助動詞「る・らる」は、受身・尊敬・自発・可能の四つの意味を持ち、定期テストでは「どの意味か」「活用形は何か」「なぜ『る』か『らる』か(接続)」が必ず問われます。見分けの定番は、下に打消があれば可能、心情をあらわす語に付けば自発、敬意のある主語で「給ふ」などと重ならなければ尊敬、「(だれ)に」とあれば受身、です。活用は下二段型「れ・れ・る・るる・るれ・れよ」で、完了「り」の連体形「る」や使役・尊敬「す」との識別もねらわれます。基礎が不安な人は古文の助動詞27個を完全攻略|接続・活用・意味を体系的に整理する4ステップもあわせて確認してください。次の各例文を読み、後の問いに答えよ。
本文
① 賤しき身なれど、君に召されて宮仕へす。
② 思はぬ人に文を見られて、いとはしたなし。
③ かかるありさまを見るに、昔のこと思ひ出でられて、涙ぞこぼるる。
④ ふるさとの方を見やれば、おのづから人の恋しく思ひ知らる。
⑤ 大臣、内裏に参り給ひて、帝に拝せらる。
⑥ 殿は今ぞ起きさせ給ひて、御粥など参らるる。
⑦ かばかりの川は、いかに深くとも、馬にて渡らるべし。
⑧ 心地いと悪しくて、物も食はれず、夜もすがらまどろまれず。
⑨ 暗き道なれば、行く先も見られず、ただ手探りにぞ歩む。
⑩ をかしと思ふ折は、おのづから笑まるるものなり。
⑪ 人に「あやし」と言はれて、いと心憂し。
⑫ 春来れば、まづ花のことぞ思ひやらるる。
⑬ あまりに遠ければ、声も聞かれず、姿も見えず。
⑭ かばかりの文字は、童にても書かるべし。
※①〜⑭は「る・らる」の用法を学ぶための誰でも古典塾オリジナル例文(古文の文法にのっとった擬古文)です。実在の古典作品からの引用ではありません。
設問
- 例文①「召されて」の「れ」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その判断の根拠も簡潔に述べよ。
- 例文①「召されて」の「れ」の活用形(未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形)を答えよ。
- 例文②「見られて」の「られ」について、次の小問に答えよ。
- (1) 意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答えよ。
- (2) その意味だと判断できる理由を、「に」という語に注目して説明せよ。
- 例文②「見られて」が「れて」ではなく「られて」の形になっている理由を、動詞「見る」の活用の種類と「る・らる」の接続のきまりにふれて説明せよ。
- 例文③「思ひ出でられて」の「られ」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 例文④「思ひ知らる」の「る」について、次の小問に答えよ。
- (1) 意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答えよ。
- (2) その意味だと判断できる理由を、「心情語」「おのづから」という語にふれて説明せよ。
- 例文④「思ひ知らる」の「る」の活用形を答えよ。
- 例文⑤「拝せらる」の「らる」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 例文⑤「拝せらる」が「らる」の形(「る」ではない)になっている理由を、直前の動詞「拝す」の活用の種類にふれて説明せよ。
- 例文⑥「参らるる」の「らるる」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 例文⑥「参らるる」の「らるる」の活用形を答えよ。また、その活用形である理由(下に続く語)も述べよ。
- 例文⑦「渡らるべし」の「らる」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 例文⑦「渡らるべし」を現代語訳せよ。
- 例文⑧「食はれず」「まどろまれず」の二つの「れ」について、共通する意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠を「打消」という語を用いて述べよ。
- 例文⑨「見られず」が「れず」ではなく「られず」になっている理由を、接続のきまりにふれて説明せよ。
- 例文⑩「笑まるる」の「るる」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 例文⑪「言はれて」の「れ」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、その根拠も述べよ。
- 次の二つの「る」は、それぞれ何か。文法的な違いがわかるように説明せよ。
- (1) 例文⑪「言はれて」を「人に言はる」と言いかえたときの、終止形「言はる」の「る」。
- (2) 「花咲ける春」の「咲ける」の「る」(連体形「る」)。
- 例文⑫「思ひやらるる」の「るる」について、意味(受身・尊敬・自発・可能のいずれか)を答え、活用形もあわせて答えよ。
- 例文⑬「聞かれず」、例文⑨「見られず」、例文⑭「書かるべし」の三つについて、「る」が付いているもの(「らる」でないもの)をすべて選び、それぞれの直前の動詞の活用の種類も答えよ。
- 「る」は四段・ナ変・ラ変の未然形に接続し、「らる」はそれ以外の活用の動詞の未然形に接続する。次の動詞に「る・らる」を付けるとき、「る」が付くものをすべて選び、記号で答えよ。
- ア 思ふ(四段) イ 受く(下二段) ウ 死ぬ(ナ変) エ 見る(上一段) オ あり(ラ変) カ 寝(下二段)
- 前問21で「らる」が付く動詞を一つ選び、活用の種類とともに、なぜ「る」ではなく「らる」が付くのかを説明せよ。
- 助動詞「る・らる」の活用は、ある活用の型とまったく同じである。その活用の型の名称を答え、「る」の活用を六つの活用形の順(未然・連用・終止・連体・已然・命令)に並べて書け。
- 例文①「召さ」、例文⑥「起きさせ給ひて」には、それぞれ「す・さす(せ・させ)」の形がある。「る・らる」と「す・さす」は意味がどう違うか、「る・らる」にはない意味は何かを明らかにして簡潔に説明せよ。
- 例文①③④⑤⑥⑦⑧⑩⑪の「る・らる」を、受身・尊敬・自発・可能の四つに分類し、それぞれどの例文番号がどの意味かを整理して答えよ。
- 助動詞「る・らる」が「可能」と判断できるのはどのような場合か。本文で学んだ定番の見分け方をふまえて、一文で説明せよ。
- 助動詞「る・らる」が「自発」と判断できるのはどのような場合か。一文で説明せよ。
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問1 意味=受身。根拠=「君に召されて」は「主君にお呼び出しになられて」で、「君に(=主君によって)」という動作主を示す「に」があり、呼ばれる側の動作だから受身。
問2 連用形。下に接続助詞「て」が続いているので連用形「れ」。
問3 (1) 受身。 (2) 「思はぬ人に文を見られて」は「思いもしない人に手紙を見られて」で、「人に(=人によって)」という動作主を示す「に」があるから受身。「(だれ)に」があれば受身、が定番。
問4 「見る」は上一段活用の動詞であり、四段・ナ変・ラ変のいずれでもない。「らる」は四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続するので、「見る」の未然形「見」には「る」ではなく「らる」が付き、「見られ」となる。
問5 意味=自発。根拠=「昔のこと思ひ出でられて」は「昔のことが自然と思い出されて」で、「思ひ出づ」という心の働きをあらわす語に付き、「自然と~される」の意味になるから自発。
問6 (1) 自発。 (2) 「思ひ知る(しみじみ感じる)」という心情語に付いており、さらに「おのづから(自然と)」という語があるので、「自然と恋しく思われる」という自発の意味になる。心情語+「おのづから」は自発の典型。
問7 終止形。文末で言い切っているので終止形「る」。
問8 意味=尊敬。根拠=主語が「大臣」という敬意を払うべき人物で、「内裏に参り給ひて、帝に拝せらる」と動作主への敬意を表しており、「お拝みになる」と訳せるから尊敬。(「帝に」は拝む対象であって動作主ではない点に注意。)
問9 「拝す」はサ変(サ行変格)活用の動詞で、四段・ナ変・ラ変のいずれでもない。よって未然形「拝せ」には「る」ではなく「らる」が付き、「拝せらる」となる。
問10 意味=尊敬。根拠=主語が「殿」という高貴な人物で、「御粥など参らるる」は「お粥などを召し上がる」と訳せ、動作主(殿)への敬意を表すから尊敬。
問11 連体形。理由=「御粥など参らるる」は、係助詞「ぞ」(例文⑥前半「今ぞ」)の結びにあたり、連体形で結んでいる。(「ぞ」の係り結びにより連体形「るる」となる。)
問12 意味=可能。根拠=「いかに深くとも、馬にて渡らるべし」は「どんなに深くとも、馬で渡ることができるだろう」で、「~できる」という可能の意味になるから。(中世以降、可能は打消なしでも用いられる。)
問13 (訳例)「これほどの川は、どんなに深くても、馬で渡ることができるだろう。」
問14 意味=可能。根拠=「物も食はれず」「まどろまれず」は、下に打消「ず」を伴って「食べることもできず」「うとうとすることもできず」の意味になるから。下に打消があれば可能、が定番。
問15 「見る」は上一段活用で、四段・ナ変・ラ変のいずれでもない。「らる」は四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続するので、未然形「見」に「らる」が付き、「見られず」となる。
問16 意味=自発。根拠=「をかしと思ふ折はおのづから笑まるる」は「おもしろいと思うときは自然とほほえまれる」で、「笑む」という心の動きに付き、「おのづから」もあるので、「自然と~される」の自発。
問17 意味=受身。根拠=「人に『あやし』と言はれて」は「人に『変だ』と言われて」で、「人に(=人によって)」という動作主を示す「に」があるから受身。
問18 (1) 受身の助動詞「る」の終止形。「言はる」は動詞「言ふ」の未然形「言は」+助動詞「る」で「(人に)言われる」の意味。 (2) 完了(存続)の助動詞「り」の連体形「る」。「咲ける」は動詞「咲く」の已然形(命令形)「咲け」+「り」の連体形「る」で、「咲いている(春)」の意味。両者は付く語(受身「る」は未然形接続、完了「り」は四段已然形・サ変未然形接続)も意味(「~される」か「~した・~している」か)も異なる。
問19 意味=自発、活用形=連体形。「春来れば、まづ花のことぞ思ひやらるる」は「春が来ると、まず花のことが自然と思いやられる」で、心の働きに付く自発。係助詞「ぞ」の結びで連体形「るる」になっている。
問20 「る」が付いているもの=例文⑬「聞かれず」(「聞く」=四段活用)と例文⑭「書かるべし」(「書く」=四段活用)。例文⑨「見られず」は「見る」(上一段活用)なので「らる」。
問21 ア・ウ・オ。「る」は四段(ア 思ふ)・ナ変(ウ 死ぬ)・ラ変(オ あり)の未然形に付く。イ 受く(下二段)・エ 見る(上一段)・カ 寝(下二段)には「らる」が付く。
問22 (解答例)イ「受く」は下二段活用で、四段・ナ変・ラ変のいずれにも当たらない。「らる」は四段・ナ変・ラ変以外の未然形に接続するきまりなので、「受く」の未然形「受け」には「る」ではなく「らる」が付き、「受けらる」となる。(エ「見る」上一段、カ「寝」下二段も同様に「らる」。)
問23 活用の型=下二段(活用)型。「る」の活用=れ・れ・る・るる・るれ・れよ(未然「れ」/連用「れ」/終止「る」/連体「るる」/已然「るれ」/命令「れよ」)。
問24 (解答例)「す・さす(せ・させ)」は使役(~させる)・尊敬の意味を持つが、「る・らる」には使役の意味はなく、受身・尊敬・自発・可能のいずれかにしかならない。よって、ある語に付く助動詞が使役の意味かどうかで「す・さす」か「る・らる」かを区別できる。例文①「召さ」は動詞「召す」自体、例文⑥「起きさせ給ひ」の「させ」は使役(または尊敬)の「さす」で、「る・らる」とは別の助動詞である。
問25 (整理)受身=①「召されて」・⑪「言はれて」/尊敬=⑤「拝せらる」・⑥「参らるる」/自発=③「思ひ出でられて」・④「思ひ知らる」・⑩「笑まるる」/可能=⑦「渡らるべし」・⑧「食はれず/まどろまれず」。
問26 (解答例)すぐ下に打消の語(ず・じなど)があり、「~することができない(できる)」という意味になるとき、「る・らる」は可能と判断できる。
問27 (解答例)「思ふ」「思ひ出づ」「思ひ知る」「笑む」など心の動きをあらわす心情語に付き、「おのづから(自然と)」とともに「自然と~される」という意味になるとき、「る・らる」は自発と判断できる。
※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。本文の引用は古典作品(著作権の対象外)から正確に行っています。
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