮を敬う) – 「侍り」=丁寧(聞き手・読み手を敬う)
解説:5つの敬語が一文に。地の文なので、敬意を表しているのはすべて作者(語り手)。「御覧じ」「仰せられ」は動作主の中宮を、「奉り」「まゐらせ」は受け手の中宮を、「侍り」(「こと侍りき」=ことがございました)は聞き手・読み手を敬う。「御文」「御硯」「御供」の「御」も尊敬の接頭語だが、傍線部ではない。
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