和歌の修辞 確認テスト(枕詞・掛詞・縁語ほか)|定期テスト対策|誰でも古典塾

和歌の修辞|定期テスト対策 確認テスト 定期テスト対策

和歌には、限られた音数の中に豊かな世界を込めるための「修辞(しゅうじ)」が数多く用いられます。代表的なものに、特定の語を導く五音の決まり文句である「枕詞(まくらことば)」、ある語を導くために作者が独自に作る前置きの「序詞(じょことば)」、同じ音に二つの意味を重ねる「掛詞(かけことば)」、関連の深い語をちりばめる「縁語(えんご)」などがあります。これらに加え、有名な古歌の語句を取り入れて重層的な響きを生む「本歌取り」、文末を名詞で止めて余韻を残す「体言止め」、語順を入れかえて印象を強める「倒置」なども重要です。これらの技法を見分け、その働きを説明できる力は、和歌の鑑賞に欠かせません。次の和歌を読み、後の問いに答えよ。

📥 PDFダウンロード(無料・印刷OK)
問題用紙とテスト形式で解きたい人はこちら。 📝 問題編PDF(全24問)✅ 解答・解説編PDF

本文

① あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(柿本人麻呂『拾遺集』)
② ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは(在原業平『古今集』)
③ 花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに(小野小町『古今集』)
④ あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり(小野老『万葉集』)
⑤ 立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む(在原行平『古今集』)
⑥ 君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ(光孝天皇『古今集』)
⑦ 風をいたみ岩うつ波のおのれのみくだけてものを思ふころかな(源重之『詞花集』)
⑧ ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ(紀友則『古今集』)
⑨ 大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立(小式部内侍『金葉集』)
⑩ 瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末にあはむとぞ思ふ(崇徳院『詞花集』)

設問

  1. ①の歌の初句「あしびきの」は、何という語を導く枕詞か答えよ。
  2. ①の歌で「山鳥の尾のしだり尾の」は、ある語句を導く前置きの表現である。この技法の名称を答えよ。
  3. ①の歌で、上の前置きの表現が導いている語句を、歌の中から抜き出せ。
  4. ②の歌の初句「ちはやぶる」は、何という語を導く枕詞か答えよ。
  5. ②の歌で「竜田川」「水」「くくる(潜る)」のように、関連の深い語が用いられている。この修辞技法の名称を答えよ。
  6. ②の歌の現代語訳を記せ。
  7. ③の歌で「ながめ」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  8. ③の歌で「ふる」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  9. ③の歌に詠まれた作者の心情を、簡潔に説明せよ。
  10. ④の歌の初句「あをによし」は、何という語を導く枕詞か答えよ。
  11. ⑤の歌で「いなば」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  12. ⑤の歌で「まつ」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  13. ⑥の歌に用いられている主たる修辞技法(句末の表現上の特徴)を一つ挙げよ。
  14. ⑥の歌の「わが衣手に雪は降りつつ」から読み取れる、若菜を摘む人物の様子を説明せよ。
  15. ⑦の歌で「風をいたみ岩うつ波の」は、ある語を導く序詞である。導かれている語を歌の中から抜き出せ。
  16. ⑦の歌の「くだけて」は二つの意味で用いられている。波と心、それぞれの意味を説明せよ。
  17. ⑧の歌の初句「ひさかたの」は、何という語を導く枕詞か答えよ。
  18. ⑧の歌の主題を、季節感に触れながら簡潔に述べよ。
  19. ⑨の歌で「いく野」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  20. ⑨の歌で「ふみ」に掛けられている二つの意味を答えよ。
  21. ⑩の歌で「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」は、ある内容を導く序詞である。何を導いているか、歌の趣旨に即して説明せよ。
  22. ⑩の歌の「われて」に重ねられている二つの意味を答えよ。
  23. 本文の和歌①〜⑩のうち、文末を名詞で結ぶ「体言止め」が用いられている歌を一つ選び、番号で答えよ。
  24. 「枕詞」と「序詞」は、いずれもある語を導く働きを持つ。両者の違いを、音数と独創性の観点から記述せよ。
▼ 解答・解説を見る

問1(①の歌・枕詞)
「山」を導く枕詞である。(「あしびきの」は「山」「峰」などにかかる。)

問2(①の歌・技法名)
序詞(じょことば)。「山鳥の尾のしだり尾の」は、長く垂れた尾の縁から後の語句を導く独創的な前置きである。

問3(①の歌・導かれる語句)
「ながながし夜」。
(歌意=山鳥の長く垂れた尾のように長い夜を、私はひとりで寂しく寝るのだろうか。)

問4(②の歌・枕詞)
「神(神代)」を導く枕詞である。

問5(②の歌・技法名)
縁語(えんご)。「竜田川」という川の縁で、「水」「くくる(水中をくぐる・潜る)」など水に関する語を散りばめ、一首をまとめている。

問6(②の歌・現代語訳)
不思議なことの多かった神代でさえも聞いたことがない。竜田川が、唐紅(からくれない)の色に水を絞り染めにするとは。(紅葉が川面に散り敷く美しさを、染め物に見立てた歌。)

問7(③の歌・掛詞「ながめ」)
「眺め(物思いにふけって見ること)」と「長雨(ながあめ)」の二つの意味が掛けられている。

問8(③の歌・掛詞「ふる」)
「経る(時が過ぎる)」と「降る(雨が降る)」の二つの意味が掛けられている。

問9(③の歌・心情)
長雨を眺めて物思いにふけっているうちに、桜の花の色があせるように、自分の容色も衰えてしまったという、過ぎゆく時への嘆き。

問10(④の歌・枕詞)
「奈良」を導く枕詞である。

問11(⑤の歌・掛詞「いなば」)
「因幡(地名・因幡国)」と「往なば(去ったならば)」の二つの意味が掛けられている。

問12(⑤の歌・掛詞「まつ」)
「松(因幡山の峰に生える松)」と「待つ(待っている)」の二つの意味が掛けられている。
(歌意=あなたと別れて因幡へ去って行くが、その因幡山の峰に生える松のように、あなたが私を待つと聞いたなら、すぐに帰って来よう。)

問13(⑥の歌・修辞技法)
「雪は降りつつ」と現在進行を示して余韻を残す「『つつ』止め」による表現。下句で情景を描いて余情を残す手法。(「倒置的に下句で情景を描く点」なども認める。)

問14(⑥の歌・人物の様子)
相手のために早春の野で若菜を摘んでおり、その袖には雪が降りかかり続けている。寒さをいとわず真心を尽くす姿が読み取れる。

問15(⑦の歌・序詞が導く語)
「くだけて」。「風をいたみ岩うつ波の」は、岩に当たって砕ける波の縁から「くだけて」を導く序詞である。

問16(⑦の歌・「くだけて」の二義)
波については「(波が岩に当たって)砕ける」、心については「(思い悩んで)心が砕ける=思い乱れる」の意。

問17(⑧の歌・枕詞)
「光」を導く枕詞である。(「ひさかたの」は天・空・日・月・光などにかかるが、ここでは「光」を導く。)

問18(⑧の歌・主題)
日の光ものどかな春の日であるのに、どうして桜の花は落ち着いた心もなく散り急ぐのだろうという、散る花を惜しむ情。

問19(⑨の歌・掛詞「いく野」)
「生野(地名)」と「行く(野を行く)」の二つの意味が掛けられている。

問20(⑨の歌・掛詞「ふみ」)
「踏み(足で踏む)」と「文(手紙)」の二つの意味が掛けられている。
(歌意=大江山を越えて生野を通る道が遠いので、まだ天の橋立の地を踏んでもいないし、母からの手紙も見ていません。)

問21(⑩の歌・序詞の働き)
「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」は、流れが岩でいったん分かれてもまた一つになる急流の様子を示し、「われても末にあはむ(今は分かれても、いつかきっと結ばれよう)」という思いを導いている。

問22(⑩の歌・「われて」の二義)
「(水が岩で)分かれて」と「(二人の仲が)分かれて・別れて」の二つの意味が重ねられている。

問23(体言止め)
⑨。結句が「天の橋立」という名詞で結ばれている。(⑨が最も明確な体言止めの例。)

問24(枕詞と序詞の違い)
枕詞は、原則として五音から成り、特定の語を導く慣用的・固定的な表現で、作者の独創ではなく古くから決まった形で受け継がれる(多くは現代語訳しない)。一方、序詞は音数に決まりがなく二句以上に及ぶことが多く、作者がその歌のために独自に創作する前置きであり、内容として訳出されることが多い。固定的か独創的か、短いか長いかという点で両者は区別される。

※この問題は誰でも古典塾オリジナルです。和歌は古典作品(著作権の対象外)から正確に引用しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました