使役・尊敬(尊敬になるのは、下に尊敬語が付き、させる相手がいないとき=最高敬語・二重尊敬)を100問で見分ける
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このドリルでわかること
はじめに:「す・さす・しむ」の2用法
「す」「さす」「しむ」は古文の助動詞で、 2つの意味 を持つ。
| 用法 | 訳 | 判別ポイント |
|---|---|---|
| ① 使役 | 〜させる | 動作主が別の人 |
| ② 尊敬 | お〜になる | 主語が高貴+下に尊敬語+させる相手がいない |
接続
- す:四段・ナ変・ラ変の 未然形
- さす:その他の 未然形
- しむ:すべての動詞の 未然形(漢文訓読体で多い)
活用はどれも下二段型(す:せ・せ・す・する・すれ・せよ/さす:させ・させ・さす・さする・さすれ・させよ/しむ:しめ・しめ・しむ・しむる・しむれ・しめよ)。「たまふ」「けり」「つ」の上の「せ・させ・しめ」は 連用形。
識別の鉄則
- 下に尊敬語(給ふ・おはします)+主語が高貴+させる相手がいない → 尊敬の二重敬語
- 動作主が別の人(させる相手がいる) → 使役(下に尊敬語があっても使役)
- 下に尊敬語がない → ほぼ確実に使役
「せたまふ」「させたまふ」「しめたまふ」は 二重敬語の典型の形。ただし、させる相手がいれば使役+尊敬になる。
二重敬語の見分け方
尊敬の二重敬語: – 主語が帝・中宮・東宮・摂関大臣など最高位 – 下に「給ふ」「おはします」が続く – させる相手(「人に」「人をして」)がなく、主語が自分で動作する – 訳:「お〜になる」「〜なさる」
使役: – 主語が高貴でも、動作主が下の人 – 例:「家臣に書かせたまふ」 → 家臣が書く(使役)
→ 文脈で動作主を見極めることが重要。
上の「識別の鉄則」は、文法の理屈にそった見分け方。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。
コツ① 「す/さす/しむ」の 直後に尊敬語があるか をまず見る
- 直後が 「給ふ/おはす/たまふ/おはします」 → 尊敬の可能性大(二重敬語)
- 直後が 尊敬語以外(句点・助動詞「けり・つ・たり」・接続助詞「て」など) → 使役で確定「〜させる」
- 下に尊敬語がなければ、これだけで答えが決まる(ただし「〜せば…まし」の「せ」は過去「き」の未然形。下の「よくある引っかけ」を参照)。
コツ② 尊敬語が下にあっても 動作主 を見て使役か尊敬か決める
- 「せ給ふ/させ給ふ/しめ給ふ」が出てきたら、主語=動作主 か確認
- 帝・中宮・東宮が 自分で 動作している → 尊敬の二重敬語「お〜になる」
- 主語は貴人だが、別の人(家臣・女房)に やらせている → 使役+尊敬
- 「○○に書かせたまふ」のように、させる相手を表す 「(人)に」「(人)をして」 があれば使役確定。ただし「御車に乗らせたまふ」「内裏に参らせたまふ」の「に」は場所・行き先、「女房に琴を教ふ」「神に祈る」の「に」は教わる相手・祈る相手で、させる相手ではない。「みづから」があれば、主語が自分で動作している(尊敬)。
- 「馬を走らせたまふ」のように、自動詞(走る・眠る・住む・遊ぶ など)の動作をする人・物が「〜を」で書かれていれば、それがさせる相手(使役)。「御階を上る」の「を」は通る所で、させる相手ではない。
コツ③ 「しむ」は 漢文訓読体 の合図
- 「しむ」を見たら出典が 漢文訓読・記録体・軍記 の可能性が高い。
- 訳語は基本「使役」優先。「しめたまふ」でも、させる相手(〜をして・〜に)がなく、高貴な主語が自分で動作するときだけ尊敬(最高敬語)。
コツ④ 二重敬語が成立する 主語の位置 を覚える
- 天皇(帝・上〈うへ〉)・上皇(院)・中宮・后・東宮 → 二重敬語の対象
- 摂関・大臣も対象になるが、文脈で「特別な尊敬」かを判断
- 地の文では、それより下の貴族(大将・中納言など)に二重敬語はふつう使わない → 「せたまふ」は 使役+「たまふ」(その人への尊敬)で訳す
試験本番でのチェック順序
- 直後に 尊敬語(給ふ・おはします) があるか確認
- なければ → 使役で確定(「〜せば…まし」の過去「き」は別)
- あれば、させる相手(「人に」「人をして」、自動詞の動作をする「〜を」。場所・行き先や教わる相手などの「に」は別=コツ②)がいるか見る → いれば 使役(「たまふ」は、させる側の主語への敬意)
- いなければ主語を見る → 最高位の貴人で自分が動作している → 尊敬の二重敬語
→ この順番で見れば、すばやく答えが出ます。
よくある引っかけ
- 「仰せらる」は「仰す」自体が尊敬語で、その後の「らる」も尊敬。「す・さす」とは別物
- 「せ給ふ」が必ず二重敬語とは限らない → 動作主が別人なら使役+尊敬
- 「しめ給ふ」は漢文系の文に多い形。させる相手(「〜をして」など)がいれば使役+尊敬、いなければ二重敬語。和文ではあまり見ない
- 「思す(おぼす)」「仰す(おほす)」は 一語の尊敬動詞 で「す・さす」ではない
- 「御覧ぜさす」は「御覧ず(ご覧になる)」+使役「さす」で「お見せ申し上げる(お目にかける)」。尊敬ではない
- 「せ」には、サ変動詞「す」の未然形(「物語せさせたまふ」)や、過去「き」の未然形(「〜せば…まし」)もある。サ変の未然形は「せ」なので、サ変動詞には「〜せさす」「〜せしむ」の形で付く
🎯 解き方のコツ(時短テクニック)
問題(Q1〜Q100)
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【第1部】基礎編(Q1〜Q20)
二重敬語の典型/単純使役を識別する基礎問題。
Q1.次の傍線部「せ」を識別せよ。
主、家臣に物を取らせたまふ。
答え:使役 解説:「取ら」四段未然+「せ」+尊敬「たまふ」。動作主は家臣。「家臣に取らせなさる」。
Q2.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、御文を書かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「書か」未然+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。「たまふ」は連用形に付くので「せ」は連用形。させる相手(〜に)がなく、主語が帝(高貴)。「お書きになる」。
Q3.次の傍線部「させ」を識別せよ。
中宮、つれづれとながめさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「ながめ」(下二段「ながむ」未然)+「させ」(尊敬「さす」連用)+「たまふ」。させる相手がなく、ながめるのは中宮自身。「所在なく物思いにふけって、(外を)ながめていらっしゃる」。
Q4.次の傍線部「しむ」を識別せよ。
母、子に念仏せしむ。
答え:使役 解説:「念仏せ」(サ変「念仏す」未然)+「しむ」(使役・終止形)。下に尊敬語なし。「子に」がさせる相手。「子に念仏をさせる」。
Q5.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、御心を静めさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「静め」(下二段「静む」未然)+「させ」(尊敬「さす」連用)+「たまふ」。させる相手がなく、心を静めるのは帝自身。「お心をお静めになる」。
Q6.次の傍線部「せ」を識別せよ。
翁、童に水を汲ませけり。
答え:使役 解説:「汲ま」(四段「汲む」未然)+「せ」(使役「す」連用)+「けり」。下に尊敬語なし。「童に」がさせる相手。「翁は童に水を汲ませた」。
Q7.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、出でさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「出で」(下二段「出づ」未然)+「させ」+「たまふ」。「お出になる」。
Q8.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
親、子に書を学ばしめけり。
答え:使役 解説:「学ば」未然+「しめ」(「しむ」連用)+「けり」。動作主は子。「子に書を学ばせた」。
Q9.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中納言、女房に御返り書かせたまふ。
答え:使役 解説:「書か」(四段未然)+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「女房に」がさせる相手で、書くのは女房(代筆)。「たまふ」は中納言への尊敬。「女房にお返事を書かせなさる」。
Q10.次の傍線部「せ」を識別せよ。
主、馬を走らせたまふ。
答え:使役 解説:「走ら」未然+「せ」(使役)+「たまふ」。走る動作主は馬。
Q11.次の傍線部「せ」を識別せよ。
神、雨を降らせたまふ。
答え:使役 解説:「降ら」未然+「せ」+「たまふ」。神の力で雨を降らせる=使役。
Q12.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、嘆かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「嘆か」未然+「せ」+「たまふ」。主語が帝。「お嘆きになる」。
Q13.次の傍線部「せ」を識別せよ。
子を眠らせたまふ。
答え:使役 解説:「眠ら」未然+「せ」(使役)+「たまふ」。眠る動作主は子。
Q14.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、御琴弾かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「弾か」未然+「せ」+「たまふ」。主語が院(高貴)。
Q15.次の傍線部「せ」を識別せよ。
朝廷、僧を召させたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「召さ」(四段「召す」未然)+尊敬「す」連用「せ」+「たまふ」。動作の主体は朝廷側で、僧は召される対象。「(朝廷が)僧をお召しになる」。
Q16.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、花の宴を楽しませたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「楽しま」(四段「楽しむ」未然)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。させる相手がなく、楽しむのは帝自身。「花の宴をお楽しみになる」。
Q17.次の傍線部「せ」を識別せよ。
老人、子を殿に仕へまつらせたり。
答え:使役 解説:「仕へまつら」(四段「仕へまつる」未然)+「せ」(使役「す」連用)+「たり」(存続)。下に尊敬語なし。「仕へまつる」は自動詞なので「子を」がさせる相手。「子を殿にお仕えさせている」。
Q18.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、御物の怪に苦しませたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「苦しま」四段未然+「せ」+「たまふ」。「御物の怪に」は苦しむ原因で、させる相手ではない。苦しむのは中宮自身。「物の怪にお苦しみになる」。
Q19.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、御階を上らせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「上ら」未然+「せ」+「たまふ」。「御階を」は上る場所で、させる相手ではない。上るのは院自身。「お上りになる」。
Q20.次の傍線部「さす」を識別せよ。
兄に弟を慰めさす。
答え:使役 解説:「慰め」下二段未然+「さす」(使役終止)。下に尊敬語なし。「兄に弟を慰めさせる」。
基礎編 /20
【第2部】標準編(Q21〜Q50)
動作主の判別、敬意の方向、複合動詞下接など。
Q21.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、女房に歌詠ませたまふ。
答え:使役 解説:「詠ま」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は女房。「女房に歌を詠ませなさる」。主語が高貴でも動作主が別人なら使役。
Q22.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、御車に乗らせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「乗ら」未然+「せ」+「たまふ」。「御車に」は乗る所で、させる相手ではない。動作主は院自身。「お乗りになる」。
Q23.次の傍線部「させ」を識別せよ。
后、女房に御簾を上げさせたまふ。
答え:使役 解説:「上げ」下二段未然+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまふ」。「女房に」がさせる相手。「女房に御簾を上げさせなさる」。
Q24.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、御前の庭におりさせたまへり。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「おり」(上二段「おる(下る)」未然形)+尊敬「さす」連用形「させ」+「たまへり」。「さす」は未然形に付き、「たまふ」は連用形に付くので、「させ」は連用形。「庭に」は行き先で、させる相手ではない。おりるのは院自身。「お庭におりていらっしゃる」。
Q25.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
帝、群臣をして政を執らしめたまふ。
答え:使役 解説:「執ら」未然+「しめ」+「たまふ」。「をして〜しむ」は漢文訓読体の使役の典型。動作主は群臣。
Q26.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、御涙を流させたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「流さ」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は帝自身。「涙をお流しになる」。
Q27.次の傍線部「せ」を識別せよ。
主、舎人に火をともさせたまふ。
答え:使役 解説:「ともさ」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は舎人。
Q28.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、僧をして経を読ませたまふ。
答え:使役 解説:「読ま」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は僧。
Q29.次の傍線部「させ」を識別せよ。
上、夢覚めさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「覚め」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は上自身。
Q30.次の傍線部「しむ」を識別せよ。
子弟をして学を好ましむべし。
答え:使役 解説:「好ま」未然+「しむ」(終止)+「べし」(終止形に付く)。「子弟をして」がさせる相手。漢文訓読体。「若者たちに学問を好むようにさせるのがよい」。
Q31.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、いみじう物思はせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「物思は」(四段「物思ふ」未然)+「せ」+「たまふ」。させる相手がなく、物思いをするのは帝自身。「ひどく物思いをなさる」。
Q32.次の傍線部「せ」を識別せよ。
親、子に物言はせつ。
答え:使役 解説:「言は」未然+使役「す」連用「せ」+「つ」(完了)。下に尊敬語なし。「子に物を言わせた」。
Q33.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、人々に酒を飲ませたまひて、みづからも歌詠ませたまふ。
答え:(前者)使役/(後者)尊敬(二重敬語) 解説:前者は「飲ま」(四段未然)+使役「す」連用形「せ」+「たまひ」。「人々に」がさせる相手。後者は「詠ま」(四段未然)+尊敬「す」連用形「せ」+「たまふ」。「みづからも」とあり、詠むのは院自身。「人々に酒を飲ませなさって、ご自身も歌をお詠みになる」。
Q34.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、内裏に参らせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「参ら」(四段「参る」未然・謙譲語)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。「内裏に」は行き先で、させる相手ではない。参内するのは中宮自身。「参る」は行き先の帝への、「せたまふ」は中宮への敬意。「宮中に参上なさる」。
Q35.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、笛吹かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「吹か」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は上自身。「お吹きになる」。
Q36.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、人をして文ばこを持たせたまふ。
答え:使役 解説:「持た」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は人。「人に文箱を持たせなさる」。
Q37.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、御簾の内に入らせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「入ら」未然+「せ」+「たまふ」。「御簾の内に」は場所で、させる相手ではない。動作主は中宮ご自身。
Q38.次の傍線部「させ」を識別せよ。
后、僧に祈祷せさせたまふ。
答え:使役 解説:「せ」(サ変未然)+「させ」+「たまふ」。動作主は僧。「祈祷させなさる」。
Q39.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
人をして書かしめたまふ。
答え:使役 解説:「書か」未然+「しめ」+「たまふ」。「人をして〜しむ」は漢文訓読体の使役。
Q40.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、月を御覧じて、ひとりごたせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「ひとりごた」(四段「ひとりごつ」未然)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。させる相手がなく、独り言を言うのは帝自身。「月をご覧になって、独り言をおっしゃる」。
Q41.次の傍線部「させ」を識別せよ。
上、楽人に楽奏でさせたまふ。
答え:使役 解説:「奏で」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は楽人。
Q42.次の傍線部「させ」を識別せよ。
大臣、牛飼に御車寄せさせたまへり。
答え:使役 解説:「寄せ」下二段未然+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまへり」。「牛飼に」がさせる相手。「牛飼に車を寄せさせなさった」。
Q43.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、女房に御髪梳らせたまふ。
答え:使役 解説:「梳ら」(四段「梳る」未然)+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「女房に」がさせる相手。「女房に御髪をとかさせなさる」。
Q44.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、御目開けさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「開け」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は院自身。
Q45.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
帝、みづから国を治めしめたまふ。
答え:尊敬(漢文訓読体の最高敬意) 解説:「治め」未然+「しめ」+「たまふ」。「みづから」とあり、治めるのは帝自身(させる相手がない)。「しめたまふ」は漢文訓読体で最高敬語として用いられる。「ご自身で国をお治めになる」。
Q46.次の傍線部「せ」を識別せよ。
主、馬を引かせけり。
答え:使役 解説:「引か」未然+「せ」+「けり」。下に尊敬語なし。
Q47.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、女房たちを御前に候はせたまふ。
答え:使役 解説:「候は」(四段「候ふ」未然)+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「候ふ(お仕えする・控える)」は自動詞なので、「女房たちを」がさせる相手。「女房たちをおそばに控えさせなさる」。
Q48.次の傍線部「させ」を識別せよ。
中宮、御簾のもとにゐざり出でさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「ゐざり出で」(下二段「ゐざり出づ」未然)+「させ」(尊敬「さす」連用形)+「たまふ」。「御簾のもとに」は行き先で、させる相手ではない。動作主は中宮自身。「御簾の近くまで、膝をついて進み出ていらっしゃる」。
Q49.次の傍線部「せ」を識別せよ。
母君、姫君に手を習はせたまふ。
答え:使役 解説:「習は」(四段「習ふ」未然)+使役「す」連用「せ」+「たまふ」。「姫君に」がさせる相手。「手」は文字(習字)。「姫君に習字を習わせなさる」。
Q50.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、御覧じて、うち笑はせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「うち笑は」(四段「うち笑ふ」未然)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。笑うのは上自身(させる相手がない)。「ご覧になって、ちょっとお笑いになる」。
標準編 /30
【第3部】応用編(Q51〜Q80)
文脈で動作主を判定する応用問題、複合動詞・サ変動詞に付く形、源氏物語の本文。
Q51.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、月を愛でさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「愛で」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は帝自身。
Q52.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、人々をして御遊び始めさせたまふ。
答え:使役 解説:「始め」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は人々。
Q53.次の傍線部「させ」を識別せよ。
中宮、御物語せさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「せ」サ変未然+「させ」+「たまふ」。動作主は中宮ご自身。
Q54.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝の御使ひに侍りせば、かくはあらざらまし。
答え:(参考)過去「き」未然形「せ」 解説:これは「す・さす・しむ」ではない。「侍り」(ラ変連用形)+過去「き」未然形「せ」+「ば」で、「せば〜まし」の反実仮想。「もし帝のお使いとしてお仕えしていたなら、こうではなかっただろうに」。使役の「す」なら未然形に付いて「侍らせ」になる。引っかけ問題。
Q55.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、御身浄めさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「浄め」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は帝自身。
Q56.次の傍線部「せ」を識別せよ。
母、子の手を引かせつ。
答え:使役 解説:「引か」未然+「せ」+「つ」。下に尊敬語なし。「子の手を引かせた」。
Q57.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
主君、家臣に城を築かしめたまふ。
答え:使役 解説:「築か」未然+「しめ」+「たまふ」。動作主は家臣。
Q58.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、御涙さしぐませたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「さしぐま」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は院自身。
Q59.次の傍線部「せ」を識別せよ。
大将、随身に人々を呼ばせたまふ。
答え:使役 解説:「呼ば」未然+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「随身に」がさせる相手(「人々を」は呼ばれる側)。「随身に人々を呼ばせなさる」。
Q60.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、人をして御文届けさせたまふ。
答え:使役 解説:「届け」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は人。
Q61.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、物音にいみじう驚かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「驚か」(四段「驚く」未然)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。「物音に」は驚く原因で、させる相手ではない。驚くのは中宮自身。「物音にたいそうお驚きになる」。
Q62.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、御文を取り出ださせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「取り出ださ」(四段「取り出だす」未然形)+尊敬「す」連用形「せ」+「たまふ」。動作主は上自身。
Q63.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、御酒にいたく酔はせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「酔は」(四段「酔ふ」未然形)+尊敬「す」連用形「せ」+「たまふ」。「御酒に」は酔う原因で、させる相手ではない。酔うのは院自身。「お酒にひどくお酔いになる」。
Q64.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、みづから若き女房に琴を教へさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「教へ」下二段未然+「させ」(尊敬「さす」連用形)+「たまふ」。「女房に」は教わる相手で、させる相手ではない。「みづから」とあり、教えるのは帝自身。「ご自身で若い女房に琴をお教えになる」。
Q65.次の傍線部「せ」を識別せよ。
御乳母に若宮を抱かせたまふ。
答え:使役 解説:「抱か」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は御乳母。
Q66.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、宴を催させたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「催さ」(四段「催す」未然)+「せ」+「たまふ」。動作主は帝自身(催す主体)。
Q67.次の傍線部「させ」を識別せよ。
上、蔵人に、かの童を御前近く呼び寄せさせたまふ。
答え:使役 解説:「呼び寄せ」(下二段「呼び寄す」未然)+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまふ」。「蔵人に」がさせる相手(「童を」は呼ばれる側)。「蔵人に、あの童をおそば近くに呼び寄せさせなさる」。
Q68.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、御念誦せさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「念誦せ」サ変未然+「させ」+「たまふ」。動作主は院自身。
Q69.次の傍線部「させ」を識別せよ。
主、童に文届けさせたり。
答え:使役 解説:「届け」下二段未然+「させ」+「たり」。下に尊敬語なし。動作主は童。
Q70.次の傍線部「させ」を識別せよ。
上、御袖を顔に押し当てさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「押し当て」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は上自身。
Q71.次の傍線部「せ」を識別せよ。
国王、神に祈らせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「祈ら」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は国王自身。「お祈りになる」。
Q72.次の傍線部「せ」を識別せよ。
大臣、舞人に舞はせたまふ。
答え:使役 解説:「舞は」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は舞人。
Q73.次の傍線部「さす」を識別せよ。
かの贈り物御覧ぜさす。(源氏物語・桐壺)
答え:使役 解説:「御覧ぜ」(サ変「御覧ず」未然形。「見る」の尊敬語)+使役「さす」(終止形)。下に尊敬語がない。帝に「ご覧にならせる」=「お見せ申し上げる(お目にかける)」。主語は、帝の使いから戻った命婦。「あの贈り物を(帝に)お目にかける」。
Q74.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
帝、近臣をして御使ひに行かしめたまふ。
答え:使役 解説:「行か」未然+「しめ」+「たまふ」。「をして〜しむ」漢文訓読の使役。
Q75.次の傍線部「せ」を識別せよ。
命婦は、まだ大殿籠らせたまはざりけると、あはれに見たてまつる。(源氏物語・桐壺)
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「大殿籠ら」(四段「大殿籠る」未然形。「寝」の尊敬語)+尊敬「す」連用形「せ」+「たまは」+「ざり」+「ける」。「命婦は」は「見たてまつる」の主語で、おやすみにならないのは帝。尊敬語「大殿籠る」に「せたまふ」を重ねた最高敬語。「命婦は、(帝が)まだおやすみになっていなかったのだと、しみじみと拝見する」。
Q76.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、童を御前に遊ばせたまふ。
答え:使役 解説:「遊ば」未然+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「遊ぶ」は自動詞なので、「童を」がさせる相手。「童を御前で遊ばせなさる」。
Q77.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、御物思ひ晴らさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「晴らさ」(四段「晴らす」未然)+「せ」+「たまふ」。動作主は上自身。
Q78.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、御輿に乗り換へさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「乗り換へ」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は帝自身。
Q79.次の傍線部「せ」を識別せよ。
東宮、御涙ぬぐはせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「ぬぐは」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は東宮自身。
Q80.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、女御を御所に住ませたまふ。
答え:使役 解説:「住ま」(四段「住む」未然)+使役「す」連用「せ」+「たまふ」。動作主は女御。「女御を御所に住まわせなさる」。
応用編 /30
【第4部】入試レベル(Q81〜Q100)
入試レベルの文脈判定・敬語の重なり(最高敬語)・誤読しやすい問題。
Q81.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上は、いと思しめし嘆かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「思しめし嘆か」(四段「思しめし嘆く」未然形)+尊敬「す」連用形「せ」+「たまふ」。「思しめし」はすでに尊敬語だが、さらに「せたまふ」を重ねた最高敬語。させる相手もない。「上は、たいそうお嘆きになる」。
Q82.次の傍線部「せ」を識別せよ。
大臣、御使ひを急ぎ宮中へ参らせたまふ。
答え:使役 解説:「参ら」(四段「参る」未然)+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」。「参る」は自動詞なので、「御使ひを」が参上する人(させる相手)。「たまふ」は大臣への尊敬。「使者を急いで宮中へ参上させなさる」。
Q83.次の傍線部「させ」を識別せよ。
大臣、御娘を入内せさせたまふ。
答え:使役 解説:「入内せ」(サ変「入内す」未然形)+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまふ」。古文のサ変の未然形は「せ」なので「入内せさす」となる。「入内す」は自動詞なので「御娘を」がさせる相手。「娘を入内させなさる」。
Q84.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、夜もすがら思ひ明かさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「思ひ明かさ」(四段「思ひ明かす」未然形)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまふ」。させる相手がなく、思い明かすのは院自身。「一晩中もの思いをして夜をお明かしになる」。
Q85.次の傍線部「させ」を識別せよ。
母宮、若宮を湯浴みせさせたまふ。
答え:使役 解説:「湯浴みせ」(サ変「湯浴みす」未然形)+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまふ」。「湯浴みす」は自動詞なので「若宮を」がさせる相手。「若宮を湯浴みさせなさる(お湯に入れなさる)」。
Q86.次の傍線部「せ」を識別せよ。
中宮、御乳母をして御文奉らせたまふ。
答え:使役 解説:「奉ら」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は乳母。「乳母に(相手の方へ)お手紙を差し上げさせなさる」。
Q87.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院は、世の中を心憂く思しめして、しばし御寺に籠もらせたまへり。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「籠もら」(四段「籠もる」未然形)+「せ」(尊敬「す」連用形)+「たまへ」+「り」。「御寺に」は場所で、させる相手ではない。籠もるのは院自身(「思しめし」も院の動作)。「世の中をつらくお思いになって、しばらくお寺にこもっていらっしゃる」。
Q88.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、御位を譲らせたまひぬ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「譲ら」未然+尊敬「す」連用「せ」+「たまふ」。動作主は帝自身。「ご譲位なさった」。
Q89.次の傍線部「させ」を識別せよ。
大将、人をして御消息伝へさせたまふ。
答え:使役 解説:「伝へ」下二段未然+「させ」+「たまふ」。動作主は人。
Q90.次の傍線部「させ」を識別せよ。
后の宮、いとめでたく見えさせおはします。
答え:尊敬(最高敬語) 解説:「見え」(下二段「見ゆ」未然形)+「させ」(尊敬「さす」連用形)+「おはします」。「させおはします」も二重敬語(最高敬語)。見えるのは后の宮自身(させる相手がない)。「たいそうすばらしくお見えになる」。
Q91.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
帝、公卿をして御階を上らしめたまふ。
答え:使役 解説:「上ら」未然+「しめ」+「たまふ」。動作主は公卿。漢文訓読体使役。
Q92.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、姫君を御膝に乗せさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「乗せ」(下二段「乗す」未然)+「させ」(尊敬「さす」連用形)+「たまふ」。「乗す」は他動詞(乗せる)なので、「姫君を」は乗せられる人で、させる相手ではない。動作主は院。「(姫君を)膝にお乗せになる」。
Q93.次の傍線部「せ」を識別せよ。
帝、池の鯉を女房に養はせたまふ。
答え:使役 解説:「養は」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は女房。
Q94.次の傍線部「せ」を識別せよ。
上、御心地悩ませたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「悩ま」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は上自身。「お悩みになる」。
Q95.次の傍線部「せ」を識別せよ。
大臣、家司どもに、賀茂詣での御設けを急がせたまふ。
答え:使役 解説:「急が」(四段「急ぐ」未然形。ここは「準備する」)+「せ」(使役「す」連用形)+「たまふ」(大臣への尊敬)。「家司どもに」がさせる相手。「家司たちに、賀茂神社へのお参りの準備を急がせなさる」。
Q96.次の傍線部「せ」を識別せよ。
院、いみじう泣かせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「泣か」未然+「せ」+「たまふ」。動作主は院自身。「ひどくお泣きになる」。
Q97.次の傍線部「させ」を識別せよ。
大臣、人々に殿のしつらひを改めさせたまふ。
答え:使役 解説:「改め」(下二段「改む」未然)+「させ」(使役「さす」連用形)+「たまふ」。「人々に」がさせる相手。「人々に屋敷の飾りつけを改めさせなさる」。
Q98.次の傍線部「させ」を識別せよ。
院、家人に御琴のしらべ整へさせたまふ。
答え:使役 解説:「整へ」(下二段「整ふ」未然)+使役「さす」連用「させ」+「たまふ」。「家人に」が動作主を明示している。「家人に御琴の調子を整えさせなさる」。
Q99.次の傍線部「しめ」を識別せよ。
帝、石清水に行幸せしめたまふ。
答え:尊敬(最高敬語、漢文訓読体) 解説:「行幸せ」(サ変「行幸す」未然形)+「しめ」(尊敬「しむ」連用形)+「たまふ」。行幸は帝ご自身のお出かけなので、させる相手はない。漢文訓読体での最高敬意。「石清水八幡宮にお出かけになる」。
Q100.次の傍線部「させ」を識別せよ。
帝、この歌を聞こしめして、いみじう感ぜさせたまふ。
答え:尊敬(二重敬語) 解説:「感ぜ」(サ変「感ず」未然形)+「させ」(尊敬「さす」連用形)+「たまふ」。サ変には「さす」が付く。させる相手がなく、感心するのは帝自身(「聞こしめし」も帝の動作)。「この歌をお聞きになって、たいそう感心なさる」。
入試レベル /20
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