古文の重要「形容動詞」まとめ|あてなり・つれづれなり…現代語と意味がちがう頻出語を覚え方つきで

古文の重要形容動詞 あてなり いたづらなり つれづれなり 古文単語

古文単語というと「形容詞」や「動詞」ばかりに目がいきがちですが、じつは「形容動詞(けいようどうし)」にも、入試で点を取らせるための“ねらわれやすい語”がたくさんあります。しかも、その多くは現代語と意味がちがうので、知らずに今の感覚で訳すとズバッと減点されてしまいます。

生徒
生徒形容動詞って、活用がややこしそうで苦手です…。
先生
先生大丈夫。この記事では活用の話はしないよ。語の意味をイメージで覚えることだけに集中しよう。

この記事では、大学受験で標準的に出る重要な形容動詞だけにしぼって、「意味」と「覚え方のヒント」をセットで整理します。むずかしい活用の話はしません。語の意味をイメージで覚えることだけに集中しましょう。語源や漢字から覚えたい人は、受験頻出の古文単語と覚え方もあわせてどうぞ。

そもそも「形容動詞」ってなに?(30秒でOK)

形容動詞とは ナリ活用とタリ活用 図解

形容動詞は、ものごとの様子・状態をあらわす単語です。古文の形容動詞には次の2タイプがあります。

  • ナリ活用…言い切りが「〜なり」。例:あはれなり・しづかなり
  • タリ活用…言い切りが「〜たり」。例:堂々たり・漫々(まんまん)たり

※「〜なり」「〜たり」の形は、形容動詞のほかに助動詞(断定の「なり」、完了の「たり」など)でも出てきます。その見分け(識別)は別の専門テーマなので、この記事ではあつかいません。識別を練習したい人は、「なり・たり」識別100題ドリルへどうぞ。ここでは「単語の意味」だけに集中します。

現代語と意味がちがう!要注意の形容動詞(ナリ活用)

現代語と意味がちがう要注意ナリ活用 あてなり あからさまなり

まずは、今の言葉と意味がズレていて差がつきやすいものから。ここが入試の本丸です。

語(ナリ活用)主な意味覚え方のヒント
あてなり①身分が高い・高貴だ ②上品だ・優美だ「貴(あて)」=とうとい。身分も雰囲気も“ハイクラス”なイメージ。
あからさまなりほんのちょっとだ・かりそめだ・一時的だ(下に打消があれば「少しも〜ない」)今の「あからさま(露骨)」とは別物! 古文では“ほんの一瞬”の意味が中心。
なのめなり①ありふれている・平凡だ ②いいかげんだ・おろそかだまっすぐでなく“ななめ”=中途半端でほどほど、と覚える。
※打消の「なのめならず」になると逆に「並々でない・格別だ」。要注意。
はしたなり①中途半端だ・どっちつかずだ ②きまりが悪い・体裁が悪い「端(はした)」=はんぱ。中途半端で、その場で居心地が悪い感じ。
いたづらなり①むだだ・無益だ ②(人が)むなしい・はかない、(場所が)何もない・がらんとしている「いたずら」とは無関係。“役に立たない・むなしい”が芯。
「いたづらになる」で「死ぬ・なくなる」を表すこともある。
すずろなり(「そぞろなり」とも)①なんとなく・これといった理由もない ②思いがけない・予想外だ ③むやみだ・やたらだ ④無関係だ「すず(そぞ)ろ」=とりとめがない。“なんとなく・わけもなく”がキーワード。
先生
先生特に気をつけたいのは「あからさまなり」は露骨という意味ではないこと。古文では“ほんの一瞬”だよ。

覚え方のコツ:「現代語とのズレ」をセットで覚える

このグループは、「今ならこういう意味だけど、古文ではちがう」と意識して覚えるのがいちばん効きます。たとえば「あからさま」は、今は「あからさまに嫌な顔をした」のように“露骨だ”の意味ですが、古文では“ほんのちょっとの間”。このギャップを口に出して確認しておくと、本番で取りちがえません。

意味のイメージで覚える基本形容動詞(ナリ活用)

基本形容動詞 つれづれなり まめなり おろかなり 図解

次は、意味そのものは取りやすいけれど、頻度が高く・記述で訳語を求められやすい定番です。場面のイメージとセットで覚えましょう。

  • つれづれなり…することがなく退屈だ・手持ちぶさただ。さびしくもの思いにふける感じも含む。
    →『徒然草』の「徒然」がまさにこれ。「やることがなくて、ぼんやり…」のイメージで。
  • まめなり(漢字では「忠実」と書く)…①まじめだ・誠実だ ②実用的だ・実生活に役立つ。
    →今の「まめに連絡する」の“まじめ・きちんと”の感覚が残っている語。
  • おろかなり(疎かなり)…①いいかげんだ・おろそかだ ②(「言ふもおろかなり」などで)言葉では言い尽くせない。
    →“おろそか”の「おろか」。「言ふも〜」の形は「言うまでもない・言い尽くせないほどだ」とプラス方向に訳すのが定番。

タリ活用も少しだけ(漢文・漢語的な様子)

タリ活用 堂々たり 漫々たり 蕭々たり 図解
生徒
生徒タリ活用も全部覚えないといけませんか?
先生
先生いや、深追いは不要。「こういう形もあるんだ」と知っておけば十分だよ。

タリ活用の形容動詞は、漢語+「たり」でできた、いかにも漢文調の言葉が中心です。意味はだいたい字面どおりなので、深追いは不要。「こういう形もあるんだ」と知っておけば十分です。

  • 堂々たり…堂々としている・立派だ
  • 漫々(まんまん)たり…水などが満ちて広がっているさま
  • 蕭々(しょうしょう)たり…ものさびしいさま

ポイントは、言い切りが「〜たり」、下に名詞が続くときは「〜たる+名詞」になること。「堂々たる態度」のように、今でも文章語として残っていますね。

まちがえやすい!「形容詞」と混同しない

形容動詞と形容詞の見分け 言い切りの形 図解

意味が似ていても、言い切りの形がちがうと品詞も変わります。次のような語は形容動詞ではなく形容詞なので、この記事のグループとは別ものです(似た意味の語は評価・程度の古語まとめなどで扱っています)。

  • うつくし(愛し)…かわいらしい →言い切りが「〜し」なので形容詞
  • ゆかし…心がひかれる・見たい知りたい →これも形容詞

見分けの目印はかんたんです。言い切りが「〜なり/〜たり」なら形容動詞「〜し」なら形容詞。まずはこの形のちがいで仲間分けしておくと、混乱しません。

例文で確かめる|場面の中で形容動詞の意味をつかむ

単語帳で意味だけを暗記しても、いざ文章の中に出てくると「どの意味だろう?」と迷ってしまうものです。そこで、有名な作品の一節を使って、要注意の形容動詞が実際にどう使われているかを確かめておきましょう。原文の一節と現代語訳をセットで読むと、意味が場面ごと頭に残ります。

「あてなり」=高貴だ・上品だ(『竹取物語』ほか)

『竹取物語』では、かぐや姫の美しさや気品を表すのに、しばしば「あてなり」に近い言葉づかいが使われます。たとえば、姫の容姿を語る場面では、その姿が世に比べるものがないほど上品で気高いことが強調されます。「あてなり」は、生まれや身分が「高貴だ」という意味と、雰囲気や立ち居ふるまいが「上品だ・優美だ」という意味の、両方を表せる便利な語です。文脈で「人」を指していれば身分の高さ、「ようす」を指していれば上品さ、と判断すると訳がぶれません。

  • 意味のしぼり方…人物そのもの=「身分が高い」/立ち居ふるまい・雰囲気=「上品だ・優美だ」
  • 反対のイメージ…「あやし(賤し)」=身分が低い・みすぼらしい。セットで覚えると差がはっきりします。

「つれづれなり」=することがなく退屈だ(『徒然草』序段)

『徒然草』の冒頭は、古文を学ぶ人なら一度は目にする超有名な一節です。

原文の一節:つれづれなるままに、日暮らし、硯(すずり)に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

現代語訳:することもなく手持ちぶさたなのにまかせて、一日中、硯に向かって、心に浮かんでは消えていくとりとめのないことを、あてもなく書きつけていると、(自分でも)妙に、心が乱れるようなおかしな気持ちになることだ。

ここでの「つれづれなる」は、まさに「することがなく退屈で、手持ちぶさただ」という意味。作品の題名『徒然草』そのものが、この語からきています。「ひまでぼんやりしている状態」というイメージを、この一節ごと覚えてしまうのがおすすめです。

「いたづらなり」=むだだ・むなしい(和歌・物語によく出る)

「いたづらなり」は、現代語の「いたずら(悪さ・いたずら好き)」とはまったく関係がありません。古文では「むだだ・無益だ」「むなしい・はかない」が中心の意味です。たとえば、努力や時間が報われなかった場面で「いたづらに(=むだに)」が使われると、「せっかくの〜がむだになってしまった」というニュアンスになります。

  • 「いたづらに過ぐす」…むだに(時を)過ごす
  • 「いたづらになる」…むだになる。さらに、人について使うと「死ぬ・はかなくなる」を遠回しに表すこともあります(婉曲表現)。

重要語句・文法のポイント|訳でつまずかないために

意味を覚えたら、次は「訳すときの注意点」です。形容動詞は、後ろにつく言葉や打消(うちけし)とセットになると、意味が大きく変わることがあります。ここを知っているかどうかで、記述問題の得点が変わります。

① 打消とセットで意味が反転する語

  • なのめなり=平凡だ・いいかげんだ ⇔ なのめならず=並々でない・格別だ
  • あからさまなり=ほんのちょっとだ ⇔ 下に打消があると「少しも〜ない」の方向で訳す

とくに「なのめならず」はよく出ます。「なのめ(=ほどほど)」を打ち消すので、「ほどほどではない=格別だ・たいへんなものだ」とプラスの意味になる、という理屈で覚えると忘れません。

② 決まった言い回し(慣用表現)で訳が決まる語

  • 「言ふもおろかなり」「言へばおろかなり」…言葉では言い尽くせないほどだ(=すばらしさ・ひどさを強調するプラス方向の訳)
  • 「いたづらになる」…むだになる/(人なら)亡くなる

「おろかなり」は、ふつうは「いいかげんだ・おろそかだ」ですが、「言ふも〜」の形になると意味が裏返り、「言葉にするのも足りないほどだ=言い尽くせない」と、ものごとの程度をほめる(または強調する)言い方になります。形ごとセットで覚えましょう。

③ 活用の言い切りで品詞を見分ける

意味が似ていても、言い切りの形で品詞が変わります。仲間分けの目印を、もう一度確認しておきましょう。

  • 言い切りが「〜なり」 → 形容動詞(ナリ活用) 例:あはれなり・しづかなり
  • 言い切りが「〜たり」 → 形容動詞(タリ活用) 例:堂々たり・漫々たり
  • 言い切りが「〜し」 → 形容詞 例:うつくし・ゆかし

つまずきやすいポイントと入試での問われ方

実際の試験では、形容動詞の知識は次のような形で問われます。「どこを見られているか」を知っておくと、対策がしやすくなります。

  1. 傍線部の現代語訳…「あからさまなり」「すずろなり」など、現代語とズレる語に傍線が引かれ、「現代語に訳せ」と問われます。今の感覚で訳すと×になるので注意。
  2. 語の意味の選択肢…マーク式で、似た意味の選択肢から正しい意味を選ばせます。打消つき(なのめならず など)の形に注意。
  3. 品詞の識別…「〜なり」が形容動詞の一部か、断定の助動詞「なり」かを問う問題。これは別テーマですが、形容動詞の言い切りを知っていることが前提になります。

とくに多いつまずきは、「現代語と同じ意味だと思い込む」こと。「あからさま=露骨」「いたづら=いたずら」と現代語で訳してしまう失点が定番です。要注意語は「今ならこう、でも古文ではこう」と、ズレを口に出して覚えるのが最大の対策です。

先生
先生迷ったら、まずは現代語とズレる語を優先。ここを落とさないだけで点が安定するよ。

ミニ練習問題(解答つき)

覚えた知識を、すぐ確認してみましょう。次の傍線部の形容動詞の意味として最も適切なものを考えてください。答えはすぐ下にあります。まずは自分で訳を考えてから読み進めましょう。

  1. あからさまに立ち出でて」の「あからさまに」の意味は?
  2. 「喜びなのめならず」の「なのめならず」の意味は?
  3. いたづらに日を過ぐす」の「いたづらに」の意味は?
  4. つれづれなる夕暮れ」の「つれづれなる」の意味は?
  5. あてなる人」の「あてなる」の意味は?

【解答】

  1. ほんのちょっと(一時的に・かりそめに)。今の「露骨に」ではありません。
  2. 並々でない・格別だ。「なのめ(=ほどほど)」を打ち消して、意味がプラスに反転します。
  3. むだに・無益に。「いたずら」とは無関係です。
  4. することがなく退屈な・手持ちぶさたな。
  5. 身分が高い・高貴な(または上品な)。「人」を指すので、身分の高さの意味が中心です。

5問中、何問できましたか。まちがえた語は、現代語とのズレをもう一度確認しておきましょう。とくに1・3は「現代語にひっぱられる」典型なので、念入りに。

生徒
生徒1番、つい「露骨に」って訳しちゃいました…。
先生
先生それが一番多いミス。気づけたなら大丈夫、次は「ほんのちょっと」と即答できるよ。

よくある質問(Q&A)

Q. 形容動詞は、ぜんぶ覚えないといけませんか?

A. いいえ。すべてを丸暗記する必要はありません。優先すべきは、現代語と意味がちがう要注意語(あからさまなり・なのめなり・はしたなり・いたづらなり・すずろなり など)と、頻度が高い定番語(つれづれなり・まめなり・おろかなり など)です。これらを場面イメージとセットで押さえれば、入試で問われる形容動詞の大半はカバーできます。

Q. 「〜なり」が形容動詞か、助動詞かが見分けられません。

A. 大まかな目安として、「〜なり」の直前を見ます。状態・様子を表す部分とひとまとまりになって「〜なり」全体で様子を表していれば形容動詞、名詞や活用語の連体形などに「なり」がついて「〜である」と断定していれば断定の助動詞、というのが基本です。ただし見分けは独立した大きなテーマなので、まずは形容動詞の言い切り(〜なり・〜たり)を覚え、そのうえで識別の練習に進むのがおすすめです。

Q. タリ活用は覚えなくてもいいですか?

A. 深追いは不要です。タリ活用は「漢語+たり」でできた漢文調の言葉(堂々たり・漫々たり など)が中心で、意味はほぼ字面どおり。「言い切りが〜たり、名詞の前では〜たる(堂々たる態度)になる」とだけ知っておけば十分です。まずはナリ活用の要注意語を優先しましょう。

最後にもう一度|形容動詞は「ズレ」と「場面」で覚える

形容動詞でいちばん差がつくのは、現代語との意味のズレです。「あからさま」「いたづら」のように、今の感覚で訳すと減点される語を、「今ならこう、古文ではこう」とセットで覚えましょう。さらに、有名な作品の一節(『徒然草』の「つれづれなるままに…」など)ごと頭に入れておくと、場面のイメージから意味を思い出せるようになります。

  • 要注意語(現代語とズレる)…あからさまなり・なのめなり・はしたなり・いたづらなり・すずろなり・あてなり
  • 定番語(頻度が高い)…つれづれなり・まめなり・おろかなり
  • 反転に注意…なのめならず=格別だ/言ふもおろかなり=言い尽くせない
  • 品詞の目印…言い切りが「〜なり/〜たり」なら形容動詞、「〜し」なら形容詞

意味をひと通り覚えたら、文章の中で見分ける練習に進みましょう。識別ドリルや品詞分解の練習を重ねると、知識が「使える力」に変わっていきます。あせらず、要注意語から一つずつ確実にしていきましょう。

まとめ:形容動詞は「現代語とのズレ」で差がつく

  1. 形容動詞は「様子・状態」をあらわす語。言い切りは「〜なり(ナリ活用)」「〜たり(タリ活用)」。
  2. 入試でねらわれるのは、あからさまなり・なのめなり・はしたなり・いたづらなり・すずろなりなど、今と意味がちがう語。
  3. 「なのめならず=格別だ」のように、打消とセットで意味が反転する語に注意。
  4. つれづれなり・まめなり・おろかなりは頻度が高い定番。場面イメージで覚える。
  5. 言い切りが「〜し」のもの(うつくし・ゆかし等)は形容詞。混同しない。

意味を覚えたら、文の中で「これは形容動詞? それとも断定の助動詞?」と見分ける力もほしくなります。次のステップとして、古文の品詞分解のやり方や識別ドリルの練習にも進んでみてください。

[広告・PR]

動画で授業を受けたい人へ

誰でも古典塾は「読んで覚える」無料テキスト専門で、動画授業はありません。「文字だけだと入りにくい」「授業を聞いて理解したい」人は、動画授業のスタディサプリ(古文・漢文=岡本梨奈先生)が相棒になります。

▶ スタディサプリを見てみる

コメント

タイトルとURLをコピーしました