漢詩の「形式(きまり)」は、句の数と一句の字数で大きく分かれます。四句から成るものを絶句、八句から成るものを律詩といい、一句が五字なら五言、七字なら七言と呼びます。また、句末の音をそろえる押韻(原則として偶数句の末字。七言ではふつう第一句末でも韻を踏む)、語の組み立てや意味を対応させる対句(律詩では頷聯・頸聯が対句になるのがきまり)、四句の構成を意味のうえから整える起承転結などが、漢詩を読み解くうえでの重要なきまりです。次の漢詩を読み、後の問いに答えよ。
本文
① 春暁 孟浩然
〔書き下し文〕
春眠暁を覚えず
処処啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落つること知る多少ぞ② 江雪 柳宗元
〔書き下し文〕
千山鳥飛ぶこと絶え
万径人蹤滅す
孤舟蓑笠の翁
独り釣る寒江の雪③ 登鸛鵲楼 王之渙
〔書き下し文〕
白日山に依りて尽き
黄河海に入りて流る
千里の目を窮めんと欲し
更に上る一層の楼
設問
- 漢詩①「春暁」の形式を、漢字四字で答えよ。
- 漢詩①「春暁」で押韻している字を、本文中からすべて抜き出せ。
- 漢詩①「春暁」で、場面が「夜の出来事(風雨の音)」へと転じているのは第何句か。起承転結のどれにあたるかも答えよ。
- 漢詩①「春暁」の主題(詩の中心となっている心情・内容)として最も適当なものを、次から選べ。
- ア 戦いに敗れた悲しみ。
- イ 春の朝の心地よさと、夜の風雨で散った花を惜しむ気持ち。
- ウ 故郷を離れた旅のさびしさ。
- 漢詩②「江雪」の形式を、漢字四字で答えよ。
- 漢詩②「江雪」で押韻している字を、本文中からすべて抜き出せ。
- 漢詩②「江雪」の書き下し文「独り釣る寒江の雪」を、現代語訳せよ。
- 漢詩②「江雪」に描かれている情景の説明として最も適当なものを、次から選べ。
- ア 雪のやんだ後、人々が川辺でにぎやかに漁をしている。
- イ 鳥も人影も消えた雪景色の中、老人がただ一人小舟で釣りをしている。
- ウ 春の川辺で、多くの舟が行き交っている。
- 漢詩③「登鸛鵲楼」の形式を、漢字四字で答えよ。
- 漢詩③「登鸛鵲楼」で押韻している字を、本文中からすべて抜き出せ。
- 漢詩③「登鸛鵲楼」の第一句「白日依山尽」と第二句「黄河入海流」は、語の組み立てが互いに対応している。このような二句の関係を何というか。
- 漢詩③「登鸛鵲楼」の第三句・第四句「千里の目を窮めんと欲し/更に上る一層の楼」を、現代語訳せよ。
- 漢詩③「登鸛鵲楼」の第三句・第四句は、「もっと遠くまで見ようと思うなら、さらに高い所へ登れ」という内容から、どのような生き方の教えとして読まれることが多いか。簡潔に説明せよ。
- 「絶句」とは何句から成る漢詩か。また「律詩」は何句から成るか。それぞれ漢数字で答えよ。
- 一句が五字の漢詩を「五言」、七字の漢詩を何というか。
- 五言絶句では、原則として第何句の末字で押韻するか。次から選べ。
- ア 第一句と第二句
- イ 第二句と第四句
- ウ すべての句
- 七言の詩では、偶数句末のほかに、ふつうもう一か所で押韻する。それは第何句の末字か。
- 絶句の四句は、構成のうえから順に何と呼ばれるか。漢字四字で答えよ。
- 設問11で答えた関係について、第一句「白日/依/山/尽」に対応する第二句の語を、それぞれ抜き出して組にせよ。
- 「白日」に対応する語
- 「依(山に)」に対応する語
- 「尽」に対応する語
- 律詩において、対句にすることがきまりとなっている二つの聯(れん)の名を答えよ。
- 本文の三人の作者は、いずれもある時代に活躍した詩人である。漢詩が最も盛んに作られたこの王朝の名を、漢字一字で答えよ。
▼ 解答・解説を見る
問1 五言絶句/一句が五字で、全部で四句から成るため。
問2 暁・鳥・少/第二句末「鳥」・第四句末「少」に加え、第一句末「暁」も韻を踏んでいる。五言の詩の押韻は原則として偶数句末だが、『春暁』は第一句末でも韻を踏む「首句入韻」の有名な例で、押韻字は「暁・鳥・少」の三字とするのが教科書の標準である。
問3 第三句/転句。第一・二句で春の朝のようすを述べ、第三句「夜来風雨声」で前夜の風雨へと場面が転じている。
問4 イ。春の朝のここちよい眠りと、あちこちで鳴く鳥の声を描きつつ、最後に前夜の風雨で散った花を思いやって、過ぎゆく春を惜しむ気持ちがよまれている。
問5 五言絶句/一句が五字、四句から成る。
問6 滅・雪/第二句末「滅」と第四句末「雪」が押韻している(偶数句末)。
問7 (雪の降る)冷たい川の上で、(老人が)ただひとり、雪の中で釣りをしている。
問8 イ。第一・二句で鳥の姿も人の足跡も消えた雪景色を描き、第三・四句で蓑と笠をつけた老人がただ一人小舟で釣りをするさまを描いている。
問9 五言絶句/一句が五字、四句から成る。
問10 流・楼/第二句末「流」と第四句末「楼」が押韻している(偶数句末)。第一句末「尽」は韻字ではない。
問11 対句(ついく)。二つの句で、語の種類や組み立てを互いに対応させる表現技法。
問12 千里のかなたまで見きわめたいと思って、さらにもう一階分、高い楼の上へと登る。
問13 (例)目標をいっそう高くもち、努力を重ねて、より高い境地をめざすべきだ、という向上・進歩の教え。現在でも「更に上の段階をめざす」意で広く用いられる。
問14 絶句…四句 律詩…八句。
問15 七言(しちごん)。
問16 イ(第二句と第四句)。五言の詩は原則として偶数句末で押韻する。
問17 第一句(の末字)。七言の詩では、偶数句末に加えて、ふつう第一句末でも韻を踏む。
問18 起承転結(きしょうてんけつ)。第一句=起句、第二句=承句、第三句=転句、第四句=結句。
問19 「白日」←→「黄河」/「依(山)」←→「入(海)」/「尽」←→「流」。「白日/依/山/尽」と「黄河/入/海/流」が一語ずつきれいに対応している(名詞←→名詞、動詞←→動詞)。
問20 頷聯(がんれん)と頸聯(けいれん)。律詩は二句ずつ四つの聯(首聯・頷聯・頸聯・尾聯)に分かれ、このうち頷聯(第三・四句)と頸聯(第五・六句)を対句にするのがきまりである。
問21 唐(とう)。孟浩然・柳宗元・王之渙はいずれも唐代の詩人で、漢詩は唐の時代に最も盛んになった。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。漢詩は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。
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