鶏鳴狗盗 テスト対策問題28問|句法別・縦書きPDF

漢文『鶏鳴狗盗』をやさしく解説|書き下し文・現代語訳・句法のポイント 定期テスト対策

高校漢文の定番教材、史記『鶏鳴狗盗(けいめいくとう)』(孟嘗君列伝)の定期テスト対策問題です。この場面は、句法がはっきりねらわれます。冒頭の使役「人をして…求めしむ」、幸姫の願望「願はくは君の狐白裘を得ん」、二度くり返される「客に能く〜を為す者有り」——この三つは、書き下し・口語訳・句法名のどの形で出されてもおかしくありません。さらに「方(まさ)に」「果たして」「蓋(けだ)し」「即(すなは)ち」といった、意味を取りちがえやすい語もそろっています。

ここでは本文の傍線①〜⑮をたどりながら、語句・句法・指示内容・口語訳・記述・故事成語の順に全28問で総点検します。本番と同じ縦書きの問題編PDFと、解答・現代語訳つきの解答編PDFはどちらも無料。印刷して、実際に手を動かして解いてください。二人の食客のどちらが「釈放」を、どちらが「脱出」を実現したのかも、解きながらはっきりします。

先に話の流れをつかみたい人は、史記『鶏鳴狗盗』|書き下し文・現代語訳・句法のポイントへ。白文と書き下し文を見くらべてから戻ってくると、設問がぐっと解きやすくなります。

白文(原文)

孟嘗君、使人抵昭王幸姫求解。姫曰、「願得君狐白裘。」蓋孟嘗君、嘗以献昭王、無他裘矣。客有能為狗盗者。入秦蔵中、取裘以献姫。姫為言、得釈。即馳去、変姓名、夜半至函谷関。関法、鶏鳴方出客。恐秦王後悔追之。客有能為鶏鳴者。鶏尽鳴。遂発伝出。食頃、追者果至、而不及。

書き下し文(傍線①〜⑮)

孟嘗君(まうしやうくん)、人をして昭王(せうわう)の幸姫(かうき)に抵(いた)りて解(と)かんことを求めしむ。姫曰(い)はく、「願はくは君の狐白裘(こはくきう)を得(え)ん。」と。蓋(けだ)し孟嘗君、嘗(かつ)て以(もつ)て昭王に献(けん)じ、他の裘(きう)無し
客に能(よ)く狗盗(くたう)を為(な)す者有り。秦(しん)の蔵中(ざうちゆう)に入り、裘を取りて以て姫に献ず。姫為(ため)に言ひ釈(ゆる)さるるを得たり
即(すなは)ち馳(は)せ去り、姓名を変じ、夜半(やはん)に函谷関(かんこくくわん)に至る。関の法、鶏(にはとり)鳴きて方(まさ)に客を出だす。秦王の後悔して之(これ)を追はんことを恐る客に能く鶏鳴(けいめい)を為す者有り。鶏(にはとり)尽(ことごと)く鳴く。遂(つひ)に伝(でん)を発して出づ。食頃(しよくけい)にして、追ふ者果たして至るも、及ばず

語注 孟嘗君=斉(せい)の公子。多くの食客(しよつかく)をかかえたことで知られる。 昭王=秦の王。招いた孟嘗君を、のちに捕らえた。 幸姫=王に寵愛(ちようあい)されている側女(そばめ)。 抵る=行きつく。たずねて行く。 狐白裘=狐の脇の下の白い毛だけを集めて作った、最高級の皮ごろも。 裘=毛皮の衣。 客=この文章では二つの意味で出てくる。「鶏鳴きて方に客を出だす」の「客」は、関所を通る旅人・通行人のこと。⑤⑬の「客」はこれとは別の意味なので、本文から考えること。 狗盗=犬のように忍び込んで盗みをはたらくこと。また、その者。 為に=〜のために。 関の法=関所の決まり。 食頃=食事をするほどのわずかな時間。 ※この場面は、秦の昭王に捕らえられた孟嘗君が、脱出するまでのいきさつである。

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読んだだけでは、テストでは書けません。本番と同じ縦書きで、実際に手を動かしてください。28問・解答と現代語訳つきです。

使い方のおすすめ。①まず何も見ずに解く → ②解答で答え合わせ → ③まちがえた設問の番号と同じ傍線を本文で探して読み直す。

設問

A 語句の意味と読み

  1. ③「蓋(けだ)し」の、ここでの意味を書け。
  2. ⑤「客に能(よ)く狗盗(くたう)を為(な)す者有り」の「能く」の意味を書け。
  3. ⑧「即(すなは)ち」の、ここでの意味を書け。
  4. ⑨「函谷関(かんこくくわん)」とはどのようなものか、簡潔に書け。
  5. ⑪「方(まさ)に」の、ここでの意味を書け。
  6. ⑭「伝(でん)」とは何か。
  7. ⑮「追ふ者果たして至るも、及ばず」の「果たして」の意味を書け。

B 句法

  1. ①「人をして昭王(せうわう)の幸姫(かうき)に抵(いた)りて解(と)かんことを求めしむ」に使われている句法の名を書け。また、白文でその働きを示す漢字一字を書け。
  2. ①「人をして昭王(せうわう)の幸姫(かうき)に抵(いた)りて解(と)かんことを求めしむ」の白文で使われている「使」と同じく、使役を表す漢字を、ほかに二つ挙げよ。
  3. ②「願はくは君の狐白裘を得ん」の「願はくは〜ん」は何を表す言い方か。意味もそえて書け。
  4. ⑤「客に能(よ)く狗盗(くたう)を為(な)す者有り」の「有〜者」の形は、どう読み、何を表すか。
  5. ⑦「釈(ゆる)さるるを得たり」の「るる」は、文法的にどのような語か。働きもそえて書け。
  6. ⑮「追ふ者果たして至るも、及ばず」の「も」は、どのような意味を表すか。

C 主語・指す内容

  1. ⑤「客に能(よ)く狗盗(くたう)を為(な)す者有り」の「客」とは、どういう人々のことか。
  2. ⑥「姫為(ため)に言ひ」とあるが、姫は誰のために、誰に対して口添えをしたのか。
  3. ⑫「之(これ)を追はんことを恐る」の「之」は誰を指すか。また、追おうとするのは誰か。
  4. ⑫「之(これ)を追はんことを恐る」の「恐る」の主語は誰か。

D 口語訳

  1. ①「人をして昭王(せうわう)の幸姫(かうき)に抵(いた)りて解(と)かんことを求めしむ」を口語訳せよ。
  2. ②「願はくは君の狐白裘を得ん」を口語訳せよ。
  3. ⑩・⑪を含む「関の法、鶏(にはとり)鳴きて方(まさ)に客を出だす」を口語訳せよ。
  4. ⑮「追ふ者果たして至るも、及ばず」を口語訳せよ。

E 内容・記述

  1. ④「他の裘(きう)無し」とあるが、孟嘗君の手もとに狐白裘が残っていなかったのはなぜか。本文にそくして書け。
  2. ⑤「客に能(よ)く狗盗(くたう)を為(な)す者有り」の食客がしたことを、三十字以内で書け。
  3. ⑩「関の法」は、夜半に函谷関に着いた孟嘗君たちにとって、なぜ都合が悪かったのか。四十字以内で書け。
  4. ⑬「客に能く鶏鳴(けいめい)を為す者有り」とあるが、この食客の鳴きまねで関所の門が開いたのはなぜか。四十字以内で書け。

F 文学史・故事

  1. この文章の出典の書名と作者、および収められている列伝の名を書け。
  2. 故事成語「鶏鳴狗盗」の意味を、二十五字以内で書け。
  3. 孟嘗君は、当時とくに有力だった四人の公子の一人に数えられる。この四人をまとめて何と呼ぶか。また、ほかの三人のうち一人の名を挙げよ。

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解答と解説

▼ 解答・解説を見る

A 語句の意味と読み

問1 思うに・実は
└ 事情を説明するときに使う語。「ふた」の意味ではない

問2 上手に〜することができる(〜するのが得意だ)
└ 可能・能力を表す。「よく=しばしば」ではない

問3 すぐさま・ただちに
└ ×「つまり」と訳すと文意がずれる

問4 秦の東にある関所(通行を検問する関門)
└ ここを出なければ秦の外へ逃げられない

問5 ちょうどその時・〜になって初めて
└ ★「方角・方向」の意味ではない。最頻出のひっかけ

問6 関所の通行を許す割り符・手形
└ これを示さないと関所を出られない

問7 案の定・思ったとおり
└ あとの「及ばず」とセットで、「追っ手は思ったとおり来た。しかし間に合わなかった」という流れをつかむ。「はたして…か」(疑問)とは別物

B 句法

問8 使役/「使」
└ 白文は「使人抵昭王幸姫求解」。「使 A B」=「AヲシテB(セ)しム」=「AにBさせる」

問9 令・教・遣(このうち二つ)
└ 使・令・教・遣の四字をセットで覚える。書き下しでは「しむ」と送るのが基本

問10 願望。「どうか〜したい・〜してほしい」
└ 文末が「ん(む)」で結ばれるのが目印

問11 「〜する者有り」と読み、「〜する者がいる」という存在を表す
└ 同じ形が⑬でもう一度くり返される。二人の食客の対比の骨組み

問12 受身の助動詞「る」の連体形。「(昭王に)釈された」という受身を表す
└ 「〜を得たり」とつながって「釈されることができた」の意になる

問13 逆接(〜けれども・〜が)を表す。白文の「而」は置き字で読まず、その逆接の働きが送り仮名「も」に表れている。
└ 置き字なので読まないのが基本だが、教科書によっては「而れども(しかれども)」と読ませることもある。お使いの教科書の書き下しに合わせること

C 主語・指す内容

問14 孟嘗君が客分としてかかえていた家来たち(食客)
└ 孟嘗君は数多くの食客をかかえたことで知られる。同じ「客」でも「客を出だす」の「客」は旅人の意なので混同しない

問15 孟嘗君のために、昭王に対して
└ 「為に」=〜のために

問16 「之」=孟嘗君/追おうとするのは秦王(昭王)
└ 直前の「秦王の後悔して」に注目する

問17 孟嘗君
└ 逃げる側が「追ってくるのではないか」とおそれている

D 口語訳

問18 使いの者を、昭王のお気に入りの側女のもとへ行かせ、囚われの身を解いてもらえるよう取りなしを求めさせた。
└ 「〜させた」と使役に訳せているかが採点の的

問19 どうか、あなた様の狐白裘をいただきたい。
└ 「君」は敬称で「あなた様」。友達への「きみ」ではない

問20 関所の決まりでは、鶏が鳴く(夜明けの)時刻になって初めて、旅人を関所の外へ通すことになっていた。
└ 「方に」を「〜になって初めて」と訳せるかどうか

問21 追っ手は案の定やって来たが、追いつくことはできなかった。
└ 「果たして」=案の定、「も」=逆接

E 内容・記述

問22 その狐白裘を、すでに昭王に献上してしまっていたから。
└ 直前の「嘗て以て昭王に献じ」が根拠

問23 秦の蔵に忍び込み、狐白裘を盗み出して幸姫に献上した。(二十六字)
└ この働きが「釈放」につながる

問24 鶏が鳴くまで関を出られず、待つ間に追っ手に追いつかれるおそれがあるから。(三十六字)
└ 「夜半に函谷関に至る」と、秦王が追ってくるという⑫の不安を組み合わせて考える

問25 鳴きまねにつられてあたりの鶏がみな鳴き、番人が夜明けだと思って門を開けたから。(三十九字)
└ ⑩「関の法」を逆手に取った機転がポイント

F 文学史・故事

問26 『史記』/司馬遷/孟嘗君列伝
└ 『史記』は人物ごとに記す紀伝体の歴史書。形式(紀伝体)を問う出題もあるのであわせて覚える

問27 つまらない技能でも、時には役に立つということ。(二十三字)
└ 転じて「取るに足りない技能(の持ち主)」とやや低く見て使うこともある。どちらの意味かは文脈で判断する

問28 戦国四君/平原君(趙)・信陵君(魏)・春申君(楚)のうち一人
└ 孟嘗君は斉の公子

【テスト直前チェック】この三つ
「使」は使役。「使 A B」=「AをしてB(せ)しむ」=「AにBさせる」。①は書き下しでも句法名でも問われます。使・令・教・遣の四字をセットで確認しておきましょう。
「方に」は方角ではない。⑪「鶏鳴きて方に客を出だす」の「方に」は「〜になって初めて」。この関所の決まりを逆手に取ったのが、鶏の鳴きまねです。
狗盗=釈放、鶏鳴=脱出。狐白裘を盗んだ食客が釈放を、鳴きまねの食客が函谷関からの脱出を実現しました。この対比が記述問題の的になります。

現代語訳(全文)

孟嘗君は、使いの者を遣わして、昭王のお気に入りの側女(幸姫)のもとへ行かせ、囚われの身を解いてもらえるよう取りなしを求めさせた。幸姫は言った、「どうか、あなた様の狐白裘をいただきたい。」と。実は孟嘗君は、その狐白裘をすでに昭王に献上してしまっていて、ほかに裘は残っていなかった。

食客の中に、犬のように忍び込んで盗みをするのが得意な者がいた。その者は秦の蔵に忍び込み、狐白裘を盗み出して幸姫に献上した。幸姫が孟嘗君のために昭王に口添えをし、孟嘗君は釈放されることができた。

孟嘗君はすぐさま馬を走らせて逃げ去り、姓名を変えて、夜半に函谷関に到着した。関所の決まりでは、鶏が鳴く(夜明けの)時刻になって初めて、旅人を関所の外へ通すことになっていた。孟嘗君は、秦王が釈放したことを後悔して自分を追ってくるのではないかと恐れた。食客の中に鶏の鳴きまねが得意な者がいて、その者が鳴くと、あたりの鶏がみないっせいに鳴いた。そこで通行の手形を出して関所を出た。食事をするほどのわずかな時間ののち、追っ手は案の定やって来たが、追いつくことはできなかった。

※この問題は誰でも古典塾のオリジナルです。本文は古典(著作権の対象外)から正確に引用しています。

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