古典文法で頻出の「が」「の」は、付く語と意味によって用法を見分けます。格助詞「が」「の」には五つの用法があります。①主格(〜が。主語を示す)、②連体格(〜の。体言を修飾し所有・所属を示す)、③同格(〜で。「Aの、Bなる…」の形で、AとBが同一のものを指す)、④準体格(体言の代用。「〜のもの・〜のこと」と訳す)、⑤連用修飾(比喩)(〜のように、と訳す)です。見分けの基本は、直前が体言なら格助詞、活用語の連体形に付く「が」は⑥接続助詞(逆接「〜のに」・単純接続「〜が」と訳す)です。
次の各例文中の傍線部「が」「の」について、後の問いに答えよ。
本文
※例文は学習用に作成しています。
① 雀の子を犬君が逃がしつる。
② 月の明かき夜、人々あまた集ひたり。
③ きはめて大きなる竹の、節を隔ててよごとに黄金ある竹を見つけたり。
④ わが身ひとつは、もとの身にして。
⑤ この歌、人の詠めるとも聞こえず、いとめでたし。
⑥ 白き鳥の、嘴と脚と赤き、川のほとりに遊ぶ。
⑦ 行く川の流れは絶えずして、もとの水にあらず。
⑧ 露のごとき命なれば、いつまでとも頼まれず。
⑨ 待つ人は来ず、頼めし人のつらきかな。
⑩ 雪の降れるを見て、童べ喜び走る。
⑪ 罪の限り果てぬれば、かく迎ふるを。
⑫ 涙のこぼるるを、人に知られじとつつみけり。
⑬ 我こそ行かめと思へど、人の許さぬ。
⑭ 鶯の声、谷より聞こゆ。
⑮ 京には居らじ、東の方に住むべき国求めにとて行きけり。
⑯ いまはとて別るるが、いと悲し。
⑰ 玉の緒よ絶えなば絶えね、ながらへば忍ぶることの弱りもぞする。
⑱ 思へど甲斐なし、心ざしの深きを人は知らず。
設問
- 傍線部①「雀の」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格 オ 比喩
- 傍線部②「月の」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格 オ 比喩
- 傍線部③「大きなる竹の」の「の」の用法を答えよ。また、そう判断できる根拠(後ろの文との関係)を簡潔に記せ。
- 傍線部③「大きなる竹の、節を隔ててよごとに黄金ある竹」の部分を、「の」の用法に注意して現代語訳せよ。
- 傍線部④「わが身」の「が」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 接続助詞
- 傍線部⑤「人の詠める」の「の」の用法を答えよ。また、判別の根拠(直前が体言か連体形か、直後が何か)を記せ。
- 傍線部⑥「白き鳥の」の「の」の用法を答えよ。また、この一文を現代語訳せよ。
- 傍線部⑦「行く川の」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格 オ 比喩
- 傍線部⑧「露のごとき」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格 オ 比喩
- 傍線部⑧「露のごとき命」の部分を、「の」の用法に注意して現代語訳せよ。
- 傍線部⑨「人のつらき」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格
- 傍線部⑩「雪の降れる」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑪「罪の限り」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑫「涙のこぼるる」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑬「人の許さぬ」の「の」の用法を答えよ。また、判別の根拠を記せ。
- 傍線部⑭「鶯の声」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑮「東の方」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑯「別るるが」の「が」について、次の各問いに答えよ。
- (1) この「が」は格助詞か接続助詞か。判別の根拠(直前の語の性質)とともに答えよ。
- (2) ここでの「が」の意味(逆接か単純接続か)を答えよ。
- 傍線部⑰「玉の緒」の「の」の用法を答えよ。
- 傍線部⑱「心ざしの深き」の「の」の用法を、次から選べ。
- ア 主格 イ 連体格 ウ 同格 エ 準体格
- 傍線部のうち、「同格」の用法であるものを①〜⑱の番号ですべて挙げよ。
- 傍線部のうち、「比喩(〜のように)」の用法であるものを①〜⑱の番号で挙げよ。
- 「が」「の」が格助詞か接続助詞かを見分けるには、直前の語の何に着目すればよいか。簡潔に説明せよ。(記述)
- 「準体格」とはどのような用法か、訳し方を含めて簡潔に説明せよ。(記述)
▼ 解答・解説を見る
問1 イ(連体格)。「雀の子」=「雀の(子)」で、後ろの体言「子」を修飾し所属を示す。「〜の」と訳す。
問2 ア(主格)。「月の明かき」=「月が明るい」。直後が活用語(形容詞「明かし」の連体形)で、その主語を示している。「〜が」と訳す。
問3 同格。根拠=「竹の」の後に「節を隔ててよごとに黄金ある竹」と続き、読点の前後(「竹の」と末尾の「竹」)が同一のものを指している。「Aの、Bなる…」の形で「〜で」と訳す。
問4 訳例=「きわめて大きな竹で、節と節との間ごとに黄金が入っている竹を見つけた。」(『竹取物語』を踏まえた学習用の改変。「竹の」は同格なので「竹で」と訳す。)
問5 イ(連体格)。「わが身」=「私の身」。代名詞「わ」(体言)に付き、後ろの体言「身」を修飾する。
問6 主格。根拠=直前は体言「人」だが、直後が活用語(「詠む」の已然形+完了「り」の連体形「る」)で、その主語を示しているため主格。「人が詠んだ」と訳す。
問7 同格。現代語訳=「白い鳥で、嘴と脚とが赤い(鳥)が、川のほとりで遊んでいる。」(「鳥の」と後ろの「赤き」=「赤き鳥」が同一を指す。『伊勢物語』東下りの都鳥を踏まえた学習用の改変例文。)
問8 イ(連体格)。「行く川の流れ」=「行く川の(流れ)」。後ろの体言「流れ」を修飾し、所属を示す。(※「行く」は「川」を修飾する連体修飾語で、「の」の直前はあくまで体言「川」である点に注意。)
問9 オ(比喩)。「露のごとき命」=「露のような(はかない)命」。「〜のごとし/〜のように」と訳せる連用修飾(比喩)の用法。
問10 訳例=「露のようにはかない命なので」。(「露の」は比喩で「露のように」と訳す。)
問11 ア(主格)。「人のつらき」=「人がつれない(薄情だ)」。直後が活用語(形容詞「つらし」の連体形)で、その主語を示す。
問12 主格。「雪の降れる」=「雪が降っている」。直後が活用語(「降る」の已然形+完了「り」の連体形「る」)で、その主語を示す。
問13 連体格。「罪の限り」=「罪の限り(の期間)」。後ろの体言「限り」を修飾する。
問14 主格。「涙のこぼるる」=「涙がこぼれる」。直後が活用語(「こぼる」の連体形)で、その主語を示す。
問15 主格。根拠=直前は体言「人」だが、直後が活用語(「許す」+打消「ず」の連体形「ぬ」)で、その主語を示すため主格。「人が許さない」と訳す。
問16 連体格。「鶯の声」=「鶯の声」。後ろの体言「声」を修飾し、所属を示す。
問17 連体格。「東の方」=「東の方角」。後ろの体言「方」を修飾する。
問18 (1) 接続助詞。根拠=直前の「別るる」は動詞「別る」の連体形(活用語の連体形)であり、体言ではないため格助詞ではなく接続助詞と判断する。 (2) 単純接続(〜が)。「別れるのが、たいそう悲しい」と、前後を素直につないでいる。(文脈により逆接「〜のに」とも取り得るが、ここは単純接続が自然。)
問19 連体格。「玉の緒」=「玉を貫く緒(ひも)」。後ろの体言「緒」を修飾する。(式子内親王の歌を踏まえた語であるが、ここでは用法のみを問う。)
問20 ア(主格)。「心ざしの深き」=「愛情が深い」。直後が活用語(形容詞「深し」の連体形)で、その主語を示す。
問21 同格=③・⑥。いずれも「(体言)の、〜なる/〜き(連体形)…(同じ体言)」の形で、読点前後が同一のものを指す。
問22 比喩(〜のように)=⑧。「露のごとき命」=「露のようにはかない命」。
問23 直前の語が体言(名詞・代名詞など)か、活用語の連体形かに着目する。体言に付けば格助詞、活用語の連体形に付く「が」は接続助詞である。(なお「の」は接続助詞にはならない。)
問24 準体格とは、格助詞「の」「が」が体言の代用となる用法で、後ろに本来あるべき体言が省略されている。「〜のもの」「〜のこと」と補って訳す。(例「梅の花咲けるが(=咲いているのが)」のように、「の/が」の下にあるべき体言が略された形を指す。)
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。
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